2020年10月19日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
BEATLES、BEACH BOYS、ELOやSTYXにJERRYFISH・・・60~70’sポップやパワー・ポップ・ファン直撃のサウンドを鳴らす注目のユニット、VOID CONTACT!
以前18年2ndリリースの際にもインタビューを行いましたが、今回3rdアルバム『FORM OVER DYSFUNCTION』の完成にあたって、ヴォーカル/ドラム/キーボードを担当するDavid McHenryが再度カケレコのインタビューに応えてくれました。
前回のインタビューはこちら↓
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– 今回は以前の作品に比べて、はるかに「個人的」なアルバムに仕上がったと思う。というのも、僕の父が寿命で亡くなって、その2年後に母も続けて逝ってしまったという出来事が原因だ。
この出来事は僕と兄弟たちに多くの感情をもたらした。長年の恨みつらみや議論が次々に浮かび上がってきて、僕はそれに向き合わなくちゃならなかったんだ。
僕が曲を書いたのはほぼこの時期だった。そして、僕は嘘がつけない。つまり、今回の楽曲の多くは、僕の人生における特定の人々についてなんだ。
タイトルにある「Dysfunction(機能不全)」というのは、偶然の産物ではないんだよ。
〇今回のアルバムでは、以前よりも美しいバロック・ポップ調のアレンジが目立っていました。アレンジのアイディアはどうやって思い付いているのですか?
– かつてはアレンジが難所で、よく他の人に手伝ってもらっていた。けれど数年前、友人のMark Horwitzにシンプルでいて深いアドバイスを貰ってから、アレンジに対する考え方が変わったよ(ちなみに、彼は演奏など何らかの形で僕らの全作に貢献している)。
彼は「まず、それぞれの楽器を一つのメロディと考え、それを口ずさむんだ」と言った。「そうしたらそれを積み重ねていけばいい」とね。
僕はずっと自分の楽曲に豪華な弦楽器や木管楽器のパートを入れたいと思っていたんだけど、あいにくミュージシャンに繋がりを持っていなかった。
ただ、2ndアルバム『SECRET AND ALIBIS』からは状況が変わった。僕の同僚の一人(Daniel Lee)がヴァイオリニストだと判明したんだ。
また、娘の音楽の先生はクラリネット奏者(Brittany Bandstra)だった。僕が新しい曲を作った際にはいつも彼らに協力してもらっているよ。
僕はMarkのアドバイスを受け、モノラルでサンプルのヴァイオリン・パートを録り、満足がいくまでそのサンプルを重ねてみた。
僕の録音ソフトには記譜オプションがあって、パートを楽譜に起こせるんだ。
その後、DanielやBrittanyにその通りに演奏してもらう。
このソフトのおかげで前よりもアレンジがずいぶん簡単になったよ。頭の中で考えたパートを、レコーディングで生きたものにするのはとても楽しい作業だ!
〇今回の制作で大変だった点はありますか?
– 録音はコロナが広がる前にすべて終わっていたから、レコーディングに問題はなかった。ただ、今回僕たちは色々と違うことをしたんだ。
一例を挙げると、今回は収録曲をマスターに送るにあたって、全部の曲のミックスが終わるまで待った。
前の2つのアルバムでは、まだレコーディングを行っている最中に他の曲をミキシングしていたし、それに、各楽曲を個別にマスターしていた。
それが上手く行かなかったわけではないけど、僕はこれをもっとまとまりのあるものにしたかったんだ。
だから僕たちはミックス作業の前に全部のレコーディングを終わらせ、全ての曲が仕上がるまでマスターには送らないようにした。
つまり今回マスター・エンジニアはアルバム全体を一度にミックスする必要があったんだ。
さて、コロナウイルスは僕らのリリース記念パーティーに課題を提供した。
僕たちはおよそ30年ぶりのライヴの計画を立てていたんだが、実行できるかどうかは定かじゃなかった。
ショーの2週間前になってようやく、Facebook Liveを使ってストリーミング配信することに決めたんだけど、これが素晴らしい結果になった!
