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タイ・フォン初来日公演 3日目(10/12)ライヴ・レポート

10月12日に行われたフランスの名バンド、タイ・フォンの来日公演に行ってまいりました。大阪で1日、クラブチッタ川崎で2日の計3日程で行われた彼らの初来日公演。
その最終日の模様を、オリジナル楽曲の音源を交えてお伝えしてまいります!



タイ・フォンと言えば、70年代に活躍したユーロ・ロックのバンドの中でも、とりわけ高い人気を誇るフランス出身のグループ。ハード・ロックに根差したアグレッシヴさとシンフォニックな厚みのある音色を融合させた、個性的かつ完成度の高いサウンドを聴かせました。

現在は、当時バンドの中心人物だったベトナム系兄弟のうちの一人、ギタリストのカーン・マイ(Khanh Mai)をリーダーとして活動中。13年にリリースされた新作の素晴らしい出来も記憶に新しいところですよね。


ライヴは、75年1stからのナンバー「OUT OF THE NIGHT」でスタート。チャーチ風の荘厳なオルガンをバックにカーン・マイが切々と語りかけるような歌唱を聴かせる冒頭から、すでにタイ・フォンならではの叙情に溢れていて感動がこみ上げます。

演奏が開始されて驚いたのは、ダブル・キーボード&トリプル・ギター+リズム隊という計7人による特殊なバンド編成。3人のギタリストのうち2人はカーン・マイと彼の息子Davyで、それ以外は40-50代あたりと見られるベテラン・ミュージシャンで固められています。本曲後半、エネルギッシュに盛り上がっていくパートでの音の厚みは往年以上で、圧倒されました~。カーン・マイの泣きのギターソロも炸裂!メンバーは70年代から大きく変わりましたが、カーン・マイがいればちゃんとそれはタイ・フォンなのだと強く実感します。



そこからは、リードヴォーカルを務める女性シンガーAina Quachがステージに登場し8人編成の大所帯に。新作『RETURN OF THE SAMURAI』からのナンバーを中心として、合間に往年の代表曲を披露する形で進行していきます。

『RETURN OF THE SAMURAI』からのナンバーは、スケール感のあるドラマティックなメロディアス・ロックと言えるもので、随所に聴かれる東洋的な幻想性を持つサウンドメイクにタイ・フォンらしさを感じさせます。

このAina Quachというシンガー、ソウル/ゴスペルの素養を感じさせる相当な実力派で、ベトナムの民族衣装アオザイに身を包み、分厚いバンド演奏に全く引けを取らないパワフルな歌唱が存在感抜群でした。スタジオ録音では彼女とは別の透明感のある美声女性ヴォーカルが印象的でしたが、彼女のパンチのある歌声もタイ・フォンの音に意外なほどマッチしていて、聴きごたえたっぷりでしたね~!
洗練されたメロディアスな好ナンバー「ONE DAY」、往年を彷彿させる叙情バラード「COUNT ON ME」や「LONG AGO」などなど、現在進行形のタイ・フォン・サウンドを存分に楽しませてくれました。

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新作からのナンバーだけでも十分に素晴らしいステージだったのですが、やはり注目はよみがえる往年の名曲の数々。

1stアルバムのオープニングを飾る「GOIN’ AWAY」では、オリジナルでのスピード感いっぱいのスリリングなアンサンブルはそのままに、楽器編成を生かした重厚さが加わっており、演奏が迫りくる音塊となって客席に押し寄せます。
テクニカルなギタープレイはカーン・マイ以外の2人が担当し、カーン・マイはスライドギターによる情緒あふれるソロプレイで演奏にエモーショナルな表情をつけていきます。往年に比べよりマイルドで深みを増したトーンが印象的でした~。ヴォーカルはAinaで、起伏の激しいオリジナルでの歌メロを持ち前の声量でソウルフルに歌いこなしていました。

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2nd収録の「GULF OF KNOWLEDGE」も素晴らしかったですよ!タイ・フォンの持ち味の一つである繊細なリリシズムが凝縮されたような名品ですが、そのリリシズムが見事なまでに再現されていて実に感動的でした。
一音一音を各楽器が丹念に重ねていくようなアンサンブルが、ステージのバックに流れる雄大な自然風景を写した映像にシンクロします。特にここではカーン・マイがヴォリューム奏法を使って繊細に紡いでいくフレーズが絶品でしたね~!

