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涙せずにはいられない。リリカルすぎるアルゼンチン・ロック選

スタッフ佐藤です。

辺境地ロック/プログレの代表としてカケレコが一押ししているのが、南米アルゼンチンのロック・シーン。

南米のロックと言うとラテン気質の暑苦しいノリがイメージされるかもしれませんが、
意外とそういうバンドは少なく、センチメンタルなメロディを持ったリリカルなサウンドを聴かせてくれるバンドがとても多いんです。

そんなアルゼンチン・ロック作品の中で、特に素朴でリリカルなメロディの良さが堪能できる作品を見ていきたいと思います。

南米ロック史に名を刻む名作から、そのDNAを受け継いだ新鋭まで、世代を超えてご紹介してまいります!

ALMENDRA/ALMENDRA(1969)

まずはアルゼンチン・ロックの原点とも言えるこの一枚から。同国のロック・シーンを牽引した故Luis Alberto Spinettaのプロデビュー作品で、軍事政権下にあった当時のアルゼンチンの若者から絶大な支持を集めたのが本作。ビートルズからの影響も見え隠れするセンチメンタルなメロディ、柔らかく繊細に響くスペイン語ヴォーカル、白昼夢のごときメロウ・サイケな演奏。あらゆる要素が奇跡的なバランスで溶け合った永遠の名作です。

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ARCO IRIS/CRONOLOGIAS 1969-1971(2017)

こちらも68年結成の最古歳アルゼンチン・ロック・グループの一つ。フォルクローレやサイケ色を取り入れた、こぼれ落ちんばかりのリリシズムを湛えたサウンドが特徴です。こちらは70年の名作1st全曲と当時のシングル曲で構成された17年編集盤ですが、あまりにデリケートなヴォーカルと艷やかで陰影のある演奏の美しさに耳を奪われること必至。

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SUI GENERIS/VIDA(1972)

今も現役で活躍する「アルゼンチン・ロックの父」Charly Garciaのプロデビュー作品となった、フォーク・デュオの72年1st。飾り気のない素朴なメロディと歌声が、心の琴線をダイレクトにかき鳴らします。気づけば涙が頬を伝っているはず。この後2作品を発表しており3rdは最高傑作と誉れ高い名作ですが、音楽がもたらす原初的な感動を最も味わわせてくれるのは本作ではないでしょうか。

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INVISIBLE/EL JARDIN DE LOS PRESENTES(1975)

ALMENDRAでの成功で一躍アルゼンチン・ロック界の寵児となったSpinettaが、70年代中盤に率いたバンドがINVISIBLE。胸をかきむしられるような切なさと独特の浮遊感を合わせ持つメロディメイク、そしてメランコリックな中にも南米らしい官能美が漂う演奏。少し鼻にかかった甘い歌声。Spinettaが孤高の世界観を確立した怒涛の名盤!ピアソラ楽団で腕を磨いたギタリストTomas Gubitschの参加も特筆です。

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PASTORAL/DE MICHELE(1979)

SUI GENERISに涙した方は、こちらもきっとグッと来るはず。陽だまりのように温かみ溢れるメロディを、切々とセンチメンタルに歌うヴォーカル。上質なイタリアン・ラブ・ロックに通じる繊細で奥ゆかしいアレンジ。泣きたくなるようなセンチメンタルな情感でいっぱいのアルゼンチン・フォーク名作です。

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BANANA/ETAPA SINFONICA 79-80(2016)

長らく廃盤となっていた叙情派アルゼンチン・ロックの名作79年作の全曲と未CD化の80年作の楽曲より構成された珠玉のコンピレーションが2016年にリリースされました。南米随一と言っても問題ない切れ味鋭いテクニカルな演奏技術を持ちつつも、主役となるのは実に南米らしい甘美に流れゆく珠玉のメロディ。叙情派シンフォ・ファンはハンカチを片手にどうぞ。

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ここからご紹介するのは、上で取り上げた往年の名作の遺伝子を受け継ぐ新世代バンドたち。選りすぐりをピックアップいたしますよ~☆

ISMO DE LAS FAUCES/ISMO DE LAS FAUCES(2015)

