2023年9月11日 | カテゴリー:ライヴ・レポート,世界のロック探求ナビ
カケレコ・ユーザーの皆さん、こんにちは!
プログレッシヴ・ロックを作るために必要なモノ、それは「人並外れた創造力」。
プログレッシヴ・ロックを聴くために必要なモノ、それは「人並外れた想像力」。
そんな「人並外れた想像力」を持つカケレコ・スタッフが、やはり「人並外れた想像力」を持っていらっしゃるであろうカケレコ・ユーザーの皆さんにお送りする“架空の”ライブ・レポート。
名付けて、「カケレコロシアム」!
本文中に登場するエピソードは、すべてカケレコ・スタッフの「人並外れた想像力」によるフィクションとなっています。
2023年8月の某週末、埼玉県北西部に位置する架空の街ヨリィタウンのYODOBALL RIVERSIDE特設ステージ(寄居の玉淀河原じゃんて言わないで)にて、カケハシ・レコード主催の野外フェス「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」が開催されました!
フェスティバル当日は ヨリィタウンの南エリアに大規模な交通規制が敷かれ、街全体が歩行者天国。
ヨリィタウンの人口32000人に対して50000人を超える聴衆が詰めかけ、会場沿いにあるコンビニエンス・ストアではフェスティバルのスタートを待たずして大半の商品が品切れに。
また、特設会場に入場できない観客のため、地元のスーパーマーケットが駐車場スペースを丸ごと開放し、パブリック・ビューイングのための大型モニターを設置。
スーパーマーケットや併設されているドラッグ・ストアの商売繁盛はもちろんのこと、なぜか向かいのコイン・ランドリーまで洗濯機と乾燥機がフル回転。
街全体にプログレッシヴ・ロックが染み渡る光景を目にした地元のお年寄りたちは口々に、「まるで1969年のウッドストック・フェスティバルじゃ」と言ったとか言わなかったとか。
今回は、そんな「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」のライブ・レポートをお届けします。
繰り返しになりますが、本文中に登場するフェスティバルのエピソードは、すべてカケレコ・スタッフの「人並外れた想像力」によるフィクションとなっていますので、どうぞよろしくお願いいたします!
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名盤からディープな作品、そして注目の新鋭まで、ユーロ諸国で誕生した様々なプログレ/ロック名作を掘り下げていく「ユーロ・ロック周遊日記」。今回は、カケレコが激押しする驚異のスペイン新鋭、DRY RIVERの22年作をピックアップ☆
「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」は、2018年にカケレコ・レーベルから国内盤『2038~未来への扉』もリリースされたスペインの新鋭プログレ・バンド、DRY RIVERをオープニング・アクトに迎え、迫力の演奏でスタート!
6名のバンド・メンバーに加えて、色々なパフォーマンスを行う2名のアクターも在籍しているというシアトリカルな編成のグループです。
アメリカン・プログレ・ハードやプログレッシヴ・メタルの音楽性を感じさせつつ、キャッチーなサウンドを響かせていますね!
ライブ・バージョンで聴くと、より一層彼らのポップ・センスと確かなテクニックを感じることができるでしょう。
フェスティバル本編が開始する前に、ヨリィタウンの偉い人によるスピーチがありました。
架空の言語なので何を言っているかは分かりませんが、おそらく「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMERにようこそ!盛り上がってるかい?」的なことを言っています。
そしてカンタベリー・ロックの大御所、CARAVANが登場!
73年の傑作『夜ごとに太る女のために』に収録されている名曲「メモリー・レイン、ヒュー~ヘッドロス」です!
カントリー・ミュージック風のイントロから、ソフトかつマイルドなバンド・サウンド、それでいて各ミュージシャンのプレイは非常に緻密かつ技巧的という、カンタベリー・ロックの魅力が詰まった1曲ですね。
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音楽ライター後藤秀樹氏による連載コラム「COLUMN THE REFLECTION」。今回取り上げるのは、第2期ルネッサンスの1st『プロローグ』と2nd『燃ゆる灰』!
CARAVANに続いて登場したのは、クリスタル・ヴォイスの女性ヴォーカリスト、Annie Haslamを擁するRENAISSANCE!
もちろん、オーケストラを帯同させての出演です!
