2018年7月20日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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スタッフ佐藤です。
日本においては誰もが演奏したことがある唯一の楽器と言えるかもしれないリコーダー。
身近な楽器だけに注目されることは多くありませんが、プログレにおいてはリコーダーの音色が効果的に使われているアルバムは決して少なくありません。
表情豊かなフルートもいいけれど、素朴な音色が帰って奥深さを感じさせる、そんなリコーダーならではの味わいを堪能できるプログレ作品をご紹介したいと思います!
王立音楽院でフルートやリコーダー、フリューゲルホルンなどを学んだリチャード・ハーヴェイを中心とする古楽器プログレ・グループ、記念すべき1st。このギター速弾きならぬリコーダー速吹きを聴いてみてください。ぶっ飛びます。
膨大な数の楽器群をハイレベルで操る超絶技巧バンドの代名詞と言えばGG。リコーダーもその例外ではありません。この2ndはおそらくもっともリコーダー使用率の高い彼らのアルバム、でその活躍ぶりは時に主旋律すら担うほど。数曲ではプロデュースを務めたトニー・ヴィスコンティもリコーダーを吹いています。
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「チューブラー・ベルズ」はもちろん傑作だけど、真骨頂と言えるタペストリーを織り上げていくように緻密で繊細な音作りをより味わうならばやはり本作。名手LES PENNINGが担うリコーダーの高らかな音色の美しさも聴き所の一つです。アイルランド人の母を持つ彼の、ケルト音楽への想いが集約された大傑作。
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その初期MIKE OLDFIELDを研究し尽くした珠玉のオマージュを展開するのがMAGENTAのリーダーROBERT REED。MIKE本人かと思うほどに彼の音色とプレイを再現しきった瑞々しくも緊張感を帯びたギター・サウンドが凄い…。さらにプロデュースにTOM NEWMAN、リコーダーにLES PENNINGとマイク人脈も動員した本格的な音作りがさらに感動を呼びます。これは初期マイクを愛するすべての方への贈り物と言える名品!
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今回は、往年の名アーティストへの憧れを特に強く感じさせる新世代ミュージシャンの作品にフォーカスしてまいりたいと思います!70年代のプログレに親しんだ方にこそ驚いてもらいたいラインナップでお届けいたしますよ☆
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このドイツのシンフォ・グループのリコーダーも大変に素晴らしいです。リコーダー奏者がリーダーを務めるだけあって、リード楽器は全編リコーダー。ゲルマンの深き森から響いてくるような美しく物悲しい旋律はため息が出るほどの美しさ。リコーダーを主役にここまでドラマチックなサウンドを作り上げるとは…恐るべし。
現CAMELの天才マルチ奏者&コンポーザーによるプロジェクトなのですが、ほぼ一人多重録音によって作品を作り上げる彼の重要な楽器の一つとしてリコーダーがあります。ギターやキーボードが躍動する、これでもかとメロディアスでファンタジックな演奏に、素朴なリコーダーのプレイがいい意味での手作り感を加えているのが印象的。スケールの大きなシンフォ然としたスタイルに、人肌の温もりあるタッチを添えるセンスは彼ならではと言えるでしょう。
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90年代以降のプログレシーンを盛り上げる北欧スウェーデンやイタリアに負けじと、本場イギリスからも、イエスやジェネシスやクリムゾンなど往年のグループのDNAを継いだ好グループが出てきております。注目の作品をセレクトいたしましょう。
南米の歌物といえばこのデュオでしょう。アルゼンチン・ロックの父Charly Garciaによる零れ落ちるような詩情を湛えたピアノ、繊細なオルガン、そして切なすぎるリコーダーの調べ…。心の琴線にダイレクトに響く珠玉のメロディに、リリシズム溢れる演奏が寄り添います。そして極めつけがNito Mestreのあまりにデリケートなハイトーン・ヴォーカル。泣けるなぁ。
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叙情派アルゼンチン・ロック作品の中で、特にメロディの良さが堪能できる泣ける作品を見ていきたいと思います。南米ロック史に名を刻む名作から、そのDNAを受け継いだ新鋭まで、世代を超えてご紹介!
いかがでしたか?
気になる作品が見つかれば幸いです!
