2016年1月29日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,日々是ロック
こんにちは、カケレコ店長の田中です。
ずいぶんとおサボりしていた「日々是ロック」。久々に世界のロックをカケハしてまいりましょう。
今日のここ埼玉県寄居町は夕方から雪の予報が出ております。今週末も全国的に寒くなりそうですね!
冬だからこそ楽しみたい、世界のニッチな作品をピックアップしてまいります。
雪の寒い一日に負けず、「ロックでぬれ!」
まずはリリカルに奏でられるリコーダーが冬にぴったりの一枚をセレクト。
60年代にはマイク・オールドフィールドやバート・ヤンシュらとともにフォーク・シーンで活躍し、70年代半ばにプログレッシヴ・シーンでソロ・デビューしたギタリスト&コンポーザーのゴードン・ギルトラップによる最高傑作とも評される79年作。
プログレとフォークの隙間に埋まってしまったニッチな作品ですが、これはジェネシスとグリフォンの間に位置づけられるような愛すべきファンタスティック英プログレ逸品!
お次は、一気に北欧に飛びまして、今にも雪が落ちてきそうな、重くどんよりとした冬の曇り空のような一枚をセレクト。
北欧アヴァン/サイケデリック・ロックを代表するグループによる77年リリースの2枚組の大作。
なるほど極北トラッド・ロックかぁ。チェロやヴァイオリンによる素っ頓狂な哀愁フレーズとドローン、ピロピロと縦笛なんかが渦巻いてえらいこっちゃ。
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ビートルズをはじめとしたブリティッシュ・ポップの影響を軸に、ザ・バンドなどルーツ色あるアメリカン・ロックも取り込みつつ、北欧伝統の舞踏曲のエッセンスも盛り込んだ、痛快かつ哀愁いっぱいの北欧ロック作品をセレクト!
北欧つながりでスウェーデンからフィンランドへ。
どんより冬空の後は、透明度の高い冬の青空へって、感じで、ファンタスティックな一枚をピックアップ。
オルガン・ロック的な忙しなさ、GREENSLADEばりに心躍るポップ・センスなど、キーボード・プログレのファンをはじめ、KAIPAやCAMELなどファンタスティックな歌心が好きなファンにも是非、聴いてもらいたい好作品。
フィンランドのプログレ・グループによる77年唯一作です。
フィンランドからバルト海を南下し、ポーランドへ。
ポーランドと言えば、LYNXレーベルから美麗な新鋭シンフォ・グループが続々と登場していますが、その中でも人気の作品がこちら。
深いトーンで幻想的に響くメロトロン風のシンセ。寒さがこたえる冬の夜にじっくりと味わいたい美しく荘厳な傑作です。
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現代ポーランド・シンフォを代表するグループであるMILLENIUMのキーボード兼リーダー、RYSZARD KRAMARSKIによって2002年に設立されたレーベルLYNXを特集。
ポーランドからさらに南下し、東欧はチェコへ。
Marian Vargaが奏でる華やかなトーンの心躍るハモンドが冬の青空のように実にヌケが良くて爽快!
このサウンドを聴きながら、冬のプラハを闊歩したいっ!
1曲目は、初期マグマばりの攻撃的ブラス・ロックで突っ走るし、2曲目はずばり「プロコル・ハルムをEL&Pばりにテクニカルにすると?」だし、3曲目はナイスもびっくりなクラシカル・ロックだし、東欧プログレ黎明期屈指の傑作!
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これはずばりハプスブルク帝国ロック!? 共産圏のロック、というより、ハプスブルク帝国の文化遺産が息づくブラチスラバという土壌で育まれたロック・ミュージックという方がしっくりくる豊穣な名作を特集!
