2020年12月20日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
カケハシ・レコードです。
12月19日に配信された「PROG FEST Online」、4グループによるいずれ劣らぬ熱演が素晴らしかったですね~!
カンタベリー・ロックを受け継ぐ捻りの効いたセンスとヴィンテージかつ緻密な演奏で、スタジオ作と変わらぬ愛すべきプログレを紡いだシチリア出身の新鋭HOMUNCULUS RES。
「真のプログレッシヴ・ロック」という賛辞に恥じぬ、往年のイタリアン・プログレそのままのサウンドを描くダイナミックなパフォーマンスが感動的だったLA MASCHERA DI CERA。
先月リリースのデビューアルバムを引っ提げ、どこまでも格調高いクラシカルで鮮烈なキーボード・プログレで圧倒した我らが日本から参加のAnna Hardy & THE LUNATIC SPELLS。
そして、ゴリゴリと地を這うようなヘヴィネスとメロトロンがもたらす寂寥感が入り混じるあの音世界を完璧に再現し、生っぽい音質や凝ったカメラワークも相まって完成度の高いスタジオ・ライヴに仕上がっていた北欧の雄ANEKDOTEN。
このコロナ禍にあって、ライヴ配信によるプログレ・フェスの可能性を大いに感じさせてくれたと思います。
さて、そんなライヴ配信の合間に主催の岩本晃一郎さんが各関係レコードショップのおすすめ作品を紹介するコーナーがありましたが、
カケハシ・レコードが選んだ作品も紹介していただきました!
生配信という関係で一瞬だったため、見逃したという方もいらっしゃるかもしれませんので、改めてご確認いただければと思います!
岩本さんも気に入っているという、スペインの大型新鋭による18年作3rdアルバム!
クイーン+ドリーム・シアターをベースに、様式美HRからビッグバンドまでを取り入れる奇想天外センスとスペインらしい情熱で仕上げたサウンドは、とことんエネルギッシュで痛快。
聴いていてこんな楽しくてワクワクするプログレって他にないかも!
こちらはアヴァンギャルドなプログレやジャズ・ロックがお好きな方に大変おすすめの一枚!
ADRIAN BELEW POWER TRIOの女性ベーシストをはじめ、世界中から集まった10人の実力派ミュージシャンが織り成すドラマチックなアヴァン・プログレが素晴らしい。
ラフマニノフなど近現代クラシックを彷彿とさせるピアノが躍動する、強靭でいて端正な気品の漂うサウンドが実にCOOL!
他ジャンルの融合というプログレの醍醐味を味わいたいなら、とにかくこの作品を聴いてほしい!
アルメニアの伝統音楽とジャズ、ロック、メタルを融合させた「コーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック」!?力強くも粛々とした神秘性漂うサウンドが素晴らしすぎる、堂々の19年デビュー作!
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12年デビュー、メンバーほぼ全員がクイーンとドリーム・シアターをフェイバリットに挙げるスペインの新鋭プログレ・バンド、前作より3年ぶりとなった18年作3rd。前2作も素晴らしいアルバムでしたが、この3rd、もうとことんエネルギッシュで痛快。聴いていてこんなに楽しくってワクワクするプログレって他にないかもしれませんっ!ベースとなるのは最も影響を受けているクイーンとドリーム・シアターの合わせ技。そこにシンフォ、ロックン・ロール、様式美ハード・ロック、ビッグ・バンド・ジャズ、フュージョンなどを自在に結合させて、スペイン産らしい情熱的かつダイナミックなプログレに仕立て上げた、エネルギーがぎっちり詰まったサウンドを構築しています。歌い回しにフレディ・マーキュリー愛を感じさせる声量みなぎるスペイン語ヴォーカルとオペラチックな分厚いコーラスがドラマチックに舞い上がるクイーン風のヴォーカル・パートから、ド派手に鳴らすヴィンテージ・トーンのオルガン&クラシカルで可憐なタッチのピアノを操るキーボードが溢れ出し、ギターがテクニカルかつハードエッジに疾走。ギターはメタリックにゴリゴリしてはいるのですが、同時にコシの強いグルーヴ感があり、ロックンロールのノリの良さが先立っているのが特徴。硬質ながら人間味たっぷりに熱く弾き飛ばすプレイ・スタイルがカッコいい!ギターが牽引する強度あるヘヴィ・プログレに突如ゴージャスなビッグ・バンドが絡んできたり、クラシカルな速弾きが炸裂する様式美系ハード・ロックがごく自然に南国風フュージョンに発展したりと、あまりに先の読めない奇想天外なサウンドには軽く目眩が起きそうなほど。その後には一転して美しいメロディが冴え渡る叙情バラードを持ってくるセンスも憎い限りです。前作が彼らの完成形かと思いきや、まだまだ進化するDRY RIVERサウンドを見せつける大傑作!おすすめです!
