2021年8月31日 | カテゴリー:50周年記念連載企画「BACK TO THE 1971」,世界のロック探求ナビ
今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画です。
ビートルズの活躍を中心としてロックに多様な表現が生まれた1960年代が幕を下ろし、60年代の残り香漂う1970年を経て、いよいよ新たな時代へと目を向けた作品が生まれていったのが1971年という時期。
英米ロックの名作はもちろん、欧州各国の重要作品も取り上げて、各作品の誕生日または誕生月に記事をアップしてまいります。
この機会に、ロックが最もまばゆい輝きを放っていた時代の作品達にぜひ注目していただければ幸いです。
それでは皆で、BACK TO THE 1971 !!!
71年8月には、ある歴史的音楽イベントが開催されています。
同年3月、バングラデシュがパキスタンからの独立を宣言した事に端を発する紛争によって生じた難民を救済するため、ジョージ・ハリスンの主催で8月1日に行われた「コンサート・フォー・バングラデシュ」です。
NYのマジソン・スクエア・ガーデンで開催されたコンサートには、ジョージと親交の深いアーティストが大挙参加。
リンゴ・スター、エリック・クラプトン、ビリー・プレストン、レオン・ラッセル、ボブ・ディランをメイン・アーティストに、そしてバンドとして、クラウス・フォアマン、ジェシ・エド・デイヴィス、カール・レイドル、ジム・ケルトナー、ドン・プレストン、バッドフィンガーの4人、ジム・ホーン率いるホーン・セクションという、ジョージ人脈をフル動員した面子が揃いました。
さらに、ラヴィ・シャンカール、アリ・アクバル・カーンらジョージがリスペクトするインド音楽の巨匠たちも冒頭で演奏を披露。
ロック・ミュージシャンによる初の大規模チャリティ・コンサートとして、のちのライヴ・エイドをはじめとして今日まで各地で行われている「チャリティ・コンサート」という概念を確立した功績は計り知れません。
それでは、そんな71年8月に生まれた名盤を見てまいりましょう!
まずは、8月14日にリリースされたこの名盤をご紹介♪
『Tommy』で史上初のロック・オペラを誕生させ、『Live At Leeds』でNYタイムズ誌に「史上最高のロック・ライブ・アルバム」と激賞され、乗りに乗っていた彼らが71年に送り出したのが本作。
アルバム冒頭、ミニマル・ミュージックの先駆者テリー・ライリーに影響を受けたというARPシンセサイザーの反復フレーズが鳴り響く展開に驚きますが、新たなスタイルを貪欲に取り込もうとするその開拓精神はかのビートルズにも引けを取らなかったことがここを聴くだけでも伝わってきます。
楽曲もこれまで以上にキャッチーで粒ぞろいであると同時に、ある種の余裕すら感じられる気もする、若々しさと風格を兼ね備えた名作と言っていいのではないでしょうか。
アルバムの詳細は個別記事でお楽しみください♪♪
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そんな『WHO’S NEXT』と同じ月に、カンタベリー・ロックの最高傑作のひとつが生まれていました!
ご存じカンタベリー・ロック・シーンを代表するグループの71年3rd。
淡くほのぼのとした曲調と、デイヴ・シンクレアのピリッとした緊張感をはらむオルガンワークを軸にタイトでテクニカルなインスト・パートとの対比は、これぞカンタベリー・テイスト。
そして鼻にかかったソフト・ヴォイスが牧歌的な音によく合うパイ・ヘイスティングス、そして陰影ある曲調で本領を発揮するジェントルかつノーブルな歌声のリチャード・シンクレア。二人のヴォーカルも初期キャラヴァン・サウンドになくてはならない要素です。
母体を同じくするソフト・マシーンの硬派なジャズ・ロック・サウンドと、このキャラヴァンが描くユーモラスで夢想的な音世界。どちらもカンタベリー・ロックの魅力をこれ以上なく雄弁に語ってくれていますよね。
本作も詳細記事でお楽しみいただければ幸いです☆
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今からちょうど50年前、1971年に産み落とされた名盤を取り上げて、その魅力に改めて触れてみようというのがこの企画、カンタベリー・ミュージックと聞いてまず初めに本作を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
ファンからは「英フォーク三種の神器」とも称されるうちの一枚が71年8月に誕生しています。
6面開きの特殊ジャケットも特徴的な、ブリティッシュ・フォークの傑作として愛される一枚ですね。
穏やかなアコースティック・ギターの調べをフルートやストリングスが彩る優美なアンサンブルに乗って、清楚で明るい声質の女性ヴォーカルが歌うどこまでも大らかで牧歌的なフォーク・ミュージックを堪能できます。
青空の下のどこまでも広がる草原をイメージさせる序盤~中盤、そして終盤は英国らしい陰影が演奏を覆って、それがまた素晴らしい叙情美を生み出しているんですよね。ホルスト「木星」を引用するなど作曲センスも光ります。
「英フォーク三種の神器」の中でも心にスッと染み入るようなクセのない素直な音楽性が魅力的な作品です。
最後の作品は、こちらのいぶし銀ブリティッシュ・ハード傑作!
