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舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第八十六回:SCORPIONS『LONESOME CROW』

大阪府警の「安まちアプリ」というのがある。登録して設定をすると、大阪府警から犯罪発生情報などを受信することができるというもの。だいぶ前からあったと思うが、つい最近登録をして、自分のスマホにも情報が届くように設定した。外国に比べると治安の良さを誇る日本。そんなにたくさん犯罪情報なんて来ないだろうと思っていたら、まあ来るわ、来るわ、犯罪情報が。ウルフルズが「他に比べりゃ外国同然」と歌っていた大阪だからか。特に多いのが特殊詐欺の犯罪発生情報で、家の近隣の地域だけしか設定していないのに、毎日のように情報が届く。未遂に終わっているものも多いが、たまに振り込んでしまった!という被害情報もある。「電話会社」「銀行員」「市役所の人」などなど、特殊詐欺犯は色々な人に成りすまし、「還付金があります」やら「手続きが必要です」などなど、あの手この手のやり口もすさまじい。大丈夫か、大阪?

あと、不審者情報も多い。下半身を露出して自転車に乗っていたり、「確保!」といってガシッと女性の肩を掴んだり、「車に乗らへんか」と女性に声をかけたり。大阪、ほんまに大丈夫か? 稀に「解決しました」という情報も届く。「道路で倒れている男性が発見されました。周囲の人は気をつけて、何かあればすぐ通報を」という情報の数時間後、「あれは事件性のないことが判明しました」というような。ところが、先日ちょっとわからないのがあった。「女性の前でコートをはだけて下半身を露出する不審者の件は解決しました」と。これ、どう解決したん?逮捕ってこと?じゃあ逮捕って書いてほしいよな。逮捕じゃない以外の解決方法ってあるのかな? 実は彼氏がふざけていた?そんな馬鹿な。それもそうだけど、コートの前をはだけて露出するなんて古典的な不審者がまだおるねんな。大丈夫か、大阪? 大阪府警、がんばってください。

という前フリと何の関係もないですが、トニー・クラーキンが亡くなってしまった。英ハード・ロック・バンドのMAGNUMを率いて数多くの名曲を生み出してきたギタリスト。脊髄の疾患で闘病するという発表があって、わずか一カ月後のことだった。治る見込みはないけど、死に至るものでもないとコメントしていたトニーだが。うーん残念。MAGNUMについては、当コラムでも3回にわたり掲載させてもらい、全オリジナル・アルバムのジャケットを紹介した。近年のアルバム・ジャケットはロドニー・マシューズがイラストを手掛け、MAGNUMの初期作品から登場していたストーリーテラー、ストライプ帽子の少年、そのお供の犬が描かれていた。ところが、2022年のアルバム『THE MONSTERS ROARS』では、モンスターが中央にドンと描かれたジャケットに。なのでコラムの最後に「ともかく、次の新作のジャケットはロドニー・マシューズでお願いしたい。ストーリーテラー、ストライプ帽子の少年のその後を見てみたい」と書いた。その願いが通じて(?)、2024年に発売が決定したMAGNUMの最新作『HERE COMES THE RAIN』のジャケットでは、ストーリーテラーと白黒ストライプ帽子の少年、お伴の犬もジャケットに復活!と、興奮したのは日本で僕一人でしょう。

そこで今回は、ロドニー・マシューズつながりから、SCORPIONSのデビュー作『LONESOME CROW』を紹介したい。同作は、ジャケットやタイトル違いの再発盤が数多くあることでも有名だ。その中のひとつとして、ロドニー・マシューズがジャケットを手掛けたものがある。

オリジナルは1972年にドイツのメトロノーム/ブレインから発表された『LONESOME CROW』で、ジャケットにはサソリを掴もうとしている左手、血を流す指が描かれている。ゲートフォールド・ジャケットを開くと、倒れた男性の腕にカラスがとまっている。内ジャケットでも同じ男性が裸で倒れていて、手にメンバーの写真を持っているというもの。日本盤ジャケットはゲートフォールドではないけどジャケット・デザインは同じ。日本盤ライナーは立川直樹氏です。

