2023年2月21日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
イタリアならPFM、ドイツならCAN、オランダならFOCUSというように、「プログレと言えばイギリスだよね。」という方にも一度は聴いてみて欲しいアーティストが各国に存在します。
フランスであれば、それがMAGMAであるのは間違いないでしょう。TAI PHONGも捨てがたいですが。
総帥クリスチャン・ヴァンデを中心に現在も精力的に活動を続けるモンスター・バンドがご存知MAGMA。
22年には来日公演も敢行し、衰えない存在感を日本のファンに見せつけてくれました。
今回は、そんなMAGMAメンバーのソロワーク/参加作品やマグマの暗黒サウンドに影響を受けた作品をメインに、新旧フレンチ・プログレをご紹介していきたいと思います!
まずはMAGMAの名盤2作品からスタート!
伝説はここから始まった…!C.ヴァンデが私淑するジョン・コルトレーンの遺志を受け継ぐべく結成されたバンドの衝撃デビュー作。独自言語も織り交ぜたグラグラと煮えたぎるようにエネルギッシュで濃厚なブラス・ジャズ・ロックが炸裂!
B面を使った大曲「De Futura」にて復帰したJanik Topの地鳴りベース、凶悪で破滅的な轟音の渦…!まさに戦慄。必聴です。
マグマの傑作ライヴで最高にスリリングなプレイを聴かせていたVln奏者ディディエ・ロックウッド参加の4作目。セファーのエネルギッシュなサックスに鋭く絡むエレキ・ヴァイオリンがカッコいい!この強度、ブランドXやアレアにも匹敵しますね。
こちらもDidie Lockwoodが参加した作品。エイリアンや未確認飛行物体をテーマにしたフランス産のコンセプト・アルバムなんですが、伊ヘヴィ・シンフォばりの狂おしさに電子音やナレーションが渦巻いて、すごいエナジー。
英ジャズ・ロック志向の前作とはうって変わって、ZAOをよりフリーキーにしたような不穏で無国籍風のサウンドがたまりません。MAGMAでおなじみヤニック・トップ先生の地獄の如きベースも絶好調!鳥肌モノです。
このバンドどう読むのかな~。10人に聴いたら、10通りありそう^^。サウンドは、マグマの熱気にソフト・マシーンのミニマルなクールネスをブレンドした感じ?
マグマ以前にベルナール・パガノッティが在籍していた仏プログレ黎明期のバンドと言えば?くすんだトーンのオルガンや浮遊感のあるヴァイヴが印象的で、まるでフロイド、コロシアム、トラフィックをゴッタ煮にしたようなアート・プログレ!
MAGMA譲りの暗黒、MAHAVISHNU ORCHESTRAの向こうを張る演奏強度、そして繊細に音を描く芸術的感性を兼ね備えたユーロ・ジャズ・ロックの傑作。これは凄い作品…!
マグマとウェザーリポートを掛け合わせると? マグマのピアニストとウェザーのベース、ミロスラヴ・ヴィトウスとの競演盤がもう圧倒的な完成度。凄いです。
マグマ人脈の最重要人物の一人と言える方によるソロ作品なんですが、経歴から予想されるサウンドに反し、これがマイク・オールドフィールドにも負けない緻密で幻想性溢れるプログレ絵巻なんです☆
そのチボー氏の奥方である女性SSW/コンポーザーも是非!ロバート・ワイアットの1stソロをメランコリックにしたようなサウンド、才気あふれてるなぁ…。プロデュースはローラン・チボー!
これ、本当に自主制作なの!?アンサンブルの強度はヘンリー・カウやマグマやユニヴェル・ゼロに比肩。テンションみなぎるジャズ・ロックを軸に、フルートやマリンバが駆け巡るチェンバー・ロックなパートを配して絶え間なく聴き手に襲いかかる傑作!
こ、これはずばり、MAGMA/KING CRIMSONファンに激オススメの超絶技巧暗黒ジャズ・ロック音源!理知的かつ凶暴に畳みかける演奏から放たれる緊張感が半端じゃない!
知名度ではだい~ぶ劣るけど、ZAOにも負けないテクニカルかつ暗黒の超絶ジャズ・ロックを聴かせる名グループ!
ギターとサックスが時にエネルギッシュなプレイを応酬させ、時に一糸乱れぬユニゾンで快走する、硬質なテクニカル・ジャズ・ロックはもう抜群のカッコよさ!武骨で硬派なジャズ・ロックを楽しみたいなら是非。
「太陽と戦慄」期クリムゾンやヘンリー・カウ的な攻撃性を軸に、HF&Nに通ずる繊細さと緻密さ、ZEUHL彷彿の暗黒を融合させたサウンドは、素晴らしき完成度!
