2018年11月17日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
11月17日は、イギリスのSSWアラン・ハルの命日。
英フォーク・ロックを代表するバンドの一つリンディスファーンを率いたことで知られますが、ソロ・アーティストとして、またあまり知られていませんが別バンドでも活躍しました。
英国らしい気品と味わい深さに溢れた名曲を数多く残した、70年代英国でも屈指と言えるメロディメイカーであったことは間違いないと思います。
1995年に50歳の若さでこの世を去るまでに、英国ロックの歴史に確かに刻まれたその足跡を辿ります。
後にスキップ・ビファティ、さらにイアン・デューリーのバンド、ブロックヘッズへと発展していくCHOSEN FEWというグループが、彼の最初のプロキャリアでした。
65年にリリースされたシングル「I Won’t Be Around You Anymore…..」の作者としてクレジットされています。
基本的には当時の典型的なビート・ポップ・ナンバーという感じですが、どこかドリーミーな雰囲気が素敵な逸曲です。
地元であるタイン川流域の街、ノース・イースト・イングランドはニューキャッスルを拠点に68年に始動したBRETHREN & DOWNTOWN FICTIONに同年ハルが加入、70年に名を改めLINDISFARNEが誕生します。
以後、活動休止期間を挟みつつも現在まで活動を続ける大御所グループとして知られています。ハルはソロ活動と並行しながら亡くなるまでバンドの一員として在籍しました。
記念すべき70年のデビューアルバム。シングル・チャートで全英3位に達した「Lady Eleanor」は、ライヴでも必ず演奏される名実ともに代表曲。英国トラッドからの影響も感じる切なくも凛々しい曲調に心奪われる名曲ですね。またエルヴィス・コステロが生涯のナンバー1ソングに挙げる「Winter Song」も収録されています。
地元ニューキャッスルを流れるタイン川を冠した71年2nd。草花から零れる朝露のように輝かしいアコースティックギターの響きをいつまでも聴いていたくなる珠玉のフォーク・ロック集で、牧歌的でどこまでもハートウォーミングな「Meet Me On The Corner」、素朴なのにどうしようもなく胸を打つメロディがすばらしい「January Song」などが堪りません。
72年リリースの3rdアルバムもフォーク・ロック好きなら必聴の一枚。何と言っても旧A面が素晴らしく、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストばりにドラマチックな1曲目から継ぎ目無く展開していく2曲目~3曲目の流れは特に秀逸です。
解散していたバンドが76年に再結集しておこなった名ライヴを収録。ニューキャッスル市役所で開かれたクリスマス・コンサートの音源で、チケットが売り切れとなった本コンサートで手応えを感じた彼らは77年に本格的な再結成を果たすことになります。それにしても珠玉のメロディが次々と溢れ出す感動のステージ、生で見てみたかったなぁ。
さほど知られていませんが、ハルとドラマーのRay LaidlawはLINDISFARNEが解散していた時期に別バンドを結成しています。それがこのRADIATORです。この77年の唯一作、ハルの作風にそれほど違いはなく相変わらず繊細で味のあるナンバーを提供していますが、LINDISFARNEとはまた一味違う骨太なロック・サウンドも前に出た好盤となっています。
LINDISFARNEの活動と並行してソロ・ミュージシャンとしても名作を残しました。
まずはLINDISFARNEとしてのデビュー前69年にハルが単独名義で発表したシングル「We Can Swing Together」をご紹介。LINDISFARNEの1stに収録されているゆったりとした曲調のバージョンとは異なる軽快なアレンジに仕上がっています。
彼のソングライター仕事にも触れておくと、代表曲として特に知られるのが、キーフジャケでもお馴染みのヴァーティゴ発オルガン・ロック・バンドAffinityの唯一作収録のナンバー「I Am And So Are You 」でしょう。ジョン・ポール・ジョーンズが手掛けた重厚なブラス・アレンジもあってちょっと意外に聞こえますが、メロディに着目するとハルが歌ってもおかしくない気がしてきます。のちにCapability Brownもカバーしていますね。
喫煙者への皮肉がこもった(?)ジャケットが印象深い73年の1stソロ。個人的には、イギリスのフォーク・ロックで1枚聴かせてと言われたら迷わずこれを渡したいくらいで、英国らしい気品高くリリカルなメロディを紡がせたら右に出る者はいないであろう才能をフル発揮している一枚と言えるのではないでしょうか。叙情的に進むと思いきやハードめなロック・サウンドへ突入する展開が印象的なOP「Breakfast」、あまりにリリカルで英国的な名品「Money Game」「Drug Song」、極めつけの感動的ラストナンバー「I Hate To See You Cry」、完璧です…。
75年の2ndソロ。相変わらずのメロディメイカーぶりが堪能できる珠玉の美旋律ぞろいの一枚ですが、やはりソロキャリアを代表するナンバーの一つ「One More Bottle Of Wine」でしょう。叙情的なピアノ、柔らかなギターソロ、格調高いストリングス、そして天から降り注いだような至高のメロディ。アラン・ハル好きになったきっかけの曲でもあり思い入れ深いナンバーです。
