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PFM来日公演@Billboard Live東京(2018/01/09)ライヴレポート

こんにちは、スタッフ佐藤です。

1月9日に六本木のBillboard live東京で行われた、PFM来日公演の初日1stステージを観てまいりました!

1970年の始動以来、イタリアン・ロック史上最も偉大なバンドとして君臨してきたPFM。
彼らの功績やこれまでの歩みについては、ビルボード・ジャパンのサイトで特集記事として書かせていただきましたので、お読みくださった方もいらっしゃるかと思います。


http://www.billboard-japan.com/special/detail/2169

現在のPFMは結成以来最も大人数の7人編成。ダブル・ドラムスとダブル・キーボードを含むかつてない編成となっていて、スタジオ・アルバムは聴いていたものの、一体ライヴではどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待に胸をふくらませて開演を待っていました。

こちらが今回の来日メンバーです。

フランツ・ディ・チョッチョ / Franz Di Cioccio (Drums / Lead Vocals)
パトリック・ジヴァス / Patrick Djivas (Bass)
アレッサンドロ・スカリオーネ / Alessandro Scaglione (Keyboards)
マルコ・スフォーリ / Marco Sfogli (Guitars)
アレッサンドロ・ボネッティ / Alessandro Bonetti (Violin)
アルベルト・ブラビン / Alberto Bravin (Keyboards/Guitars/Vocals)
ロベルト・ガウディ / Roberto Gualdi (Drums)

なお正式なバンドメンバーには、70年代よりPFMを支えるヴァイオリニストのルーチョ・ファッブリが名を連ねていますが今回の来日公演には不参加。代わりにDEUS EX MACHINAのヴァイオリニストであるアレッサンドロ・ボネッティが参加していました。

開演時間の19時、7人のメンバーがステージに登場!やはり目を引くのは白髪をなびかせた考古学者のような風貌のフランツ・ディ・チョッチョ。セカンド・ドラマーのロベルト・ガウディにドラムを任せ、フロントに立ちます。新作『EMOTIONAL TATTOOS』からのナンバーでスタート。


「Il Regno」は、ゆったりとスケール大きなサウンドに、チョッチョの淡くエモーションが滲む味わいあるヴォーカルが沁みる感動的なメロディアス・チューンで、円熟の境地に達したPFMの姿を伝える一曲。泣くとしたら初期ナンバーだなぁと思っていましたが、あまりに伸びやかなイタリア叙情にのっけからウルッと来てしまいました…。

続く「Le Lezione」はジヴァスの緊張感あるベースプレイが光るソリッドなロック・ナンバーで、00年作「SERENDIPITY」の作風を思わせます。椅子に腰掛けて(フリップ・スタイル?)演奏するジヴァスですが、出てくる音はかなり鋭角的でギラギラした存在感を放っていてカッコいい!

またここではギタリストのマルコ・スフォーリが速弾きを交えたテクニカルなプレイも会場を沸かせます。結成以来45年にわたり在籍した名ギタリスト、フランコ・ムッシーダの後任という重責を担う彼ですが、イタリア然とした叙情的なタッチと若手らしいハードエッジな感覚を持ち合わせた、現在のPFMには適任と言える逸材だとステージ上での演奏を見て再認識しました。

ここまでで新作中心のセットリストになるのかなと思ったら次の瞬間、跳ね踊るような楽しげなイントロで始まったのは、74年作『甦る世界(THE WORLD BECAME THE WORLD/L’ISOLA DI NIENTE)』収録の「FOUR HOLES IN THE GROUND」!客席から一斉に歓声が沸き起こります。

圧巻だったのが、チョッチョとロベルト・ガウディによるダブル・ドラムス!チョッチョによる往年と変わらぬ猛烈な手数のドラミングはただただ強靭の一言に尽きます。今月21日で72歳を迎えるとは思えないパワフルさ。

サビのテーマをスピードを増しながら繰り返すラスト数分は、間違いなく本公演のハイライトでしたね!テンポが早まるにつれドラムもますます激しさを増してつむじ風のような超絶アンサンブルへ!イタリアのみならずプログレ・シーン全体でも屈指と言える技巧派バンドの面目躍如たる、凄まじいパフォーマンスが会場を飲み込みます。

オリジナル・キーボーディストだったフラヴィオ・プレモリ特有の鮮やかな色彩感を持つムーグシンセのトーンがちゃんと再現されていたのも嬉しかったなぁ~。
あとキーボード/ギターも兼任するマルチ・プレイヤー、アルベルト・ブラビンのよく通るヴォーカルも、ハスキーな声質のチョッチョと良い対比を成していましたね。

名盤『PHOTOS OF GHOSTS(幻の映像)』からは、「PHOTOS OF GHOSTS」「IL BANCHETTO」の二曲を披露!

