2023年8月29日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
カケレコ・ユーザーの皆さん、こんにちは!
カケレコの豊富な新品・中古在庫から、お題にフィットする楽曲でコンピレーション・アルバムを作ってしまおうという、
名付けて「カケレコンピレーション」!
ルールはとっても単純。
記事公開の時点で、新品もしくは中古盤がストックしてある作品から選ぶこと。
ただし、常に在庫があるとは限りませんので、気になった作品はお早めに手に入れてくださいね。
というわけで記念すべき第1弾は、「ダブル・キーボードで聴かせるプログレの名曲」でカケレコンピ!
記念すべきカケレコンピ第1弾の1曲目は、イタリアン・プログレの代表格、BANCO DEL MUTUO SOCCORSOの「Traccia」です!
ダブル・キーボード編成の魅力を端的にお伝えするには、もってこいの楽曲ではないでしょうか?
Vittorio Nocenzi(オルガン)とGianni Nocenzi(ピアノ)の兄弟による息の合ったシンフォニック・サウンドを、是非お聴きください。
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本日は、P.F.M.と並びイタリアン・ロックを代表する名バンドBANCOの記念すべきデビュー作『BANCO DEL MUTUO SOCCORSO』をピックアップいたしましょう。
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2曲目もイタリアから、BIGLIETTO PER L’INFERNOの「Confessione」です!
ヘヴィー・プログレとして有名なグループですが、実はダブル・キーボード・グループだったんです。
ラウドなエレキ・ギターに張り合うダブル・キーボード・サウンドがカッコいい!
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3曲目はドイツから、EPIDAURUSの「Silas Marner」をお聴きください!
EPIDAURUSは、ダブル・メロトロン・グループとして有名ですが、つまりはダブル・キーボード・グループです。
しかも彼らはギターレス編成で、キーボーディストのひとりがアコースティック・ギターを兼任。
オルガン、メロトロン、アナログ・シンセなどによって編み上げられるシンフォニック・ロックは、自主制作とは思えないクオリティー!
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4曲目はブリティッシュ・プログレから、GREENSLADEの「Pilgrims Progress」です!
COLOSSEUMのキーボーディストDave Greensladeと、SAMURAIのキーボーディストDave Lawsonのダブル・キーボードですね。
GREENSLADEもEPIDAURUSと同じで、ギターレスのグループ。
メロトロンとエレクトリック・ピアノを弾いているのがDave Greenslade、オルガンやアナログ・シンセサイザーを弾いているのがDave Lawsonです。
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5曲目はドイツ、しかも旧東ドイツのバンドですね、STERN COMBO MEISSENの「Die Flucht」を聴いてみましょう!
STERN COMBO MEISSENは、ダブル・キーボードな上にドラマーも2人いるという、すごい編成のグループ。
錬金術をテーマにした壮大な組曲となった78年の『Weisses Gold』は、何度聴いてもやっぱり名盤!
バンド名を「STERN MEISSEN」と短くした80年作『Reise Zum Mittelpunkt Des Menschen』も、やはりダブル・キーボードがドライブするスペーシーなシンフォニック・ロックで素晴らしいですが、皆さんはどちらがお好みですか?
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6曲目はカナダのケベック圏から、GENTLE GIANTフォロワーとして著名なET CETERAの「Tandem」です!
本家GENTLE GIANTはマルチ・プレイヤー揃いの超絶技巧集団でしたが、ET CETERAもキーボーディストDenis Chartrandがフルートやサックス、ヴィブラフォンまでプレイします。
そして、もうひとりのキーボーディストMarie Bernard Pageが、オンド・マルトノ (Ondes Martenot)という珍しい電気楽器を弾いています。
オンド・マルトノはフランスの楽器で、見た目は鍵盤楽器ですが鍵盤の手前に「リボン」というワイヤーがあり、鍵盤と使い分けて演奏します。
この曲では、オンド・マルトノの音色が終盤あたりから聴こえてきますよ!
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先ほどドイツのダブル・メロトロン・グループEPIDAURUSをご紹介しましたが、フランスのダブル・メロトロン・グループもお忘れなく!
7曲目は、TERPANDREの「Anne-Michaele」をどうぞ!
アコースティック・ピアノを重心に、クラシカルに折り重なるメロトロンのフルートやストリングスがロマンティックですね。
実はTERPANDREもEPIDAURUSと同じで、自主制作で本作をリリースしたそうですが、素晴らしい完成度です。
Patrick Morazを輩出したスイスからは、BLUE MOTIONがベースレスのダブル・キーボード編成!
CIRCUSのドラマーFritz HauzerとキーボーディストStephan Ammannが、キーボーディストStephan Ammannと共に結成したトリオです。
ベースがいないって、なかなかすごいですよね。
しかも、本作はたった2日間でレコーディングしたというから驚きです!
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再びイタリアに戻り、9曲目はIL VOLOの「La Canzone Del Nostro Tempo」をどうぞ!