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そして観客が最も待ち望んでいたであろうプログレ界屈指の名バラード「SISTER JANE」!ここは女性シンガーAina Quachの独壇場という感じで、ピアノをバックに切々と語りかける冒頭パートからサビの激情ほとばしる熱唱へと、
これでもかとドラマティックに歌い上げる展開に、わかっていながらも完全ノックアウトでした!
それにしても彼女、客席にまでビリビリと振動が伝わってくるくらいのものすごい声量で、個人的にはこれまで生で聴いた女性シンガーの中では一番と言える凄さでした!いやはや圧倒的でしたね~。

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こちらもファンに非常に人気の高いナンバーですね。2ndアルバムのオープニングを告げるスリリングな名曲「WHEN IT’S THE SEASONS」も演ってくれましたよ!
2人のギタリストによる畳みかけるように音数多く緊密なギターフレーズに導かれ、ここでもAinaのパワフルなヴォーカルが炸裂します!中盤の哀愁たっぷりの泣きのギターソロパートを経て、満を持してカーン・マイが登場。粛々としたピアノ伴奏を背に往年と変わらない切ない歌声で最終パートを歌い上げます。うーむやはり名曲ですね~。「GULF OF KNOWLEDGE」とこのパートが、個人的に最も70年代のタイ・フォンを強く感じさせてくれた演奏でしたね~。40年という歳月を超えて、かつてのフィーリングをよみがえらせるというのはやはりすごいことだと思います。

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アンコールの最終曲では再び「SISTER JANE」が登場!ぜひもう一度聴きたいと思っていただけにこれは大変嬉しかったです。Aina嬢による魂のこもった名唱、存分に堪能させていただきました~



バンド名の由来である台風が本州に接近してくる中で行われた今回の初来日公演。往年の代表曲は言わずもがなの素晴らしさですが、13年作「RETURN OF THE SAMURAI」や00年作「SUN」からのナンバーも非常の聴きごたえのあるパフォーマンスで、2時間20分が本当にあっという間に過ぎてしまった印象です。

オリジナル・メンバーがカーン・マイ一人となったタイ・フォンですが、バンドがチームワーク的にも演奏の質的にも往年に負けない充実ぶりであることがパフォーマンスからはしっかりと伝わってきました。
最新作も現代のタイ・フォンとして文句なく素晴らしい作品でしたし、今後の更なる活躍を期待したいところです。

3日間お疲れ様でした、タイ・フォン!




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  • TAI PHONG / RETURN OF THE SAMURAI

    フレンチ・プログレの名グループ、2013年作

    70年代に傑作を残したフレンチ・シンフォを代表する名グループ、タイ・フォンによる2013年作。オリジナル・メンバーでギター&ヴォーカルのKhanh Maiに、女性ヴォーカルなど新メンバー3人による4人のバンド・メンバーを中心に、多数のゲストが参加して制作。柔らかなトーンで夢想的に広がるキーボード、叙情がしたたり落ちるリリカルなピアノ、そして、70年代から彼らの魅力である繊細なタッチで伸びやかに紡がれる哀愁たっぷりの泣きのギター!オープニング・ナンバーから、流麗すぎるギター・ソロにグッときっぱなし。さらに、何と言っても魅力的なのが、男女リード・ヴォーカル!変わらぬセンチメンタルなハイ・トーンが胸を震わせるKhanhのヴォーカル、透き通った女性ヴォーカル。これでもかと美旋律と美声が響き渡ります。パーカッシヴなアコースティック・ギターや打楽器によるアジアンなエキゾチズムも良い案配で、甘美な歌世界を引き締めています。あとは、ジャケが初期作のようにファンタスティックだったら完璧だったんですが!アルバムのどこを切り取っても彼ららしいリリシズムが溢れでるシンフォニック・ロック逸品。

  • TAI PHONG / TAI PHONG

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  • TAI PHONG / LIVE IN JAPAN

    2014年の初来日公演を収録したライヴ・アルバム、全20曲

    2014年10月に大阪・東京で行われた初来日公演をCD2枚に完全収録したライヴ・アルバム。

    ステージの模様は、ライヴ・レポートをご覧ください!

    https://kakereco.com/magazine/?p=14375

    • VSCD4338/40

      紙ジャケット仕様、2枚組+5曲入りボーナスディスク付属、定価4300+税

      盤質:無傷/小傷

      状態:

      帯有

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