2021年4月22日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
『狂気』や『ウォール』が持つ、映像喚起的で空間的なサウンド・プロダクションと普遍的なメッセージ性。
そんなピンク・フロイドのDNAを受け継いだグループが、00年代に入って続々と登場してきています。
ポスト・ロックを通過し、PCでのデジタル・レコーディングに慣れた00年代デビューのミュージシャンにとって、ピンク・フロイドのサウンドは、変わらぬ輝きとともに、今まで以上に身近なものなのかもしれません。
世界各国から芽吹くフロイドのDNA、どうぞお楽しみください!
WOBBLERやAIRBAGのメンバーが全面参加!フロイド影響下のメランコリックな音響空間と、北欧然とした透明度高くも温もり溢れる音使いが調和した幻想的なプログレを展開します。WOBBLER組が暴れるヘヴィなパートもカッコよし!
『狂気』で言えば「Us And Them」や「Brain Damage」あたりのフロイドのリリカルな音楽性を抽出したような、静謐でゆったりした幻想性が広がるサウンドが美しい。WHITE WILLOWのリーダーも関わった、ノルウェー新鋭による注目コンセプト・アルバム!
前作と同じく、まるでピンク・フロイドをクラシカルなシンフォに仕立て上げたような作風が個性的だなぁ。と思ったらまるで70年代のフレンチ・シンフォを聴いてるような夢想的かつミステリアスな音響処理もこれまた魅惑的。とにかくドリーミーかつドラマチックな英シンフォ傑作!
ここからは、国ごとにフロイド遺伝子を継ぐグループをご紹介してまいります!
ロジャー・ウォーターズの面影を感じる深遠な男性Voと、憂いに包まれつつも繊細で幻想性溢れるアンサンブルがグッと来るなあ。
PINK FLOYDやPORCUPINE TREE影響下の英国新鋭、20年デビュー作!
ピンク・フロイドをクラシカルなシンフォにしたようなサウンド!?
気品高さと幻想性が溶け合った音像が、夢の中にいるような気分にさせる個性派シンフォ!
GENESISの3代目シンガーRay Wilsonの右腕として活躍するギタリストの11年ソロ。
ならGENESIS系?と思われそうですが、これがブルース・フィーリングを和らげスタイリッシュになったギルモアといえそうなギターワークを散りばめた、幻想美たっぷりの名品♪
モダンなエレクトロニック要素を取り入れつつ、PINK FLOYD的な仄暗さと北欧らしい透明感を併せ持った叙情的な音空間が相変わらず素晴らしい。
ソロでも活躍するギタリストBjorn Riis擁するノルウェー新鋭、20年作5th!
そのAIRBAGに在籍するギタリストが放った17年ソロ作がこちら。
自身の幻想的でエモーショナルなギタープレイを軸とする、雪深い北欧の自然世界が眼前に映し出されるかのような、映像喚起的な魅力を持つ名品です。
こちらも「ピンク・フロイド+北欧らしい静謐な叙情美」と言える貫禄の19年作。
ジャズ色も織り込み静寂を描写するような繊細な音世界がひたすら素晴らしい…。
ギルモア直系のエモーショナルなギターも炸裂!
なんと、アイスランドからもフロイドのDNAを継ぐグループが登場!
フロイド譲りのサイケ&ブルージー&メランコリックさに「宮殿」を思わせるメロトロンが雪崩れ込む、ひんやりと幻想的なアンサンブルが心地良い…。
往年のプログレ・ファンにもオススメしたい、センス抜群の19年作。
フロイド憧憬グループでは国内屈指と言えるポーランドの実力派、20年作3rd。
PINK FLOYD直系の幻想と浮遊感に満ちたサウンドの中、端正かつ妖艶に響き渡るピアノが極上…。前作、前々作以上の傑作!
フロイドDNAを受け継ぐ現ポーランドの中心的シンフォ・バンドによる待望の19年作!
オリジナル・ヴォーカリストが復帰し、変わらぬ素晴らしい歌声を聴かせており感動!
ほぼすべての作曲を担い、コンセプト・メイキングも行うKey奏者/コンポーザーは、現代のロジャー・ウォーターズと言っても過言ではないかも!?