アジアとヨーロッパの境目に位置する国、アルメニアの伝統音楽とジャズ・ロックの融合!?ポーランドの名門クラクフ音楽アカデミーにてクラシックを学ぶと同時に、アルメニアの伝統音楽に魅せられた女性管楽器奏者Zofia Trystulaを中心とするポーランドの5人組。結成以来数々のジャズ・コンペで入賞も果たす彼らの19年デビュー作は、エキゾチック且つどこか粛々とした神秘性を漂わせるアルメニアや東欧の伝統音楽をベースに、ロック、ジャズ、フュージョン、メタル等の要素を自在に組み合わせた圧巻のコーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック!しなやかに躍動するジャジーなピアノに気品溢れるヴァイオリン。ザクザクと重くメタリックなリフを刻むギター、ジャズの素養を感じるタイトでテクニカルなリズム隊、異国情緒漂う旋律を奏でるムーグ…。アコースティカルな要素とヘヴィ/エレクトリックな要素を対比させつつ、そこへZofiaが操るドゥドゥク、ズルナといった民族管楽器や民謡調の抑揚を付けた深遠な女性ヴォーカルが重なり合う、強靭さと神々しさ、優美さとドライヴ感を併せ持ったサウンドは驚くべき完成度!GONGからVESPEROといったスペーシーでエキゾチックなジャズ・ロックのファン、そしてLOST WORLD等ヴァイオリン・プログレのファンには特にレコメンドです!
仏在住のアメリカ人作曲家/ピアニスト、Tim Rootを中心とするアヴァン/ジャズ・ロック・プロジェクト18年作。ADRIAN BELEW POWER TRIOやクリムゾン・プロジェクトへの参加で知られる気鋭の女性ベーシストJulie Slickをはじめ、米国・イタリア・アルゼンチンなど各国から選りすぐりの実力派ミュージシャン10名により制作された作品とのことですが、なるほどこれは驚愕の完成度!R・フリップを思わせる切れ味鋭くヘヴィなギター、シャープ&タイトなリズム隊、チェンバー風味のクラリネットにこれでもかとむせぶサックス…『太陽と戦慄』や『RED』期クリムゾンからの影響を感じさせる、スリリングで強靭なアンサンブル。そこへリーダーのTimによるキメ細かく端正なピアノがクラシカルな色合いを加え、はち切れんばかりにハイテンションながらもどこか洗練された気品の漂うスタイリッシュなサウンドを聴かせています。ラフマニノフなど近現代クラシックを思わせるアヴァンギャルドなパートも披露しつつ、そこから天に抜けるように華麗なヴァイオリンがメロディアスな旋律を奏でるパートへと移り変わっていったりなど、ドラマチックな曲展開も特筆。精緻かつダイナミズムに富んだ演奏で聴き手を惹き込ませる、ハイレベルな傑作です。これは激・カケレコメンド!
