2019年1月17日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
2000年代変わらずの活況を見せている新鋭プログレ・シーンですが、
それだけに、膨大な作品の中で一体どれから聴けばいいのやら…と思ってらっしゃる方も少なくないかも知れません。
そんな時に、知っている/聴いたことのあるミュージシャンの存在というのはやはり頼もしいもの。
そこで、今回は往年より活躍するプログレ・ファンにはお馴染みのミュージシャン達がゲスト参加する新鋭プログレ作品をセレクトしました!
これらの作品をきっかけに新鋭プログレへの入門を果たしていただければ嬉しく思います♪
GENESISを土台としながらも、その土台をチャーチ・オルガンをはじめとするキーボード群で分厚く塗り込めていくような濃密なキーボード・シンフォには、毎度ながら圧倒されます。
S.HackettやD.Jacksonらゲストの熱演にも注目!
ゲスト陣の豪華さで言えば、まずこのグループをご紹介しないわけにはいきません。
フィンランドで発刊されていたプログレ・ファンジンの企画から活動をスタートした、フィンランド/イタリア/アメリカ出身の3人からなるシンフォ・グループ。往年のプログレをカバーした1st&2nd、オリジナル曲中心の3rdをセットにしたボックスをピックアップ。
圧巻は毎作登場するゲスト・ミュージシャン達で、ENGLANDのRobert Webb、TFKのRoine StoltとJonas Reingold、NATHANMAHL~CAMELのGuy LeBlanc、GLASS HAMMER~YESのJon Davison、ハンガリー新鋭YESTERDAYSの中心メンバーBogati-Bokor-Akos、FONDERIAのkey奏者Stefano Vicarelli、KENSOの清水義央、GLASS HAMMERのギタリストKamran Alan Shikoh、現ANGLAGARDのLinus Kase、アルゼンチン新鋭JINETES NEGROSのkey奏者Octavio Stampaliaなどなど世界各国より腕利きが大挙して参加。さすがスーパープレイの連続にもう興奮しっぱなしです!
メロトロン、ソリーナ、ローズ、ハモンドなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかと溢れるファンタスティックなフランス新鋭!
フランスらしいエレガントな音運びもたまんないなぁ。あのアトールのVoアンドレ・バルザーもゲスト参加!
D.Jackson、T.Travis、D.Cross、J.Davisonらが参加!
幕開けはクリムゾン「Starless」のカバーで、コズミックでハイセンスな音響空間と、原曲本来の虚空を彷徨うような切ない旋律が違和感なく一体となっていて素晴らしい~!
ロシア新鋭IAMTHEMORNINGのkey奏者によるソロデビュー作。
ドラムはキング・クリムゾンのGavin Harrison、ベースはスティーヴ・ハケット・バンド他のNick Beggs、ヴォーカルはマリリオンのSteve Hogarth、フルート&サックスはタンジェント~ソフト・マシーンのTheo Travis、さらに1曲ではJordan Rudessも参加したまさに鉄壁の布陣。
これだけのメンツが集まった中でさえ、一際輝きを放つのが本人の目が覚めるようにシャープでテクニカルなピアノ/キーボードのプレイ。「鮮烈」という一言が似合う逸品!
ドイツのマルチ・ミュージシャンによる往年のプログレ愛に満ちたプロジェクトなのですが、Marco MinnemannにSteve Morse、Steve Rotheryなどゲストが凄い!EL&PやRUSHやMARILLIONへの憧憬がモダンながらも暖かく透明感あるサウンド・メイクで綴られていて、胸にジーンと来ます。
ハケット・バンドやAgents Of Mercyで活躍するスウェーデンのヴォーカリストによる17年作!フィル・コリンズ度100%と言えるそっくりヴォーカルに改めて驚愕…。ハケット、ロイネ・ストルト、トニー・レヴィンほか豪華ゲスト陣にも注目ですね!
Robert Berry、Trey Gunn、David Jackson、ARENAのKeith More、NICE~ROXY MUSICのDavy Olist他を従えた強力作!
70年代テイスト溢れるサウンドで人気の高いイタリア新鋭TAPROBANのメンバーによるユニットで、歴戦の名手達と息ぴったりに展開するスケール大きなシンフォニック・ロックがお見事!
