2022年2月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
最近、CD化されていなかったフレンチ・ジャズ・ロックのマイナー作品が次々とリイシューされています。
そのサウンドは、フランスらしいエレガントかつ浮遊感を帯びたもの、MAGMA彷彿の不穏さと緊張感を持ち味とする所謂ZEUHL系、さらにはファンク要素を取り入れた軽快なもの、カンタベリー・ロックなど英国ジャズ・ロックに通じるものまで実に様々。
そんな知られざるマイナー・フレンチ・ジャズ・ロックを一挙ご紹介してまいりましょう☆
トップバッターは22年CD化、ZEUHL系ジャズ・ロックの秘宝と言えるこの作品!
「戦艦ポチョムキン」から取ったのであろうバンド名と幻想的なジャケットが印象的な、3兄弟が率いるバンドの1st。
気になる中身の方は、MAGMA譲りの暗黒、MAHAVISHNU ORCHESTRAにも向こうを張る演奏強度、そして繊細に音を描く芸術的感性を兼ね備えたユーロ・ジャズ・ロックの傑作。
こ、これは凄い作品ですよ~~!
続いては、注目リイシューレーベルPAISLEY PRESS発の激マイナー仏ジャズ・ロック群をご紹介☆
ギターとサックスが時にエネルギッシュなプレイを応酬させ、時に一糸乱れぬユニゾンで快走する、硬質なテクニカル・ジャズ・ロックはもう抜群のカッコよさ!
武骨で硬派なジャズ・ロックを楽しみたいなら是非。
こ、これは「MAGMA+GG」と言っても過言じゃない、暗黒エネルギーと意表を突くアレンジセンスが融合した個性派ジャズ・ロック!
ほほう、あのTIENKOを結成するドラマーのソロ作だったのか。
仏ジャズ・ロック・シーン、まだまだ奥深し…。
ザッパの『シーク・ヤブーティ』がお好きなら、この1曲目は絶対ニヤリとしちゃうはず!
他の曲ではカンタベリーな芳醇さも匂い立ってくるし、こんな素晴らしいバンドが一枚しかアルバムを残さなかったとは…。
R.フリップとJ.マクラフリンを合わせたような攻撃的なギターと、ふくよかなダブルベースの響きが対比する、フランス発個性派インプロ・ジャズ・ロック!
硬質さと芳醇さの絶妙な均衡が見事!
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76年発表。アコギ、エレピ、サックスらが紡ぐこのどこかミステリアスで浮遊感ある音使い、どうしようもなくフランスだなぁ。
枯れた哀愁もたっぷりと含んだメランコリックかつ浪漫あるジャズ・ロックの逸品です。
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淡い叙情性だったり、知的な凶暴性だったり、プログレッシヴな感性を持ったジャズ・ロック/アート・ロック作品を世界中からピックアップして紹介いたしましょう。
サックスとキーボードの感じは『4th』『5th』あたりのソフト・マシーンですが、そこにぶつかっていく硬質なギターとリズムが実に強烈。こNジャズ・ロック、マイナーながら、ずばり傑作。
名実ともに60年代仏ロックを代表する一枚と言って良さそうなこの作品もピックアップ!
60年代末のフランスに、コロシアムやニュークリアスやグレアム・ボンドに対抗できるこれほどのグループが居たなんて。
グルーヴィーなハモンド、ニュークリアスばりに艶やかで陰影に富んだホーン・セクションやギター、クリス・ファーロウもびっくりのソウルフルなヴォーカル。
フレンチ・ロック黎明期屈指の実力を誇るブラス・ロック・グループによる69年デビュー作!
フランスが誇る老舗プログレ・レーベルと言えばMUSEA。最初に取り上げたPOTEMKINEも含め、さすが良い作品を発掘してきます。注目タイトルはこのあたり~。
こ、これはずばり、MAGMA/KING CRIMSONファンに激オススメの超絶技巧暗黒ジャズ・ロック音源!
知的かつ凶暴な演奏でスリリングに畳みかけるアンサンブルがカッコよすぎ~。
2020年初CD化となったマイナー・ジャズ・ロック76年作。
涼しげな音色のフルート、ひたすら愛らしいピッコロ、歌心あるプレイが魅力のサックスら管楽器が活躍するほんのりラテン・テイストなサウンド。
ピアノがコンテンポラリーに突き刺さるアヴァンなパートとの対比もグッド!
