2023年4月12日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
4月も中旬に入り、ようやく安定して暖かい気候になってきましたね。
この時期に個人的におすすめしたいのがフュージョン・タッチのメロディアスなプログレ。
春の陽気の中で楽しみたい、伸びやかな聴き心地の良さが魅力のフュージョン・プログレ作品を各国からセレクトしました!
クラシック・ギター界の貴公子とも言われた名ギタリストJohn Williamsと、元CURVED AIRの鍵盤奏者Francis Monkmanを中心とするフュージョン・ポップ・グループ!
アビーロード・スタジオで録音された79年デビュー作で、清涼感たっぷりに広がるキーボードをバックに、ジョン・ウィリアムスのクラシック・ギターが格調高くも躍動感いっぱいに駆け抜けるアンサンブルは唯一無比の気持ちよさ。
L.A.の実力派ミュージシャン達の緻密ながら軽やかに聴かせる演奏が特筆です。
西海岸らしい明るさがありリラックスして聴けるフュージョン/スムース・ジャズ!
当時隆盛を極めていたフュージョンへと接近した77年作。
Mauro Paganiの後任Gregory Blochによる堂々たるヴァイオリンのプレイも聴きどころの、ラテン・フレイヴァー溢れるフュージョン・プログレ好盤!
フォルムラ・トレのA.ラディウスとG.ロレンツィが腕利きスタジオミュージシャンらと結成したイタリアンロック史上のスーパーグループ。
フュージョン、シンフォ、フォークが混在したサウンドを、テクニカルかつしなやかな演奏で情感たっぷりに紡ぐセンスは超一級ですね!
クラリネットが奏でるこの地中海風の哀愁メロディ、アルティ好きとしてはたまんないなぁ~。
技巧も抜群だし、ジョン・エサリッジも参加していて、この伊ジャズ・ロック新鋭、かなり良いです。
【関連記事】
18年上半期に人気を集めた新作&リイシューCDを、【新作部門】と【リイシュー部門】に分けてTOP10でご紹介してまいります。お聴き逃しの作品はないか、チェックしながらお楽しみください☆
エレガントな音運びで耳を奪う輝かしくもクールなピアノと、地中海フレイヴァーを帯びたメロウで饒舌なサックスを軸にした芳醇で歌心に富んだアンサンブルがとにかく絶品。
こりゃイタリアン・ジャズ・ロックに求める要素を余すことなく楽しませてくれる逸品だなぁ。
1stでは7人でしたが、この2ndでは10人編成となりブラス・セクションを強化。
ファンキーなノリの良さと地中海的な芳醇さを併せ持つ絶品サウンドを披露します。
猛者ぞろいのフレンチ・ジャズ・ロックにおいて、「心地よさ」では最高峰と言える快作!
ハットフィールドが好き?リターン・トゥ・フォーエヴァーが好き?でしたら、このスペインのグループ、是非一聴を!
地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうエレピが絶品ですよ~。
【関連記事】
大一番のオリンピック男子サッカー・スペイン戦に関連して、バルセロナで生まれたジャズ・ロック名盤の数々をご紹介☆
スペインのジャズ・ロック・グループ。75年作2nd。
ヴァイオリンも入っていてチェンバー・ロック的な硬質感があるのですが、サウンド的にはラテンなユルめのノリがメインで、フュージョンとしていい塩梅に気持ちが良いんです。
華のあるエレピも聴き所☆
【関連記事】
地域ごとに多彩なサウンドを聴かせてくれるスペインのロック・シーン。今回は、バルセロナがあるカタルーニャ州をメインに作品を取り上げてまいります!
オランダのジャズ・ロック/フュージョン・バンドが残した唯一の作品で、これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬が最高に心地よい好盤。
イタリアのETNAなんかがお好きなら一聴の価値ありですよ~。
【関連記事】
欧米各国の「ど」がつくマイナープログレを発掘リリースしている注目の新興レーベルPAISLEY PRESS。リリース作品を一挙ご紹介!
こちらもオランダのグループですね。
サックスも擁したキレのあるテクニカルなアンサンブルと、明るくポップでメロディアスな楽曲との組み合わせが最高に心地よい、これぞフュージョンというサウンドが魅力!
これぞフュージョン!なサウンドならノルウェーのこの作品も負けません。
シャープなキレの良さを持つリズム・セクションに乗って、伸びやかにフレーズを紡ぐギターと洒脱に音を散らすエレピ&幻想のカーテンを引くシンセらが最高に心地よい音空間を作り上げます。
とにかく爽やかでクリアな音のみによって作り上げられた極上の一枚!