特に「IL BANCHETTO」が素晴らしく、マルコ・スフォーリとマルチ・プレイヤーのアルベルト・ブラビンによる、典雅でまろやかな鳴りのアコースティック・ギター2本が優美に交差するイタリアらしい温かなアンサンブルが会場を優しく包み込みます。
ここでも中間部に登場するプレモリの浮遊感あるアーティスティックなキーボード・プレイを忠実に再現するキーボーディスト=アレッサンドロ・スカリオーネの手腕が見事でした。

00年代以降に加入した若手メンバーが半数以上を占めることもあり、初期ナンバーをどのように聴かせるのかというのは重要なポイントでしたが、どのメンバーもイタリアン・ロックの長い歴史の原点と言える初期PFMへのリスペクトを感じさせる、技巧的ながらも丹念な演奏を披露していて、その姿勢にジワジワと感動が湧き上がってきます。

『CHOCOLATE KINGS』からは大好きな「HARLEQUIN」を聴かせてくれました。この曲では、マウロ・パガーニのパートを若干のアレンジも加えつつ熱気たっぷりに演奏するヴァイオリニストのアレッサンドロ・ボネッティが素晴らしかった~!90年代以降のイタリアン・プログレでもトップクラスの実力を誇るバンドDEUS EX MACHINAで活躍するその実力を遺憾なく発揮してくれていました。

終盤には、デビューアルバム『STORIA DI UN MINUTO(幻想物語)』から『Impressioni di settembre』『DOVE…QUANDO』で畳み掛け!世界デビュー後の楽曲とは趣を異にする、よりルネサンス~バロック音楽のDNAを感じる美しくもしみじみとした哀愁を湛えた演奏が目の前で紡がれます。うーん、これぞイタリア。思わず溜息が出てしまうような至福の一時でした…。

80分ほどの中で新作のナンバーと初期の名曲を半分づつ演奏してくれた印象で、PFMというバンドが積み重ねてきた歴史を改めて実感させてくれるステージだったと思います。個人的には、機材をまたぎながらステージ上を忙しなく動き回るチョッチョさんの元気な姿を見ることができて嬉しかったです^^

PFMの新たな黄金期がここから始まるのではないかという予感すら感じさせる、大充実のパフォーマンスに痺れっぱなしの一夜となりました!

Photo:Yuma Totsuka

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  • PFM / EMOTIONAL TATTOOS

    70年の結成以来、名実ともにイタリアン・ロックの代表格として活動してきた名バンドによる17年作!

    70年の結成以来、名実ともにイタリアン・ロックを代表するグループとして君臨してきた名バンドによる17年作。オリジナル・アルバムとしては06年作『Stati di immaginazione』以来、実に11年ぶり!オリジナル・ギタリストのFranco Mussidaが2015年に脱退、Franz Di Cioccio(ドラム/ヴォーカル)、Patrick Djivas(ベース)、Lucio Fabbri(ヴァイオリン)の3人に、新ギタリスト、キーボーディスト2人、セカンドドラム/パーカッションの若手メンバー4人という7人編成となっています。97年の復活作『Ulisse』以降の、骨太でダイナミックな現代ロックの逞しさとイタリアン・ロック然とした伸びやかな叙情性が一体となったメロディアス・ロック路線を踏襲するサウンド。年齢を感じさせないパワフルでモダンなドラミングに、さすがのユニークなフレーズセンスが耳を引くベース、ここぞの場面で気品高く飛翔するヴァイオリン。そこにP.F.Mらしい色彩感溢れる艶やかなシンセとオルガンによる存在感あるダブル・キーボードやオーケストラが加わって、結成47年のバンドとは思えない力強いアンサンブルが紡がれます。そんな中でもやはりP.F.Mというバンドを最も強く印象づけるのが、チョッチョの情感をたっぷり込めたエモーショナルな歌声。時代が変わりサウンドの質感が変遷を重ねても、P.F.M以外でしかありえないと感じさせるサウンドを作り上げています。ムッシーダに替わる新加入のギタリストは、近年のテクニカル・ギタリストらしいヘヴィなタッチを織り交ぜたプレイを軸としますが、今作の張りのあるパワフルな作風にはかなりハマっている印象。地中海エッセンスをたっぷり含んだ叙情ナンバーでの爽やかなアコギ、バラードでのスケール大きく優美なソロプレイも見事に聴かせます。復活後のP.F.Mを変わらず愛する方ならきっとグッと来る、聴き応えたっぷりの力作に仕上げています!

