2019年9月19日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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スタッフ佐藤です。
今回注目するのは、地球の裏側ブラジルの新鋭プログレ・シーンです。
南米プログレの代表的バンドであるMUTANTESやO TERCOの他に、SOM NOSSO DE CADA DIA、TERRENO BALDIO、Marco Antonio Araujoなどが活動した70年代のブラジル。
80年代に入ると、BACAMARTEやSAGRADO CORACAO DA TERRAの登場を皮切りに、90年代にかけてQUATERNA REQUIEMなどの良質なプログレ・バンドが多数登場するようになりました。
そして90年代終盤にデビューしたTEMPUS FUGITの活躍が00年代シーンを盛り上げる要因となり、現在の層の厚いプログレ・シーンが形成されていきます。2010年以降では驚異のマルチ・ミュージシャンBruno Mansiniの登場も鮮烈でしたね。
10年代~の注目は、男女シンフォ・デュオFLEESH。往年のプログレ・トリビュート作、オリジナル作、いずれでも珠玉と言える完成度の作品を送り出す期待の新鋭です。
それでは、注目すべきグループたちをピックアップしてまいりましょう☆
まずは直近の新譜からご紹介。
ギタリスト/マルチ奏者と女性ヴォーカリストからなる男女シンフォ・ユニットなのですが、この静謐で幻想的な世界観はちょっと凄いです。
シンセ&オルガンがうっすらと幻想のベールを広げると、A.ラティマーとS.ロザリーの中間にいるような泣きのフレーズ満載の美麗ギターが舞い、スッと胸に染み入る透明感いっぱいの美声ヴォーカルが囁くように歌います。
聴き手を異世界へと連れて行ってくれる一枚です。
ずばり00年代以降の南米プログレではNo.1と言っていいグループでしょう!テクニカルかつメロディアスに疾走するアンサンブルの中に息づく、ブラジルらしいメロウな叙情性がほんと素晴らしいなぁ。新装ジャケ&ボートラ&リマスターを施した19年リイシュー☆
ブラジルというより北欧に通じる透明度の高いリリシズムに溢れたメロディ、美声のハイ・トーン・ヴォーカル。ムーン・サファリばりのコーラス・ワークも良いし、これはメロディ好きにはたまらない名作!
ブラジルの名シンフォ・バンドBACAMARTEのフルート奏者が参加する新バンド!初期キャメルと重厚なバロック音楽が融合したようなスケール溢れるシンフォニック・ロックが凄い…。
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初期PFMへのリスペクトに溢れた、雄大でスケール大きいキーボード・シンフォが感動的だなぁ…。なるほど、あの70sブラジルのプログレ・バンドMODULO 1000のkey奏者によるグループなのか。
リリカルで流麗な南米プログレとヴィンテージな英国オルガン・ロック&ジャズ・ロックの邂逅!?ブラジルの新鋭グループによる18年作なのですが、これは往年の英ロック好きにもチェックして頂きたいユニークな逸品!
容易に何々風と例えられない独自の芸術的センスを発散するブラジル産シンフォ作。アヴァン・シンフォと呼ぶべき、緊張感とセンスみなぎる力作!
2人だけで作っているとは思えないほどの豊かな広がりを持つスケール大きなサウンドが圧巻の、ブラジル男女ユニット。爽やかな美声女性Vo、D.ギルモアとA.ラティマーが合体したような渾身のギターなどグッとくるポイントだらけ!
その注目男女シンフォ・ユニットが、敬愛するRUSHを全編カバーしたトリビュート18年作!アレンジはオリジナルに忠実ながら、ドリーミーなギターワークや艷やかな女声ヴォーカルが新鮮に響く好カバーが揃っていて、コレは良いです♪
3人のクラリネット/サックス奏者を擁するブラジル産ジャズ・ロック・バンド、芳醇な管楽器の音色に包まれた瀟洒で小粋な歌ものジャズ・ロック、オススメです!
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70年代に欧州を中心に世界中へと拡散したカンタベリー・ロックの影響。現代のバンドにもその音楽性は引き継がれカンタベリー・タイプの新鋭を数多く誕生させています。実力派揃いでお送りいたしましょう♪
優美でファンタスティックなパートとザクザクとアグレッシヴなパートとが見事なコントラストを描く南米シンフォ新鋭・・・なんですが、女性ヴォーカルはまるで英フォークのような気品☆
同郷ブラジルのSAGRADOをよりハード&アグレッシヴにしたかのような傑作ハード・シンフォが登場!重量感たっぷりの力強いアンサンブルの中をあまりにも壮麗なヴァイオリンが舞う、その気高き演奏に思わず息をのむこと必至!
フュージョンをベースに、カンタベリー・ミュージックの歌心を加えて、ジェフ・ベックがゲスト参加したようなバンドをブラジルはサンパウロで発見!充実の09年デビュー作!
このブラジル新鋭、決してテクニックで派手に畳み掛けるタイプではないのですが、起伏ある劇的な曲構成の妙と叙情的な表現力に長けた演奏が大変見事。同郷のTEMPUS FUGITあたりが好きならきっと楽しめる爽やかなインスト・プログレの快作!
クリムゾン、ヘンリーカウ、キース・ティペット、オーネット・コールマンから影響を受けたブラジルの新鋭トリオとは!ギタートリオ編成で聴かせるフリーフォームなインスト・プログレ好盤。
カンサス的プログレ・ハードなパートとキャメル的幻想パートとがめくるめくアンサンブル、実に良いなぁ。このブラジル産シンフォ、キャッチーなプログレのファンは間違いなくグッとくるはず!