19年初CD化!ゴング『GAZEUSE!』やマイルス・デイヴィス『WE WANT MILES』に参加した名ドラマーMino Cinelu率いる仏ジャズ・ロック・バンドの77年1st。
Minoの緻密すぎるドラミングをはじめとするテクニカルさと、フルートやエレピの適度にリラックスした伸びやかさとのバランスが心地いいジャズ・ロック。
2本のサックスによるブラス・ロック風の華やかなアレンジもGOODです!
こちらは翌年リリース2ndアルバム。1stでは7人でしたが、この2ndでは10人編成となりブラス・セクションを強化。
ファンキーなノリの良さと地中海的な芳醇さを併せ持つ絶品サウンドを披露します。
猛者ぞろいのフレンチ・ジャズ・ロックにおいて、「心地よさ」では最高峰と言える逸品!
こちらも19年にCD化された一枚。
後にMAGMAのセカンドドラマーに抜擢されるClement Baillyや、バーナード・パガノッティが居たCRUCIFERIUSの元メンバーであるkey奏者&ギタリストらが結成したバンドです。
ずばり「ジャズ・ファンク+カンタベリー・ロック」と言えちゃう、強靭かつ気品高い73年デビュー作!
こちらは翌年リリースの2nd。
痛快無比のジャズ・ファンクとカンタベリー彷彿の気品たっぷりの叙情派アンサンブルを両立させたスタイルは1stに劣らず魅力的です。
ユーロ・ロックにおける英国サウンドの再現度・完成度にかけては欧州のグループでも屈指ではないでしょうか!
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70年代に欧州を中心に世界中へと拡散したカンタベリー・ロックの影響。現代のバンドにもその音楽性は引き継がれカンタベリー・タイプの新鋭を数多く誕生させています。実力派揃いでお送りいたしましょう♪
かつて国内盤CDもリリースされていたので比較的知られたグループでしょうか。
マグマ~ザオのヨシコ・セファー率いるバンドということでマグマ直系かと思いきや、彼の朗々と歌うようなサックスはかなりE.ディーン風だし、ギターの奔放に音数を詰め込む速弾きはかなりJ.グッドソールだし、ベースもP.ジョーンズばりにうねっていて、むしろ英ジャズ・ロック好きに直撃の一枚!
2nd~3rdの頃のソフト・マシーンが想起されるサックスやオルガンによる緊張感あるアンサンブルと、ゴング彷彿の遊び心を兼ね備えるのがこの作品。
このサウンドでゴングの登場よりも早い70年リリースだから驚きです。怪しさムンムンのジャケも堪りませんね。
まだまだ他にもマイナー・ジャズ・ロックあります。
「フランスのジャズロックというとマグマやザオが個性派で代表格ですが、Brand XやIsotopeなどに近いテクニカルでインターナショナルなサウンドで、メージャーでないながらも捨てがたいものがあります」by レビュワーike333さん。
フュージョン・テイストの洗練されたサウンドを聴かせる78年作!
手数多くシャープに畳み掛けるアンサンブルと印象的なメロディメイクを特徴とする、Arti e Mestieriタイプと言うべきフランスのマイナー・グループ。
メロディアスながらも終始緊張感を途切らせないジャズ・ロックが見事!
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とにかくカッコいいジャズ・ロックを浴びるように聴きたい!というあなたのために、カケレコ中古から各国のとびきりカッコいいジャズ・ロックを集めました!
ジャズ畑のミュージシャンが結成したフレンチ・プログレ・グループの71年作なんですが、VDGGやジェスロ・タルやクリムゾン『アイランド』あたりが好きなら、もう「おおっ!」となっちゃう強烈かつ静謐な逸品。
いかがでしたか?
気になる作品が見つかりましたら幸いです☆
イタリア版はこちら↓
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フランスのジャズ・ロック/プログレ・グループによる、当時未発表だった77〜81年の音源を収録した2枚組作品。前衛色も垣間見せるジャジーなドラム、野太く唸るベース、凶暴なオルガン&シンセ、フリップ・タイプの神経質なトーンと音運びが特徴のギターが繰り広げる超絶技巧暗黒ジャズ・ロックが強烈!コーラスも含めヴォーカルはありませんが、この時期のフランスだけあって、MAGMAを強く意識した変拍子リズムによる切迫感みなぎる畳みかけが随所で決まっていてこれは抜群にカッコいいです。煮えたぎるようなエネルギーを内包しつつ、それを理知的にコントロールして終始スリリングに展開するアンサンブルからは、RED期クリムゾンやMAHAVISHNU ORCHESTRAに通じるセンスも感じます。MAGMAファン、MAGMA影響下のZEUHL系ジャズ・ロックのファン、クリムゾン・ファンには是非聴いてみてほしい一枚!