脱力感たっぷりの虎ジャケは賛否分かれそうですが、音の方は、ラテン・フレイヴァーに木漏れ日感が加わったグルーヴィー・ジャズ・ロック&フュージョン。
このサウンド、形容するなら「軽やかなサンタナ」って感じ!?
【関連記事】
「オーストラリア?AC/DCくらいしかなくない?」という人に、マイナーだけど英米ロックに肩を並べる名作の数々をご紹介します♪
オーストラリアのプログレと言えばSEBASTIAN HARDIE。そのギタリストが残したこの作品も良いですよ~。
SEBASTIAN HARDIEを引き継ぐ哀愁と叙情的な旋律、WINDCHASEの延長と言えるようなソフト・ロック/フュージョン風味、CAMEL系のマイルドさで聴かせるファンタジアなど、テクニカルな演奏をフューチャーしながら様々に表情を変える楽曲が爽やかに響く良作です。
【関連記事】
ベテラン音楽ライター後藤秀樹氏による連載コラム「COLUMN THE REFLECTION」!
エッジの立ったギターが畳みかけるクリムゾン直系スタイルで幕を開けたかと思うと、そこに中南米らしいメロウネスを帯びたフュージョン・タッチが絶妙に溶け合ってきて、心地よくも最高にスリリングな演奏へと着地します。
メキシコ新鋭、13年ぶりの2nd!
【関連記事】
迫りくる凶暴なアンサンブル、そして叙情美。クリムゾンの遺伝子を受け継いだ90年代以降の新鋭グループを世界中からピックアップ!
ブラジルの実力派新鋭によるライヴを収録。
ギターとシンセがテクニカルかつ流麗に疾走するフュージョン・タッチのインスト・プログレは、ライヴで一層勢いを増していてとにかくカッコいい!
聴く者のテンションを問答無用で上げてくれる極上のパフォーマンス!
ブラジルはCAMELタイプのグループが結構いますが、本作はその中でもピカイチの完成度!
とめどなく溢れるCAMEL譲りの美旋律と南米らしい甘美なメロウネスの調和が素晴らしい~。
滑らかなフュージョン・タッチに、ボサノヴァなどの南米らしいメロウなエッセンスを絶妙に溶かし込んだサウンドが最高に心地いい!
80年代初頭のアルゼンチンにこんな素敵な作品が生まれていたとは。
「アルゼンチン・ロックの父」Charly Garciaが率いたフュージョン・プログレ・グループ!
「南米ロック」のイメージがひっくり返る、洗練され切ったセンス抜群の都会派フュージョン・サウンドが素晴らしいなぁ。
この曲なんて、南米のスティーリー・ダンって感じ!?
【関連記事】
アルゼンチンに現れた素晴らしきジャズ・ロック・グループ。
エレピとギターが紡ぐ南米らしい甘美な陰影を伴った芳醇なフュージョン/ジャズ・ロックが絶品すぎる…。
これはカンタベリー・ロック・ファンも是非一聴を!
【関連記事】
フレットレスの名手ジミー・ジョンソン、言わずと知れたトップ・ドラマーのヴィニー・カリウタとの強力トリオで制作された、インドネシア出身ギタリストによる7th!
いかにも東南アジアらしい神秘的なオリエンタル要素を織り交ぜた、フュージョン・タッチの色彩感覚溢れるプレイがお見事です。
この春に楽しみたい作品は見つかったでしょうか。
気になる作品が見つかりましたら幸いです♪
ジャズ・ロックやフュージョンの探求はこちらから☆
スペインはバルセロナ出身のジャズ・ロック・トリオ、75年作。バンドのリーダーは、Key奏者のLucky Guriで、バルセロナ・ジャズ・ロック・シーンの名手達が集まったビートルズのカヴァー作品(傑作!)に参加したり、後には地中海ジャズ・ロックの名バンドMUSICA URBANAに参加するなど、バルセロナ・シーンを代表するKey奏者。シャープに引き締まったドラム、流麗に動くメロディアスかつグルーヴィーなベースによる安定感抜群のリズム隊を土台に、エレピが地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうメロディを奏でます。色彩感豊かなパーカッションやホイッスルなどによる味付けも地中海フレイヴァーたっぷり。バンドは、スペインはカタルーニャ地方のウッドストック・フェスと言える75年に行われた伝説の「Festival Canet Rock」に参加し、高い評価を得ます。バルセロナ産ジャズ・ロック「MUSICA LAIETANA」シーンを代表する一枚として名高い傑作です。
2014年デビュー、アルゼンチンはブエノスアイレス出身、ピアノを中心にエレピ、オルガン、シンセを操るキーボーディストとギタリストを擁する4人組ジャズ・ロック/フュージョン・グループによる17年作3rd。南米らしい甘美な陰影を持った美しいメロディを印象的に聴かせる、ロマンチックな表情のジャズ・ロックには前2作を経てさらに磨きがかかっている印象。ピアノやギターは流麗なタッチでソロを応酬させるジャズ本来のクールな佇まいを見せるのに対して、可憐な音色が耳を引くエレピが浮遊感あるファンタジックで柔らかな聴き心地をもたらしていて、少しフィル・ミラーを思わせるギターも相まってハットフィールドやナショナル・ヘルスなどのカンタベリー・ロック・バンドに通じる得も言われぬ芳醇さを生み出しているのが素晴らしい。お約束と言えるバンドネオンの哀愁の音色も必殺です。近年のジャズ・ロック・バンドには珍しく比較的ロック寄りのノリとダイナミズムを持つドラムも特筆で、アンサンブルを力強い躍動感で牽引します。ジャズとロックを最高のバランス感覚で組み合わせた、これぞジャズ・ロック!と呼びたい快作。これは激カケレコメンド!
イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドFORMULA TREのAlberto RadiusとGabriele Lorenziを中心に、現在もシーンで活躍するスタジオ・ミュージシャンを加え結成されたグループの74年デビュー作。その内容は、イタリア叙情を感じさせる絶品なメロディーを持ちながらもツイン・ギター、ツイン・キーボード編成で迫るテクニカルなプログレッシブ・ロックであり、荒々しいヘヴィー・プログレッシブな音像と、ジャズ・フュージョンの滑らかなサウンド、そしてイタリア然としたフォークタッチを絶妙なバランスでブレンドした名盤です。イタリアン・ロックのボーカル曲としても、プログレッシブ・ロックとしても一級品の傑作。
オランダ出身のジャズ・ロック・バンドが74年にリリースした唯一のアルバム。寸分も狂いなく刻む鋭い打音のドラムス、メロディアスな音運びのベース、ヤン・ハマーを思わせるピッチベンドを多用した躍動感あるプレイのシンセとエレピ、スリリングで緊張感あるフレーズで切り込むギター。緊密なテンションが支配するテクニカル・ジャズ・ロックを聴かせる、挨拶代わりの一曲目でその実力がわかります。以降はファンキーな跳ねるリズムも入ったフュージョン風ジャズ・ロックとなり、一曲目に比べてリラックスしているようでいて、どこか緊張感を持続させた油断ならない演奏がまた堪りません。基本的にインストですが、ムーディーなフュージョン曲で突如歌い出すリチャード・シンクレアみたいなヴォーカルも印象的。これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬がただただ心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値あり!
クラシック・ギター界の貴公子とも言われる名ギタリストのジョン・ウィリアムスを中心に、元カーヴド・エアのKey奏者のフランシス・モンクマンの他、クラシック畑出身のセッション・ミュージシャンにより79年に結成されたスーパー・グループ。アビーロード・スタジオで録音され、79年にリリースされたデビュー作。清涼感たっぷりに広がるキーボードをバックに、ジョン・ウィリアムスのクラシック・ギターが格調高くも躍動感いっぱいに駆け抜けるアンサンブルは唯一無比。クラシックからジャズ/フュージョンまで飲み込んだ名手達によるシャープかつしなやかなプログレッシヴ・ロック・インスト名品です。
CD+DVDの2枚組、デジタル・リマスター、輸入盤帯付き仕様、解説・対訳は元から無し、DVDはNTSC方式、リージョンフリー、定価2300+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
ヨーロッパ大陸から遠く離れた南半球はオーストラリアから登場したSEBASTIAN HARDIEのリーダー格であるMario Milloの79年ソロアルバム。SEBASTIAN HARDIE、そしてWINDCHASEという2つのプロジェクトを解消後にリリースされた本作は、SEBASTIAN HARDIEで見せた哀愁、オーストラリアの雄大な情景を想起させる叙情的な旋律、WINDCHASEの延長と言えるようなソフト・ロック、フュージョン風味、CAMEL系のマイルドさで聴かせるファンタジアなど、テクニカルなバンド・サウンドをフューチャーしながら様々に表情を変える楽曲が爽やかに響く良作となっています。
デジタル・リマスター、ボーナス・トラック1曲、背ジャケ・CD・解説の規格番号はMICP1117です、定価2190+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
サンタナに影響を受けたオーストラリアのジャズ/フュージョン・ロック・グループ。75年唯一作。元ヘロンのG.T.ムーアによるレゲエ・バンドのような木漏れ日感あるゆる〜いグルーヴのヴォーカルがはじまり、フュージョンタッチの流麗なエレピが入り、ベースが疾走しだすと、バンドがスピーディーに走り出します。高速で乱れ打たれるパーカッション、軽快なカッティング・ギターもクール!パブ・ロック感のある親しみやすいヴォーカルも良いし、ハードかつ滑らかなトーンで早弾きを繰り出すギターもカッコよし。オシビサなどアフロ・ロックとともに、英ココモのようなご機嫌なフレイヴァーもあって、カンタベリーに通じるようなジャズ・ロッキンなキメも挿入するし、さらに素っ頓狂なジャケの通りにザッパに通じるようなセンスもあって、これは良いバンド!