強烈な変拍子の中をヘヴィ&テクニカルに突き進むアンサンブル、狂気的に絶叫し熱唱する男性ヴォーカル!MAGMA別動隊ONE SHOTのドラマー率いるバンド、19年作2nd!
超攻撃型ジャズ・ロック・トリオ!MAGMAフォロワーのなかでも屈指の強度とヘヴィネスを誇るグループ!
マグマ直系バンドの注目株だったRHUNが一作のみであえなく解散、しかしその主要メンバーが結成したバンドがまた素晴らしい!マグマ色を残しつつもスタイリッシュな聴きやすさを備えた稀有なアヴァン・プログレの逸品!
アルバムの音源ではありませんが、こちらのセッション映像でその実力は伝わるはず。
ヘヴィで屈強なリズム・セクションをバックに、フリップにも似る空間を切り裂くように鋭利な単音ギターリフ、艶やかなローズピアノが、ポリリズムを織りまぜながら緩急豊かに彩っていく様は圧巻!
ハットフィールド&ザ・ノースの1stにマグマ的暗黒パワーをいい塩梅に注入した感じと言いましょうか、カンタベリーのメロウネスとマグマの緊張感が絶妙にバランスしたサウンドは驚きの完成度!
執拗な反復フレーズで聴く者を追い詰めるかのような展開、そしてチャントやシャウトが飛び交う狂乱のヴォーカル・パフォーマンス。これぞマグマ直系と言える要素を備えた凄まじいサウンドです。なんとテキサスから登場したバンドによる16年作!
いかがだったでしょうか。
マグマという偉大なグループの影響力を実感いただけたなら嬉しく思います!
MAGMAのメンバーであったYochk’o SefferとFrancois Cahenが73年に結成したジャズ・ロックグループの76年4th。前作でバンドとしての個性を手に入れることに成功した彼らですが、本作では超絶ヴァイオリニストDedier Lockwoodが参加し、Yochk’o Sefferとの凄まじいインタープレイを聴かせています。楽曲自体も前作の構築性は影を潜めており、よりメンバーの力量に頼った即興色とソロパート押し出しており、彼らの超絶技巧を余すところなく収録したテクニカル・ジャズ・ロック最高峰の1枚と言えるでしょう。
女性ヴォーカル、ヴァイオリン、サックスをフィーチャーしたフランスの新鋭プログレ・グループ。09年デビュー作。クリムゾンやカンタベリー・ミュージックを中心に70年代プログレやジャズ・ロックからの影響を強く感じますが、懐古趣味的な印象はまったくありません。往年の名グループの遺伝子を受け継いだ、文字通りに「プログレッシヴ」なサウンドがここにあります。「太陽と戦慄」期のクリムゾンやHENRY COWあたりの攻撃性を軸に、HATFIELDS & THE NORTHに通ずる繊細さと緻密さ、フランス的な芸術性や演劇性を融合させたサウンドは、かなりの完成度!時にミニマルなフレーズを奏で、時にささくれだったリズムギターで牙をむくギター、シャープ&タイトな強靱なリズム隊、フリーキーに暴れ回るヴァイオリン&サックス、時に荘厳なメロトロン、時にアヴァンギャルドなシンセで楽曲を飛躍させるキーボード、フランス語で歌う存在感抜群のシアトリカルな女性ヴォーカル。各パートの演奏力、アンサンブルの強度ともに抜群です。14分を越える「ODS」など、構成も文句無し。これは強力なグループが登場しました!圧巻の名作。かなりおすすめです!
現行MAGMA/ONE SHOTのベーシストがMAGMA参加前に組んでいたジャズ・ロック・トリオ。96年録音/08年発表作。空間を切り裂くエッジの立ったソリッドなリフ、MAGMAが放っておくはずもないZEUHL直系のメロディアスな重低ベース、タイトかつダイナミックなドラムが濃密に絡み合う超攻撃型ジャズ・ロック!SOLEIL ZEUHLレーベル内でも、屈指の強度とヘヴィネスを誇るグループ。
フランスのジャズ・ロック/プログレ・グループによる、当時未発表だった77〜81年の音源を収録した2枚組作品。前衛色も垣間見せるジャジーなドラム、野太く唸るベース、凶暴なオルガン&シンセ、フリップ・タイプの神経質なトーンと音運びが特徴のギターが繰り広げる超絶技巧暗黒ジャズ・ロックが強烈!コーラスも含めヴォーカルはありませんが、この時期のフランスだけあって、MAGMAを強く意識した変拍子リズムによる切迫感みなぎる畳みかけが随所で決まっていてこれは抜群にカッコいいです。煮えたぎるようなエネルギーを内包しつつ、それを理知的にコントロールして終始スリリングに展開するアンサンブルからは、RED期クリムゾンやMAHAVISHNU ORCHESTRAに通じるセンスも感じます。MAGMAファン、MAGMA影響下のZEUHL系ジャズ・ロックのファン、クリムゾン・ファンには是非聴いてみてほしい一枚!
