2021年12月30日 | カテゴリー:50周年記念連載企画「BACK TO THE 1971」,世界のロック探求ナビ
今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画です。
ビートルズの活躍を中心としてロックに多様な表現が生まれた1960年代が幕を下ろし、60年代の残り香漂う1970年を経て、いよいよ新たな時代へと目を向けた作品が生まれていったのが1971年という時期。
英米ロックの名作はもちろん、欧州各国の重要作品も取り上げて、各作品の誕生日または誕生月に記事をアップしてまいります。
この機会に、ロックが最もまばゆい輝きを放っていた時代の作品達にぜひ注目していただければ幸いです。
それでは皆で、BACK TO THE 1971 !!!
今年2月からスタートしたこの企画も、ついに最終回となりました…。
今回も1971年12月に誕生したアルバムをご紹介してまいります。
まずは、プログレッシヴ・ロックの王者によるこのアルバムから!
前月11月は、5大プログレのうち4バンドの作品が揃い踏みした凄い1か月でしたが、12月3日には最後の1バンドであるキング・クリムゾンが満を持してアルバムをリリースしています。
そのアルバムが4th『アイランズ』。
衝撃の69年デビュー作でロック・ファンの度肝を抜き、2nd・3rdでは静謐な表現をより磨き上げ底知れぬ深みを持つ唯一無二のサウンドを提示したキング・クリムゾン。
そしてこの4thではついに全てを静観するような達観した境地にまで至ります。
ピート・シンフィールドの紡ぐメッセージを優しく歌い上げるボズのヴォーカル、そして空間を彩るようにジャケット通り宇宙的な広がりを見せるサウンドに惹き込まれます。
シンフィールドは本作をもってバンドを離れ、ロバート・フリップは解散を宣言し、次作「太陽と戦慄」まで束の間キング・クリムゾンは休眠。
バンド崩壊ギリギリだからこそと言える輝きが感じられる、彼らの作品の中でも最も儚く美しい名盤です。
続いては、大英帝国ポップを象徴するこのバンドの記念すべきデビュー作が登場!
ロイ・ウッドとジェフ・リン。稀代のポップ・クリエイター2人とドラマーBev BevanがTHE MOVEに続き結成したのがELOです。
後には70~80年代にかけてを代表するポップ・グループとして活躍する彼らの出発点ではる本作では、「世界最小のオーケストラ」という異名をまさに体現する珠玉のオーケストラル・ポップを鳴らします。
ギター/ベース/キーボード/パーカッションなどロックの基本的な楽器を使いこなすジェフ・リン、そしてオーボエやチェロをはじめとする何種類もの管弦楽器を操るロイ・ウッド。
2人のメロディセンスとマルチ・プレイヤーとしての才覚がTHE MOVE時にも増して発揮されている名盤です!
ユーロ・シーンからも2作品をピックアップ!
ハンガリー出身元OMEGAのKey奏者Presser Gaborによるグループ、71年作1st。
英国ロックからの影響を強く感じさせるブルージーなオルガン・ハードが持ち味。
荘厳に鳴り響くオルガンと情熱的にむせび泣くブルース・ギターにはPINK FLOYDを、重く引きずるようなオルガン・サウンドと幻想的なコーラス・ワークにはURIAH HEEPを、疾走するクラシカルなオルガンとヘヴィ・リフを刻むギター・リフにはDEEP PURPLE、SPOOKY TOOTHを思い起こさせます。
英国ロック・ファンならきっとニンマリな作品ですよ!
デンマーク・プログレの代表格SECRET OYSTERの母体となったバンドによる3rdアルバムとなります。
67年にコペンハーゲンで結成されたバンドで、本国のほか、ドイツやイギリスでも人気を得るなど、北欧初の国際的な評価を得たと評されるのが彼らです。
あのジョン・ピールに気に入られ、英ダンデライオン・レーベルからリリースされた作品で、後ノリのタイトなドラム、よく動くベースによるハード・ドライヴィングかつふくよかなリズム隊、くすんだトーンのハモンド・オルガン、北欧らしく尖ったトーンのエレキ・ギターをバックに、エモーショナルなヴォーカルが熱く歌い上げ、ここぞではフルートのリードが炸裂するサウンドは、同時期の英ロック勢も顔負けの迫力を誇ります。
INDIAN SUMMERやGRAVY TRAIN、そしてURIAH HEEPも彷彿させる、英国のオルガン&フルート入りロックがお好きならマストな一枚です。
いかがだったでしょうか。
これで71年リリースの主要なロック/プログレ作品は一通りご紹介できたのではないかと思います。
特にプログレはここからどんどん各バンドの最高傑作が生まれてくる成熟期に入っていきます。
本企画はここで終了となりますが、是非リリース年に注目してロック探求を楽しんでみていただきたいところです。
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今回は番外編、71年に生まれたユーロ・ロック作品を見てまいります。英米でロックが成熟していったこの時期に欧州各国ではどのような作品が誕生していたのか、是非チェックしてみてください!
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。サード・アルバム『リザード』をリリース後に、ベース・ヴォーカリストGorden HaskellとドラマーAndy McCullochが脱退。1971年に発表された4thアルバム『アイランズ』は、ベース・ヴォーカリストBoz(Boz Burrell)とドラマーIan Wallaceを迎え制作されました。ゲスト・ミュージシャンは、前作『リザード』にも参加のジャズ・ピアニストKeith Tippett、コルネット奏者Mark Charig、オーボエ奏者Robin Millerに加えて、ダブル・ベース奏者Harry Millerと女性オペラ歌手Paulina Lucasが新たに参加しています。本作は、いて座三裂星雲のジャケットが示す通り「静寂」あるいは「静謐」といったワードが相応しい神秘的なサウンドが展開される傑作。KING CRIMSONらしいヘヴィネスが炸裂する『船乗りの話』のような楽曲も収められていますが、全体的にアコースティック楽器に比重が置かれています。Keith Tippettらは言うまでもなく、Harry Millerの浮世離れしたダブル・ベースや、Paulina Lucasの魔術のようなソプラノ・ヴォイスも楽曲に素晴らしいアクセントを加えています。本作を発表後、Peter SinfieldがRobert Frippと対立し解雇、さらに残る3名も音楽性の違いが明確になりKING CRIMSONは解散。Robert Frippは再始動に向けて新たなメンバーを探すことになります。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ステッカー付き仕様、英文ブックレット・内袋付き仕様、定価2500+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
紙ジャケット仕様、24ビット・リマスター、カラーブックレット・歌詞対訳付仕様、日本盤のみピュア・ゴールドCD・ノンコート紙使用、定価2300+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
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