フランスのブルース/ジャズ・ロック・グループ、69年の1st。聴いて驚きました。フランスにコロシアムやニュークリアスやグレアム・ボンドに対抗できるこれほどのグループが居たとは。グルーヴィーかつ時に水面を子供がジャバジャバするように無邪気で浮遊感いっぱいのハモンド、ニュークリアスばりに艶やかで陰影に富んだホーン・セクションやギター、クリス・ファーロウもびっくりのソウルフルなヴォーカル。時にヴァイオリンも入って、テンションみなぎる超絶アンサンブルも聴かせたり、これは相当に熟達のメンバーが集まったグループに違いありません。マグマやゴング以前にこんなグループが居たとは。恐るべしフレンチ・ロック。これはオススメです。
ギターのCharles、キーボードのMichel、ドラムのPhilippe、Goubin3兄弟を中心とするフレンチ・ジャズ・ロック・グループの76年デビュー作。手数多くビシビシとタイトに刻む精緻なリズム・セクションに乗り、ハード・ロッキンに弾きまくるワイルドなギター、神秘的に音を散らすエレピ、Eddie Jobsonばりにキレのあるエレクトリック・ヴァイオリンが三つ巴でやり合うスリリング過ぎるアンサンブルに手に汗握ります。そこに美声ながらどこか不穏な女声スキャットが入ってくると、一気にMAGMA的な暗黒が垂れ込め始め、ZEUHL系バンドとしての本領を見せ始め思わず戦慄。そうかと思うと、不意に即興風の淡い幻想が滲むパートを挟み込んでくるフランスらしいアーティスティックなセンスにも唸らされます。MAGMA譲りの暗黒、MAHAVISHNU ORCHESTRAにも向こうを張れる演奏の強度、そして繊細に音を描く芸術的な感性を兼ね備えたユーロ・ジャズ・ロックの傑作。これは凄いです。
MAGMA〜ZAOのサックス奏者ヨシコ・セファーが同じくZAOのベーシストJoel DugrenotやキーボーディストJean-Louis Bucchiらと結成したプロジェクト、74年作1st。本作はMAGMA影響下のサウンドを聴かせる所謂ズール系ジャズ・ロックとはやや毛色が異なり、フリージャズ色はあるものの中期SOFT MACHINEやBRAND Xなど英国ジャズ・ロックに接近したサウンドを聴かせるのが特徴です。セファーのサックスもエルトン・ディーンを思わせる朗々とした歌うようなプレイが印象的だし、ギターの奔放なフレージングセンスや音数を詰め込むような速弾きはかなりジョン・グッドソール的だし、ベースは曲によってはもろパーシー・ジョーンズだったりと、アンサンブルの端々に英国ジャズ・ロック的な流儀が感じ取れるのが本作の面白み。しかしフレンチ・ジャズ・ロック・シーンの猛者たちだけあって隙のないサウンドに仕上がっているのはやはり流石と言うべきでしょう。フレンチ・ジャズ・ロックとしては異色ながら、英国ジャズ・ロックの名盤たちと同列に聴かれるべきクオリティを持った好盤です。
サックス奏者を擁するフランスのジャズ・ロック/アヴァン・ロック・バンド。77年の唯一作。サックスとキーボードの感じは『4th』『5th』あたりのソフト・マシーンですが、ギターとリズム・セクションが実に強烈で、その組み合わせが個性的。硬質なトーンで音を叩きつけるように鳴らされるリズム・ギター、重くタイトで力感たっぷりなリズム隊、そして、ダダイズム感たっぷりに無意味な叫びを続けるヴォーカル。何というテンション。ソフト・マシーンをはじめ、クリムゾン『太陽と戦慄』のファンはまず驚くはず。これはずばり傑作。
フレンチ・ジャズ・ロック・バンドによる82年の唯一作。ギターとサックスが時にエネルギッシュなプレイを応酬させ、時に一糸乱れぬユニゾンで快走する、硬質なテクニカル・ジャズ・ロックはもう抜群のカッコよさ!変拍子まみれの複雑なリズムを武骨に紡ぐリズム・セクションも圧巻の技巧の持ち主です。随所で現れるサックスが反復フレーズで熱っぽく煽る展開にはZEUHL色も感じられ、さすがフランスといったところ。仏ジャズ・ロックでも屈指と言って良い超絶テクニックで押し通る、硬派なジャズ・ロック名盤!