少ないカメラマンの前で本来の力を発揮するのは難しいから、実際の観客がいて欲しかったとは思うけど、できる限りのことはやったよ。
幸いなことに、僕らはそのライヴ・ショーをDVDとブルーレイでリリースするために編集&リミックス中なんだ!
リリース日はまだ未定だけど、決まったらお知らせするよ。
ヴォーカル/ドラム/キーボードのDavid McHenryとギター/ベースのCarter Scottが80年代に結成した米パワー・ポップ・バンド、20年作3rd。いやあ、なんと素晴らしいのでしょうか…。メロディの洪水とはまさにこのこと。過去作よりも落ち着いたミドル・テンポのナンバーが多くなっているものの、その分素朴で、飾り気なく、かつ心の琴線を震わせる瑞々しいメロディの良さが際立っています。それを彩る気品たっぷりの管弦楽アレンジや芳醇なコーラス・ワークもますます洗練されてきているし、STYXのキャッチーさ、ジェフ・リンの気品、POSIESやJELLYFISHといった90’sパワー・ポップの瑞々しさ、全てを飲み込んだまさに至福のプログレ・ポップ空間。もう彼らを現代のポップの魔術師と呼んでも過言ではないと思います。MOON SAFARIファンにもオススメ。100点!
80年代半ばにヴォーカル、キーボード、ドラムのDavid McHenry、ヴォーカル、キーボード、ギターのCarter Scottによって結成された米国プログレ/パワー・ポップ・ユニット、一度は解散したものの13年に再結成して制作された15年リリース作。影響を受けたアーティストにYESやSUPERTRAMPやSTYXやRUSHを挙げている通り、カラッと明るくも趣向を凝らしたアレンジが光る70〜80年代直系のプログレ・ポップを聴かせています。さらに「いかにもビートリッシュ」なメロディ&アレンジにジョージ・ハリスンを思わせるスライド・ギターが炸裂するナンバーあり、気品溢れる管弦楽アンサンブルをフィーチャーしたチェンバー・ロック・テイストのナンバーあり、『そして三人が残った』あたりのGENESIS、それからPINK FLOYDの『ウォール』なども思わせる、洗練されつつも重厚なナンバーがあったりと、ビートルズから70年代のプログレから80年代前半のポップ、そして90年代のJERRYFISHまでを俯瞰したような「プログレ・ポップ博覧会」と言えるカラフルなサウンドに思わずニンマリ!ポップ・プログレやパワー・ポップ、英国ニッチ・ポップ・ファンは要チェックの逸品です。
80年代半ばに結成された米国プログレ/パワー・ポップ・ユニット、13年の再結成後2作目となる18年作。影響を受けたバンドにSTYX、SUPERTRAMP、RUSH、YESにGENESIS、そしてBILLY JOELやJERRYFISHを挙げている通り、70年代の英米プログレ&ポップスから90年代パワー・ポップまでのエッセンスを混ぜ合わせた瑞々しくアイディア豊富なサウンドが特徴。本作では前15年作に比べややモダンなサウンド・メイクになった印象ですが、70年代英国ポップ好きの琴線に触れる精巧な職人的アレンジは前作を凌駕する出来。歌心溢れるヴォーカル、QUEENみたいにメロディアスなコーラスやギター、フォーキーなアコギに煌びやかなシンセ。瑞々しくエネルギッシュなパワー・ポップをベースとしつつ、ヴァイオリンやチェロやクラリネットといった管弦楽器もふんだんに配し、ビートルズやレフト・バンクを思わせる気品いっぱいのバロック・ポップからELOやPILOTのようなシンフォニック・テイストまで幅の広いサウンドを演出しています。さらに若々しさ溢れるギターオリエンテッドなナンバーあったかと思えばエレピをフィーチャーした洒脱なナンバーがあったり、サックスや女性コーラスを取り入れたジャジーでバブリー!?なナンバーが飛び出したりと、曲ごとにクルクルと表情を変えていくサウンドの引き出しの多さは特筆モノ。近代的な要素もありつつ、緻密に練り上げられた暖かみあるアンサンブルは70年代プログレ・ポップやニッチ・ポップ・ファンの心を間違いなく揺らします。これは名作!
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