アートワークは、ヒプノシス名義の「トリック・オブ・ザ・テイル」「静寂の嵐」などを手がけたイラストレーターColin Elgieによるもの。
GOBLIN REBIRTHに参加するkey奏者によるプロジェクトなのですが、「地中海音楽+OPUS AVANTRA+Franco Battiato」と言える、先の読めないエキセントリックな音楽性に翻弄される快作。
OSANNAのLino Vairetti、JUMBOのAlvero Fella、RRRのLuciano Regoliなどレジェンドバンドのフロントマン達も名唱を披露!
80年代より活動するベルギーのベテラン・スタジオ・ミュージシャンが組んだデュオ・ユニットがこのFISH ON FRIDAY。
4thとなった本作でも相変わらずの気品ある幻想的なサウンド・プロダクションが冴える高品質プログレ・ポップを聴かせます。
お馴染みとなったNick BeggsやARENA~FROST*のJohn Mitchell、そして長年の彼らの憧れだったアラン・パーソンズ御大が1曲でレコーディング参加&プロデュース/エンジニアリングを担当!
ゲスト参加のソーニャ・クリスティーナによる物悲しい歌声で幕を開ける32分の組曲がもうとんでもない完成度!もとより海外での評価が高い彼らが、世界でもトップクラスのプログレ・バンドであることを証明した18年作4th!
うさぎのジャケがファンタスティック~。音も70年代プログレへのオマージュや北欧新鋭とのリンクも感じさせるシンフォニック・ロック。これが日本のソロ・プログレ・ミュージシャンによる11年作で、KAIPAのHans Lundinがゲスト参加してるって?
ブラジルのインスト・プログレ・グループが名手デヴィッド・クロスをフィーチャーしてクリムゾン・ナンバーを披露しまくってるって!?クロスの哀愁溢れるヴァイオリンのプレイを全編にフィーチャーしたアレンジで聴かせる「STARLESS」の素晴らしさときたら!
フレットレスの名手ジミー・ジョンソン、言わずと知れたトップ・ドラマーのヴィニー・カリウタとの強力トリオで制作された、インドネシア出身ギタリストによる7th!東南アジアらしいオリエンタル要素を織り交ぜたフュージョン・タッチの色彩感覚溢れるプレイがお見事です。
その彼が17年に放った9thでは、トニー・レヴィン、ゲイリー・ハズバンド、ジャック・デジョネットというジャズ・シーンの大物を迎え、オリエンタル・テイストたっぷりのジャズ・ロックを展開!ずばりパット・メセニーにも比肩するセンス!
ヴィンテージ・キーボードやエレクトリック・ブズーキを操るマルチインストゥルメント奏者、MOTISことEmmanuel Tissot率いるグループ。2014年作6th。ANGE直系のシアトリカルなシンフォニック・ロックを軸に、MALICORNEに通じるフレンチ・トラッドのフレイヴァーが香るサウンドが持ち味。とにかくメロトロンM400やソリーナやローズやハモンドなどヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされていて、特にメロトロンが大活躍!幻想的に溢れるメロトロンをバックにリリカルに紡がれるハモンド、そして、スティーヴ・ハケットを彷彿させる格調高いマンドリンやブズーキが織り成すファンタスティックなアンサンブルは、ジェネシス〜アンジェあたりのファンはたまらないでしょう。MOTISによるフランス印象派絵画のように柔らかで親しみやすいハイ・トーンのヴォーカルとフックあるメロディも特筆。なんと、アトールの名ヴォーカリスト、アンドレ・バルザーがゲスト参加し、1曲でヴォーカルを担当。この曲がまた素晴らしい!アナログ的な温かなサウンドプロダクションも印象的で、70年代の発掘作品と言っても分からないでしょう。これはシンフォニック・ロックのファンは必聴の快作!