華やかなクラシカル・プログレから一転、ほの暗く静謐な、芸術性の高いジャズ・ロックをピックアップいたしましょう。
元マグマで、初期マグマ作もプロデュースしたローラン・チボーがベースで参加が特筆の仏女性コンポーザーによる74年作は、まるでRワイアットのソロばりの幻想絵巻。
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世界中より、シャープに引き締まったテクニカルかつ流麗なジャズ・ロック作品をセレクトしてまいりましょう。
カンタベリーからの影響を受けたジャズ・ロックつながりで、カナダはケベックの新鋭をピックアップ。
ギルガメッシュやナショナル・ヘルスを率いたアラン・ガウエンの知性とセンスを受け継いだカナダはケベック産新鋭レコメン・バンド。これはまばゆし!
ケベックつながりでこちらのケベック産マイナー・プログレをセレクト。
このジャケは・・・なしだろう・・・。幻想的でメロディアスなケベック産プログレの秘宝なんだけどなぁ・・・。
北米的な明るさはまったくなくて、ハンガリーあたりのバンドに通じる深淵なるシンフォニック・ロックが印象的。
フォーク、SSW作品も2枚、ピックアップいたしましょう。
ニック・メイスンがプロデュース、リック・ライトも参加、ということで、格調高いアンサンブルが冬にぴったり。
「冬 meets SSW」と言えば、カナダのSSWははずせません。BRUCE COCKBURNがド直球ですが、ここは元気に、ちょっぴりスワンピーなこちらをセレクト。
クロスビー・スティルス&ナッシュにニール・ヤングではなくライ・クーダーが入っていたら?って感じのカナディアン・スワンプ/SSWの逸品!
最後は、冬の幻想プログレ新鋭3連発!
まずは、ロシアからまいりまそう。
全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!
これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!
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LITTLE TRAGEDIESとLOST WORLDを双頭に、豊かなクラシック音楽の土壌に根ざしたダイナミックかつ格調高いプログレ・グループが続々と登場しているロシアのプログレ新鋭シーンを特集!
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ハイ・トーンのヴォーカルとヌケの良いコーラス・ワーク、そして、突き抜けるように躍動感いっぱいのアンサンブル。そんなイエスのDNAを継ぐ00年代以降の世界各国のプログレ作品をセレクト!
冬の幻想プログレ新鋭の2発目はウクライナから!
ロイネ・ストルトにも通じる音を描くセンスを持ったウクライナ出身の天才。
「アブストラクトな幻想美」と言える静謐でいて温かなシンフォニック・ロックは「逸品」という言葉がぴったり。
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ウクライナ出身のコンポーザー&ミュージシャンAntony Kaluginと彼が率いるシンフォ・プロジェクトKARFAGENを特集!
冬の幻想プログレ新鋭のラストは、90年代以降のイタリアが誇る天才ファビオ・ズッファンティの中核を成すプロジェクトHOSTSONATEN!
「四季」を描ききったシリーズの「冬」編。
この作品で聴けるメロトロンとピアノによる「凛」としたサウンドは、並の才能では出せませんよね。
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HOSTSONATEN、FINISTERRE、LA MASCHERA DI CERAを率いて次々の傑作をリリース。90年代以降のイタリアン・ロック・シーンを牽引する天才と言って過言ではないFabio Zuffanti関連作を特集!
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
こちらの特集もあわせてチェック是非!
