2018年10月14日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
秋がどんどん深まってきましたね。
秋の夜長に、温かい物を飲みながら好きなアルバムをのんびりと聴く。いいですよねえ。
そんな「音楽の秋」ならではの楽しみに思いを馳せつつ、英国らしい哀愁と牧歌性に彩られたフォーキー・ポップのオススメ盤をセレクトいたしましょう。
どうぞ紅茶やコーヒーとともにじっくりと味わいください。
「田舎のビートルズ」や「英国田園ポップ」と評される我らが愛すべき英ポップ・バンドによる73年作の代表作とされる3rdアルバム。
プロデュースはなんとあのジョージ・マーティン!
ほのぼの牧歌的なメロディとハーモニー、そしてそれを艶やかに彩る美しいストリングス。
3人のソングライターによるリリカルなメロディも本当に素晴らしい。
それにしてもこのオープニング・ナンバーは、ポール・マッカートニー直系の70年代に生まれたポップ・ソングとして、ベスト3に入る名曲だと断言いたします。
英国の田園風景が目に浮かぶフィドルと柔らかなハーモニーが最高だなぁ。
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ジョージ・マーティンがプロデュースした、スタックリッジの74年作3rd『The Man in the Bowler Hat 山高帽の男』をピックアップ。
ビートルズ人脈の関連作つながりで、最近、リイシューされた人気作をピックアップ。
ジョージ・ハリスンが設立したダーク・ホースの第一弾作品で、愛すべき英フォーキー・ポップなのにこのマイナーっぷり・・・。
英ポップ・デュオによる74年のデビュー作で、プロデュースはジョージが担当!しかも、ギタリストとしても全面参加していて、トレードマークのスライドもたっぷり。
ビリー・プレストン、クラウス・フォアマン、アルヴィン・リー、ゲイリー・ライト、ジム・ケルトナー、メル・コリンズなどゲストも豪華で、こりゃブリティッシュ・ロック&ポップスのファンは必携ですね!
アラン・ハルにも負けない秋にぴったりの英SSWと言えば、アーニー・グレアムを挙げられますが、彼が在籍していたバンドHELP YOURSELFがまた秋にぴったりなフォーキー・ポップで最高なのです。
もう一人のソングライターのマルコム・モーリーもまた素晴らしくって、ポール・マッカートニーを彷彿させるSSWで、このコンビ、グッとくるなぁ。
HELP YOURSELFの上を行く英パブ・ロック屈指のバンドがこのブリンズリー・シュウォーツ。
イアン・ゴムが加入した71年作3rd『SILVER PISTOL』が特に秋にぴったり。
ニック・ロウはもちろん最高だけど、イアン・ゴムも良いメロ書くんだよなぁ。
哀愁溢れるメロディ&ハーモニー、陽気で悲哀で心に染みるアンサンブル。
パブ・ロックの名バンドにとどまらず、大英帝国ポップ屈指の名バンドでしょう!
ブリンズリーはバック・バンドとしても超一流で、アーニー・グレアムの傑作ソロをはじめ、フランキー・ミラーの作品などでも哀愁いっぱいのブリティッシュ・アンサンブルを聴かせていますね!
その他、英ロックが誇る名脇役たちを特集した記事がこちら!
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数多くの英SSWの名作を支えた、目立たないながらも愛すべき「いぶし銀バック・バンド」達にスポットを当てます。ちょっと渋いセレクションですが、この周辺に英ロックならではの旨味がたくさんつまっているんですよね。
アーニー・グレアム&マルコム・モーリー、ニック・ロウ&イアン・ゴムに負けないコンビと言えるのが、ジェリー・ラファティとジョー・イーガンのコンビ。
彼らを中心とするフォーキー・ポップ・デュオによる72年のデビュー作がこちら。
田舎のポール・マッカートニーとも評されるジェリー・ラファティの書くメロディが良いなぁ。
郷愁を誘うヴォーカル&メロディ&ハーモニー。ただただハートウォーム。本当に良いアルバムです。
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「MEET THE SONGS」第2回 STEALERS WHEELの72年デビュー作『STEALERS WHEEL』
STEALERS WHEELからスコットランド出身つながりでこちらをピックアップ。今度は、夫婦デュオ!
サウンドを一言で言えば、サンディ・デニーのバックを時にザ・バンドが、時にブリンズリー・シュウォーツがつとめた感じ!?