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
レーベル管理上の問題により、デジパックに角つぶれ・圧痕がある場合がございます。予めご了承ください。
ポーランドの新鋭プログレ・バンドWALFADの中心メンバーにして、2019年にはソロ来日公演も果たしたギタリスト/ヴォーカリストによる20年作。第一次大戦後に彼の出身地シレジア地方で起きた「シレジア蜂起」を題材にした三部作の第2弾となります。シリアスな題材からは重厚なサウンドを想像しますが、鉄琴の涼やかな音色と清涼感あるギターサウンドで紡ぐ極上のメロディアス・ロックが飛び出してきて、1曲目から早くも心奪われます。少しハスキーな声で切々と感情を込めて歌うポーランド語ヴォーカルも絶品です。そして24分に及ぶラスト・ナンバーも注目の一曲。マンドリンの哀愁の調べに導かれ慈愛溢れるヴォーカルがエモーショナルに歌う東欧らしい憂いに満ち満ちた前半、ハードエッジなギターを主役にドライヴ感抜群のアンサンブルへ突入する痛快な後半と、見事な構成で一気に聴かせます。随所で高らかに鳴らされるトランペットも効果的です。これは傑作と言えた前作に負けず劣らず素晴らしい快作!
【カケレコ国内盤(直輸入盤 / 帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
レーベル管理上、デジパックにスレや若干圧痕・角潰れがございます。予めご了承ください。
こ、これは素晴らしいですっ!EGGやNATIONAL HEALTH、HATFIELD & THE NORTHに強い影響を受けた英国のkey奏者とドラマーによるデュオ、20年デビュー作。1曲目から淡いキーボードと共に女性Vo.のスキャットが響くHATFIELD直系の幻想的な音世界が広がり、EGGのデイヴ・スチュワートを思わせるアグレッシヴなファズ・オルガンも躍動し、2曲目ではオルガンやシンセサイザー、ドラムにベースが激しくも色鮮やかに駆け抜けるNATIONAL HEALTH「Tenemos Roads」ばりのアンサンブルが繰り広げられる。温もりあるハモンドを中心とした、どこまでも70’sカンタベリー愛溢れる叙情的インスト・ジャズ・ロック・サウンドには胸ときめかせずにはいられません。なおかつ決して70年代の再現に収まらず、暖かみを保ちつつスペーシーでアンビエンタルなシンセサイザーがダイナミックな広がりを創り出す壮大な楽曲も。ANEKDOTEN的メロトロンの洪水を堪能できるパートもあって、これは堪りません…。カンタベリー好きは必聴の傑作!SOFT MACHINEでおなじみのセオ・トラヴィスやTANGENTのAndy Tillisonがゲスト参加。
デヴィッド・ギルモア、アンディ・ラティマー、スティーヴ・ロザリーらに影響を受けたギタリストSimon Caron率いるカナダはケベックのプログレ・バンド、昨年9thに続く20年作10th。か、かなりピンク・フロイド!前作まではマリリオンからの影響色濃いエモーショナルかつモダンなサウンドが特色でしたが、本作ではマリリオンよりもむしろピンク・フロイド色が濃厚に。ふくよかなオルガンに乗せてこれでもかとブルージーなギター・ソロが炸裂する2曲目なんて、ギルモアが参加しているのかと思ってしまうほどでニンマリ!なおかつモダン・プログレ的な重厚さやハードなドライヴ感もあって、これは格好いいです。フロイド好きは是非。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、14作目となる2020年作。タイトルが示すとおり、現代社会における「七つの大罪」を描く7曲によって構成されたコンセプト・アルバムとなっています。重厚なテーマですが、本作でもPINK FLOYDと90s以降のMARILLIONから影響を受けた深淵かつエモーショナルなシンフォニック・ロックは健在。ビシッビシッと重くタイトに刻むリズムに乗って、オルガンが叙情的にたなびき、リック・ライト彷彿のシンセがダークに広がり、そしてギルモアの泣きとS.ロザリーのメロディアスな音運びを兼ね備えたギターが飛翔するサウンドは、「ドラマチック」という言葉をそのまま音にしたような素晴らしさ!英語で歌う、スタイリッシュな歌い回しの中に切ない哀愁を秘めた男性ヴォーカルも、劇的なサウンドを一層盛り立てます。エレクトロニクスやSEを効果的に用いた演出力の高さにも注目。今回も貫禄のMILLENIUMサウンドを繰り広げる力作です。