ポーランド屈指のプログレ新鋭バンドによる2枚組の11年作で、ジャケットからも分かる通り、彼らが敬愛するピンク・フロイド『ウォール』へのオマージュであり、挑戦でもある力作。
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ポーランドのみならず、現代のプログレ・シーン屈指と言えるグループMILLENIUM。デビュー20周年を迎え、活動を包括するボックスもリリースした彼らの、これまでの作品をピックアップしながら、その軌跡を追っていきます!
そんなMILLENIUMのキーボーディストによるソロ・プロジェクト第2弾となった18年作。
20年前に彼が自主制作した98年の作品をリアレンジ/再録した意欲作で、随所にフロイド・テイストを散りばめつつ、凛とした透明感と姉御な力強さを兼ね備えた女性ヴォーカルをフィーチャーした聴き応えあるメロディアス・ロックを鳴らしています。
抽象的なエレクトロ/アンビエント色をさらに強めつつ、PINK FLOYDに通じる仄暗さやMIKE OLDFIELDに通じる土着的な幻想性は健在。99年結成のポーランド産ユニット19年5th、嵐の前の神秘的な静謐さを感じさせる壮大な一作。
「狂気」~「ウォール」期フロイドをポーランド特有の深い陰影とモダンな質感で蘇らせたような新鋭バンド。
エフェクトを効かせ淡く幻想的なトーンを鳴らす2本のギターと、ひんやりと冷たい質感を持つシンセが浮遊感あるダークな色調の音世界を構築します。深遠かつ静謐な幻想性に溢れたサウンドは、フロイドに肉薄!
2010年のデビュー作で完成度の高いシンフォニック・ロックを聴かせた注目グループによる、待望の2作目となるライヴ・アルバム!
拍手がなければライヴとは思わない緻密で静謐な音世界が素晴らしすぎです!この世界観、フロイドファンにもきっと響くことでしょう。
弱冠19歳のメンバーによるポーランド産プログレ・トリオ、18年2nd。
1stに引き続きフロイド影響下の仄暗くメランコリックな音世界を展開しつつ、より壊れ物のようなセンチメンタルさを増したメロディ&アレンジが胸を打つ逸品。
この繊細なギター、まさに『ザ・ウォール』や『鬱』を彷彿とさせますね!
フロイド憧憬のメランコリックなサウンドを、モダンなヘヴィネスとポーランドらしい荒涼感で包み込んだ2017年デビュー作。
フロイド『鬱』やRoger Watersのソロが好き?ならこのポーランドのプロジェクト19年作も気に入るかも。
メランコリックかつ体内にじわじわと染み込んでいくような音空間がいいなあ。
シチリア島出身!?この湿っぽさ、英国としか思えない…。
繊細なメランコリーとヴィンテージな浮遊感に包まれたフロイド直系グループ、20年デビュー作。
91年にデビューしたイタリアのプログレ・バンドによる、2枚組の大作となった2018年作。
ピンク・フロイド的メランコリー&映像喚起的センスと、VDGGのダークなドラマ性をあわせ持ったようなサウンドは本作でも健在。
ベテランによる完成度の高い内容に唸らされる逸品です。
「FLUIDO(流体)」「ROSA=ピンク」というバンド名がまんまですが、やはりフロイド・トリビュート・バンドとしての活動歴を持ち、フロイド影響下のスケール溢れる中にも柔らかな陰影を秘めたメロディアスさが持ち味。
そこに乗る伊ヴォーカルの「歌」もさすが絶品です。
シンセ、メロトロン、ハケット調のギターらが柔らかく織り上げる、ジェネシス系シンフォかと思ったら、突如陰鬱に広がるシンセ&ギルモア風のブルージーなギターが登場して一気にフロイドに変貌。
70年代ファンも思わずニヤリな仏シンフォ新鋭。
ドイツのマルチ・ミュージシャンによるソロ・プロジェクト18年作。
フロイドに通ずるメランコリックな雰囲気に包まれつつ、同時に瑞々しいポップ・フィーリングにも満ちたサウンドがいいなあ。
ジャケからは想像できない(失礼!?)リリシズムがこれでもかと溢れ出る逸品。
ブラジルの新鋭、10年デビュー作。
ギルモアやアンディ・ラティマーからの影響が色濃いメロウなギター、穏やかにたなびくハモンド、そしてクリアな美声の男性&女性ヴォーカル。
フロイドはもちろんRENAISSANCEも彷彿とさせるヴィンテージ感たっぷりの実力派グループ!