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FINISTERREやLA MASCHERA DI CERAの中心人物Fabio Zuffantiによるプロジェクト・グループ。08年作。「四季」を表現したコンセプト・アルバムで、メロトロンやキーボードをフィーチャーした壮大なシンフォニック・ロックに仕上がっています。ファンタスティックなパート、静謐なパート、ダークで荒涼としたパートなど、イメージ喚起力のある雄弁なアンサンブルが次々と溢れてきます。アコースティックな「静」とヘヴィな「動」との対比も鮮やか。70年代イタリアン・プログレ直系のサウンド・プロダクションもたいへん素晴らしい。オール・インスト。シンフォニック・ロックの名作。
現代のポーランド・シンフォを代表するバンドALBIONの12年作。路線こそ前作までと同様のものですが、アンサンブルの構成がより洗練され、静謐な場面から劇的に盛り上がりを見せる場面へと至る部分により必然性が生まれているように感じられます。そのため、楽曲ごとに聴くという感覚よりは、作品全体が一つの楽曲であるかのようなまるで大河の流れを思わす「うねり」が感じられる点が新境地。過剰なシンセを抑え、たおやかに粛々と展開するアンサンブルには、東欧シンフォが元来持つ翳りやウェットな質感が以前よりはるかに感じられます。この世界観に合わせて美声の女性ヴォーカルも味わい深い歌唱を披露しており、これまでに増して聴きどころと言えるでしょう。ポイントを抑えてドラマティックに綴られてく物語にいつまでも酔いしれていたくなる絶品シンフォニック・ロックに仕上がっています。傑作。
ロシアの新鋭グループ、2011年のデビュー作。もうオープニング・ナンバーのイントロからキてます。リック・ウェイクマンとアンディ・ラティマーが共演!?っといった感じで、マイルドなトーンの流麗なギターとクラシカルなピアノが美しい旋律で幕を開け、一転して、マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』を彷彿とさせるような緊張感あるピアノに切り替わったかと思うと、ドラムが走りだし、視界が一気に広がり、ギターとキーボードから次々とメロディが溢れ出る!この展開に心躍らないプログレ・ファンは居ないでしょう。さぁさぁ、ヴォーカルはどんな感じかな、と待っていると、透明感のある歌声と包み込むような歌唱が素晴らしい男性ヴォーカルが伸び伸びと美しいメロディを歌い上げる。バックではコロコロとリリカルなピアノがサポート。それにしても、全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!往年のプログレ・ファンは必聴の大傑作です。
ウクライナ北東部の工業都市ハルキウ出身で、1981年生まれのAntony Kaluginによるプロジェクトで、HOGGWASHやSUNCHILDやGNOMONなど数多くのサイド・プロジェクトをこなす多作家のKaluginが、学生時代の97年から続ける彼の中核となるソロ・プロジェクト。2015年作7thアルバム。ヘヴィさを増した前作とは対照的に、静謐とも言えるサウンドが印象的で、オープニングを飾る28分を超えるタイトル・トラックを聞きながら浮かんだキーワードが「アブストラクトな幻想美」。様々な楽器の色彩豊かな音色が組み合わさりながら、映像喚起的で、幻想性溢れるサウンドを描いていく感じは、フラワー・キングスも彷彿させます。上下動するミニマルなフレーズなどアブストラクトなシンセを背景に、透明感あるエレピ、幻想的なハモンド、柔らかに伸びるムーグ、優美なメロトロンなどが温かな音色を添えて描き出されるキーボード・アンサンブル。そこに、まるでロイネ・ストルトばりに伸びやかに奏でられるエレキ・ギター、そしてバヤンやフルートによるエスニックなフレーズが合わさったサウンドは、ウクライナ生まれのKARFAGENならではの美麗さ、素朴さ、温かみに満ちています。ドラムというより打楽器と言った方が良いニュアンスのリズムにバヤンがゆったりと奏でられる民族音楽的なパート、メロトロンとバヤンとがツイン・リードを聴かせるハートフルなパート、ナイロン・ギター、リコーダー、オーボエによる神秘的なパートなどを織り交ぜるアレンジもまた見事。3曲目でのKaluginのメランコリックなヴォーカルと女性ヴォーカルとのコンビネーションもまた印象的です。デビュー以来のKaluginの音を有機的につなげるセンスがこれでもかと発揮された傑作。
カナダのSSW、73年作の2nd。土臭さとともにヌケの良い爽やかさもあるアコギのバッキング、ちょっぴりライ・クーダーを彷彿させる浮遊感あるメロディアスなエレキ、タイトでふくよかなリズム隊、憂いある芳醇な歌声とCSN&Yばりの豊かなコーラス・ワーク。マンドリンによるカントリー・フレイヴァーや黄昏のオルガンによるルーラル・フレイヴァー、煌びやかなピアノによるSSWフレイヴァーなどアレンジも特筆です。ルーツ系のフォーク・ロックやスワンプ・ロックのファンなら間違いなくグッとくる佳曲ぞろい。期待させるジャケ通りの名作です。
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