後に鬼才アレックス・ハーヴェイのバンドに抜擢され、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドとして活躍するグループの71年作2ndアルバム。
前デビュー作の後半で聴かせたレッド・ツェッペリン彷彿のハード且つソリッドなハード・ロック・スタイルを全編で炸裂させた痛快無比なサウンドに痺れます。
特筆がギターのZal Cleminson。コシのある豊かな歪むのトーンはこれぞブリティッシュでカッコ良すぎるし、タメの効いたリフ、前のめりのアグレッシヴなソロともに、本当にプレイが冴えに冴えています。
ピエロメイクで豪快に弾きまくるSAHB時代、そして名バンドのナザレスでも活躍していくその才覚が早くも確認できる名作です。
いかがだったでしょうか。
今からちょうど半世紀前にあたる71年8月もブリティッシュ・ロックの名盤群が多数生まれていましたね~。
1971年9月はいったいどんな名盤が誕生していたのか、来月もどうぞお楽しみに!
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SOFT MACHINEと同じWILDE FLOWERSを母体にRichard Sinclairらによって結成されたグループであり、カンタベリー・ジャズ・ロックシーンを代表するグループの71年3rd。彼らの代表作との評価も高いその内容は、淡いサイケデリック・ロックの質感と、Richard Sinclairの甘く響くボーカル、Dave Sinclairの各種キーボードによるマイルドなアンサンブルが上質に響くカンタベリー・シーン屈指の名盤であり、英国然とした湿り気を帯びた雰囲気とSOFT MACHINEよりもポップ且つメロディアスな音楽性が素晴らしい1枚。20分超の大作も採用し、プログレッシブ・ロックならではのスリリングなインタープレイを見せ付けながらも、やはりナイーブでセンチメンタルな叙情に溢れた傑作です。
本作は、71年に発表されたWHOの第5作目。冒頭曲の「BABA ORILEY」は反復するシンセサイザーのフレーズが印象的ですが、これはミニマル・ミュージックの先駆者、Terry Rileyからの影響を受けたもの。このことからも、彼等がモッズ・バンドとしてキャリアをスタートさせ、その後、前作の『TOMMY』で確立させたロック・オペラの先へと遥かな音楽的変遷の中を果敢に前進していたことが、端的に伺えます。シンセサイザーの大胆な活用や、長尺曲が並ぶ事からも、ある種プログレッシヴな方法論を取り入れているとも言えるでしょう。元々は未完に終わった『ライフ・ハウス』というプロジェクトの元で録音されていたものですが、無限の宇宙や自然にまで言及して行く詩の世界も含めWHOの新境地でもありました。
SHM-CD、マスター:1995年リミックス、ボーナス・トラック7曲、定価1851
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無
DELUXE EDITION、デジパック仕様、2枚組、03年デジタル・リマスター、スリップケース付き仕様
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースに黄ばみあり
英国はグラスゴー出身。後にアレックス・ハーヴェイと出会い、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドへと発展するグループ。71年作の2nd。デビュー作は、前半はアコースティカルに、後半はツェッペリンを意識したハードなサウンドを聴かせていましたが、この2ndは、そのハードな部分を推し進めたソリッドかつ鋭角なナンバーで占められています。ドラムにEdward Ted McKennaが加入。ベースのChris Glenとともに、鉄壁のリズム隊を構成(2人とも後にMSGで活躍)。ツェッペリンにも比肩するような重量級リズムを轟かせています。そして、何と言っても、ギターのZal Cleminson!コシのある豊かな歪むのトーンはこれぞブリティッシュでカッコ良すぎるし、タメの効いたリフ、前のめりのアグレッシヴなソロともに、本当にキレまくっています。クリームばりのブルース・ハードからツェッペリンの「コミュニケーション・ブレイクダン」を彷彿させるアグレッシヴなナンバーまで、圧倒的な音量とスピード感で畳みかける逸品。英国臭をぷんぷん振りまくスモーキーなヴォーカルと憂いあるメロディも特筆です。英ハード屈指の名作!
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