西フランスのナント出身、フルート奏者、パーカッション奏者を含む6人編成のチェンバー・ロック/ジャズ・ロック・グループ。81年に自主制作された唯一作。マハヴィシュヌ・オーケストラ、フランク・ザッパ、マグマ、ヘンリー・カウから影響を受けたようで、テンションみなぎる緻密かつ狂暴なサウンドが持ち味。一時、ETRON FOU LELOUBLANのメンバーと交流を持ち、彼らが所属するR.I.O.への参加も打診されたようです。アルバムの録音は、UNIVERS ZEROが傑作『HERESIE』と『CEUX DU DEHORS』を録音したスイスのスタジオ。これほどのテクニックを持つグループながらレーベルを探すことはせず、自費プレスでわずか1000枚のみ、ほぼライヴ後の手売りのみでさばかれたようです。サウンドは、自主制作の中でも屈指のクオリティ。変拍子というか、唐突にストップ&ゴーを繰り返しながらリズムを解体し、いびつな拍子で予測不能に畳みかけるドラム、低域で強靱にうねるベース、硬質なタッチのピアノ、エッジの立ったトーンでエキセントリックなフレーズをアグレッシヴに弾き倒すギターによるテンションみなぎるパートを軸に、フルートとマリンバが細かい拍子の中を鋭角に駆け巡る暗黒チェンバー・ロックなパートを配して、とめどなく聴き手に襲いかかるサウンドが持ち味です。そのアンサンブルの強度は、ヘンリー・カウやマグマに比肩。ヘンリー・カウやユニヴェル・ゼロやマグマのファンは間違いなく気に入るでしょう。傑作です。
ギターのCharles、キーボードのMichel、ドラムのPhilippe、Goubin3兄弟を中心とするフレンチ・ジャズ・ロック・グループの76年デビュー作。手数多くビシビシとタイトに刻む精緻なリズム・セクションに乗り、ハード・ロッキンに弾きまくるワイルドなギター、神秘的に音を散らすエレピ、Eddie Jobsonばりにキレのあるエレクトリック・ヴァイオリンが三つ巴でやり合うスリリング過ぎるアンサンブルに手に汗握ります。そこに美声ながらどこか不穏な女声スキャットが入ってくると、一気にMAGMA的な暗黒が垂れ込め始め、ZEUHL系バンドとしての本領を見せ始め思わず戦慄。そうかと思うと、不意に即興風の淡い幻想が滲むパートを挟み込んでくるフランスらしいアーティスティックなセンスにも唸らされます。MAGMA譲りの暗黒、MAHAVISHNU ORCHESTRAにも向こうを張れる演奏の強度、そして繊細に音を描く芸術的な感性を兼ね備えたユーロ・ジャズ・ロックの傑作。これは凄いです。
MAGMAのメンバーであったBernard PaganottiとPatrick Gauthierが結成した、MAGMAの76年作である「UDU WUDU」収録曲をバンド名に冠したZeuhl系の個性派ジャズ・ロックグループ、78年唯一作。その内容はMAGMAのサウンドを独自に再構築した、まさに直系のサウンドとなっており、即興も巧みに取り入れながらBernard Paganottiの偏執的なベースとPatrick Gauthierのミニマルな反復が圧迫感を持って迫ってくる名盤です。もっともMAGMAほどエキセントリックな構成ではなく、MAGMAのサウンドとストレートなジャズ・ロックの融合を図っており、充分個性的ながらもMAGMA系の中では比較的耳に馴染みやすい作品となっています。
フレンチ・ジャズ・ロック・バンドによる82年の唯一作。ギターとサックスが時にエネルギッシュなプレイを応酬させ、時に一糸乱れぬユニゾンで快走する、硬質なテクニカル・ジャズ・ロックはもう抜群のカッコよさ!変拍子まみれの複雑なリズムを武骨に紡ぐリズム・セクションも圧巻の技巧の持ち主です。随所で現れるサックスが反復フレーズで熱っぽく煽る展開にはZEUHL色も感じられ、さすがフランスといったところ。仏ジャズ・ロックでも屈指と言って良い超絶テクニックで押し通る、硬派なジャズ・ロック名盤!