70年代アルゼンチン・ロックのDNAを継いだサウンドが高く評価されたVADE RETROのKey奏者&コンポーザー、人呼んで「現代のCharly Garcia」Lucas Bustosが、VADE RETRO解散後に結成したバンド。しとやかに鳴らされるピアノ、ミニマルなタッチのヴィブラフォンによる静謐な幻想性を一方に、70年代の香りたっぷりのムーグをもう一方に配したLucas Bustosによるキーボード・ワークはセンス抜群。ポスト・ロックを通過した音の純度の高さも特筆です。

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SIG RAGGA/LA PROMESA DE THAMAR(2016)

カケレコ一押しの素晴らしいアルゼンチン新鋭が彼ら。丸みあるマイルドなトーンで叙情美を描くギターと爽やかなアコースティックギターが絡むどこまでも優しげなアンサンブルに、鼻にかかった繊細なハイトーンで語りかけるように歌うスペイン語ヴォーカル。「歌」を中心に据えた珠玉のシンフォニック・ロック・ナンバーが目白押しの悶絶盤☆

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CHRISTIAN VAN LACKE Y LA FAUNA/RARAS VERSIONES ACUSTICAS(2017)

アルゼンチンのギタリスト/SSWなのですが、ちょっとさだまさしっぽいヴォーカルに何とも親しみを感じます。木漏れ日の温かさが伝わってくるようなアコースティックギターの爪弾きも素敵だし、メロウなサイケ・フォーク風のバンド・アンサンブルも絶品。SUI GENERISやALMENDRAなどのリリカルなアルゼンチン・ロックの系譜に連なる、胸を揺さぶるようなリリシズムが溢れます。

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POROTTA/ENTONCES(2016)

番外編としてこんな変わり種バンドもご紹介。シンプルながら軽快な心地よさを持つリズムに乗って、爽やかなギターカッティング、多彩なトーンで彩りを添えるムーグシンセらが活躍する、80sシンセポップやネオアコを受け継ぐサウンドを楽しませてくれる個性派新鋭。もちろんそれだけでは終わらず、南米らしいメロウネスもたっぷりで、ノスタルジックなサウンドの釣瓶撃ちに胸キュン必至の好盤!

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  • ALMENDRA / ALMENDRA

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    LUIS ALBERTO SPINETTA率いるアルゼンチンのサイケ・グループ。69年1st。これはサイケ・ポップ/フォーク・ファン必聴でしょう。叙情的なメロディー、美しいハーモニー・ワーク、リリカルなオルガンなど、イギリスのCOMPLEXを思わせます。ヘタヘタなフルートなど、夢うつつ、アシッドな感覚もあり。好グループです、おすすめ!

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  • INVISIBLE / EL JARDIN DE LOS PRESENTES

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  • BANANA / ETAPA SINFONICA 79-80

    SSW/キーボーディストCesar Pueyrredonが率いたアルゼンチンの名グループ、79年作『AUN ES TIEMPO DE SONAR』全曲と、未CD化の80年リリース作『LICUADO』より5曲を収録した16年リリースの変則コンピレーション

    アルゼンチン出身のSSW/キーボーディストCesar Pueyrredonが率いた名グループ。古くよりアルゼンチン・ロックを代表する名盤として語られてきた79年作『AUN ES TIEMPO DE SONAR』全曲に、未CD化の80年リリース作『LICUADO』より79年作の作風に近い叙情ナンバー5曲を加えた16年リリースの変則コンピレーション。オルガン、ピアノ、シンセ、エレピなど多彩なキーボードと、リリカルなトーンでフレーズを紡ぐギターを軸とする、甘く繊細なシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。基本はメロディを大切にした歌ものシンフォですが、ここぞではジャズ・ロック調のテクニカル・アンサンブルで疾走するパートも登場し、その緩急自在の演奏はただただ見事です。切々とドラマチックに歌い上げるヴォーカルも素晴らしく、スペイン語特有の柔らかな響きを生かす情緒溢れる歌声が胸を揺さぶります。数多のアルゼンチン叙情派プログレの中でも一際輝きを放つ彼らの持ち味が存分に堪能できる好コンピレーションです!

