2020年10月30日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
プログレ、ハード・ロックを問わず、70年代ロック・ファンの心を魅了して止まないのが、荘厳に鳴り響くハモンド・オルガンの音色。
そんなオルガン・マニアの皆様に、ヴィンテージなハモンドの音色をフィーチャーしたイチオシの新鋭グループ達をご紹介してまいります!
まずは注目の新譜から。
現イタリアン・プログレの雄による20年作6thなのですが、これはブリティッシュ・プログレ好きにも超オススメしたいです!
冒頭3分から、EL&Pの「タルカス」をイタリアの煮えたぎる情熱でアレンジしたような歪んだオルガンの音色が溢れ出してきて圧巻!
こちらはまるで、YESと北欧トラッドが出会ったかのよう!?
YES憧憬の飛翔感あるファンタジックな演奏と、北欧由来の神秘的なメロディの組み合わせが素晴らしすぎ…。ノルウェー屈指の実力派新鋭による20年作5th!
躍動感に満ちたオルガンと瑞々しいヴァイオリンのアンサンブルがたまらないなあ。ミラノ出身バンドによる4thなのですが、これはお見事。
P.F.M、LE ORME、BANCOなど自国のレジェンドからの影響と、00sバンドらしいスタイリッシュなサウンドメイクが絶妙に調和、これでもかとドラマチックなシンフォを聴かせてくれる快作!
こちらもイタリアの20年作。UNREAL CITY、CELLAR NOISEという現イタリア屈指の有力バンドのメンバーらが結成した期待の新鋭バンド!
バンコやムゼオら70s伊プログレを受け継ぐ、オルガンとメロトロンを軸にした哀愁のクラシカル・プログレは洗練されつつも風格に満ちていますね。
まだまだご紹介してまいりますよ~。次はカンタベリー・ロックやVertigoオルガン・ロック・ファン注目のこの逸品!
キャラヴァンやハットフィールドなどのカンタベリー・ロックやVertigo産オルガン・ロックなど、70年代英国のDNAをこれでもかと受け継いだヴィンテージなサウンドがたまりません!
70’s英国への憧憬をたっぷり含んだイタリア新鋭、18年作。
ヴィンテージなオルガン・インストゥルメンタルと、踊れるオルタナティヴ・ロックが融合したみたい・・・!?
60年代サイケやモッズを思わせる丸みのあるオルガンとキレのあるギターが織り成す、グルーヴィーでちょっぴり怪しいアンサンブルが良いなあ。
イタリア産個性派オルガン・ロック新鋭による19年作!
リリカルで流麗な南米プログレとヴィンテージな英国オルガン・ロック&ジャズ・ロックの邂逅!?
ブラジルの新鋭グループによる18年作なのですが、これは往年の英ロック好きにもチェックして頂きたいユニークな逸品!
次はカンタベリー色たっぷりのオルガン入り新鋭をまとめてご紹介!
冒頭からキャラヴァン「GOLF GIRL」を想い起こさずにはいられないほのぼのカンタベリーサウンドが飛び出してきてビックリ!
動画からもキャラヴァンや70年代英ロック・バンドへの憧憬が滲み出ている、英新鋭プログレ17年作!
このノルウェー新鋭18年作、ポスト・ロック meets 初期キャラヴァン!?
知的でシャープな演奏と70年代的な人懐っこいメロディを同居させるセンスが凄いです・・・。ずばりキャラヴァン・ファンは必聴。
こちらはフランス新鋭の18年作。まるでナショナルヘルスとクリムゾンを融合させたような、エレガントかつテンションみなぎるアヴァンプログレが実に痛快!
デイヴ・スチュワートを思わせるオルガンに大胆に主旋律を奏でるメロトロン、ロバート・フリップを思わせる歪んだギター等が時に強靭に時にユーモラスにと表情を変えながらアイディア豊富な展開を繰り出していて、聴いていてワクワクが止まりません!