なお、いくつかある彼のソロライヴ作品にてこの曲のピアノ弾き語りバージョンが聴けて、それらももれなく絶品なのでおすすめですよ。
LINDISFARNE再始動後の79年にリリースされた3rd。実は半分以上がRADIATORの唯一作と同じ曲だったりするのですが、もちろんアレンジは違うし、それ以外の曲も粒ぞろいの名品。時代が時代だけにAOR色も香りますが、彼の作風にはちゃんとマッチしているんですよね。
彼が心臓発作によって生涯を閉じた翌年の96年に発表された遺作。パワーポップ的な躍動感あるナンバーと、往年を思わせるリリカルでハートウォームなナンバーがバランスよく収録された、さすがの力作となっています。3曲目の「Cardboard Christmas Boxes」は隠れた名クリスマス・ソングだし、途方もなく優しくて力強い大名曲「Save Yourself」は何度聴いても泣いてしまいます。そしてラストナンバーはまさかの1stアルバム収録「Drug Song」の再録…没後リリースなのもあって本人が意図した収録ではないかもしれませんが、やはり何かを感じずにはいられません。
いなたい曲を歌わせたら右に出るものはいない英SSW、アラン・ハル率いるリンディスファーンが70年にリリースした1st。1曲目の「Lady Eleanor」からいなたさ全開で、なんとも人情味溢れるメロディー、演奏に涙がこぼれそうになります。ヴァイオリンのアレンジなど、ちょっとフェアポート・コンヴェンションを想いださせますが、どこかヘタウマな感じで、フェアポートには無い味わいがあって良いです。ハルの枯れたヴォーカルもなんとも素晴らしく、声が出ききっていないハイトーンの哀愁にはいつも胸が締め付けられます。愛すべき英フォーク・ロック・グループによる愛すべき名作。
廃盤、紙ジャケット仕様、ボーナス・トラック2曲、03年デジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2476+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
軽微なカビ・ジャケットに色褪せあり
愛すべき英フォーク・ロック・グループ、リンディスファーンが71年にリリースした2ndアルバム。1stでのいなたさ全開、英国片田舎な雰囲気はそのままに、楽曲の完成度が数段増した彼らを代表する作品。アラン・ハル作の楽曲の素晴らしさはもとより。他メンバーによる楽曲もかなりの出来栄えで、アルバム全体を通して一定したテンションが保たれています。英国フォーク・ロックを代表する作品と言っても過言ではない傑作。
英フォーク・ロックの名グループLINDISFARNEを率いたAlan Hullが、グループ在籍中の77年に立ち上げたプロジェクトの唯一作。LINDISFARNEのドラマーRay Laidlawや、元SNAFUのColin Gibson、Terry Poppleらがメンバーに名を連ねます。LINDISFARNE譲りの英国然とした叙情派フォーク・ロックと、アメリカンな骨太さで聴かせるゴキゲンなロック・ナンバーが良いバランスで収録されていて、そのサウンドはLINDISFARNEに米ルーツ色を少し加えたような感じ。そんな中でもやはりキラリと光るのがAlan Hullが歌う味わい深いフォーク・ロック曲で、人懐こく温かなメロディをあの少し掠れた優しげな歌声で歌われると、LINDISFARNE同様に思わず涙腺に来てしまいます。後に彼のソロでも再演されライヴの重要なレパートリーとなる名曲「A Walk In The Sea」も収録。一方でゴキゲンに跳ねるピアノ、コシのある痛快なギター、そしてイカしたブラス・セクションが聴ける1曲目をはじめ、アメリカ志向のロック・チューンもまた良く、Alan Hullの叙情的な楽曲とのメリハリが効いていてアルバムの色彩をグッと広げています。LINDISFARNEやAlan Hullのファンなら合わせて聴いて欲しい逸品です。
英国を代表するフォーク・ロック・バンドLINDISFARNEを率い、ソロでは1st『PIPEDREAM』をはじめ味わい深い名盤を残した愛すべき英SSW。彼がLINDISFARNEの前身BRETHREN & DOWNTOWN FICTIONへと加入する以前の67から、LINDISFARNEが誕生した70年にかけての4年間に録音していたデモ音源集で、未発表録音が大半を占める全90曲を収録。前身のCHOSEN FEW時代より関わりのあったSKIP BIFFERTYとの共演曲、のちにLINDISFARNEの楽曲として発表されたナンバーの初期バージョンなども収録した、キャリア最初期の彼の活動を垣間見ることができる貴重かつ興味深い内容となっています!
LINDISFARNEのリーダー、アラン・ハルが73年にリリースしたファースト・ソロ。繊細で美しいメロディーと、メロディーを際立たせることに徹したシンプルなアレンジが絶品な一枚。ビートルズ後期を想わせる2曲目「JUSTANOTHERSADSONG」や今にも壊れ落ちそうな繊細なバラード「I HATE TO SEE YOU CRY」など、曲調はバラエティに富みながらも、どの曲も一貫して歌心溢れる名曲揃い。名作。
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