イタリア/フィンランド/アメリカのミュージシャンによって結成された多国籍シンフォニック・ロック・グループ、単体では廃盤状態となっている、11年作1st『UNDERCOVER』、13年作2nd『SECRETS OF DISGUISE』、14年作3rd『IMPERIAL HOTEL』の初期3作品をセットにした18年リリースBOX!往年のプログレ名曲の数々を各国のゲストを迎えてカバーした1st&2ndには、バンドを全面バックアップするENGLANDのkey奏者Robert Webbをはじめ、FLOWER KINGSのRoine StoltやJonas Reingold、NATHANMAHL〜CAMELのGuy LeBlanc、GLASS HAMMER〜YESのJon Davison、ハンガリー新鋭YESTERDAYSの中心メンバーBogati-Bokor-Akos、FONDERIAのkey奏者Stefano Vicarelliなどなど圧巻のメンツが参加。ENGLANDの幻の大作「IMPERIAL HOTEL」のカバーとオリジナル曲で構成された3rdには、本家であるRobert Webb、KENSOの清水義央、GLASS HAMMERのギタリストKamran Alan Shikoh、現ANGLAGARDのLinus Kaseらが名を連ねます。1stと2ndには新規リミックスと新規録音が追加されており、さらにELP「悪の教典」やLATTE EMIELE「Rimani Nella Mia Vita」など合計1時間を超える未発表曲9曲をボーナス・トラック収録。本BOXならではの追加要素も満載した注目のBOXです!
98年にSSWとしてデビューした船越由佳(Key/Vo)を中心に、元SENSE OF WONDERのベース田口俊をはじめ、経験豊富なベテラン・スタジオ・ミュージシャン宮澤崇(G)、田中一光(Dr)によって09年に結成されたグループ。2018年作4thアルバム。何と言っても冒頭に配された、7つのパートからなる32分超の組曲が圧巻!ゲスト・ヴォーカルのSonja Kristina(カーヴド・エア)による物悲しい歌唱で幕を開け、ゴリゴリとアグレッシヴに弾きまくるギターと清廉で輝かしいトーンのシンセサイザーが絡み合いながら高みに上り詰めていく、あまりにスケールの大きなサウンドは息を呑むほどの素晴らしさです。組曲ではギターがリードするハードかつテクニカルに突き進むパートが多いのですが、常にキーボードが幻想的な色合いを付与しているのが印象的で、YESに通じるファンタジックで映像喚起力に満ちた世界観が全編にわたって広がります。終盤ではギターに負けじとK.エマーソンばりのスリリングで緊張感あるシンセのプレイで畳みかける展開も待っており、その目くるめく構成美には舌を巻くばかりです。John Wettonが歌う予定だったというケルティックな美しさを持つ最終曲は、伊豆田洋之(ピカデリー・サーカス)がヴォーカルを務めており、繊細なハイトーンが神秘的なサウンドにマッチしていて実に感動的。海外プログフェスへの参加や、前作が英CHERRY REDよりリリースされるなど、もとより海外での評価が高いバンドですが、ここにきて一段と凄まじい完成度に達しています。ただ一言、傑作!
ドイツはハンブルクを拠点に活動するマルチ・ミュージシャンFrank Usによるプロジェクト、18年デビュー作。何と言ってもゲストが大変豪華で、UKやSteven Wilson作品で知られるMarco Minnemann(Dr)、現DEEP PURPLEのSteve Morse(Gt)、現STYXのTodd Sucherman(Dr)にMARILLIONのSteve Rothery(Gt)&Mark Kelly(Key)、ARENAやKINOのJohn Mitchell(Gt)…と現代プログレを象徴する名だたる面子が顔を揃えています。「プログレ黄金時代への敬意と憧憬」をコンセプトに据えたプロジェクトなだけあって、そのサウンドにも往年のプログレッシヴ・ロックやシンフォニック・ロックへの愛情がいっぱい。壮大でファンタスティックなキーボードをフィーチャーした、タイトルからしてそのものずばりな「Emeron Empire」をはじめ、ちょっぴりメロウながらも70年代直系の叙情性に満ち溢れた楽曲群が実に胸を打ちます。かといって70年代プログレの模倣というわけではなく、それぞれの音の感触は洗練されていて非常にモダン。それでいて耳馴染みよく暖かみのあるアンサンブルに仕上がっているのは、実力派ミュージシャン達の確かなテクニックの為せる業と言えるでしょう。派手さはありませんが、じんわりと心に染み入る作品です。
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