1976年にはブレインから『GOLD ROCK』というタイトルに変更され、まるで異なるデザインのジャケットでリイシューされる。布のアップリケみたいな中にメンバーの写真があしらわれたもの。同年には日本でも来日記念盤として再発されているが、こちらはオリジナルとほぼ近いデザインだった。日本盤ライナーは渋谷陽一氏。

1977年にはブレインから『THE SCORPIONS』というタイトルで再発される。ジャケットにはメンバーの最初期のライヴ写真が使われている。ルドルフ・シェンカーは後々まで彼のトレードマークとなるフライングVのギターを弾いているが、マイケル・シェンカーはレスポールを弾いている。

1980年にはブレインから〈Rock On Brain〉シリーズの1枚として『ACTION』というタイトルでリイシューされる。砂に半分以上埋まってしまっているトラック。そのトラックを女性が動かそうとしているという、ヒプノシス風のデザインが秀逸です。SCORPIONSが世界的な人気バンドになっていくのに便乗してか、ブレインは『ACTION』とほぼ同時期に『THE SCORPIONS』のデザインを少し変更しただけの『THE ORIGINAL SCORPIONS』を発売している。もちろんどちらも中身は『LONESOME CROW』と同じ。

1982年にはイギリスで『LONESOME CROW』のタイトルでリイシューされるが、このジャケットを担当したのがロドニー・マシューズ! MAGNUMの名作『CHASE THE DRAGON』と同じ年で、ロドニーも勢いのある時期といえるでしょうか。彼が得意とする城のような建物とサソリの融合。静かだけどファンタジックかつ重厚な雰囲気のある『CHASE THE DRAGON』と同じ世界観のイラストで、これは素敵だ。

1983年にはブレインが〈Star Light〉シリーズの1枚としてリイシュー。『THE SCORPIONS』に使われていた写真を再利用したデザイン。同年には、スペインのヴィクトリアから独自デザインでリイシューされる。まあまあリアルなサソリのイラスト。裏にはまあまあリアルなカラスという、デビュー作以来のコンセプトだけは保っている。

CDの時代になった1985年にブレインから再発されたCDは、オリジナル・ジャケットの手の部分をアップにしたデザインだった。日本でも再発CD化されるが、なぜか『THE ORIGINAL SCORPIONS』を元にしての再発CD化。日本盤ライナーは大野祥之氏です。

1992年にはドイツのカルーセルというレーベルから、『ACTION』が再発CD化される。ジャケットに使用されている写真が後の編成のSCORPIONSで、録音には参加していないギターのマティアス・ヤプスやベースのフランシス・ブッフホルツが写っている。この後期メンバーが写っているヴァージョンの再発CDは他にもあって、1996年に廉価レーベルのスペクトラムからの『OUR FAVOURITE SONGS』でも、90年代ラインナップの写真が使用されている。2001年にドイツの廉価レーベルであるブランズウィック・ニュースからの再発CDでは、タイトルが『LONESOME CROW』だけど、使われている写真はやはり90年代ラインナップ。マティアス・ヤプスはどう思っていたんでしょうか? 2005年には、日本で紙ジャケットCD化。ドイツ・オリジナル盤を再現したものが発売される。日本盤ライナーは伊藤政則氏。どうせならロドニー・マシューズ盤でも紙ジャケ再発されてほしいものです。

それにしてもまあ、これだけ色々なヴァージョンがあるもんだ。今回はDiscogsを参考にしたけれど、まだまだ他にもありそう。と思ったら、popsike.comに、日本で発売された激レア『LONESOME CROW』の情報が掲載されていた。サソリを掴もうとしている手に女性が乗っているという・・・って、こんなもんあるかい!というネタですが、2000ドルで売れたそう。

『LONESOME CROW』はサイケ&プログレの匂いのする音楽性で、後のシャープなハード・ロック/ヘヴィ・メタル路線を期待すると地味だなあと思うかも。ということで、ここでは次作『FLY TO THE RAINBOW』収録曲、「FLY PEOPLE FLY」を聴いていただきましょう。これぞ泣きのギター!という初期SCORPIONSの名曲です。

それではまた世界のジャケ写からお会いしましょう。

FLY PEOPLE FLY

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