  • PFM / STORIA DI UN MINUTO

    71年リリース、イタリア本国でのデビュー作、イタリアらしい芸術的な感性が発揮された傑作!

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの71年デビュー作。イタリア盤としてリリースとなった本作はイタリアン・シンフォニック・ロックの職人気質の極地といった趣の傑作。当時のブリティッシュ・ロックフィールドのアーティストたちと比べてもその技巧は抜きん出ており、クラシカルに、丹念に編みこまれたアンサンブルの妙技に酔いしれるばかりの名盤です。

  • PFM / PHOTOS OF GHOSTS

    「イタリアン・ロック」の存在を全世界に知らしめた衝撃の73年ワールドデビュー作!

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの73年3rd。本作はまさにそのMANTICOREからの世界リリース作となった、ヨーロピアン・ロック屈指の1枚であり、Pete Sinfieldが英語詞を担当した傑作です。先にイタリアでリリースされていた2nd「Per Un Amico」の再録音と、デビュー作「Storia Di Un Minuto」より1曲、そして前2作には未収録の新曲1曲で構成されており、イタリアらしいバロック色とダイナミックなロックを融合した奇跡的なサウンドを提示。テクニカルな変拍子と呼応する凄まじい叙情の嵐は唯一無二のものです。

  • PFM / WORLD BECAME THE WORLD

    『幻の映像』に続く世界進出第2弾、74年作

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの74年4th。AREAのPatrick Djivasを新ベーシストとして迎えた世界リリース2作目であり、イタリア盤も製作された名盤。前作が旧作からの再録音を中心にしていただけに、PFMの真価が問われることになった本作は、バロックを強く意識したクラシカルな前作から、プログレッシブな魅力はそのままに、よりポピュラリティーを持ったサウンドを提示した傑作であり、前作同様、イタリアのシンフォニック・ロックを代表する1枚となっています。

  • PFM / CHOCOLATE KINGS

    75年作、スリリングかつダイナミックなアンサンブルが楽しめる、プログレッシヴ・ロック然とした名作

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年作。ACQUA FRAGILEからBernardo Lanzettiを迎えて製作されたその内容は、それまでの彼らの個性であったクラシカルな側面が落ち着きを見せ、よりロックのダイナミズムを押し出した作風へとシフトした良盤であり、星条旗に包まれたチョコレートが印象的な英語盤ジャケットからも分かるとおり、アメリカの音楽産業を意識した明快でパワフルなサウンドが素晴らしい傑作となっています。

  • PFM / COOK

    アレアやマハヴィシュヌすら凌駕しかねない圧倒的な演奏力を見せつける75年傑作ライヴ・アルバム、これは凄まじいです…!

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年ライブ作。「The World Became The World」をリリースしたツアーからアメリカ公演の模様を収録しており、スタジオ作の丹念な織物のようなアンサンブルから一転、凄まじいドライブ感とダイナミズムを持った名演を披露しています。非常にテクニカルにもかかわらず全くブレることなく、地中海ロックのダイナミズムとイタリア叙情をを聴かせながら突っ走る様子は、さすがの一言です。

  • PFM / JET LAG

    名実共にイタリアを代表するグループ、当時隆盛を極めていたフュージョンへと接近した77年作

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの77年作。Mauro Paganiが脱退したあとの本作は、ヴァイオリニストにGregory Blochを迎えてラテン・フレーバーを散りばめたジャズ・フュージョン色濃いサウンドを提示。前作からの流れでシンフォニックな音像は姿を消していますが、軽快でテクニカルなジャズ・フュージョンサウンドの中にもイタリアの叙情をほのかに感じられるなど、過渡期とは思えない個性はやはり彼ららしい佳作と言えるでしょう。

  • PFM / ABSOLUTELY LIVE 1971-1978

    全51曲、全盛期の71-78年における圧巻のライヴ音源集!

  • PFM / www.pfmpfm.it (il Best)

    98年ライヴ、全19曲

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