2024年5月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
今回は、今の時期におすすめのフュージョン・タッチのメロディアスなプログレを特集したいと思います。
春の清々しい気候に合いそうな、伸びやかな聴き心地が魅力のフュージョン・プログレ作品を各国からセレクトしました!
クラシック・ギター界の貴公子とも言われた名ギタリストJohn Williamsと、元CURVED AIRの鍵盤奏者Francis Monkmanを中心とするフュージョン・ポップ・グループ!
アビーロード・スタジオで録音された79年デビュー作で、清涼感たっぷりに広がるキーボードをバックに、ジョン・ウィリアムスのクラシック・ギターが格調高くも躍動感いっぱいに駆け抜けるアンサンブルは唯一無比の気持ちよさ。
モーリス・パート(BRAND X) & ピート・ロビンソン(QUATERMASS)!
ラテン・タッチで涼しげかつユーモラスに音を刻むキーボード&ベースに対し、切迫感に駆られるようにテンション高く叩きまくるドラムス。
その強烈な対比が、唯一無二の聴き心地を生み出しています。
L.A.の実力派ミュージシャン達の緻密ながら軽やかに聴かせる演奏が特筆です。
西海岸らしい明るさがありリラックスして聴けるフュージョン/スムース・ジャズ!
当時隆盛を極めていたフュージョンへと接近した77年作。
Mauro Paganiの後任Gregory Blochによる堂々たるヴァイオリン演奏も聴きどころの、ラテン・フレイヴァー溢れるフュージョン・プログレ好盤!
フォルムラ・トレのA.ラディウスとG.ロレンツィが腕利きスタジオミュージシャンらと結成したイタリアンロック史上のスーパーグループ。
フュージョン、シンフォ、フォークが混在したサウンドを、テクニカルかつしなやかな演奏で情感たっぷりに紡ぐセンスは超一級ですね!
クラリネットが奏でるこの地中海風の哀愁メロディ、アルティ好きとしてはたまんないなぁ~。
技巧も抜群だし、ジョン・エサリッジも参加していて、この伊ジャズ・ロック新鋭、かなり良いです。
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エレガントな音運びで耳を奪う輝かしくもクールなピアノと、地中海フレイヴァーを帯びたメロウで饒舌なサックスを軸にした芳醇で歌心に富んだアンサンブルがとにかく絶品。
こりゃイタリアン・ジャズ・ロックに求める要素を余すことなく楽しませてくれる逸品だなぁ。
1stでは7人でしたが、この2ndでは10人編成となりブラス・セクションを強化。
ファンキーなノリの良さと地中海的な芳醇さを併せ持つ絶品サウンドを披露します。
猛者ぞろいのフレンチ・ジャズ・ロックにおいて、「心地よさ」では最高峰と言える快作!
ハットフィールドが好き?リターン・トゥ・フォーエヴァーが好き?でしたら、このスペインのグループ、是非一聴を!
地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうエレピが絶品ですよ~。
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オランダのジャズ・ロック/フュージョン・バンドが残した唯一の作品で、これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬が最高に心地よい好盤。
イタリアのETNAなんかがお好きなら一聴の価値ありですよ~。
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これぞフュージョン!なサウンドならノルウェーのこの作品も負けません。
シャープなキレの良さを持つリズム・セクションに乗って、伸びやかにフレーズを紡ぐギターと洒脱に音を散らすエレピ&幻想のカーテンを引くシンセらが最高に心地よい音空間を作り上げます。
とにかく爽やかでクリアな音のみによって作り上げられた極上の一枚!
脱力感たっぷりの虎ジャケは賛否分かれそうですが、音の方は、ラテン・フレイヴァーに木漏れ日感が加わったグルーヴィー・ジャズ・ロック&フュージョン。
このサウンド、形容するなら「軽やかなサンタナ」って感じ!?
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オーストラリアのプログレと言えばSEBASTIAN HARDIE。そのギタリストが残したこの作品も良いですよ~。
SEBASTIAN HARDIEを引き継ぐ哀愁と叙情的な旋律、WINDCHASEの延長と言えるようなソフト・ロック/フュージョン風味、CAMEL系のマイルドさで聴かせるファンタジアなど、テクニカルな演奏をフューチャーしながら様々に表情を変える楽曲が爽やかに響く良作です。
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ベテラン音楽ライター後藤秀樹氏による連載コラム「COLUMN THE REFLECTION」!
エッジの立ったギターが畳みかけるクリムゾン直系スタイルで幕を開けたかと思うと、そこに中南米らしいメロウネスを帯びたフュージョン・タッチが絶妙に溶け合ってきて、心地よくも最高にスリリングな演奏へと着地します。
メキシコ新鋭、13年ぶりの2nd!