1973年に発表した名盤『燃ゆる灰』から、「キャン・ユー・アンダースタンド」。
エレキ・ギターを廃したアコースティックなバンド・サウンド、そして牧歌的な楽曲が、ヨリィタウンの風景とマッチしていて素晴らしい!
中盤からはダイナミックなストリングス・セクションが彩りを添え、シンフォニックな盛り上がりを見せます。
会場を見て回ってみると、ヨリィタウンにはお年寄りが多いのかと思いきや、若者の姿も目立ちます。
確かに普段も、ベビーカーを押しながら買い物をする“若いお母さん”たちの姿をよく見かけるので、意外と若年世代も居住しているのかもしれません。
そんなことを考えていると聴こえてきたのが、女性ヴォーカリストSonja Kristinaのパワフルな歌声とDarryl Wayのヴァイオリン!
CURVED AIRの登場です。
曲は、71年作『セカンド・アルバム』収録の「若いお母さん」いや、「ヤング・マザー」!
RENAISSANCEのAnnie Haslam、そして双璧をなすSonja Kristinaの歌声を連続で聴くことができるなんて、夢のようです!
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1月9日に六本木のビルボードライブ東京で行われた、イタリアン・ロックの雄PFMの来日公演に行ってまいりました!
さて、「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」に登場するのは、イギリスのプログレ・バンドだけではありません。
イタリアからは、大御所のPREMIATA FORNERIA MARCONIにも参加してもらいましょう!
73年のワールドワイド・デビュー・アルバム『幻の映像』に収められている、「人生は川のようなもの」。
このイントロが、人生で初めて聴いたユーロ・プログレだったというカケレコ・ユーザーさんも少なくないのではないでしょうか。
会場でこの曲を聴いていると、「人生は川のようなもの、は、ヨリィタウンを流れる荒川のことだったんだなぁ」と思えるほどしっくりきます!
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10月12日に行われたフランスの名バンド、タイ・フォンの来日公演に行ってまいりました。大阪で1回、クラブチッタ川崎で2回の計3日程で行われた彼らの初来日公演。その最終日の模様を、試聴音源を交えてお伝えしてまいります!
イタリアのPREMIATA FORNERIA MARCONIに続いて、フレンチ・プログレのTAI PHONGが登場しました!
TAI PHONGは、ベトナム出身ミュージシャンのKhanh MaiとTai Sinh兄弟によるグループで、現在はKhanh Maiを中心に再結成していますね。
曲は、75年のファースト・アルバム『恐るべき静寂』に収められている名曲「シスター・ジェーン」!
『恐るべき静寂』は、たった3週間でレコーディングを終えたアルバムだそうですが、シングルとなった「シスター・ジェーン」は当時、ヨーロッパを中心に大ヒットしたそうです。
本当に、素敵なバラード・チューンですよね!
TAI PHONGと同じフランスから、FUJI ROCK FESTIVALへの出演経験もあるMAGMAです!
MAGMAは反復の多い楽曲構成や独特の呪術性、神秘性を持ったバンドなので、野外のロケーションにも映えるはずと思っていました!
ヨリィタウン全体がまるで異空間に閉じ込められたような、現実離れした雰囲気に包まれていく様子は圧巻の一言!
見慣れた街並みが瞬く間に別世界へと生まれ変わり、宗教儀式が行われているかのような神々しさが会場全体を支配していきます。
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LITTLE TRAGEDIESとLOST WORLDを双頭に、豊かなクラシック音楽の土壌に根ざしたダイナミックかつ格調高いプログレ・グループが続々と登場しているロシアのプログレ新鋭シーンを特集!
ここで、フェスティバル本編初となる、期待の新鋭バンドが登場します!
野外と言えばスペース・ロック、ということでロシアの新鋭スペース・ロック・グループVESPERO!
GONGやHAWKWINDを始祖として、OZRIC TENTACLESなどのバンドに受け継がれていったスペース・ロックの新たな世代のバンドです。
日本のプログレ・シーンにはまだ名前が浸透していないように思いますので、この機会にぜひ注目していただきたいですね。
カケレコでは70年代の名アーティストたちと同じくらい、新鋭プログレ・アーティストたちの紹介にも力を入れていますので、どうぞよろしくお願いいたします!
