2019年9月10日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
スタッフ佐藤です。
他ジャンルと融合することで新しい音楽を創出しようとする試みはプログレのプログレたる要素の一つですが、その対象として各国に根ざした民族音楽も例外ではありません。
そしてその精神は現代のプログレにも脈々と受け継がれています。
今回は民族音楽のエッセンスを巧みに取り入れて自分たちだけの音楽性を築き上げている新鋭グループたちを見てまいりたいと思います!
まずは先日入荷したばかりの19年新譜をご紹介。トルコやイランの隣に位置しつつ、旧ソ連の構成国で東欧に分類されることもある「アジアとヨーロッパの境目」アルメニアという国をご存知?こちらのバンドはそんなアルメニアの伝統音楽とジャズ、ロック、メタルを融合させた、名付けて「コーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック」!エキゾチックで力強く、かつどこか粛々とした神秘性漂うサウンドが素晴らしいです。
クラシックの素養を豊かに持つオペラ調の深みある歌唱に加え、デメトリオ・ストラトス風の存在感みなぎるヴォイス・パフォーマンスも堂々とこなす超実力派女性ヴォーカルが圧巻!地中海/バルカン音楽の舞曲風フレーズを散りばめながらスリリングに展開していくアンサンブルも絶品すぎる驚異のイタリア新鋭!
「動」と「静」の対比が鮮やかな『鮮烈』なるシンフォニック・ロック!クラシック、民族音楽を中心に、ロックのダイナミズムを加えた、西洋音楽史を総括したような壮大な作品。2010年屈指のプログレ名作!
欧州の伝統音楽のエッセンスをふんだんに取り入れた、ベルギーらしい実に屈折感たっぷりなアヴァン・フォークだなぁと思ったら、なるほどHUMBLE GRUMBLEのリーダーのサイドプロジェクトだったのね。納得。
【関連記事】
ベルギーのアヴァン・プログレ・フォーキーな新鋭バンドFOLLIA!を特集!ずばり一筋縄ではいかない音を求めるすべての音楽ファンにオススメできるハイセンスなグループ。これまでの3作品ともに素晴らしい作品ですが、特に3rdアルバムの突き抜けっぷりは凄い!生きていたらザッパも膝を叩いたはず!?
東欧民族音楽を軸に、ジプシー・スイング、北アフリカ音楽、インド音楽、果てはブラジル音楽、タンゴまでを散りばめた無国籍アヴァン・フォークを聴かせる06年作。これ、ライヴで見たら、実に痛快だろうなぁ。
KARFAGENにも並ぶ魅力を持ったマルチ奏者&コンポーザーがウクライナより登場!70年代プログレやフュージョンからの影響を軸に、スペース・ロック、民族音楽を取り入れて、多彩な音を散りばめたサウンドはとにかくイマジネーション豊か。エキゾチズムを醸し出すシタールやタブラも効いてます。
活動歴20年を超えるチェコのベテラン・バンドなのですが、中央アジアの民族楽器ツィンバロムの典雅で綺羅びやかな音色がエキゾチズムを演出する、妖艶かつ知的なサウンドを構築。切々とエモーショナルな女性ヴォーカルも素晴らしいし、このセンスはなかなか凄いです…。
メタリックなヘヴィネスと中南米のアンデス・フレイヴァーを融合させた新鋭シンフォニック・ロック。一体ライヴではどんなことになっているんだろう…と聴いてみると、驚くべき一体感で躍動するアンサンブルに脱帽!
こちらもペルー出身の新鋭プログレ・バンド。ヘヴィなプログレにアンデス音楽やフォルクローレのエッセンスを巧みに配合、ギターを軸とする強度の高いアンサンブルと、サンポーニャやケーナといった笛楽器の悠久の音色がごく自然に共存するサウンドはかなり素晴らしいです!
【関連記事】
「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことをコンセプトに、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を幅広く紹介するコラム。担当は、MUSEAからデビューした日本のアーティストnetherland dwarf!
ガムランやインドネシアの民族音楽/宗教音楽と、洗練されたフュージョンを融合させたエキゾチックかつ美麗なピアノ・ジャズ・ロックを聴かせる18年作。パーカッションや尺八のような響きの竹笛、神秘的な女声をフィーチャーしたこの桃源郷的サウンドはインドネシアならでは!