IL VOLOは、FORMULA TREのキーボーディストGabriele LorenziとギタリストAlberto Radiusが新たに結成したバンドです。
Gabriele Lorenziはオルガンやストリングス・キーボード、モーグ・シンセサイザーなどを担当し、もうひとりのキーボーディストVince
Temperaはフェンダー・ローズ(エレクトリック・ピアノ)やクラヴィネットなどをプレイしているようです。
ダブル・キーボード・グループは、こういった役割分担も、とっても大事なはず。
テクニカルなエレクトリック・ピアノに加えてストリングス・キーボードのロング・トーンが空間を埋めていくアプローチは、ダブル・キーボードならではですね!
ラストはやはりイタリアから、LATTE E MIELEの「Opera 21」に締めてもらいましょう!
LATTE E MIELEといえば72年の『Passo Secundum Mattheum』と73年の『Papillon』が有名ですが、そちらはキーボード・トリオ編成。
76年の3rdアルバム『Aquile E Scoiattoli』ではドラマー以外のメンバーが入れ替えられ、ダブル・キーボード編成に生まれ変わっています。
ストリングス・キーボードを弾き倒すテクニカルなシンフォニック・ロックが、とっても華やか!
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いかがでしたか?
プログレッシヴ・ロックでは一般的にアルバム単位での評価が多くなりますが、「カケレコンピ」ではテーマに基づく1曲に絞ってご紹介します。
今回は「ダブル・キーボードで聴かせるプログレの名曲」を聴いていきましたが、上でご紹介したアーティスト以外にも、イギリスのRARE BIRD、イタリアのLOCANDA DELLE FATE、同じくイタリアのIL BARICENTRO、スウェーデンのATLAS、アルゼンチンのPABLO EL ENTERRADOR、オーストラリアのALEPH、アメリカのHAPPY THE MANなどなど、素晴らしいダブル・キーボード・グループたちを発見しました。
皆さんも是非、こういった楽器編成に着目してプログレ作品を聴いてみてください。
もしかしたら、新たな発見や素晴らしい作品との出合いがあるかもしれませんよ!
さて、「カケレコンピ」にはボーナス・トラックも付いています!
スペインの新鋭ダブル・キーボード・グループ、KOTEBELの「Post Ignem」です!
新鋭のプログレ・バンドにも、ダブル・キーボードという個性は脈々と受け継がれているんですね。
1曲目でご紹介したBANCO DEL MUTUO SOCCORSOはダブル・キーボードの兄弟でしたが、KOTEBELのキーボーディストCarlos Plaza VegasとAdriana Plaza Engelkeは父娘!
彼らの2017年作『宇宙論』は、カケレコ・レーベルから国内盤もリリースされていますので、是非チェックしてみてください!
それでは、また次回の「カケレコンピレーション」でお会いしましょう!
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COLOSSEUMのDave Greenslade、Tony Reeves、KING CRIMSONのAndrew McCulloch、SAMURAIのDave Lawsonというテクニシャンが集結し、ギターレスのダブル・キーボードの強みを生かしたプログレッシブ・ロックを聴かせたイギリスのグループの73年2nd。前作と布陣を同じくして製作された彼らの最高傑作と名高い本作は、前作からさらにダブル・キーボードのアプローチが洗練され、ピアノ、オルガン、アナログ・シンセサイザー、メロトロンが多彩な表情を見せる名盤です。メロディーに溢れるポップ・テイストにも磨きがかかり、デビュー作から一貫する英国然とした質感も健在。よりスケールアップした名演で迫る傑作となっています。
70年代にLE ORMEなどと並んで、イタリアン・キーボード・ロックの名盤を生み出したジェノヴァ出身バンドの76年作3rd。前2作でイタリアン・ロック古典の名バンドとしての地位を確立した彼らですが、本作ではドラムのAlfio Vitanza以外のメンバーを一新、ベーシストに加えキーボーディストが2名加入したダブル・キーボードの4人編成となりました。さらに、同郷ジェノヴァのアヴァンロックバンドPicchio Dal Pozzoのメンバーがフルート、サックスでゲスト参加し、NEW TROLLSのVittorio De Scalziのプロデュースという豪華な布陣で製作されています。その内容は、前2作のコンセプト志向からの脱却を図ったものであり、ダブル・キーボードを駆使した広がりのあるシンフォニック・ロックを聴かせつつ、イタリアらしい美しいボーカルナンバーに重きを置いた素晴らしいものですが、ベートーベンの楽曲のプログレアレンジ、そして、ラストに配置された20分を超える大作など、爆発的な熱情にまかせた前2作とは違った、構築的で洗練されたシンフォニック・ロックを展開。知名度は前2作より落ちるものの、やはり素晴らしい作品です。
現スペイン随一と言える名シンフォニック・ロック・バンドによる7作目となる17年作。前12年作『CONCERTO FOR PIANO AND ELECTRIC ENSEMBLE』は世界的な音楽アワード「INDEPENDENT MUSIC AWARDS」を受賞するなどバンドにとって転機となった作品でしたが、5年ぶりとなった今作も前作に匹敵する緻密にして壮大な音世界が待っています。クラシックの確かな素養を背景に持つテクニカルかつ端正な音運びに軽やかなジャズ風のタッチも織り交ぜたしなやかなピアノがまずもって絶品!前作でもサウンドの要を担った女性ピアニストAdriana Plazaの技巧が光ります。そこにスペインらしさを感じさせるエキゾチックな旋律を奏でるフルートと熱くエモーショナルなギターが絡み合って構築されていくサウンドは、初期BANCOを彷彿させる重みとロマンティックさが漂う風格溢れるもの。ここぞという場面で噴き出すアグレッシブなオルガンやメロトロンのプレイにも痺れるし、変拍子満載ながらも抜群の安定感を誇るリズム・セクションも素晴らしい。30分超の組曲をはじめどの曲も細部まで緻密に構築された楽曲と完璧にコントロールされたアンサンブルで隙なく聴かせますが、時にはラテン気質の熱情がたぎる劇的な展開も待っていて、その静的なパートと動的なパートを絶妙に組み合わせたサウンドが大変に魅力的です。今作も期待を裏切らない傑作!