フランス音楽シーンでプロデューサーとして活動していたJean-Pierre Massieraを中心に結成されたフレンチ・へヴィー・プログレグループの74年作唯一作。いわゆる企画バンドであり、エイリアンや未確認飛行物体をテーマにしたコンセプト・アルバムとなっています。その内容は、キーボーディストFracis Lockwood、ヴァイオリニストDedier Lockwoodの兄弟をはじめ20名以上のミュージシャンが参加していることでも有名な作品であり、コンセプトを反映したエフェクティブな音像処理で重厚なシンフォニック・サウンドを構築したへヴィー・シンフォニック・ロックの傑作です。
MAGMA〜ZAOのサックス奏者ヨシコ・セファーがZAOのメンバーらと結成したプロジェクト、75年作2nd。本作よりMAGMA全盛期のベーシスト=ヤニック・トップが参加。英国ジャズ・ロックの端正さを想起させた前作に比べると無国籍調のフリーキーで緊張感あるサウンドへと変化しており、ズール系バンド特有の不穏さを放出していて堪りません。セファーの滑らかながらもキレのあるサックスのプレイ、地の底から鳴るようなトップのベースはやはり強烈。傑作です。
フランス出身、後にマグマで活躍するベーシスト、バーナード・パガノッティ在籍のアート・ロック/プログレ・グループ、70年の唯一作。霧のように低く立ちこめるドラム、くすんだトーンのオルガン、浮遊感のあるヴァイヴ、女性を含む荘厳なコーラス、アーティスティックなヴォーカルなど、ピンク・フロイドを彷彿させる幻想性に溢れたサウンドが聴き所。歪んだギターが炸裂するキメのパートでは、パガノッティのベースも高速にうねりを上げて痺れます。トラフィックとコロシアムの中間に位置するようなジャジーなロック・ナンバーも魅力的で、ジャジーで格調高いピアノを挿入したり、かなりのセンスを感じさせます。秘宝臭ぷんぷんのジャケに「おおっ」となったユーロ・ロック/プログレのファンは聴いて損はありません。
MAGMA黎明期、そしてUNIVERIA ZEKTのベーシストでありプロデュースも行っていたミュージシャンの79年ソロアルバム。EMMANUELLE PARRENINと同じBallon Noirレーベルからリリースされた本作は、Francis Moze、David RoseといったMAGMA、GONG人脈やHATFIELD & THE NORTH、NATIONAL HEALTHで活躍したAmanda Parsonsのサポートを受けて製作されており、MIKE OLDFIELDにも通じるような澄んだサウンドで聴かせる傑作。またMAGMAに通じるフリーフォームなジャズ・ロック色も健在であり、独特のエキゾチックな質感やオリエンタル志向も心地良い1枚です。
ドラマー&コンポーザーのクリスチャン・ヴァンデ率いるフランスを代表する、というよりユーロ・ロックを代表する巨星グループによる記念すべき1970年デビュー作。幼少時代にクラシックをはじめ、R&Bやソウルに親しんだ後、ジョン・コルトレーンのフリー・ジャズに心酔したヴァンデ。コルトレーンの死後、生きる活力を失い、2年をさまよい歩いた後、神の啓示を受け、精神世界を追求したコルトレーンの意志を受け継ぐことを決意し、マグマを結成します。非西洋的な土着性をクラシックに取り込んだストラヴィンスキーなど近現代クラシックの流れを汲みながら、米R&Bやソウルのダイナミズム、コルトレーンの精神性をグツグツと煮炊きながら生まれたのがマグマ独自のサウンド。彼らの代名詞と言える独自言語コバイア語も既にあり、英米が主導する資本主義や利己主義による均一化を憂う壮大な叙事詩=コバイア・ストーリーを核に、フランスならではのロックをめざしたのが本作です。いきなりの一曲目「Kobaia」から、彼らならではの音世界が爆発!圧倒的なスピード感で疾走するドラム、超低域でうねっては暗黒を表出させるベースによる屈強なリズム隊。デビュー作のみ居るギタリスト、クロード・アンゲルによるザラついた歪みの猥雑&ブルージーなギター。そして、ビッグバンド・ジャズ風から突如暴力的に牙をむくブラス隊!オープニングから圧倒的な音圧で聴き手に迫ります。対照的に煌びやかなトーンで格調高さを加えるピアノも絶品。なお、ピアノは後にザオを結成するフランソワ・カーン!呪術性、神秘性、クラシカルな静謐さ、エキゾチズムが代わる代わる押しては引く展開は、す、すさまじすぎるテンション・・・。後の暗黒オペラティック・サウンドが強烈なだけに、初期は地味な位置づけですが、ヴァンデの精神性と音楽的野心はすでに最高潮ですし、ユーロ・ロック史上に残る作品と言っても過言ではないでしょう。大傑作!