ARTI E MESTIERIの名ドラマーFurio Chiricoのソロ作品やROME PRO(G)JECTの17年作などに参加したイタリアのキーボーディストPaolo Ricca率いるジャズ・ロック・グループ、SOFT MACHINEのギタリストJohn Etheridgeをゲストに迎えた18年作2nd。バンドの編成は、キーボード、クラリネット、リズム隊の4人組。ARTI E MESTIERIやそのギタリストGigi VenegoniによるバンドVENEGONI & COに通じる、フュージョン・タッチのメロディアスさと高い技巧をあわせ持ったジャズ・ロック・サウンドを展開します。鋭くタイトな打音がカッコいい手数多く硬質なリズム・セクションを土台に、クラリネットが地中海音楽の流れをくむ美しいメロディを奏で、フェンダーローズが流麗に舞う、テクニカルさの中に叙情匂い立つような音世界は、上記2バンドにも負けないほどに魅力的。特にクラリネットは、角のないふくよかな音色を活かした気品溢れるプレイを聴かせており素晴らしい。また冒頭2曲にゲスト参加するJohn Etheridgeのプレイも特筆で、伸びやかなフレーズと畳み掛けるような速弾きを滑らかに繋げて緩急をつける独特のプレイは、一聴して彼と分かる存在感を放っていてやはりさすがです。これはARTI E MESTIERIファン、VENEGONI & COのファンなら必聴と言いたい快作!
スペインのジャズ・ロック・グループ。75年作2nd。ジャズ・ロック/フュージョンの硬質さとラテン・フレイヴァーとが融合したスペインならではのサウンドを聴かせた1st。そんな彼らの持ち味はそのままに、よりテクニカルな硬質さが増し、グッとシャープ、そして引きの部分では格段に流麗になったのが本作2nd。HATFIELDの2ndなど、オシャレでいてテクニックも抜群なジャズ・ロックが好みであれば、絶対に気に入るでしょう。
ゴングのメンバーとして『Gazeuse!』に参加、その後マイルス・デイヴィス・グループの一員として82年作『We Want Miles』でパーカッションを叩いた名手Mino Cinelu在籍のフランスのジャズ・ロック・グループ、78年2nd。前作ではフルート奏者/サックス奏者を含む7人編成でしたが、本作ではさらにトロンボーン奏者/トランペット奏者/パーカッショニストを増員し、10人の大所帯となっています。その編成から連想される通り、ブラス・セクションを強化したファンキーなブラス・ジャズ・ロックをメインに展開。Mino Cineluの緻密さとノリの良さがバランスした抜群のリズムワークを土台にして、オルガン/エレピ/クラヴィネットを駆使して色彩溢れる音を添えるキーボード、艶のあるトーンでメロディアスに弾くフュージョン・タッチのギター、心地よく舞うフルート、そしてグルーヴィ―かつ流麗なブラス隊が絡み組み上がるジャズ・ロックは、素晴らしく洗練されています。前作同様に緻密でテクニカルながら緊張感は薄く、地中海の潮風が香る芳醇なアレンジを重視していて、猛者ぞろいのフレンチ・ジャズ・ロックにおいて、「心地よさ」では最高峰と言えるでしょう。1stが気に入ったなら間違いない快作です!