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    70年代アルゼンチン・ロックのDNAを継いだサウンドが高く評価されたVADE RETROのKey奏者&コンポーザーのLucas Bustosが、VADE RETRO解散後に結成したバンド。2015年デビュー作。しとやかに鳴らされるピアノ、ミニマルなタッチのヴィブラフォンによる静謐な幻想性を一方に、70年代の香りたっぷりのムーグをもう一方に配したLucas Bustosによるキーボード・ワークは、Luis Alberto SpinettaとCharly Garciaの後継者と言って過言ではないほどにセンス抜群。ヴォーカルも取っていますが、センチメンタルかつハートウォームな歌声も魅力的です。ギターのAugusto Vegaも特筆で、70年代っぽい粗さがたまらないファズ・ギターから、フュージョン・タッチの流麗なソロ、抑制されたトーンのジャジーなオブリガード、たおやかなアコギまでこれまたセンスバツグン。往年の名ミュージシャンのDNAとともに、ポスト・ロックの影響も感じさせる「音の純度の増したSERU GIRAN」というべきサウンドはかなりハイクオリティ。これは激レコメンドです。

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    アルゼンチン出身フォーク・ロック・デュオ、ずばり叙情派揃いの南米フォークものでも最高峰と言えるセンチメンタルな情感でいっぱいの79年作

    アルゼンチンのフォーク・ロック・デュオ、79年作5th。陰影を帯びたアコースティックギターの爪弾き、淡いトーンで叙情美を描くギター、たおやかで気品あるピアノらが紡ぐ、これぞアルゼンチンと言うべき詩情に満ちたアンサンブル。そして陽だまりのように温かみ溢れるメロディを、切々とセンチメンタルに歌うヴォーカル。ここぞというパートで加わるハーモニーも胸に迫ります。アルゼンチン・ロックの多くはイタリアン・ロックとの共通点を持っているとされますが、このグループも曲によってLa Bottega Dell’arteなどのイタリアン・ラブ・ロックを思い出させる繊細さが印象的です。叙情派揃いの南米フォークものの中でも右に出るものはないほどにセンチメンタルな情感でいっぱいの名作。

  • ARCO IRIS / CRONOLOGIAS 1969-1971

    アルゼンチン出身、フォルクローレやサイケデリック・ロックを取り入れたリリカルなフォーク・ロックを聴かせる名グループ、1st全曲と当時のシングル曲で構成された20曲コンピレーション、17年リリース

    アルゼンチン出身、フォルクローレやサイケデリック・ロックを取り入れたリリカルなフォーク・ロックを聴かせる名グループ。70年の1stアルバムからの全曲と初期シングル音源で構成された全20曲の17年編集コンピレーション。1st収録曲は繊細に爪弾かれるアコースティックギターを基調とする実にアルゼンチンらしいリリカルでメランコリックなフォーク・ロックで、ヴォーカルも壊れそうに切ない情感と南米的メロウネスを持つ美しい歌声を聴かせます。民族色が滲むフルートの調べにも涙。一方で、サイケ度の高いエレキギターが随所で飛び出し良いアクセントとなっているのも見事です。シングル曲は、1stの音楽性に近いリリシズム溢れるフォーキーなナンバーから存在感あるリズム・セクションが入ったロック色の強いナンバーまで楽しめます。それにしても叙情派揃いのアルゼンチンでも屈指と言えるこのあまりにセンチメンタルな歌声とコーラスにはいつ聴いてもやられてしまいます。アルゼンチン・ロックの魅力の一つである美しいメロディと歌が堪能できる好編集盤です!

  • SIG RAGGA / LA PROMESA DE THAMAR

    アルゼンチン出身の新鋭プログレ・バンドによる16年作3rd、「歌」を中心に据えた珠玉のシンフォニック・ロック・ナンバーが目白押しの名作、SUI GENERIS、SERU GIRAN、PABLO〜、PASTORALなどのファンに絶対オススメ!