英フォークならではの翳りとともに、スワンプ/パブ・ロック的な哀愁とグルーヴが加わったサウンドは、ただただ「絶品」。
夫婦デュオから、お次は、兄弟デュオ!
GavinとIainのSutherland兄弟を中心とするデュオ・バンドがISLANDより72年にリリースした2ndアルバムがこちら。
彼らはロッド・スチュワートの「セイリング」の作曲者としても有名で、本作でも、英国らしい流れるようで憂いたっぷりのメロディとハーモニーが魅力的で、干し草香るアンサンブルもまたグッとくることこの上なし。
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2人のシンガーソングライターが英国の田園風景をバックに紡ぐ美しいメロディと2人の歌声が奏でる穏やかなハーモニー。ジョンとポールの国、イギリスから生まれたそんな愛すべきデュオ達をピックアップ!
お次はこのニッチ&ディープなデュオ、Steve HallとChas Sewardのコンビ!
彼らの73年の唯一作で、ビートリッシュな甘さとともに、繊細さや荘厳さも内包したサウンドは孤高の存在感。
ドがつくマイナー作品ですが、大英帝国ポップとして一級の名作と言って過言ではないでしょう。
デュオつながりのご紹介、ラストはこちら。英国フォーク・デュオ、1973年リリースの唯一作です。
一音一音が幻想的に輝くアコースティックの調べ、優美なオーケストレーション。丘陵に沿って広がる田園、清らかに流れる小川、風にそよぐ木立など、英国片田舎の風景がありありと浮かび上がってきます。
イアン・マシューズがフェアポート脱退後に結成したグループと言えばマシューズ・サザン・コンフォート。
ソロ活動のためにイアン・マシューズが脱退し、残されたメンバーが結成したバンドがこの「サザン・コンフォート」。
イアン・マシューズのソロ作と同じく71年にリリースされたバンド・デビュー作で、ジャケットからして秋の香りたっぷりですが、音も郷愁いっぱいで最高な英フォーキー・ロック。
ちなみにジャケはヒプノシス!
ここまでフォーキーな作品を中心にオススメしましたが、英国ならではの気品に満ちた作品をピックアップいたしましょう。
まずは定番から。
名曲「青い影」とそれを収録した1stがあまりに有名で、他の作品が見過ごされがちですが、気品いっぱいのメロディと格調高いアンサンブルに満ちた名作ぞろい。
特にこの73年作『グランド・ホテル』は最高傑作と言えるでしょう。
あまりに優雅で、あまりに叙情的で、ちょっぴり土臭さやひなびた哀愁もあって、最高の大英帝国ポップ。
このジャケでこの気品!アーシーかつ英国叙情いっぱいの極上メロディがでてきてビックリ。
EYES OF BLUEのメンバーそのままに71年にリリースされた唯一作で、EYES OF BLUE時代の格調高い英国ポップに、プログレ、スワンプなどの要素を加えた、いかにも70年代初期の薫り漂う極上英国ポップ。
プロコル・ハルムのファンは是非!
ここからは、ニッチ&ディープな大英帝国フォーキー・ポップ・バンドをピックアップいたしましょう。
フィドル奏者を含む5人組で、74年に録音され、100枚のみ自主制作された唯一作。
レーベルからのインフォには、フェアポート・コンヴェンションからビートルズまで幅広く影響を受けている、と書かれていますが、聴いてなるほどその通り。
レアな自主制作盤ならが、スタックリッジ、リンディスファーン、クリフォード・T・ワード、スティーラーズ・ホイール、ペルーのウィ・オール・トゥゲザーあたりのファンはたまらない佳曲ぞろいですよ~。
ラストは、人脈やジャケのイメージからたぶんプログレ・ファンしか聴いてないけど、実はフォーキー・ポップな作品をピックアップいたしましょう。
ニュークリアスへの参加が有名なので、ジャズ・ロックのイメージがあるかもしれませんが、エルトン・ジョンやニルソンやブライアン・フェリーやジャック・ブルースやロイ・ハーパーなどの数多くの作品に参加した英国が誇るギタリストなのです。
そんな彼がHARVESTよりリリースした70年のソロ・デビュー作は、ビートルズの延長線上に英国的な叙情や渋みを増した逸品で、オープニングからビートルズの『アビーロード』のB面メドレーをジャジーにしたような芳醇なサウンドにびっくり。
なるほど、録音はアビー・ロード・スタジオで、エンジニアはアラン・パーソンズ!