フランスの叙情派を代表するシンフォニック・ロックバンドの78年録音80年唯一作。ジャジーなシンフォニック・ロックを奏でる、自主制作とは思えない高いクオリティーを持った作品であり、ツイン・キーボードの強みを生かした構成となっています。またメロトロンの洪水系名盤としても有名であり、郷愁を誘うマイルドな各種メロトロンの響きとスリリングなジャズ・ロックアンサンブルの対比がアルバムを通して光っており、専任ヴァイオリン奏者まで擁しているという、この上ないシンフォニック・ロック体勢で聴かせる素晴らしい作品です。
直輸入盤(帯・解説付仕様)、ボーナス・トラック2曲、定価2500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干ホチキス錆あり、ケースツメ跡あり、帯に圧痕あり
MUSEO ROSENBACHやSEMIRAMISと並んでイタリアのへヴィー・シンフォニックロックを代表するグループの74年デビュー作。その内容は、ハード・ロック・サウンドを基本にファズ・ギターとダブル・キーボード編成の音の厚みで盛り上げる作風であり、とにかく緩急をつけたダイナミズムとドラマ性はイタリアン・へヴィー・シンフォニックロック界随一。ブリティッシュ・テイストを志向しているような音楽性を聴かせますが、牧歌性を持った楽曲やメロディーメイクの手法、激しく舞うフルートなどはやはりイタリアン・ロック然とした魅力を放ちます。触れ幅に恵まれたへヴィー・ロックの傑作。
イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドFORMULA TREのAlberto RadiusとGabriele Lorenziを中心に、現在もシーンで活躍するスタジオ・ミュージシャンを加え結成されたグループの74年デビュー作。その内容は、イタリア叙情を感じさせる絶品なメロディーを持ちながらもツイン・ギター、ツイン・キーボード編成で迫るテクニカルなプログレッシブ・ロックであり、荒々しいヘヴィー・プログレッシブな音像と、ジャズ・フュージョンの滑らかなサウンド、そしてイタリア然としたフォークタッチを絶妙なバランスでブレンドした名盤です。イタリアン・ロックのボーカル曲としても、プログレッシブ・ロックとしても一級品の傑作。
スイスのテクニカル・シンフォ・バンドCIRCUSのドラマー、フリッツ・ハウザー等によって結成され’80年にリリースされたブルー・モーションの唯一作。2人のキーボーディストとドラムスという変則的なトリオ編成で、技巧的でエモーショナルな演奏を繰り広げる名盤。(レーベルインフォより)
旧東ドイツを代表するシンフォニック・ロックグループであり、ダブル・キーボードを擁した重く厚みのある荘厳なサウンドで評価の高い名盤を生み出した彼らの代表作の1つである79年作。ドイツの錬金術師Johann Friedrich Bottgerをテーマに据え、ナレーションを挟むなどした壮大なコンセプト・アルバムとなっており、ダブル・キーボードによるモーグシンセやメロトロンのクラシカルな彩りに加えて、オーケストラや混声合唱隊を従えた圧倒的なスケールで迫ります。非常に洗練されたシンフォニック・ロックの傑作であり、重厚な質感で聴かせる名盤です。
カナダはケベック出身のシンフォニック・ロックグループによる76年唯一作。ケベックを代表するグループの1つでありGENTLE GIANT系名盤としても有名な本作は、フランス語の男性、女性ボーカルが彩るシンフォニック・ロックであり、オンド・マルトノといった珍しい楽器が使用されたクールなサウンドが特徴です。フルート、サックス、チェロと言った管弦楽器の使用も非常に巧みであり、純クラシカルなセクションすらあるほどにシンフォニックに盛り上げています。また、ツイン・キーボード編成の音の厚みと色彩感も素晴らしく、ケベックのシンフォニック・ロックを代表する名盤と言えます。
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