    アルゼンチン出身の新鋭プログレ・バンドによる16年作3rd。これは素晴らしいです。丸みあるマイルドなトーンで叙情美を描くギターと爽やかなアコースティックギターが絡むどこまでも優しげなアンサンブルに、鼻にかかった繊細なハイトーンで語りかけるように歌うスペイン語ヴォーカル。70年代アルゼンチン・ロックをそのままにクリアでモダンな音像によって蘇らせたような1曲目からもう堪りません。往年のアルゼンチン・ロック・ファンならこの時点で悶絶間違い無しの素晴らしさ。優美なストリングスをバックに言葉を選ぶように大切に歌うヴォーカルにグッと来る2曲目も極上。そして天上から降り注ぐようにフワッと柔らかく寄り添うコーラス。全編にわたり南米ロックの魅力の一つである「歌」を中心に据えた珠玉のシンフォニック・ロック・ナンバーが続きます。一方では、繊細で優美なサウンドを維持しながらシンセサイザーによるデジタリーな音を散りばめるセンスの良さにも唸らされます。これはSUI GENERISやSERU GIRANを始め、PABLO〜やPASTORALなど往年の歌ものアルゼンチン・ロック名バンドが持っていた詩情を確かに宿した素晴らしい新鋭です。オススメ!

  • CHRISTIAN VAN LACKE Y LA FAUNA / RARAS VERSIONES ACUSTICAS

    アルゼンチン出身のギタリスト/SSW、英国のHERONや同郷アルゼンチンのSUI GENERISのファンには是非触れてみてほしい珠玉の木漏れ日サイケ・フォーク・ロック逸品!

    アルゼンチン出身ながら70年代ペルーの伝説的サイケ・ハード・バンドTARKUSで活動したベーシストGuillermo Van Lackeの息子で、07年に再結成したTARKUSにも参加し、09年にデビューしたバンドTLONにも在籍するギタリスト/SSW、17年ソロ作。優しく爪弾かれる木漏れ日の温かさが伝わってくるようなアコースティックギターをバックにした繊細な弾き語りナンバーの中心を収録した作品となっています。少し掠れ気味のハイトーンで巻き舌を交えて発声するヴォーカルが特徴的で、同郷だとSERU GIRANのCharly Garciaに近いですが、ビブラートのかけ方がさだまさしっぽくもあって不思議な親しみを感じさせてくれます。メロウなエレキギターが入りソフト・サイケ調のアンサンブルを聴かせるナンバーではALMENDRAを彷彿させる場面もあり、60〜70年代的な質感を自身のサウンドの中へ自然に溶け込ませるセンスも特筆です。珠玉という言葉がよく似合うデリケートで美しいフォーク・ロック名品に仕上がっています。イギリスのHERON、同郷アルゼンチンのSUI GENERISあたりのファンには是非触れてみていただきたいサウンドです。

    • ペーパーケース仕様、自主制作CD-R

      南米からの輸入CDという関係上、ペーパーケースに若干不良がある場合がございます。ご了承ください。

  • POROTTA / ENTONCES

    アルゼンチンの新鋭プログレ・グループによる16年作2nd、80年代のシンセポップやネオアコといったサウンドを下敷きとする胸キュンなサウンドに驚く一枚!

    2人のキーボード奏者を含む5人編成、アルゼンチンの新鋭プログレ・グループによる16年作2nd。このバンドかなりユニークで、80年代のシンセポップやネオアコといったサウンドが下敷きにしているのが特徴。シンプルながら軽快な心地よさを持つリズムに乗って、爽やかなギターカッティング、多彩なトーンで彩りを添えるムーグシンセらが活躍する、大変懐かしいサウンドが繰り広げられています。音質こそ今風ですが、洗練された感じはあまりなくて意図的に80年代的な野暮ったいプログラミングやシンセサウンドをフィーチャーしているのがまた良く、たおやかでメロウな南米エッセンスといい具合に溶け合っていて聴き心地は抜群。優しげなスペイン語のヴォーカルもマッチしています。このシンセポップ/ネオアコという目の付けどころと再現度の高さは見事。世代の人にとってはかなり胸キュンなサウンドを楽しませてくれる好作品です。

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