前作まではMARILLION影響下のサウンドが特徴でしたが、本作ではPINK FLOYD色が非常に濃厚に。
ふくよかなオルガンの上でブルージーに踊るギター。フロイド・ファンならニンマリすること間違いなし!
PINK FLOYD的メランコリックさとCAMEL的リリカルさの融合!?
TVや映画音楽の場でも活躍するカナダ出身の名コンポーザー、深く沈み込むようにドラマチックで夢想的なサウンドを聴かせる18年作。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、13作目となる2019年作。オリジナル・メンバーのヴォーカリストLukasz Gallが復帰して制作された本作。その内容は、PINK FLOYDやGENESIS〜MALLIRIONへのリスペクトに溢れたシンフォニック・ロックに、ポーランドらしい深いリリシズムと翳りある叙情美を加えた、揺るぎなきMILLENIUMサウンド。虚空に切なく響くようなピアノ、アンサンブルに奥行きをもたらす深遠なシンセ、ギルモアとS.ロザリーをミックスしたようなエモーションたっぷりに泣くギター、そしてスタイリッシュな中に哀愁を秘めた変わらぬ素晴らしい歌声…。シリアスでメランコリックに紡がれる演奏が、サビに向けて気高く飛翔していくあまりにドラマチックな展開は毎度ながら見事の一言です。始動から20年目となる彼らですが、ただただ実直に自らの音楽を深化させ続けていく姿勢に胸打たれる一枚です。
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99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。前作から3年ぶりとなった2011年作の8thアルバムで初の2枚組。憂いあるメロディと空間的で映像喚起的なアレンジとが完璧に融合したスタイリッシュなプログレを前作で極めた彼らが挑んだのが、アルバム2枚に渡って描く壮大なるストーリー。アダムとイブを主人公に、男女間の複雑な関係性をパズルのピースに見立てて描いたコンセプト・アルバムに仕上がっています。ジャケット・イメージからも分かる通り、彼らが敬愛するピンク・フロイド『ウォール』へのオマージュであり、挑戦でもある力作。これは傑作です。
17年結成、3人のマルチ・プレイヤーによるノルウェー出身プログレ・グループの21年作。タイトルに冠された少年Zeroをめぐるストーリーを描いたコンセプト・アルバム。『狂気』で言えば「Us And Them」や「Brain Damage」あたりのPINK FLOYDのリリカルな音楽性を抽出したような、静謐でゆったりした幻想性が広がるサウンドが印象的。所々で軽快なフォーク・ロック・タッチやメタリックなサウンドを散りばめドラマチックな起伏をつけるセンスも特筆です。マスタリングにWHITE WILLOWで知られるJacob Holm-Lupoが参加。上記した「静」のフロイドがお好き方にはかなりおすすめです。
ノルウェー出身、AIRBAGの作品やそのギタリストBjorn Riisのソロ作にも参加するギタリストOle Michael Bjorndalによるプロジェクト、21年作1st。WOBBLERのキーボーディストやベーシスト、AIRBAGのドラマーら実力派たちが脇を固めます。PINK FLOYDからの影響が大きいメランコリックな音響空間と、北欧然とした透明度高くも温もり溢れる音色使いが調和した、彼の地らしい幻想的なプログレを展開。いかにもギルモア調な物悲しいギターリフレインが残響のように木霊する中、トラッド色をまとった神秘的なアコギ爪弾き、クラシカルな気品の中に悲哀を秘めたヴァイオリンが舞うアンサンブル。そこにOleの包み込むように優しく実直なヴォーカルが入ってきて、シリアスになりそうなサウンドに絶妙なハートウォーミングさを与えているのが魅力的です。アコギが静謐に鳴る「静」のパートの比率が高いですが、一転「動」のパートではオルガンが高鳴りベースがテクニカルに唸るWOBBLERばりの荘厳な盛り上がりを見せます。Oleの激情に駆られたようなエモーションみなぎるギタープレイもかなりカッコいいです。極めつけが全編で密やかな幻想美を醸し出すメロトロン。フロイド・ファン、AIRBAGファンには是非おすすめ!
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