ヴォーカル/ドラム/キーボードのDavid McHenryとギター/ベースのCarter Scottが80年代に結成した米パワー・ポップ・バンド、20年作3rd。いやあ、なんと素晴らしいのでしょうか…。メロディの洪水とはまさにこのこと。過去作よりも落ち着いたミドル・テンポのナンバーが多くなっているものの、その分素朴で、飾り気なく、かつ心の琴線を震わせる瑞々しいメロディの良さが際立っています。それを彩る気品たっぷりの管弦楽アレンジや芳醇なコーラス・ワークもますます洗練されてきているし、STYXのキャッチーさ、ジェフ・リンの気品、POSIESやJELLYFISHといった90’sパワー・ポップの瑞々しさ、全てを飲み込んだまさに至福のプログレ・ポップ空間。もう彼らを現代のポップの魔術師と呼んでも過言ではないと思います。MOON SAFARIファンにもオススメ。100点!
2013年より活動する女性ピアニスト、北川とわ率いるプログレッシヴ・ジャズ・トリオ。27分に及ぶ組曲を配したよりプログレッシヴなスタイルで聴かせる2020年作4thアルバム。スピーディーな音運びで畳みかける緊張感あるタッチと、息をのむように柔らかくしなやかなタッチが自在に入れ替わり、情熱的かつ幻想的な音世界を描き出すピアノが何より圧巻。変拍子をたっぷり織り込んだ複雑な楽曲においても、一貫して流麗に紡がれていくプレイはあまりに見事です。そんなピアノを絶妙な呼吸で支えるリズム・セクションも特筆。ベースはPRISMの岡田治郎、ドラムは山内陽一朗/岩瀬立飛/橋本学という3人のドラマーが各曲でプレイしており、それぞれの持ち味が出た演奏によってアンサンブル全体が豊かに表情を変えていきます。ハイライトは、暗い森に迷い込んだ主人公を描いた7部構成の組曲『Suite forest in the dark』。ピアノが静謐なタッチで暗い森の情景を映し出す「静」のパートと、猛烈なテクニックで疾走するアヴァンギャルドなジャズ・ロックへとなだれ込む「動」のパートが劇的に対比し一気に聴かせる、聴き応え抜群の大作となっています。今作もプログレ・ファン、ジャズ・ロック・ファンなら是非聴いてほしい傑作!
85年より活動するインドネシア産ガムラン・ジャズ・グループKRAKATAUのピアノスト/キーボーディストによる2枚組の2020作。彼のソロではお馴染みとなったYaron Stavi(b)&Asaf Sirkis(dr)のリズム隊コンビに加え、本作の大きな特徴としてメンバーに伊プログレ・バンドSADO等で活躍したヴォーカリストBoris Savoldelliを迎え制作されています。インドネシア特有の浮遊感あるエキゾチックな音階も織り交ぜたピアノと、熱くエモーショナルに歌い込むイタリア語ヴォーカルがドラマチックに調和する冒頭のナンバーから素晴らしい一曲!以降は即興を中心とするミステリアスな演奏にスキャット・ヴォーカルが乗る前衛色の強い展開がメインとなりますが、随所でオリエンタル・テイスト薫る神秘的なフレーズを奏でるピアノのプレイが鮮烈です。DISC2に入ると、ピアノに加え派手なシンセも登場。すると何とヴォーカルがデメトリオ・ストラトスばりのヴォーカル・パフォーマンスを披露しだして、一気にアレアっぽい前衛ジャズ・ロックに突入していく展開に驚き。でも決して混沌とはしていなくて、一つ一つの音色が透明感に溢れていて美しいのが魅力です。ジャジーな即興をベースに、インドネシアらしい東洋エッセンスとイタリアン・プログレの熱量が見事に融合した力作!