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イスラエルの4人組プログレ・グループ、ソ連崩壊後に宇宙ステーションに取り残された宇宙飛行士の孤独をコンセプトに据えた18年デビュー作。イスラエルというとSHESHETやKTZAT ACHERET(NO NAMES)などのテクニカルかつ清涼感溢れるジャズ・ロックを想像するかもしれませんが、彼らの場合はPINK FLOYDやCAMELといった英国プログレ、またELOYやNEKTARなどメロディアスなジャーマン・シンフォからの影響も感じさせる叙情的で暖かみに満ちたサウンドが特徴。アンディ・ラティマーやデヴィッド・ギルモアを彷彿とさせる伸びやかで澄んだトーンのギターに、ヴィンテージ感漂うオルガンやムーグ・シンセ、哀愁たっぷりのメロトロン、カンタベリー・ロックにも通ずるリリカルなエレピ…と折々で違った表情を見せるキーボード。シンプルながらもイスラエルらしい流麗さと透明感で彩られたアンサンブルが織り成す、コンセプト通りのスペーシー&メランコリックな音世界は、70年代叙情プログレ&シンフォ・ファンなら間違いなく胸打たれてしまうことでしょう。美しいジャケも含め、どこまでも鮮やかなイマジネーションに満ち溢れた傑作です。
現ノルウェーを代表するシンフォニック・ロック・グループ、前作より3年ぶりとなった2020年作5th。行進曲のように勇壮なリズム・セクションに乗って、クラシカルなオルガンとシャープなトーンのギターが疾走し、メロトロンと透明感あるコーラスがあふれ出す。この攻撃性と哀愁が入り混じるオープニングで早くも傑作を確信します。特にオルガンは全編で良い音で鳴りまくっていて堪りません。ジョン・アンダーソンを強く意識した高らかでデリケートなヴォーカルが歌う北欧由来の厳かで神秘的なメロディも素晴らしく、これはまるでYESと北欧トラッドが出会ったかのようなサウンドと言えちゃいそうです。YES影響下の飛翔感あるファンタジックな演奏で突き進む2曲目も、温かなアコギとメロトロンが彩るアコースティカルな3曲目も素敵です。ラストもYES調の始まりますが、後半ではANGLAGARDばりの緊張感あるヘヴィ・シンフォになだれ込んでいき、初期の彼らが持っていた暗鬱さが顔を出すのもうれしいところ。これはYESファンやオルガン・ロック好きの方にも聴いて欲しい快作!問答無用のカケレコメンド!
2015年のデビュー作で、完成度の高いアヴァン・プログレを披露した注目のフランス新鋭による、待望の18年作2nd!まるでナショナル・ヘルスとキング・クリムゾンを融合させたような、エレガントかつテンションみなぎるアヴァン・プログレは本作でも健在!緩急自在のシャープで俊敏なリズム・セクションを土台に、ナショナル・ヘルスにおけるデイヴ・スチュワートを思わせるメロディアスで理知的な音運びのオルガンと大胆に主旋律を奏でるメロトロンを中心とするキーボード、そしてナイフのような鋭いトーンで空間を切り開くフリップ直系のギターが、緻密にフレーズを重ね合い織り上げていくサウンドは、芳醇にしてどこまでもスリリング。緊張感あるギターとオルガンの掛け合いの中でメロトロンが不穏に浮き沈みする切迫感あるパートから、ピアノとコルネットが妖しく舞い踊るパート、そしてメロトロンが堰を切ったように溢れ出すパートへ。次々と場面が移り変わっていく、フランスらしい先の読めないアーティスティックな展開の連続に、とにかく聴いていてワクワクが止まりません。何というアイデアの豊富さ。これはクリムゾン・ファン、カンタベリー・ロック・ファンなら是非ともお試しいただきたいサウンド。カケレコメンド!