【関連記事】
NHK-FMの『プログレ三昧』でDISCUSが取り上げられ、プログレ・ファンにとって注目すべきエリアとなったインドネシア。DISCUSにも勝るとも劣らない硬派かつイマジネーション溢れるジャズ・ロック/プログレの名作が続々と届いておりますので、ピックアップ!
SIMAK DIALOGのギタリスト率いるグループ。エキゾな響きの各種民族楽器、パーカッション、フルートなどが織りなすエスニックな演奏からしてゾクゾクしますが、そこにスリリングで鋭角的なギターが切り込んでくる展開がとにかく鳥肌モノ!民族音楽とロックがまったく違和感なく融合を果たしているのが凄い…。
いかがでしたか?
気になる一枚が見つかれば幸いです!
アジアとヨーロッパの境目に位置する国、アルメニアの伝統音楽とジャズ・ロックの融合!?ポーランドの名門クラクフ音楽アカデミーにてクラシックを学ぶと同時に、アルメニアの伝統音楽に魅せられた女性管楽器奏者Zofia Trystulaを中心とするポーランドの5人組。結成以来数々のジャズ・コンペで入賞も果たす彼らの19年デビュー作は、エキゾチック且つどこか粛々とした神秘性を漂わせるアルメニアや東欧の伝統音楽をベースに、ロック、ジャズ、フュージョン、メタル等の要素を自在に組み合わせた圧巻のコーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック!しなやかに躍動するジャジーなピアノに気品溢れるヴァイオリン。ザクザクと重くメタリックなリフを刻むギター、ジャズの素養を感じるタイトでテクニカルなリズム隊、異国情緒漂う旋律を奏でるムーグ…。アコースティカルな要素とヘヴィ/エレクトリックな要素を対比させつつ、そこへZofiaが操るドゥドゥク、ズルナといった民族管楽器や民謡調の抑揚を付けた深遠な女性ヴォーカルが重なり合う、強靭さと神々しさ、優美さとドライヴ感を併せ持ったサウンドは驚くべき完成度!GONGからVESPEROといったスペーシーでエキゾチックなジャズ・ロックのファン、そしてLOST WORLD等ヴァイオリン・プログレのファンには特にレコメンドです!
82年にブダペストで生まれ、6歳から本格的なクラシックの教育を受けたBalazs Alparを中心に、多数の管弦楽器奏者を含む編成で結成されたハンガリーの大所帯グループ。04年作に続く2010年作2nd。ひとことで言って『鮮烈』なシンフォニック・ロック!とにかく「動」と「静」の対比が鮮やか。「動」のパートでは、シャープでダイナミックなリズム隊、早いパッセージのヴァイオリンが躍動し、「静」のパートでは、格調高くクラシカルなピアノ、リコーダーやフルートなど管楽器が舞い上がります。クラシック、民族音楽を中心に、ロックのダイナミズムを加えた、西洋音楽史を総括したような壮大な作品。エレクトリック・ギターやキーボードがないのに、これほどまでにロック的なダイナミズムを出せるんですね。傑作です。
85年より活動するインドネシア産ガムラン・ジャズ・グループKRAKATAUのキーボーディストによる18年ソロ作。Yaron Stavi(ベース)、Asaf Sirkis(ドラム)、フランスの技巧派ジャズ・ギタリストNguyen Le、スペインのジャズ・ロック・グループMUSICA URBANAのベーシストCarles Benaventらを従えたバンド編成を中心に、自国インドネシアのミュージシャンも多数起用。ガムラン・ミュージックを取り入れたエキゾチックなパートと、流麗でテクニカルなピアノをメインとした洗練されたフュージョン・アンサンブルを対比させた、美麗にしてダイナミックなジャズ・ロック/フュージョンを聴かせます。それだけでも素晴らしいのですが、随所に現れる、尺八のような響きの竹笛と神秘的な歌唱が織りなす浮遊感ある桃源郷的サウンドの美しさも絶品で、エキゾチックにして宗教的な崇高さも感じさせるインドネシアならではの音をふんだんに用いたサウンドに仕上げています。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!