ギタリストとしてだけでなく、SSWとしてもっともっと評価されるべき名手ですね。
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コリン・ヘアと共にハニーバスのメンバーとして活躍したピート・デロが71年にリリースした唯一のソロ・アルバム。
ロジャー・ディーン作のジャケはもろにプログレしてますが、中身はメランコリックなメロディーとイギリスの片田舎を想わる哀愁のアンサンブルがグッとくる英フォーキー・ポップ。
どの曲も美しいメロディーとピートの哀愁溢れる歌声が心に染みる名曲揃いです。
スコットランド出身フォークデュオ、73年作の3rd。ブラスを導入し、より開放的になったアンサンブルが楽しい一枚。英国片田舎でポカポカ日向ぼっこ気分満喫な絶品英フォーク・ロック。2人のハーモニーもなんとも「いなたい」。
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
またお会いいたしましょう。
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EYES OF BLUEのメンバーそのままに71年にリリースされた唯一作。EYES OF BLUE時代の格調高い英国ポップに、プログレ、スワンプなどの要素を加えた、いかにも70年代初期の薫り漂う極上英国ポップ。叙情的なメロディー、クラシカルなストリング、哀愁のオルガンが絶妙なアンサンブルを奏でる1曲目は、70年代英国ロック・ファン必聴の名曲。もう少し品のあるジャケットであれば、評価も違っていたでしょう。完成度としては文句無しの傑作。
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干角潰れあり、特典帯付
英国田園ポップの名グループ。73年作の傑作3rdアルバム。なんとあのジョージ・マーティンがプロデュースを担当。美しいストリングスとビートリッシュなアレンジにより、彼らの魅力である美しいメロディが瑞々しく響いています。特筆すべきは、James Warren以外のメンバーのソングライターとしての飛躍。Andy Davisによるビートリッシュな心躍る「Fundamentally Yours」、Mutter Slaterによる優美なバラード「To The Sun And Moon」など、一度聴いただけですぐに名曲と分かる優れた楽曲を提供しています。James Warrenも勿論だまっちゃいません。うっとりするほどに流麗な「Humiliation」、BADFINGERのようにキャッチーな「Dangerous Bacon」など、相変わらずのメロディ・メイカーぶり。70年代ブリティッシュ・ポップを代表する傑作です。
ポール直系のSSWとして知られるGerry RaffertyとJoe Eganによるポップ・フォーク・デュオ。72年のデビュー作。郷愁を誘うメロディ&ハーモニー、長閑で哀愁溢れるアンサンブル。Colin Hare、Pete Delloあたりと並んで、ハート・ウォーミングな英ポップを代表する名作。何度でもかみしめたくなる素朴で美しいメロディ。鼻に掛かった憂いのあるヴォーカルも最高。本当に良いアルバムです。
「フランス貴族の没落」をテーマとした73年7th。プロコル・ハルムがかねてより試みていた、ロックとクラシックの融合が今作で最高潮に達しています。クリス・トーマスによる流麗なオーケストレーションが前編に渡って響き渡り、ゲイリー・ブルッカーの骨太なヴォーカルとクリアなピアノ、B.J.ウィルソンのダイナミックなドラム、ハードなソロも織り込んだギター等々、迫力のバンド・サウンドと組み合わさって、豊穣な音の洪水を作り出しています。そしてその全てが英国的な気品と陰影を帯びており、聴けば聴くほどじわじわと染み入ってくる味わい深さがあります。後期プロコル・ハルムを代表する傑作です!
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Steve HallとChas Sewardによるデュオ。73年の唯一作。郷愁のメロディ&ハーモニー、優しく包み込むような歌声が魅力的な英フォーク・ロック。実に英国的な憂いを帯びた重厚なストリングスも良い雰囲気。ビートリッシュな甘さとともに、繊細さや荘厳さも内包したサウンドは孤高の存在感。メランコリックなメロディはどの曲も必殺の出来映え。ジャケットの雰囲気にピンと来たら、聴いて損は絶対にありません。Colin Hare、Ian Matthews、Emitt Rhodesあたりのファンは必聴!ポップな英フォーク・ロックとして一級の名作。
73年作の3rd。ブラスを導入し、より開放的になったアンサンブルが楽しい一枚。英国片田舎でポカポカ日向ぼっこ気分満喫な絶品英フォーク・ロック。2人のハーモニーもなんとも「いなたい」。
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