屋外の開放的な雰囲気とVESPEROが奏でるスペース・ロックのトランス感覚は、やっぱり相性抜群!
さて、「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」も終わりに近づいてきましたが、ここでブリティッシュ・プログレの大御所、CAMELの登場です。
74年の傑作『ミラージュ(蜃気楼)』に収録されている彼らの代表作のひとつ、「Lady Fantasy」!
Andrew LatimerのメロディアスなギターとPeter Bardensのデリケートなキーボード、そしてジェントリーな質感のバンド・サウンド。
数多くの新鋭プログレバンドに影響を与えているだけあって、やっぱり本家CAMELは抒情的で素晴らしい!
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6月8日にクラブ・チッタで行われた、スティーヴ・ハケット来日公演2日目に行ってまいりました。全曲がジェネシス・ナンバーというハケットファンにも往年のジェネシスファンにも嬉しい内容となっており、多くのプログレ・ファンからの注目が集まっている今回の公演。その模様を他国でのライヴ動画を交えてお伝えしてまいります!
さて、「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」のトリは、シークレットとして本番まで伏せられていたんですよね。
ラストを飾る楽曲は、なんとプログレッシヴ・ロックの象徴、KING CRIMSONの名曲「クリムゾン・キングの宮殿」!
ステージ上に鎮座してギターを弾くRobert Fripp・・・と思いきや、元GENESISのギタリストSteve Hackettですと!?
しかもドラマーはChester Thompson、ベース・ヴォーカリストはJohn Wetton、さらに管楽器奏者はIan McDonaldという、GENESISとKING CRIMSONのドリーム・チームではありませんか!
Steve Hackettは、近年も「Genesis Revisited Live」シリーズで素晴らしいパフォーマンスを披露していますし、プログレッシヴ・ロックにこだわり抜いたスタジオ・アルバムを発表しています。
これはうれしいサプライズですね!
オープニング・アクトを含めて10組のアーティストが参加した「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」は、こうして大盛況のうちに幕を閉じたのでした。
そんなわけで、「ヨリィ・プログレッシヴ・ロック・フェスティバル2023 SUMMER」の“架空の”ライブ・レポートはいかがでしたか?
実現不可能な夢物語のような企画でも、それを夢想しながらストーリーを考えている間はとても楽しいです!
プログレ・バンドがアルバム・コンセプトを練っているときも、もしかしたらこんな感じなのかも。
それでは、またいつか開催されるかもしれない「カケレコロシアム」でお会いしましょう!!
え、まだ1バンド1曲ずつしか演ってないじゃないか、ですって!?
大変申し訳ございません、このあとYODOBALL RIVERSIDE特設ステージは町内花火大会の会場に早変わりするものですから・・・。
Christian Vnderを中心に「コバイア」という架空の文化を生み出し、凶暴にして荘厳、エキセントリックなアクの強い作風で70年代を駆け抜けたグループ。非常にメンバーの出入りの激しいグループであり、そのファミリー・トゥリーを辿るだけでも一苦労と言う、まさにモンスター・バンドです。Janik Topに代わり、Bernard Paganottiをベースに迎え、加えて当時まだ10代であったDidier Lockwoodも参加して録音された75年ライブ作であり、彼らの代表作と言える1枚。Christian Vnderのドラムをはじめ、バンドの肉感的に迫る名演はスタジオ盤の音圧をはるかに凌ぐ凄まじいものであり、何もかもが圧倒的な傑作となっています。
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、カビあり、スレあり
盤質:傷あり
状態:並
帯有
若干カビあり
74〜77年にわたるライヴ・ステージのハイライトを収録。オーケストラとの共演による「白雁」組曲は圧巻。1978年作品。
紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック7曲、定価3301+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
1枚は傷あり、1枚は無傷〜傷少なめ、帯中央部分に色褪せあり
紙ジャケット仕様、2枚組、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック7曲、定価3301+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり
カンタベリー・シーンを代表するバンド、キャラヴァンによるオーケストラとの共演を収めた74年発表のライブ盤。まず特筆なのは、ライヴならではの臨場感とダイナミズム溢れるバンドの演奏。リチャード・コフラン(Dr)とジョン・G・ペリー(B)によるタイトかつグルーヴ感いっぱいのリズム隊、デイヴ・シンクレアによるこれぞカンタベリーと言える淡い色彩のファズ・オルガン、そして、パイ・ヘイスティングスのギターと前作から加入のジェフリー・リチャードソンのヴィオラが繰り広げるエキサイティングなソロ。全盛期と言われるだけある脂の乗った演奏に思わず体が揺れます。そこにオーケストラも絡んでくるんだから凄い。変拍子によるキメのパートでは、艶やかなトーンの管弦楽器がまるでストラヴィンスキーの交響曲ばりに鳴り響いて、実にスリリング。もちろん、キャラヴァンらしい甘やかなパートでの壮大なオーケストレーションも出色です。キャラヴァンらしい淡いトーンと管弦楽器が生む艶やかなトーンが合わさった絶妙な音の色彩、そして、ロック的ダイナミズムとオーケストラの壮大さとが融合したスケール感。オーケストラを導入したロック・アルバムの中でも屈指の完成度と言える、贅沢な逸品です。新曲3曲収録。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は76年にリリースされたライブ作であり、アメリカのカーネギー・ホールにてオーケストラを率いて録音(75年6月)された名盤です。デビューアルバムから、アメリカへの足がかりとなった名盤「Scheherazade And Other Stories」までの代表作が余すことなく並んでおり、Annie HaslamのソプラノボーカルとNYフィルのオーケストラが絶妙に溶け合い、孤高のシンフォニック・ロックを作り上げています。
女性ボーカリストSonja Kristina、名ヴァイオリン奏者Darryl Wayを擁したイギリスのプログレ・バンド、74年のイギリス公演を収録した75年ライブ作。その内容は彼らの代表曲が贅沢に並べられた、プログレ史に残る名ライブ盤となっています。スタジオ作では非常に繊細で丁寧に音を紡いでいくグループであり、スタジオバンドのような印象のある彼らですが、本ライブ盤で聴けるのはSonja Kristinaのヒステリックなほどにパワフルな歌声、Darryl Wayの鋭い切れ味とドライブ感のあるヴァイオリン、そしてバンド陣全体の一糸乱れぬテクニカルなプレイの応酬です。やはりスタジオ作とのギャップに驚いてしまいますが、ワイルドで骨のあるバンドの本来の姿が記録された名盤と言えます。
2枚組、スリップケース付き仕様(画像はジャケットです)、定価3619+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
ポストカードに黄ばみあり
05年デビュー、ロシア出身のインスト・サイケ/プログレ・バンドによる16年ライヴ作。のっけから17分の大曲で彼らの音世界へと引き込まれます。シンセやヴァイオリン、サックスが思い思いにフレーズを奏で交歓する浮遊感たっぷりの導入部に、リズムが切れ込み、スリリングにアンサンブルが立ち上がってくる展開は、GONG『YOU』を思い浮かべずにはいられない息をのむ素晴らしさ。パーカッションを交え猛烈な音数でまくし立てるトライバルなリズム・セクションは相変わらずの超絶度合いだし、不穏な旋律を紡ぐヴァイオリンと暴走するサイケデリックなワウギターが対比するアンサンブルは凄まじい熱量を放ってます。演奏を適度にクールダウンさせるスペイストーンのシンセもいい仕事です。ライヴでも演奏のクオリティは一切下がっていません。GONG影響下にありながらもフォロワーという域を大きく超え出た孤高のサウンドが炸裂している驚異のライヴ・パフォーマンス!
スペインの新鋭プログレ・バンドによる、17年リリースのライヴ・アルバム。2nd『QUIEN TENGA ALGO QUE DECIR… QUE CALLE PARA SIEMPRE』からのナンバーを中心に選曲された全9曲を演奏。ギタリストを筆頭にテクニシャン揃いのメンバーによるダイナミックかつ正確無比な演奏と、ライヴならではの熱気を纏ったヴォーカル&コーラスが組み合わさった、素晴らしいパフォーマンスを披露しています。ラスト、コーラス・パートまで再現した「ボヘミアン・ラプソディ」のカバーも必聴です。DVDには同公演の映像を収録していますが、注目はデビュー時よりメンバーに名を連ねるモンティ・パイソンから影響を受けたという2人のパフォーマー。MCを務めたり、演奏に合わせて踊ったり、被り物で寸劇をおこなったりと、活躍しており見所となっています。
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