6万人もの観客を動員する90年代以降のインドネシアを代表するロック・バンドGIGIのギタリスト。通算7枚目の2014年作ソロ・アルバムで、米MOONJUNEレーベルからは13年の『DAWAI IN PARADISE』、同じく13年の『JOGED KAHYANGAN』に続く3枚目。アラン・ホールズワースとも共演するフレットレス・ベースの名手Jimmy Johnson、ハービー・ハンコックやジェフ・ベックとの仕事で知られる世界的なドラマーVinnie Colaiutaとのトリオ編成を基本に、名Key奏者Gary Husbandや名セッションギタリストMichael Landauなどがゲスト参加。ソリッドかつシャープで安定感抜群のリズム隊をバックに、艶やかなアルペジオからロング・トーンのメロディアスなリードまで、色彩感覚に優れたイマジネーション豊かなギターは相変わらずの素晴らしさ。ジャケのイメージ通りに、熱帯の湿度を運ぶようなエキゾチズムや東南アジアの古代文化が目の前に現れるような神秘性を織り交ぜつつ、全体としては洗練されたジャズ/フュージョンとしてまとめ上げるセンスは、パット・メセニーにも比肩する、と言っても過言ではないでしょう。ジャズ/フュージョンのファンはもちろん、緻密でいてリリカルなサウンドはカンタベリー・ミュージックのファンも気に入るでしょう。名作!
2008年にデビューしたメキシカン・プログレ新鋭が、実に13年ぶりにリリースした21年作2nd。クリムゾン・タイプのエッジの立った緊張感みなぎるヘヴィ・サウンドで幕を開けたかと思うと、そこに中南米らしいメロウネスを帯びたフュージョン・タッチが絶妙に溶け合ってきて、心地よくも最高にスリリングな演奏を聴かせてくれます。涼やかな風を運ぶ女声スキャットもGOODです。ジャケットはクリムゾン系の音を強調したようなダークな色調ですが、中身はむしろ美しくメロウなタッチがより前に出たスタイルの一枚となっています。
ノルウェー出身のフュージョン/ジャズ・ロック・グループの79年1st。シャープなキレの良さを持つリズム・セクションの上で、伸びやかにフレーズを紡ぐギターと洒脱に音を散らすエレピ&幻想のカーテンを引くシンセらが最高に心地よい音空間を作り上げます。これぞフュージョンという、爽やかでクリアな音だけで作り上げられた極上の一枚!
03年に結成され、08年にデビューしたブラジルの新鋭プログレ・バンド、20年にリオデジャネイロで開催されたCaRIOca Prog Festivalでのライヴを収録。エレキギターとシンセサイザーが流麗かつテクニカルに疾走するフュージョン・タッチのインスト・プログレは、ライヴで一層勢いを増しているように感じられとにかくカッコいいです。アグレッシヴでキレのあるリズム隊も見事なもので、スピーディかつメロディアスなフレーズを応酬させるリード楽器のプレイをがっしりと支えています。中でもハードエッジに弾きまくったかと思うと、哀愁たっぷりの歌心溢れるプレイを優美に聴かせる、縦横無尽なギターの冴えっぷりが半端じゃありません。聴く者のテンションを問答無用で上げてくれる素晴らしいパフォーマンス!
2017年にデビュー・アルバムをリリースしたイタリアの新鋭ジャズ・ロック・バンド、4年ぶりの2ndとなる21年作。リズム隊+キーボード+サックスというギターレスの4人編成で、前作同様ピアノとサックスがメロディアスに舞うフュージョン・タッチのジャズ・ロックを聴かせてくれます。エレガントな音運びで耳を奪う輝かしくもクールなピアノと、地中海フレイヴァーを帯びたメロウで饒舌なサックスが対比する歌心に富むアンサンブルがとにかく絶品。ジャズ色よりはロック的なダイナミズムが強く出たリズム隊のプレイも躍動感に満ちていてカッコいいです。中でもヴォーカルもフィーチャーしたラスト・チューンは、地中海的な芳醇さとスケールを生かしつつ、プログレ然とした技巧もたっぷり注入した必聴ものの一曲。力作です。
L.Aを拠点に活動するスタジオ・ミュージシャンにより制作された、82年作。内容は西海岸らしい明るさがあるフュージョン/スムース・ジャズで、メロウなメロディと軽やかな演奏が印象的です。メンバーは、Randy Crawfordとの仕事で知られるリーダーのCharles Black(per)、Gino Vannelliの作品へ多く参加しているJohn Mandel(per)、Steve Anderson(b)、Jeff Hull(dr)、Barry Coates(g)、Rich Eames(key)の6人。各々がスタジオ・ミュージシャンとして活躍しているだけに演奏の巧みさは流石。隙間のない緻密な演奏で、各パートが絶妙なバランスを取りながら流れるように最後まで気持ちよく聴かせます。オープニングは、ゆったりとしたメロディにCharles Blackの滑らかなサックスがのる「A Casual Romance」。そこに南国風味を感じるさざ波のようなパーカッションや煌めくエレピが加わりメロウになりすぎない爽やかさを出しています。終始リラックスして巧みな演奏に身を任せられるAORの好作です。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!