現イタリアン・プログレ・シーンきっての鬼才Fabio Zuffantiが率いる人気グループ、スタジオ作としては7年ぶりとなった2020年作6th。20分超の大作+10分前後の2曲を配した重厚な構成となっています。ヘヴィに唸るベースと硬質なドラムがゴリゴリと突き進み、邪悪さが滲むオルガンがスリリングに疾走する嵐のようなヘヴィ・シンフォにオープニングからいきなり圧倒されます。嵐が過ぎ去ると、雄大に沸き上がるシンセとメロトロンをバックにフルートが切なく美旋律を紡ぐ堂々たる王道イタリアン・ロックへと着地。この冒頭3分間でMUSEOやBANCOなど往年の伊プログレ・ファンなら歓喜に震えること必至!そこから歌い出す雄々しさの中に枯れた味わいを秘めた哀愁のヴォーカルも変わらずの素晴らしさで胸を熱くさせてくれます。シンセ、メロトロン、オルガンが渾然一体となり荘厳に鳴り響く中を、DERILIUMのMartin Griceによるサックスが舞い上がるパートも感動的だなぁ。これはきっと7年間募らせた期待を大きく上回る完成度ですよ。傑作!
現イタリアの有力バンド、UNREAL CITYのギタリスト、CELLAR NOISEのキーボーディストらによって結成されたプログレ・グループによる20年デビュー・アルバム。BANCOやMUSEO ROSENBACHなど70年代イタリアン・プログレの遺伝子を受け継ぐ、オルガンとメロトロンを軸にした哀愁のクラシカル・プログレは、さすが実力派メンバーが集結しているだけあって、洗練されつつも風格に満ちていて圧巻!70年代初頭に聴かれたようなヴィンテージ・トーンで荘厳に鳴るオルガン、ここぞで洪水の如く流れ込むメロトロンらによって構築的に展開していく、重厚ながらもスリルに満ちた音世界を構築しています。一音一音に零れんばかりの哀感を湛えた泣きのギター、神秘的な調べのフルートも絶品です。また熱唱タイプではないながら聴く者を惹きつけるエモーションを湛えたイタリア語ヴォーカルも伊ロック・ファンならグッと来るはず。これは間違いなく往年のイタリアン・ロック好きのツボを心得たサウンドと言えるでしょう。傑作です。
98年にミラノで結成され05年にデビューした、イタリアン・プログレ・バンドによる2020年作4thアルバム。P.F.M、LE ORME、BANCOなど自国のレジェンド・バンドからの影響と、00sバンドらしいスタイリッシュなサウンドメイクが絶妙に調和したこれでもかとドラマチックなシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。タイトで重みあるリズム・セクションに、気品あふれるピアノ、ヴィンテージ・テイスト豊かな薫り高きオルガン、一音一音にありったけのエモーションを乗せたギターらが劇的に紡ぐアンサンブル。そこに乗る少しハスキーな声質を多彩に変化させながら歌うシアトリカルなヴォーカルがまた存在感抜群!まさに演劇を見ているように場面が次々と移り変わりストーリーが描き出されていくようなサウンドです。これはまるでLE ORMEのクラシカルでダークな質感、BANCOの浪漫と熱情、P.F.Mの詩情豊かさなどをすべて合わせたような快作!
デンマークのキーボーディストSteffen Staugaardと英国人ギタリストNeil Gowlandを中心とするインスト・プログレ・プロジェクト、18年リリース。その内容はオランダを代表するプログレ・バンド、FOCUSへの愛情をとことん詰め込んだFOCUSフォロワー・アルバムとなっており、その再現っぷりと言ったらヤン・アッカーマン在籍期FOCUSの秘蔵音源と言われても全く驚かないほど。本家の様にテクニカルな速弾きで畳みかける場面こそ無いものの、しっとりと伸びやかに紡がれるギターの旋律はアッカーマン節全開だし、明るく透明感のあるオルガンにリリシズムに富んだフルート、クラシカルな素養を感じさせるロマン溢れるピアノも往年のFOCUSを思わせる瑞々しさでいっぱい。「Janis」や「Sylvia」のように愛らしく情緒あるメロディが次から次へと溢れ出てくる1曲目からもうノックアウト確実!FOCUSファンはチェック必須の一枚です。
イギリス南端に近いデヴォン州出身、新鋭ブリティッシュ・プログレ・グループの17年3rd。冒頭から人懐っこいトーンのギターとフルートが優しく彩る、キャラヴァン「GOLF GIRL」を想い起こさずにはいられないほのぼのカンタベリーサウンドが飛び出してきてビックリ!それも『グレイとピンクの地』に入っていても違和感のない完成度でさらに驚きます。かと思うと曲の後半はヘヴィに唸りを上げるギターをフィーチャーしたダイナミックなプログレへと変貌し、演奏力の高さも証明。メロトロン、ヴィンテージなオルガンによる芳醇な音色もグッと来ます。全体的に屈折したポップなメロディセンスもいいし、コロコロと表情を変えていく先の読めない曲展開も素晴らしいですが、どの曲にもキャラヴァンを始めとするカンタベリー・ロックのポップサイドからの流れを汲むセンスが息づいていて不思議な懐かしさに溢れているのが何よりの魅力。それを新鋭バンドらしいモダン・プログレの質感とうまく融合させた手腕は特筆です。70年代の愛すべきブリティッシュ・ポップの精神を受け継いだ大変いいバンド!