94年結成、地中海に浮かぶ島国マルタ共和国出身で、現在はチェコを拠点とする新鋭グループによる2020年作。これは素晴らしいです!全編を彩る流麗なピアノ、叙情たっぷりのフレーズを次々と奏でるドラマチックなギターが印象的なメロディアス・プログレなのですが、特筆はビックリするくらいにポップで親しみやすいメロディ。少年のような実直さと優しさを感じるヴォーカルに瑞々しいコーラスが絡むスタイルは、メロディの良さも相まって、MOON SAFARIも想起させるほど。そんなサウンドを雄大に盛り上げるメロトロンの使い方も見事です。21分の大作は、GENESIS的な英国叙情やSPOCK’S BEARDに通じる洗練されたモダンな構築性を発揮しながら、ひたすらキャッチ―なメロディが紡がれ続ける名曲で興奮必至です。演奏面ではピアノの存在が大きく、Ben Foldsばりのピアノ弾き語りポップスにシンフォニックな味付けをしたようなスタイルとも言えるかも。四半世紀の活動歴を持つバンドとは思えないサウンドの鮮度に驚かされる愛すべき一枚。カケレコメンド!
ベルギー出身のベテラン・スタジオ・ミュージシャンが結成した新鋭プログレ・ポップ・グループ、20年作5th。結成メンバーのWilliam Beckers(キーボード)が前作でバンドを離れ、同じく結成メンバーの一人であるFrank Van Bogaert(ヴォーカル、キーボード、ギター)と過去作にも参加したNick Beggs(ベース、スティック)の二人を中心に制作されたようです。とはいえどこまでも瑞々しく、どこまでも温もりに満ちた彼ららしいプログレ・ポップ・サウンドは本作も健在。一方でゆったりと空間的なシンセサイザーを大きくフィーチャーしていた前作『QUIET LIFE』に比べると、本作は起伏あるメロディやオルガン、ギターなど多彩な音色を導入し、よりダイナミックでカラフルなアンサンブルに仕上がった印象。躍動感あるリズムの中、繊細なアコギが鳴らされ、エモーショナルなギターが春風のように叙情的な旋律を奏でていくパートなんて、CAMELやMOON SAFARIなど優美なシンフォ好きであればもうイチコロ。Nick Beggsの娘Lulaの力強く伸び伸びとした女性ヴォーカルも前作以上にフィーチャーされており絶品です。ポップなプログレやシンフォ・ファンなら聴いて損はない一作!
00年代以降のロシアを代表するプログレ・バンド。02年デビュー作『TRAJECTORIES』に、リズム・セクションの再録と英語Voへの差し替えを施し完成度を高めた2020年バージョン。クリムゾンからの影響が色濃い緊張感みなぎるヘヴィ・プログレを、クラシックの高い素養で料理しきった、硬質にしてどこまでも気品高いシンフォニック・サウンドが特徴。『DISCIPLINE』〜『THRAK』クリムゾン影響下のグルーヴィかつ重量感溢れるリズムの上を、『太陽と戦慄』のDavid Crossばりに鋭くキレのあるヴァイオリンが疾走するアンサンブルは、終始ハラハラするようなスリルに満ちていて圧巻です。凛とした音色のヴァイオリンとフルートが美しく調和するクラシックの素養を前に出したナンバーもさすが見事。「静」と「動」がダイナミックに対比する強靭なうねりを伴ったサウンドで押し寄せてくる、迫力満点の傑作です。※輸入盤はございません。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、ボーナス・トラック7曲、定価3143+税
【購入特典:カケレコオリジナル小冊子をプレゼント!】紙ジャケに若干圧痕がある場合がございます。ご了承ください。
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