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【リスナー寄稿記事】「The Tremeloes / May Morning」 CD Review ~ A Hidden Gem of Psychedelic Pop (サイケポップの埋もれた傑作)

寄稿:ひろきさんさん

コラム「やはりロックで泣け!」でお馴染みのカケレコ・ユーザー「ひろきさんさん」様より、今回はCDレビュー記事をご投稿いただきました。日本ではなかなかスポットが当たらない英グループThe Tremeloes、その70年録音アルバム『May Morning』について、彼らの経歴や豆知識的情報も交えてご紹介いただいております。お楽しみいただければ幸いです!




カケレコさんのwebsiteを訪れるのは私にとってはほぼ日課になっています。最大の楽しみは「本日入荷CDリスト」を見ながら、新しい発見をすることです。70年代前後の音楽に関しては自分でもかなりの情報を持っていると思っているのですが、時々「新しい発見」があります。The Tremeloesはなんと結成が1958年です。いわゆるDecca auditionでThe Beatlesを退けたbandとして有名ですが、その後の活躍という点では大きく差がついてしまいました。彼らの人気を決定づけたのは、やはり”Silence is Golden”だと思います。この曲は元々、Four Topsのオリジナルですが彼らのversionの方が様々な面で洗練されています。この曲は美しいメロディに分厚いコーラスが絡み、まさに夢心地の雰囲気を醸し出しています。日本でも相当ヒットしたのを覚えています。しかし時代が70年代に入っていくと、heavyな音楽が好まれるようになり、いわゆるTremeloes, Herd, Marmaladeのようなpop rock bandの勢いが失われていきました。言い換えれば、70年代に入ると新しい音楽表現を行うartistsに注目が移り、いわゆるsingle hitを意識して音楽活動を行っていた従来型のartistsの方向性を凌駕する動きが加速しました。

Silence is Golden

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そのmovementの中で録音されたのがThe Tremeloesの”May Mornig”というわけです。正確には1970年、2月には録音が終了していました。しかしながら当時、このalbumの発売は見送られました。理由としては、時代がこのタイプの音楽を求めてなかったからだと思われます。このalbumはJane Birkin主演、イタリア映画”May Morning”のサントラ盤という位置づけです。発売されたのは実に30年後の2000年でした。私は基本、CDを買うと決めた時点で、YouTube等で内容を確認しないようにしています。変な言い方ですが最初の出会いを楽しみにしているからです。

結論から言いますと、「正解!」でした。サントラといえば一般に小作品やinstrumentalの作品群で構成されている印象を持っていました。しかし”May Morning”はそれぞれの楽曲レベルが高く、これがサントラとは信じがたいできばえです。Tremeloes、単独アルバムに匹敵するレベルくらいの内容になっています。またこのCDに付随するliner notesで驚きの事実が判明しました。3曲目の”Till the Sun Goes Down”ではmellotronが使われています。これはbassistであるChip Hawkesが当時”Idle Race”にいたJeff Lynnから£500で購入したもので、なんとそのmellotronはまさに”Strawberry Fields Forever”で使用されていたものであるということです。もちろんこの曲もすばらしく感動的な味わいを持っています。 彼らはprofessional musicianの集まりなので音楽的な部分に関しては全く申し分ありません。今聞いても楽曲の基本であるメロディ、コーラス、および演奏力がしっかりしているので古臭さを感じることは全くありません。The Tremeloes、彼らの活動はまだ終わっていません。Chip HawkesとMick Clarke の二人が1967年にbandの中心となってから、現在においても活動を継続しているのはうれしい限りです。カケレコさんのおかげでこのようなすばらしいrareなalbumに巡り会えたことを感謝します。

Till the Sun Goes Down

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最後に少し付け加えたいことがあります。rock bandのサントラ盤といえばまず思いつくのがPink Floyd “More”ではないでしょうか。一般にこのアルバムの評価は高くないようです。しかし個人的にはこのアルバムを最も好んでいます。特にA sideは素晴らしい作品が多く、何度聞いても飽きません。”The Nile Song”, “Green Is the Colour”, “Cymbaline”, “Cirrus Minor”等の完成度はきわめて高いと思います。B sideはややインパクトに欠けますがA sideの充実ぶりがこのアルバムの価値を高めています。

ついでにKinksの”Percy”も取り上げたいと思います。このアルバムこそKinks最大の駄作と断言している方も少なくないようですが、私は少し見方が異なっています。確かに全体を聞いてみると散漫な印象は否めないのは事実です。しかしサントラはこのようなものだと割り切って考えれば納得が行くのですが、このアルバムが輝いているのはkiller tunesの一つである”God’s Children”と”The Way Love Used to Be”が含まれているために侮れないものとなっています。特に自分のなかでは”God’s Children”は1日中、ずっと聴き続けても全く飽きることがない超名曲だと断言できます。

He(Ray Davis)commented in 2023, “I’ve always loved it, the lyric, and the melody, the whole concept”. Kinks organist John Gosling regards “God’s Children” as one of his three favorite Kinks’ songs.

(訳)彼は2023年にこの曲についてコメントしました。「私はこの曲をずっと気に入っています。とくに歌詞、メロディ、及び全体のコンセプト(概念)です。」またKinksのオルガン奏者のJohn Goslingも「キンクスの楽曲のの中で最も好きな3曲のうちの一つである」と、みなしています。

このアルバムもカケハシレコードさんから購入し、今でも愛聴盤の一つとなっています。 これまで自分の中でbest albumと言えば全ての作品がベストなもので成り立っているという風にとらえていましたが、最近はそのこだわりがなくなりつつあります。1曲でも好みの曲に出会えると、気持ちが満たされるようになってきました。まだまだ埋もれている作品があると思います。カケレコさんにさらに期待をしています。


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