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迫りくる凶暴なアンサンブル、そして叙情美。クリムゾンの遺伝子を受け継いだ90年代以降の新鋭グループを世界中からピックアップ!
ブラジルはCAMELタイプのグループが結構いますが、本作はその中でもピカイチの完成度!
とめどなく溢れるCAMEL譲りの美旋律と南米らしい甘美なメロウネスの調和が素晴らしい~。
滑らかなフュージョン・タッチに、ボサノヴァなどの南米らしいメロウなエッセンスを絶妙に溶かし込んだサウンドが最高に心地いい!
80年代初頭のアルゼンチンにこんな素敵な作品が生まれていたとは。
「アルゼンチン・ロックの父」Charly Garciaが率いたフュージョン・プログレ・グループ!
「南米ロック」のイメージがひっくり返る、洗練され切ったセンス抜群の都会派フュージョン・サウンドが素晴らしいなぁ。
この曲なんて、南米のスティーリー・ダンって感じ!?
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美しいメロディを印象的に聴かせるパートとテクニカルに疾走するパート、その切り替わりがとにかく自然体なのが素晴らしい。
リリカルな音使いのみならずこの演奏の「しなやかさ」もカンタベリー・ロックに通じる魅力です。
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いかがでしたか?
気になる作品が見つかりましたら幸いです♪
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スペインはバルセロナ出身のジャズ・ロック・トリオ、75年作。バンドのリーダーは、Key奏者のLucky Guriで、バルセロナ・ジャズ・ロック・シーンの名手達が集まったビートルズのカヴァー作品(傑作!)に参加したり、後には地中海ジャズ・ロックの名バンドMUSICA URBANAに参加するなど、バルセロナ・シーンを代表するKey奏者。シャープに引き締まったドラム、流麗に動くメロディアスかつグルーヴィーなベースによる安定感抜群のリズム隊を土台に、エレピが地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうメロディを奏でます。色彩感豊かなパーカッションやホイッスルなどによる味付けも地中海フレイヴァーたっぷり。バンドは、スペインはカタルーニャ地方のウッドストック・フェスと言える75年に行われた伝説の「Festival Canet Rock」に参加し、高い評価を得ます。バルセロナ産ジャズ・ロック「MUSICA LAIETANA」シーンを代表する一枚として名高い傑作です。
イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドFORMULA TREのAlberto RadiusとGabriele Lorenziを中心に、現在もシーンで活躍するスタジオ・ミュージシャンを加え結成されたグループの74年デビュー作。その内容は、イタリア叙情を感じさせる絶品なメロディーを持ちながらもツイン・ギター、ツイン・キーボード編成で迫るテクニカルなプログレッシブ・ロックであり、荒々しいヘヴィー・プログレッシブな音像と、ジャズ・フュージョンの滑らかなサウンド、そしてイタリア然としたフォークタッチを絶妙なバランスでブレンドした名盤です。イタリアン・ロックのボーカル曲としても、プログレッシブ・ロックとしても一級品の傑作。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの77年作。Mauro Paganiが脱退したあとの本作は、ヴァイオリニストにGregory Blochを迎えてラテン・フレーバーを散りばめたジャズ・フュージョン色濃いサウンドを提示。前作からの流れでシンフォニックな音像は姿を消していますが、軽快でテクニカルなジャズ・フュージョンサウンドの中にもイタリアの叙情をほのかに感じられるなど、過渡期とは思えない個性はやはり彼ららしい佳作と言えるでしょう。
オランダ出身のジャズ・ロック・バンドが74年にリリースした唯一のアルバム。寸分も狂いなく刻む鋭い打音のドラムス、メロディアスな音運びのベース、ヤン・ハマーを思わせるピッチベンドを多用した躍動感あるプレイのシンセとエレピ、スリリングで緊張感あるフレーズで切り込むギター。緊密なテンションが支配するテクニカル・ジャズ・ロックを聴かせる、挨拶代わりの一曲目でその実力がわかります。以降はファンキーな跳ねるリズムも入ったフュージョン風ジャズ・ロックとなり、一曲目に比べてリラックスしているようでいて、どこか緊張感を持続させた油断ならない演奏がまた堪りません。基本的にインストですが、ムーディーなフュージョン曲で突如歌い出すリチャード・シンクレアみたいなヴォーカルも印象的。これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬がただただ心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値あり!
