2021年2月28日 | カテゴリー:50周年記念連載企画「BACK TO THE 1971」,世界のロック探求ナビ
今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画です。
ビートルズの活躍を中心としてロックに多様な表現が生まれた1960年代が幕を下ろし、60年代の残り香漂う1970年を経て、いよいよ新たな時代へと目を向けた作品が生まれていったのが1971年という時期。
英米ロックの名作はもちろん、欧州各国の重要作品も取り上げて、各作品の誕生日または誕生月に記事をアップしてまいります。
この機会に、ロックが最もまばゆい輝きを放っていた時代の作品達にぜひ注目していただければ幸いです。
それでは皆で、BACK TO THE 1971 !!!
有人宇宙飛行機アポロ14号が史上3度目の月面着陸に成功したことで世界中が湧いた71年2月。ちょうどそれと同日の2月5日にリリースされたのがこのアルバムでした。
67年に、ムーディ・ブルースがオーケストラを全面的に取り入れたアルバム『Days Of The Future Past』を発表しプログレッシヴ・ロックの最初の一歩が踏み出されて以来、ロックとオーケストラの共演というスタイルはプログレを象徴するものの一つになりました。
その潮流の中でBJHもまた、オーケストラをフィーチャーしたシンフォニックなサウンドによって70年にデビューアルバムを発表。同路線のアプローチで楽曲の完成度とオーケストラとの融合度を高め、セールス的にも一定の成功を収めたのが『Once Again』でした。
「もう一度」というタイトルは、ほとんど売れなかったという1stアルバムのリベンジの意味合いも込められていたのかもしれません。自分たちの音楽スタイルに自信を持っていた事が窺えます。
彼らは本国だけでなくドイツなど欧州各国でも注目を浴び、次第に先輩格であるムーディ・ブルースとも比較される人気グループへと成長していきました。
そんな彼らの成功の起点となった意味でも本作の意義は大きかったと言えるでしょう。
アルバムについての詳細はコチラ!
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もう一枚、71年2月に誕生した英国ロックの重要なアルバムがあります。
60年代末、ジミ・ヘンドリックス、クリーム、レッド・ツェッペリン、ガン、バニラ・ファッジ、ブルー・チアーといったアーティスト達がブルース・ロックやサイケデリック・ロックのラウド化を成し遂げたことで、ハード・ロックという新たなロックの形が生み出されました。
英国において有力なハード・ロック・バンドと目されていたのが、前述のレッド・ツェッペリン、70年に1stアルバムをリリースしたブラック・サバス、70年の4th『In Rock』で本格的にハード・ロック・サウンドを打ち出したディープ・パープル、そして69年に結成されたユーライア・ヒープです。
昨年惜しまれつつ世を去ったキーボーディストKen Hensley(ex.GODS~HEAD MACHINE~TOE FAT)、「悪魔の叫び」とも評されるオペラチックで伸びのあるハイトーンと高い歌唱力を誇るヴォーカリストDavid Byron(ex.SPICE)、ワウ・ペダルを用いた豪快なプレイを特徴とするギタリストMick Box(ex.SPICE)らを中心に、プログレッシヴ・ロックの影響を強く受けたハード・ロックを打ち出し注目を集めました。
そんな彼らのプログレッシヴなハード・ロック・サウンドが存分に堪能できるのがこの71年2nd『SALISBURY』です。何より16分を越える表題曲が素晴らしく、オルガンとブラス・セクションが渾然一体となって迫りくる終始エネルギッシュで迫力満点のアンサンブルが圧巻。得意のワウを効かせ弾きまくるギター、オペラ風の荘厳なコーラスと哀愁のメロディーを勇壮に歌い上げるヴォーカルも見事な、ハード・ロック・ファンもプログレ・ファンも必聴の一曲となっています。
一方、ドイツではこのクラウト・ロック名盤が2月に誕生しています。
ベースのHolger Czukay、キーボードのIrmin Schmidtら大学で現代音楽・電子音楽を学んだ英才たちと、フリー・ジャズ・シーンでキャリアを積んでいたドラマーJaki Liebezeitらが中心となって、68年に結成されたカン。
それら各メンバーの素養を融合させサイケデリックなロック・サウンドへと落とし込んだ実験的アプローチによって唯一無二の音楽性を誇っただけでなく、後のパンク、ニューウェーブ、エレクトロニック・ミュージックに大きな影響を与えた功績でも伝説的と言えるグループです。
彼らにとって3枚目のアルバムとなった『TAGO MAGO』は、ヴォーカリストが初代のMalcolm Mooneyから日本人のヒッピー ダモ鈴木に交代し制作された最初の作品。無駄を削ぎ落したタイトなアンサンブルとダモ鈴木のヴォーカルが相まってパンクを先取りしたようなナンバーも多く、先鋭性という点では同時期の英国バンド達を凌駕していると言っていいでしょう。
既存の音楽の枠組みに捉われることなく、真にクリエイティヴであり続けたカンというグループの全盛期を象徴する一枚として、あらゆるロック・ファンに聴いてほしい重要作です。
アルバムについての詳細はコチラ!
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今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画、それでは皆で、「BACK TO THE 1971 !!!」
英国ロックのナイーブな叙情性とメロディアスで牧歌的なフォーク・ロック的メロディー・メイク、そして、オーケストラを加えた大掛かりな編成でダイナミズムとシンフォニック・ロック然とした音楽性を打ち出した、ブリティッシュ・プログレッシブ・ロック史に残る名グループの71年作2nd。初期の傑作とされる本作は非常に繊細で優しげなサウンドが心地良い名作であり、特にメロトロンを中心に幻想的に聴かせる手法など、前作からよりファンタジックな叙情を感じさせるサウンドへと変化。一方で後にTHE ENIDを率いるRobert John Godfreyのアレンジによるオーケストラはダイナミックにシンフォニックな彩りを放っており、彼らの個性が花開いた1枚となっています。
クラシック、実験音楽、ジャズ・フィールドのミュージシャンらが集結し68年に結成、「共産主義」「無政府主義」「虚無主義」の頭文字をバンド名に、パンク・ロックやニュー・ウェーヴ、エレクトロ・ミュージックにまでその影響を拡散させたドイツを代表するクラウト・ロックバンド。黒人ヴォーカリスト、マルコム・ムーニーが脱退し、代わりに日本人ヴォーカル、ダモ鈴木が加わり、71年にリリースされた3rd。
SPOONASA6/70724347369520(SPOON)
廃盤、特殊プラケース仕様、SACD/CDハイブリッド、デジタル・リマスター
盤質:傷あり
状態:良好
ケース不良、ケースにスレあり
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