2021年3月31日 | カテゴリー:50周年記念連載企画「BACK TO THE 1971」,世界のロック探求ナビ
今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画です。
ビートルズの活躍を中心としてロックに多様な表現が生まれた1960年代が幕を下ろし、60年代の残り香漂う1970年を経て、いよいよ新たな時代へと目を向けた作品が生まれていったのが1971年という時期。
英米ロックの名作はもちろん、欧州各国の重要作品も取り上げて、各作品の誕生日または誕生月に記事をアップしてまいります。
この機会に、ロックが最もまばゆい輝きを放っていた時代の作品達にぜひ注目していただければ幸いです。
それでは皆で、BACK TO THE 1971 !!!
バングラデシュ(東パキスタン)の独立や軍事政権下のアルゼンチンにおける政変など、世界各地で国を揺るがす事件が勃発した1971年3月。実はロック・シーンでもいくつかの歴史的イベントが起きていました。
3月5日に北アイルランドのベルファスト公演にてレッド・ツェッペリンによるロック史上の最重要曲「Stairway to Heaven」が初披露され、アメリカでは12~13日にかけオールマン・ブラザーズ・バンドによるあの伝説的なフィルモア・イースト・コンサートが開催されています。(発売は7月)
また、28日には、ビートルズも出演したアメリカの名物TVショウ「エド・サリヴァン・ショー」の最終回が放送され、アメリカン・ポップス史の一時代にピリオドが打たれた月でもありました。
そんな71年3月に生まれた名盤を見てまいりましょう!
今回メインでご紹介する3枚の中で唯一リリース日が判明しているのが、3月19日にリリースされた英国プログレの歴史に深く名を刻むこのアルバムです。
農業の際に畑の地中に種子を埋めるのに使用される農具シードドリルを発明したことで知られる17世紀の農学者から名を取った英国のバンドがJETHRO TULLです。
オリジナル・ギタリストMick Abrahams在籍時にリリースされた69年1stこそ時代らしい味のあるブルース・ロック作品でしたが、フルートも操る奇才ヴォーカリストIan Andersonがリーダーシップを執って以降、その本領を発揮。
ブルース・ロック、フォーク・ロック、ハード・ロックなど多彩なジャンルを行き来しつつ、演劇性を持つ演奏と楽曲展開によって英国随一の個性派プログレとして名を馳せました。
『AQUALUNG』は彼らの4作目となった作品で、前作で萌芽したプログレッシヴな感性が一気に炸裂した彼らの全盛期の到来を告げた傑作。ヘヴィかつキャッチーなギターワークのハード・ロッキンなナンバーとトラッド色を帯びたリリカルなナンバーを主体としていますが、出来上がった作品はプログレッシヴ・ロックと呼ぶほかない仕上がり。
強烈な存在感のヴォーカルとフルートを披露するIan Andersonのエネルギーにひたすら圧倒されます。
詳細はこちらの特集記事でお楽しみください♪
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今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画、それでは皆で、「BACK TO THE 1971 !!!」
英国からはもう一枚、かなりの重要作品が発表されていますね。
FAIRPORT CONVENTIONの初期4作品に参加したベーシスト/ヴォーカリストAshley Hutchingsが、同バンド脱退後の69年によりトラッド・ミュージックを追求する目的で結成したのがSTEELEYE SPANです。
Tim HartとMaddy Prior、Terry Woods & Gay Woodsという2組の夫婦フォーク・ユニットがHutchingsのもとで統合、凛としたアコースティック・アンサンブルとしなやかな躍動感をもつエレクトリック・アンサンブルを融合させたサウンドの上で男女ヴォーカルが美しく調和する、FAIRPORT以上に芳醇なエレクトリック・トラッドを奏でました。
そんな彼らの2ndアルバムが71年3月にリリースされています。アルバム詳細は特集記事をどうぞ♪
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第4回目は英国エレクトリック・トラッドの傑作、STEELEYE SPANの『PLEASE TO SEE THE KING』をピックアップ!
前月2月はCANの名盤『TAGO MAGO』が発表されましたが、3月にはCANに並ぶジャーマン・プログレの雄が2ndアルバムをリリースしています。
ジャーマン・ロックを代表する鬼才ミュージシャンEdgar Froeseを中心に結成され、シンセサイザーやアナログ・シーケンサーといった電子機器を巧みに使用しメディテーショナルなジャーマン・エレクトロ・サウンドを生み出した孤高の名グループ。
前年のデビュー作では、のちにジャーマン・シーンの中核ミュージシャンとなるKlaus SchluzeやConrad Schnitzlerを擁し、ギター、オルガン、チェロ、フルート、ドラムスらがテンション高くぶつかり合うアヴァンギャルドなフリーインプロヴィゼーションを聴かせていました。
その2人が脱退したのち、71年にOHRレーベルからリリースされたのがこの2ndです。
本作で初めてシンセサイザーが導入されたことにより、その後のバンドの方向性を決定づける事になった作品であるばかりでなく、現在まで続くジャーマン・エレクトロの潮流の源泉としても極めて重要な意義を持つ作品と言うことが出来るでしょう!
最後に、ちょうど在庫がありましたので海を渡ってオーストラリアからも3月に発表された名盤をおまけピックアップ☆
オーストラリアと言ったら何と言ってもAC/DC、プログレならセバスチャン・ハーディが著名ですが、71年3月1日にこんな注目に値する作品が生まれていました。
メルボルン出身のグループが、オーストラリアHARVESTからリリースしたデビュー・アルバム。
基本的にはブリティッシュナイズドされたオルガン・ロックなのですが、R&Bやジャズのエッセンスが感じられるくすんだトーンのオルガンと叙情性が滲み出る憂いあるギターが印象的で、ふくよかで奥行きのあるアンサンブルからはかなりの音楽的センスを感じさせます。
もっとカッコいいジャケットが付いていたら、オージー・ロック黎明期の名盤として日本のロック・ファンにも知れ渡ったかも。
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