ブラジル出身のキーボード奏者による15年作。ただし南米というよりは、ユーロロック的なロマンティックなタッチで美しくメロディを紡いでいくシンフォニックな作風が魅力。70年代の録音と言われても全く不思議には感じないほどの、驚くべき再現度を誇る力作です!
アンデス・フレイヴァーあるフルートとメタリックなギターとの見事な対比!70年代の南米シンフォニック・ロックのエッセンスはそのままに、HR/HM的な切れ味を加えたサウンドは唯一無比。
気になる作品が見つかれば幸いです☆
ブラジリアン・シンフォの歴史に輝く83年の名盤で知られるBACAMARTEのフルート奏者Marcus Moura、90年代以降のブラジルを代表するシンフォ・バンドQUATERNA REQUIEMのドラマーClaudio Dantasらが結成したバンドによる2017年デビュー作。フルートとギターがリードするCAMEL直系のメロディアスなシンフォニック・ロックに、BACAMARTEやQUATERNA REQUIEに通じるクラシック音楽/バロック音楽の典雅さ格調高さを加えた、構築性に富んだ壮大過ぎるサウンドが圧巻!リリカルで少し陰影がかかった美しい音色のフルート、アンディ・ラティマーを受け継ぐ一音一音から叙情が零れ落ちるようなエモーショナルなギターが紡ぐCAMEL愛たっぷりのアンサンブルと、バックで響く分厚いシンセ、オルガン、ピアノなどのキーボード群が演出するバロック音楽の厳粛な音世界が重なり合う音楽性に、シンフォ・ファンならば興奮しっぱなしでしょう。特筆は何と言っても52分に及ぶ大作組曲。キーボードもアンサンブルに加わり、テクニカルな疾走パート、芳醇に広がるシンフォ・パート、典雅な味わいの中世音楽パートを行き来しながら巧みに描き出されるスケール溢れるシンフォ絵巻があまりに素晴らしい。BACAMARTE、QUATERNA REQUIEM両バンドのファンは勿論、初期CAMELファンにも是非オススメしたい一枚!
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ブラジル産新鋭シンフォ・バンドによる12年作。タイトかつテクニカルに走るリズム・セクションの上を、へヴィーに唸るギターと力強いオルガン、シンセが駆け抜ける骨太なシンフォニック・ロック。そして何より素晴らしいのが天空を舞うかのように鳴らされるヴァイオリンで、ギター、キーボードと絡み合いながら高みへと登りつめていくアンサンブルは、もう見事と言うほかありません。まるで同郷のシンフォ・バンドであるSAGRADOをよりアグレッシヴに仕立て上げたかのようなハイクオリティの楽曲の数々にノックアウト間違いなしの傑作に仕上がっています。これはシンフォ・ファンには是非ともおすすめな一枚です。
2014年に始動した男性ギタリスト/マルチ奏者と女性ヴォーカリストによるブラジル産シンフォ・プロジェクト、待望の19年作!前17年作『WHAT I FOUND』も2人とは思えない驚くべき豊かさを内包した名品でしたが、本作も息をのむほどに静謐で幻想的な音世界が待っています。シンセ&オルガンがうっすらと幻想のベールを広げると、A.ラティマーとS.ロザリーの中間にいるような泣きのフレーズ満載の美麗ギターが舞い、スッと胸に染み入る透明感いっぱいの美声ヴォーカルが囁くように歌います。ゆったりとしたテンポのナンバーが主ですが、前作以上にロマンティックで丹念に紡がれていく優美な作品世界にじっくりと浸りたい逸品。傑作です。
2014年に始動したギタリスト/マルチ奏者と女性ヴォーカリストによるブラジル産シンフォ・プロジェクト、18年作。彼らが敬愛するバンドRUSHに捧げたトリビュート作品となっています。アレンジ自体は原曲に忠実と言えますが、ギターの響きに顕著な持ち前のドリーミーな感覚、そして艷やかな女声ヴォーカルによって丹念に紡がれるRUSHナンバーの数々が新鮮です。「Limelight」に始まり「Closer To The Heart」「Nobody’s Hero」「Tears」「Here Again」など14曲を披露。RUSHに対する素直なリスペクトが感じられる好カバー作!
ブラジルはサンパウロ出身のコンポーザー&マルチ・インストゥルメンタル奏者。2013年のデビュー作に続く2015年作2nd。サウンドを端的に言えばクリアで壮麗。瑞々しい響きの流麗なピアノ、澄んだトーンで広がるキーボード、ブラジルというより北欧に通じる透明度の高いリリシズムに溢れたメロディ、美声のハイ・トーン・ヴォーカル、澄み渡るコーラス・ワークが印象的です。キーボードとメロディはどこまでも詩情たっぷりですが、リズム隊とギターにはモダンなシャープさがあり、キレのあるリズム・チェンジ、ザクザクとエッジの立ったギター・リフでメリハリを生むとともに、全体に透明度を上げているのも特筆。硬質な部分は、メキシコのCASTも彷彿させます。圧倒的な澄んだメロディ、クリアな中にも南米らしい生命感が宿ったアンサンブルとが絶妙に同居した伸びやかなシンフォニック・ロック名作です。
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