ゴングのメンバーとして『Gazeuse!』に参加、その後マイルス・デイヴィス・グループの一員として82年作『We Want Miles』でパーカッションを叩いた名手Mino Cinelu在籍のフランスのジャズ・ロック・グループ、77年デビュー作。フルートとサックス2本の管楽器隊を擁する7人編成。Mino Cineluによるノリの良さと緻密さがバランスした心地よいドラミングがリズムを敷き詰め、その上でエレピ主体のエレガントなキーボードと軽やかなフルートが舞い踊るように奏でられます。ジャジーなバッキングに徹しているかと思うと、叙情的なソロで本領を発揮するギターもいいし、ブラス・ロック風の華やかなプレイで彩る2本のサックスも見事。テクニカルでタイトにまとまった演奏ですが緊張感はさほどではなく、南国を思わせる色彩感のあるアンサンブルが絶品です。アンサンブルの「心地よさ」という点ではユーロ・ジャズ・ロック屈指と言いたい逸品!
ゴングのメンバーとして『Gazeuse!』に参加、その後マイルス・デイヴィス・グループの一員として82年作『We Want Miles』でパーカッションを叩いた名手Mino Cinelu在籍のフランスのジャズ・ロック・グループ、78年2nd。前作ではフルート奏者/サックス奏者を含む7人編成でしたが、本作ではさらにトロンボーン奏者/トランペット奏者/パーカッショニストを増員し、10人の大所帯となっています。その編成から連想される通り、ブラス・セクションを強化したファンキーなブラス・ジャズ・ロックをメインに展開。Mino Cineluの緻密さとノリの良さがバランスした抜群のリズムワークを土台にして、オルガン/エレピ/クラヴィネットを駆使して色彩溢れる音を添えるキーボード、艶のあるトーンでメロディアスに弾くフュージョン・タッチのギター、心地よく舞うフルート、そしてグルーヴィ―かつ流麗なブラス隊が絡み組み上がるジャズ・ロックは、素晴らしく洗練されています。前作同様に緻密でテクニカルながら緊張感は薄く、地中海の潮風が香る芳醇なアレンジを重視していて、猛者ぞろいのフレンチ・ジャズ・ロックにおいて、「心地よさ」では最高峰と言えるでしょう。1stが気に入ったなら間違いない快作です!
フランスのジャズ・ロック・グループ、70年作の1st。手数多く軽快なドラムと動き回るベースによる疾走感溢れるリズム隊を土台に、ギターがテンションいっぱいにカッティングを刻み、フルートやサックスがエネルギッシュに炸裂!シリアスなだけでなく、ユーモアも盛り込むなど、ソフト・マシーンやヘンリー・カウなどカンタベリー勢からの影響大。まだゴングが1stをリリースしていない70年ということを考えると、恐るべしな作品。北欧のサムラに通ずる痛快さもあり。カンタベリーのファンは必聴の名作です!
フランス出身、ギター、ダブルベース、ドラムスのトリオ・グループが79年に発表した唯一作。ジャズの素養豊かな手数多くもしなやかに刻むリズム隊と、縦横無尽な音運びながらどこか焦燥に駆られたような神経質さを持つギターが繰り広げる、硬質なインプロ・ジャズ・ロックが大変カッコいいです。まるでR.フリップとJ.マクラフリンを合わせたような攻撃的なギターを筆頭にスリリングで緊張感あるアンサンブルを主としますが、一方でダブルベース特有のふくよかな低音が効いていて、ゴリゴリとアグレッシヴなようでいて得も言われぬ芳醇さも感じさせるサウンドが特徴的。クリーントーンとディストーションを使い分け硬軟自在に畳み掛けるギターと、クールに音を紡ぐダブルベースが鮮烈に対比する17分の大作も圧巻の出来です。キング・クリムゾン、マハヴィシュヌ・オーケストラのファンには是非お聴きいただきたいフレンチ・ジャズ・ロックの逸品。
ジャズ畑で活躍していたメンバーが結成したフレンチ・プログレ・グループ、71年にUNITED ARTISTSからリリースされた唯一作。手数多くタイトでふくよかなリズム隊、サイケにうねるファズを効かせたファズ・ギター、むせぶフルートやヴァイオリンをフィーチャーしたサウンドは、強烈なアンダーグラウンド臭を放っています。レーベルからのインフォには、ヴァン・ダー・グラーフやジェスロ・タルが引き合いに出されていますが納得。リリカルなパートも魅力的で、『アイランド』期のクリムゾンを彷彿させる静謐な叙情美も印象に残ります。フレンチ・ジャズ・ロックの底力を感じさせる逸品。
