2020年5月29日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ増田です。
ハード・ロックやロマンチシズム溢れるシンフォニック・ロック、実験的なクラウトロックなどのイメージが強いドイツ。
しかしながらそんな中にも、英国のVertigo産オルガン・ジャズ・ロックやカンタベリー・ロックにも匹敵する!?優れたグループが多く存在します。
今回はそんなジャーマン・ジャズ・ロックの「なんでもあり」な魅力をお伝えすべく、様々なタイプのジャズ・ロック・グループを集めてみました。
まずは「英国オルガン・ロック風」からどうぞ!
クレシダやスティル・ライフなどヴァーティゴ系のオルガン・ロックをベースに、ソフツやカーンあたりのカンタベリーのエッセンスをまぶした感じ。
これがドイツのバンドの71年作唯一作とは、驚き!
AFFINITYが好き? ブルージーでジャジーなオルガン、紅一点の女性ヴォーカル。たまらないですよね。
そんなあなたにはこのバンドがオススメ!71年作。
そして同じくAFFINITYやCOLOSSEUMなどのVertigo産ジャズ・ロック好きにオススメしたいのがコチラ。
この叙情たっぷりのオルガンに洒脱でグルーヴィーなベース、哀愁のヴォーカル、むせぶサックス!
マイナーなグループですが、これ、聴かなきゃ勿体ないです!71年作。
ジャズやクラシックをゴッタ煮にした作風ですがアクの強さはそれほどなく、カンタベリーも思わせる粛々としたオルガンの音色と流麗なアンサンブルが特徴。
ジャーマン・オルガン・ジャズ・ロックの名作!
こちらもジャーマンというよりはカンタベリーやイタリアものに通ずる、テクニカルでいてたおやかなジャズ・ロック・サウンドを聴かせる逸品。
優美なフルートやエレピをフィーチャーした独ジャズ・ロック74年作!
ドイツを代表するジャズ・ロック/クロスオーヴァー・グループ、73年作。
後の作品では流麗なフュージョン色が強まりますが、本作ではジャーマンらしいアクの強さもある極上ジャズ・ロック・サウンドを聴かせてくれます。
緊張感漂うフリオ・キリコばりの高速ドラムとテクニカルなベースを軸に、美麗な女性ヴォーカル、気品あふれるヴァイオリン、たおやかなダブル・キーボードが優雅に旋律を奏でていく極上のジャズ・ロック。
これが78年の自主制作盤とは、恐るべし…。
ここからはジャズやらなにやら色んなジャンルが混ざり合ってしまった「ごった煮風」ジャーマン・ロックをご紹介。
『メロディアスなハード・ロック+洒脱なファンキー・ジャズ・ロック+サイケでスペーシーなシンフォニック・ロック』!?
キャッチー&グルーヴィーさとジャーマンらしいごった煮感のバランスが絶妙。ジャーマン・ファンキー・ロック・グループの74年作2nd!
ヘヴィなハード・ロックのイメージも強いドイツのグループですが、本74年作はブラス隊やオーケストラをフィーチャーしたプログレ/ジャズ・ロック色の強いサウンドが特徴。
流麗さとハードさ、ドラマチックさが見事にブレンドされた「Spanish Galleon」はプログレ・ハード史に残る傑作!
イギリス人を中心にドイツで結成されたグループ、76年作4th。
初期はNEKTARにも通ずるメロディアス・ハード路線でしたが、本作で聴けるのは涼やかなジャズ・ロック。
と思いきや途中で粘っこいギターが入ってきたり、シアトリカルな展開になったり、恐るべしクセとアクはこれぞジャーマン。
真面目なドイツ人がカンタベリー・ロックをやろうとしたらこうなった…のかなあ!?
優しいエレピと無骨なギターとスペーシーなシンセがせめぎ合っちゃう、異色のジャーマン・プログレ、81年作。
ここまでは西ドイツのバンドをお送りしましたが、こちらは東ドイツを代表するバンド、77年1st。
「東ドイツのプログレ」と聴くとちょっと堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、このバンドを聴くとビックリ!
CAMEL風の穏やかなフルートをフィーチャーしたシンフォやジャズ・ロック、クラシカル・ロックなどを織り交ぜた溌剌とした作風で、大変耳馴染みのよいサウンドを聴かせています。
ハード・クラシカルなオルガンを中心にしたスモーキーなジャーマン・ロックを聴かせるドイツのグループの71年作。バッハの「フーガ」を取り入れた楽曲を初めとして、チャーチ・オルガンのごときエコーを効かせたハモンド・オルガンの様式美で聴かせるクラシカルなセクションと、ラウドで荒削りなギターが勢い任せに引っ張るサイケデリック・ハードなセクションに分かれた楽曲は非常にスリリングな表情を見せ、その節操の無いサウンドがとても魅力的です。ジャーマン・ロックらしい実験色も覗かせるなど、個性的でマニアックな好作です。
サックス&フルート奏者在籍のジャーマン・ロック・バンド、71年の唯一作。手数多く走るドラムとよく動くベースによる安定感あるリズム隊を土台に、ブルージー&ハードで引きずるようなギター・リフ、淡くむせぶハモンド・オルガンを中心として、時に叙情的に、時に熱気ムンムンに畳み掛けるアンサンブルは、クレシダやスティル・ライフなどヴァーティゴ系のオルガン・ロックに通じる質感が印象的です。フルートやサックスがリード楽器としてフィーチャーされているのも特筆で、ジャズのエッセンスが感じられ、初期ソフト・マシーンやカーンのようなカンタベリーな味わいすら感じます。4曲の大曲主義で駆け抜ける構成も実に巧み。これはブリティッシュ・ロック・ファンにもたまらない名作です。
78年に自主制作された作品。女性Vo兼ヴァイオリン、ダブル・キーボード、ドラム、ベースという変則編成のグループ。フリオ・キリコばりの高速ジャズ・ロック・ドラムを土台に、シンセ、ピアノ、ヴァイオリンが緊張感溢れる演奏を繰り広げる個性的なジャーマン・プログレッシヴ・ロック。美しいハイ・トーンを持つ女性ヴォーカルも印象的。テクニカルなパートだけでなく、流れるようなフルートが印象的なメロディアスなパートも魅力的。自主制作とは思えない驚異のテクニックと完成度。おすすめです。
70年代前半に活動し、4作品を残したドイツ出身のジャズ・ロック・バンドによる71年デビュー作。安定感ある職人的なリズム・セクションに乗って、熱気ある派手なプレイスタイルのオルガンと、重層的な響きを持つブラスが交錯する、グルーヴィーかつ重厚感溢れるブラス・ジャズ・ロック。これは猛烈にかっこいいです…!ヴォーカルは英語。
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