多重録音という言葉が既に死語となりつつある現代においてさえ強烈な存在感と圧倒的な完成度を誇るイギリスのマルチ・プレイヤーの75年3rd。淡く儚い旋律が印象的な物悲しいイントロで幕を開け 、ケルティックなフレーバーをまぶしながら牧歌的な叙情を感じさせます。女性ボーカルの効果的な登用、そしてアフリカン・パーカッションはじめ民族楽器の導入によるエキゾチックさも楽曲に上手く溶け込み、それを覆う爽やかな雰囲気は彼の一番の個性と言えるでしょう。精神を病むほどに追い込まれながら、一切の妥協なく練り上げられた名盤です。
Derek Shulman、Ray Shulman、Phil Shulmanの三兄弟を中心とする、ブリティッシュ・プログレの代表的なグループのひとつ。ポップ・フィーリング、古楽の様式美を思わせるクラシカルなアプローチ、そして高い演奏技術に定評があり、変拍子を含む複雑な構成の楽曲を軽々と弾きこなす超絶技巧グループです。『Acquiring The Taste』は1971年のセカンド・アルバムであり、聴き手を選ぶツウ好みの内容ながら、彼らの溢れんばかりの音楽的探究心が結実したという意味ではやはり傑作。GENTLE GIANTといえば、メンバーたちのマルチ・プレイヤーぶりがしばしば話題となりますが、その印象は本作を発端としているのでしょう。おびただしい数の楽器がクレジットされており、その様はまるで劇薬を生み出さんとするマッド・サイエンティストの実験室のようです。一聴して耳に残るような派手さにこそ乏しい印象を持つものの、プログレッシヴ・ロックの特徴のひとつである緻密なバンド・アンサンブルの始祖的な位置にある作品であり、噛めば噛むほど味が出る、聴くたびに新たな発見のある名盤です。
1980年に英国はノッティンガムシャーに生まれ、1歳の頃に病気により視力を失った盲目のマルチ・ミュージシャン&コンポーザーPeter Jonesによるプロジェクト、待望の3rdアルバムとなる17年作!16年よりCAMELのメンバーとしてツアーにも参加する彼。前2作で聴かせたコンポーザー&プレイヤーとしてのレベルの高さはもはや揺るぎないものでしたが、いやはや今作も凄い完成度です。まるで80年代以降のシリアスなテーマ性を持ったキャメルを、ゴージャスなサウンドプロダクションで再現したかのような、モダンかつロマンティックで雄大なシンフォニック・ロックが眼前に広がるこの感じ…何というイマジネーション。BIG BIG TRAINあたりに通じるモダンでスタイリッシュな音像も活きていて、往年のプログレと現代のバンドらしいモダンなセンスがこれほど不可分に結びついたサウンドはそうそうないでしょう。これでもかとファンタジックなフレーズを紡ぎ出すキーボード、アンディ・ラティマーばりにドラマチックに泣くギター、芳醇に響くクラリネット&リコーダー、そして端正に歌い上げる美声のヴォーカル。彼一人で各楽器をこれだけ自在に操る才能にはただただ脱帽。各パートが次々と展開していく、映画を観ているような情報量の多い音像は前作からの持ち味ですが、それを複雑に感じさせない淀みなく流れるような緻密な構築性にも舌を巻きます。改めてとんでもない才能を見せつけられる思いのシンフォ傑作です。
現在の英プログレ・シーンを牽引するバンドMAGENTAのギタリスト/コンポーザーである彼が、敬愛するマイク・オールドフィールドの名作『TUBULAR BELLS』へのオマージュを込めて制作する一人多重録音アルバム・シリーズ「SANCTUARY」の第3作目となる2018年作。本人と見紛うほどにマイクの音色とプレイを研究し尽くした瑞々しくも緊張感を帯びたギター・サウンドを軸に、緻密かつクリアに織り上げられていく音のタペストリーは、前2作を楽しんだ方はもちろん、初期マイクのファンなら必ずや感動がこみ上げてくるはず。「OMMADAWN」で演奏したリコーダー奏者Les Pennings、名手Simon Phillips、そしてプロデュースには前作に引き続き『TUBULAR BELLS』を手がけたTom Newmanを起用しており、脇を固めるメンツからも本気度が伝わってきます。草原を吹き抜ける風のように凛とした美声を提供する女性ヴォーカリストAngharad Brinnも相変わらず素晴らしい。前2作同様、初期マイクを愛するすべての方への贈り物と言える名品に仕上がっています。
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