フランス出身、80年代末〜90年代にチェンバー/シンフォ・バンドTIEMKOで活躍するドラマー/コンポーザーが80年に残したソロ唯一作。マイナーながら、これはジャズ・ロック・ファン要チェック!息つく暇も与えず畳みかける緊張感みなぎるドラミングと数多く躍動するベースが牽引、ギターとオルガンが切れ味鋭いフレーズを応酬させ、その周囲をシンセが不気味に浮遊する、タイトな疾走感と不穏さを併せ持つアンサンブルはかなり個性的。1曲目や5曲目の執拗な反復で熱気たっぷりにまくしたてる展開は間違いなくMAGMAを受け継ぐZEUHLの系譜だし、かと思うと不気味なトーンのシンセがクラシックを独奏したりと変幻自在。この摩訶不思議なセンスはさすが孤高のバンドTIEMKOのコンポーザーなだけあります。まるでMAGMAの暗黒エネルギーとGENTLE GIANTの意表を突く楽曲展開を合体させたと言っても過言ではない、アヴァン・ジャズ・ロックの傑作!
フランスのプログレ・バンドが唯一残した76年の作品。アコギとシンセ&エレピをメインに紡がれるシンフォニックな哀愁味を帯びたジャズ・ロックを持ち味とします。乾いた音色が郷愁を誘うアコギ、ジャジーで洒脱な音運びのエレピ、ここぞというパートでシンフォニックに溢れ出すシンセ、時にはサックスやヴァイオリンも絡んで展開されるアンサンブルは、ややシアトリカルさを含んだヴォーカルとも相まってフランスらしいメランコリーと耽美なロマンティシズムがたっぷり。後半はサックスの存在感が強まり、歌うように饒舌なサックスのプレイを中心に据えたジャズ・ロックがまたカッコ良し。前衛的なラスト曲も含め、フランスからしか出てこないであろうどこかミステリアスで浮遊感ある音使いが印象に残る逸品です。
フルート/ピッコロ担当、サックス/フルート担当の管楽器奏者2人を擁するギターレス6人編成、フレンチ・ジャズ・ロック・グループによる76年唯一作。基本となるのは、涼しげな音色でリリカルに舞い上がるフルート、ひたすら愛らしいピッコロ、歌心ある饒舌なプレイが魅力のサックスなど管楽器の活躍をメインとするラテン・フレイヴァーも醸し出すジャズ・ロック。そこに強烈な対比を作っているのがピアノで、ミステリアスに紡がれるピアノのフレーズに反応して、パーカッションが乱舞し、サックスが熱量いっぱいの即興で合わせる、コンテンポラリーな展開に突入する時のスリルもまた堪りません。ラテンな陽気さの中でも気品ある佇まいを崩さない演奏は、さすがフランスのグループ。ダイナミックにテンポチェンジする緩急自在なドラミングと芳醇なダブルベースの響きが印象的な、ジャズそのものと言えるリズム隊も大変味があります。フレンチ・ジャズ・ロックの隠れた名品です。
2人のギタリストとサックス/フルート奏者を擁するフレンチ・ジャズ・ロック・グループが、79年に残した唯一のアルバム。まるでザッパの同年作『SHEIK YERBOUTI』のあの猥雑さ/おふざけセンスを1曲に詰め込んでしまったかのような凄まじい1曲目で幕を開けます。変拍子まみれの突っかかりまくりのリズムを難なく刻む技ありリズム隊を土台に、ギターとサックスがスリリングなフレーズを応酬させ、怪しいコーラスともはや奇声に近いヴォーカルが素っ頓狂に歌い上げる、狂乱のジャズ・ロックは濃厚すぎて眩暈がするほどです。2曲目以降、ザッパ色が薄れると、テンションみなぎるギター&サックスを軸とするキレのあるジャズ・ロック・アンサンブルが一層冴え渡ってくるのも素晴らしい。サックスとフルートがリードするパートでは、カンタベリー・ロック色も芳醇に匂い立ってきて、その変幻自在なセンスに終始驚かされます。とりあえずザッパ・ファンにはこのオープニング・ナンバーだけでも聴いて欲しいなぁ。フレンチ・マイナー・プログレ屈指の衝撃作!
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