2014年7月7日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記
タグ: プログレ
ユーロロックの名盤や注目作品をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。
本日は、いにしえのジャーマン・シンフォニック・ロック名盤、EPIDAURUSの『EATHLY PARADISE』をピックアップいたしましょう。
EPIDAURUSの結成は76年。その翌年の77年にわずか数百枚のプレスで自主制作された唯一作が『EATHLY PARADISE』です。(94年に再結成作をリリース)。
ギターレスのツイン・キーボード編成で、全編に渡って鳴り響くメロトロンをはじめ、ハモンド・オルガンやムーグなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされているのが特徴。
格調高いクラシカルなピアノ、たゆたうリリカルなフルート、アタック感の強いベース、ふくよかでいてキレのあるドラムも印象的で、ジェネシスからの影響を感じさせます。
ジェネシスと比べて各楽器の音色はどこか霧の向こうから聴こえてくるようで、ジェネシスを奥ゆかしくしたような、そんないかにもジャーマン・シンフォと言える幻想性に溢れています。
そして、何と言っても特筆なのが、初期ルネッサンスのジェーン・レルフを彷彿させるようなクリアなハイトーンの女性ヴォーカル!アンサンブルの「奥ゆかしさ」は、女性ヴォーカルによりさらに幻想度を増し、神秘的とすら言えるでしょう。
旧アルバムA面とB面でドラマーが異なり、シンフォニックなA面から一転、B面ではジャズ・ロック的な切れ味鋭いドラムとともに、夢想性はそのままに、フュージョンばりのテクニカルなアンサンブルも織り交ぜつつ、シャープに畳み掛けていきます。
ラスト曲は、無機的でミニマルなシンセ・シーケンスも飛び出し、メロトロンとともに、観念的に鳴り響くシンフォニック・サウンドはこれまたドイツならでは。
自主制作とは思えないテクニックと完成度を誇るジャーマン・シンフォ屈指の名作です。
メロトロンとハモンド・オルガンが描く幻想美。神秘的な女性ヴォーカル。
後半では、クラシカルなアコースティック・ピアノも印象的で、ルネッサンスのファンもたまらないでしょう。
ムーグ・シンセによりとめどなく溢れる美旋律。前につっかかるようなアグレッシヴなリズム隊がもり立てるドラマティックな構成。
ジェネシスのファンは歓喜間違いなし!
荘厳なピアノのイントロから一転、ムーグ・シンセがスペーシーに鳴り、ドラムが疾走すると、『リレイヤー』期のイエスのようにテクニカルかつ流麗に疾走!
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
ジャーマン・シンフォは特集を組んでおりますので、あわせて是非ご覧ください。
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76年に結成されたジャーマン・シンフォニック・ロック・バンド、77年にわずか数百枚のプレスで自主制作された唯一作(94年に再結成作をリリース)。ギターレスのツイン・キーボード編成で、全編に渡って鳴り響くメロトロンをはじめ、ハモンド・オルガンやムーグなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされています。格調高いクラシカルなピアノ、たゆたうリリカルなフルート、アタック感の強いベース、ふくよかでいてキレのあるドラムも印象的。各楽器の音色はどこか霧の向こうから聴こえてくるようで、ジェネシスを奥ゆかしくしたような、そんないかにもジャーマン・シンフォと言える幻想性に溢れています。そして、何と言っても特筆なのが、初期ルネッサンスのジェーン・レルフを彷彿させるようなクリアなハイトーンの女性ヴォーカル!アンサンブルの「奥ゆかしさ」は、女性ヴォーカルによりさらに幻想度を増し、神秘的とすら言えるでしょう。旧アルバムA面とB面でドラマーが異なり、シンフォニックなA面から一転、B面ではジャズ・ロック的な切れ味鋭いドラムとともに、夢想性はそのままに、フュージョンばりのテクニカルなアンサンブルも織り交ぜつつ、シャープに畳み掛けていきます。ラスト曲は、無機的でミニマルなシンセ・シーケンスも飛び出し、メロトロンとともに、観念的に鳴り響くシンフォニック・サウンドはこれまたドイツならでは。自主制作とは思えないテクニックと完成度を誇るジャーマン・シンフォ屈指の名作です。
76年結成、77年に自主リリースされた1stアルバムが名盤として知られるドイツのシンフォ・グループ。そんな彼らが再結成して95年に放った2ndアルバムがこちら。80年に唯一作を残したEPIDAURUSの後身バンドCHOICEを経ての再結成となっており、女性ヴォーカルを含む主要メンバーに加え、元CHOICEのマルチ・プレイヤーGerd Linkeが参加しギターをプレイしています。ポップな曲調のナンバーがあったりリズムやシンセの使い方にニューエイジ的なテイストが見受けられたりするものの、それ以外はかなり77年当時に近いサウンド。クラシカルで叙情的なピアノやオルガンをメインとするシンフォニックなアンサンブルに、Jane Relfを思わせるクリアなハイトーンが乗るスタイルは、1st同様RENAISSANCEやGENESISファンにオススメできます。前作にはなかったギターも、随所で存在感は見せつつEPIDAURUSの世界に違和感なく溶け込んでいてナイス。18年のブランクを考えれば理想的な再結成作と言ってよい充実作です。
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