伊ハード・ロック・グループSTANDALTEのドラマー/ヴォーカリストDaniele Caputo率いるプログレ・グループ、18年作4th。ヴィンテージ感あふれるハモンドやメロトロンをこれでもかとフィーチャーし、バンド名の通り60〜70年代の英ロックさながらの叙情的なサウンドを展開する彼ら。本作ではダイナミックなハード・プログレ色の強かった過去作に比べて洒脱なジャズ色がかなり強まっており、CARAVANやBRIAN AUGER’S OBLIVION EXPRESSあたりを思い出さずにはいられない暖かみいっぱいのオルガン・ジャズ・ロックを聴かせています。ブライアン・オーガーのようにコロコロと転がるモッズ・テイストのハモンドに、デイヴ・シンクレアへのリスペクト溢れる甘いファズ・オルガン。70年代の英国ジャズ・ロック憧憬をベースに置きつつも、スペーシーにたゆたうシンセや轟々と鳴るメロトロンも豊富に重ね、ファンタジックかつ重厚な奥行きを感じさせる彼らならではのサウンドに仕上げているのがまた見事。英国オルガン・ロックやカンタベリー・ロック・ファンは要注目の逸品です。
02年にデビューしたブラジルのプログレ・グループ、18年作3rd。デビュー当時から70年代の作品と言われても疑わないアナログ感あふれるサウンドを特徴としていた彼らですが、本作でもそれは見事に健在!たおやかなフルートと涼しげなビブラフォン、流麗なギターにスペーシーでヴィンテージなムーグ・シンセ。どこか厳かな多声コーラスやチェロなどの弦楽器も交えながら、南米らしいリリカルさに満ちたシンフォニック・ロックを展開。かと思えば往年のオルガン・ハードを思わせるアグレッシヴなアンサンブルにクラシカルなピアノの様式美フレーズが炸裂するナンバー、むせぶサックスや重厚なメロトロンをフィーチャーしたスリリングなジャズ・ロック・ナンバーなど、70年代英国ハード・ロック&プログレへの憧憬も各所に散りばめられていて実に魅力的。叙情性あふれる南米シンフォのファンはもちろん、70年代ブリティッシュ・ロック・ファンにもオススメできるユニークな逸品となっています!
STANDARTEやLONDON UNDERGROUNDに続き、またしても現代イタリアからヴィンテージ・テイスト溢れるオルガン・ロック・バンドが登場!60年代後期のサイケやモッズ・サウンドを思わせるマイルドなオルガンの暖かみあるメロディを軸に、粘っこく歪んだギターや重厚なベースが絡み合い、転調や変拍子を駆使しながら変幻自在に展開するサイケでハードでちょっぴり怪しいインストゥルメンタル・ロックが実にユニーク。ファンキーな裏打ちのリズム隊はやや好みが分かれるかもしれませんが、それも含めてヴィンテージな音色と現代的な感覚が混ざり合った、新鮮味のあるバンド・サウンドを聴かせてくれます。ハモンド好きは要チェック!
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