後にブランドXに加入する打楽器奏者Morris Pert、元クオーターマスの鍵盤奏者Peter Robinson、Stomu Yamash’taのバンドRED BUDDHA THEATREのベーシストAlyn Rossによるトリオ・バンド、73年唯一作。サウンド的にはクールかつほんのりユーモラスなタッチのエレピをフィーチャーしたラテン・テイストのジャズ・ロックなのですが、特筆すべきはMorris Pertによるドラム&パーカッションの異様なまでのテンションの高さ。時にはFurio Chiricoばりに叩きまくっていながら理知的な佇まいを崩さないのが特徴で、この打楽器のプレイがRETURN TO FOREVERに近接しつつも決して大らかにはならない、ただならぬ緊張感を作り出しています。全編で伸びやか且つ涼しげに音を刻むキーボード&ベースと、切迫感に駆られるように叩きまくるドラムスとの強烈な対比が、唯一無二の音世界を生み出す傑作です。
2014年デビュー、アルゼンチンはブエノスアイレス出身の4人組ジャズ・ロック/フュージョン・グループ、23年作5thアルバム。カンタベリー・ロック憧憬のサウンドにタンゴやボサノヴァなどの南米らしいエッセンスを溶け込ませた芳醇なジャズ・ロック/フュージョン・スタイルは、本作でも一切の揺らぎなし。ボサノヴァ・テイストで洒脱に刻むリズム・セクションに乗って、歌うようにメロディを紡ぐギター、淡く滲むエレピや柔らかいタッチのシンセを駆使してファンタジックな彩りを加えるキーボード。美しいメロディを印象的に聴かせる展開でうっとりさせたかと思うと、気づけば白熱したテクニカルなアンサンブルで疾走していたりと、変幻自在な演奏はいつもながら見事の一言です。その切り替わりがとにかく自然体で、音使いのみならずそうした演奏の「しなやかさ」もカンタベリー・ロックに通じる魅力と言えるでしょう。文句のつけどころのない南米ジャズ・ロックの傑作。カケレコメンド!
サンタナに影響を受けたオーストラリアのジャズ/フュージョン・ロック・グループ。75年唯一作。元ヘロンのG.T.ムーアによるレゲエ・バンドのような木漏れ日感あるゆる〜いグルーヴのヴォーカルがはじまり、フュージョンタッチの流麗なエレピが入り、ベースが疾走しだすと、バンドがスピーディーに走り出します。高速で乱れ打たれるパーカッション、軽快なカッティング・ギターもクール!パブ・ロック感のある親しみやすいヴォーカルも良いし、ハードかつ滑らかなトーンで早弾きを繰り出すギターもカッコよし。オシビサなどアフロ・ロックとともに、英ココモのようなご機嫌なフレイヴァーもあって、カンタベリーに通じるようなジャズ・ロッキンなキメも挿入するし、さらに素っ頓狂なジャケの通りにザッパに通じるようなセンスもあって、これは良いバンド!
2008年にデビューしたメキシカン・プログレ新鋭が、実に13年ぶりにリリースした21年作2nd。クリムゾン・タイプのエッジの立った緊張感みなぎるヘヴィ・サウンドで幕を開けたかと思うと、そこに中南米らしいメロウネスを帯びたフュージョン・タッチが絶妙に溶け合ってきて、心地よくも最高にスリリングな演奏を聴かせてくれます。涼やかな風を運ぶ女声スキャットもGOODです。ジャケットはクリムゾン系の音を強調したようなダークな色調ですが、中身はむしろ美しくメロウなタッチがより前に出たスタイルの一枚となっています。
ノルウェー出身のフュージョン/ジャズ・ロック・グループの79年1st。シャープなキレの良さを持つリズム・セクションの上で、伸びやかにフレーズを紡ぐギターと洒脱に音を散らすエレピ&幻想のカーテンを引くシンセらが最高に心地よい音空間を作り上げます。これぞフュージョンという、爽やかでクリアな音だけで作り上げられた極上の一枚!
2017年にデビュー・アルバムをリリースしたイタリアの新鋭ジャズ・ロック・バンド、4年ぶりの2ndとなる21年作。リズム隊+キーボード+サックスというギターレスの4人編成で、前作同様ピアノとサックスがメロディアスに舞うフュージョン・タッチのジャズ・ロックを聴かせてくれます。エレガントな音運びで耳を奪う輝かしくもクールなピアノと、地中海フレイヴァーを帯びたメロウで饒舌なサックスが対比する歌心に富むアンサンブルがとにかく絶品。ジャズ色よりはロック的なダイナミズムが強く出たリズム隊のプレイも躍動感に満ちていてカッコいいです。中でもヴォーカルもフィーチャーしたラスト・チューンは、地中海的な芳醇さとスケールを生かしつつ、プログレ然とした技巧もたっぷり注入した必聴ものの一曲。力作です。
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