80年代にはJaco Pastoriusとも活動した仏の名ドラマー&コンポーザー、前作から1年後にリリースされた81年作2nd。元ART ZOYDでソロでも名作を残す名ギタリストのAlain Eckertの他、仏フュージョン・グループST.ERHARTのメンバー(サックス、ベース)が参加。フュージョン・タッチのテクニカルさ&流麗さとマグマ的暗黒さ&野蛮さとが同居したスリリングなサウンドが印象的。タイトかつ引き締まったドラム、ハイポジョションでよく動くフュージョン系のベースによるリズム隊を土台に、マグマ的な男女コーラスとキレのあるホーンセクションが暗黒を描き、弦楽器やヴィヴラフォンやマリンバが近現代クラシック的なエッセンスを注入。そしてそこに高速で切れ込むAlainのギター!ZAOにも負けない超絶ジャズ・ロックを聴かせる名作です。
フランス出身、フェンダー・ローズ/ピアノ奏者、オルガン奏者のダブルキーボード編成の5人組新鋭ジャズ・ロック・バンド。07年作から6年ぶりの2013年作2nd。アグレッシヴに動きまくる跳躍力あるファズ・ベース、カンタベリー・フィーリングたっぷりな淡いトーンのファズ・オルガンが印象的。ヴォーカルも優美でメランコリック。ハットフィールド&ザ・ノースの1stにマグマの暗黒さをいいあんばいに注入した感じと言いましょうか、カンタベリーのメロウネスとマグマの緊張感が絶妙にバランスしたサウンドがかなり完成度高いです。繊細なタッチと流麗さを持った好グループです。ズール系ファンにもカンタベリーファンにもオススメ!
テキサス出身、現在はLAを拠点に活動する、女性ヴァイオリン奏者/Vo、サックス奏者を含む5人組。前12年作に続く16年作3rd。基本的なサウンドは前作を引き継ぐ、MAGMA及びその周辺人脈による所謂ZEUHL系バンドからの影響を受けたジャズ・ロック。猛烈な手数で荒れ狂うドラミングとベースによるバカテク変拍子リズムセクションの上を、鈍い光沢を放つ重厚な切れ味のサックスと不穏さを煽るような緊張感たっぷりのヴァイオリンがスリリングなフレーズの応酬を繰り広げるアンサンブル。執拗に反復フレーズを繰り返しジリジリと聴き手を追い詰めていくような展開。そして何語か不明な妖しすぎるチャントや強烈なシャウトを交えた狂乱のヴォーカル・パフォーマンス。まさにMAGMA直系と呼んで差し支えない要素が揃った凄まじいサウンドです。MAGMA好きであれば「これを待ってた!」と声をだすこと間違い無しの逸品!
フランスの女性コンポーザーで、ヴォーカル、鍵盤楽器、ギターを操るマルチ・ミュージシャン。ローラン・チボーのプロデュースによる76年作2nd。前作と同じく、チボーのソロ作にも参加しているSerge Derrienがフルート&ギターで参加。オルガンとピアノが中心だった前作と比べ、フェンダー・ローズ、シンセも加わり、アコースティックなサウンドと電子的サウンドの二筆を使い、精緻なタッチでイマジネーション豊かに音世界を描いています。ロバート・ワイアットの1stソロをメランコリックにしたようなサウンドが印象的です。時折、全体を引き締めるほの暗くジャジーなパートはZEUHL直系。1stと同じく、ローラン・チボーの幻想的なソロ作、ロバート・ワイアットの1stソロのファンなら、この作品も間違いなく気に入るでしょう。ほぼ無名なことに驚く奇才です。
MAGMAの別働インスト・ジャズ・ロック・カルテットONE SHOTのドラマーDaniel Jeand’heurがONE SHOT脱退後に結成したグループの19年作2nd。各4つの小曲を含んだ3つの組曲からなり、複雑な変拍子の中をテクニカル&アグレッシヴに疾走する強靭なバンド・アンサンブルはMAGMAさながら。ハイテンションに畳みかけるドラム、捻じくれたフレーズをゴリゴリと強靭に刻んでいくベース&ギター。時に喉から絞り出すように絶叫し、時に切羽詰まったように早口でまくしたてる男性Vo.の狂気的な熱唱も強烈…!MAGMA好きは要チェックの逸品!
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