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スイス・プログレ特集

フランス、ドイツ、イタリアという西欧の大国3国に囲まれた永世中立国スイス。

言うまでもなく3国は英国に次ぐ「プログレ大国」でもあるわけですが、それに比べるとスイスのプログレはあまり着目されることがありませんよね。

しかしスイスを代表するプログレ・グループCIRCUSやISLANDを筆頭に、周囲の大国にも劣らぬ精密な技巧性と凛とした幻想性を兼ね備えた名作が70年代から数多く誕生しています。

スイスはヨーロッパの中心に位置し、古くからフランスやドイツをはじめ多くの人や物が行き交う技術・文化の交差点。

また18世紀より中立主義を掲げており、世界大戦時は多くの芸術家が戦火を逃れるためスイスに亡命するなど、欧州各地の優れた芸術が集い、それを盛んに吸収する地でもありました。

なお産業面ではスイスは山岳・高原地帯が多くあまり農業に適さない土地のため、代わりに時計などの精密機械工業や傭兵(現在はバチカン衛兵のみ)、金融業が発達したのだとか。

明媚な自然に囲まれ、他国の文化・芸術を積極的に受け入れつつも独自の厳格な規律を重んじるスイス。

ドイツに通ずる粛々とした幻想美が溢れ出すシンフォニック・ロックはもちろん、「テクニカル・プログレ」と称されるような高度な演奏技術を誇る作品が多く存在するのは、そんなスイス人たちの規律正しさが影響しているのかもしれませんね。

それではそんなスイスが生んだプログレ作品お数々をご紹介してまいりましょう。

CIRCUS/MOVIN ON

まずはスイスの誇るこの77年の名作。ジャケットからはファンタジックなシンフォ作品をイメージしますが、中身はクリムゾンばりの強度とヘヴィネスでスリリングに突っ走るテクニカル・プログレ!フリオ・キリコばりの超絶ドラミングも聴きものです。

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ISLAND/PICTURES

こちらもスイスが誇る名盤、同郷の画家ギーガーの絵をジャケットにあしらった77年の唯一作。ジャケのインパクトに劣らぬ強靭でスリリングなチェンバー・プログレを展開しつつ、クラシカルで格調高いピアノやシンセが柔らかな幻想性も添えていて絶品。

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SFF/SYMPHONIC PICTURES

あのフランク・ザッパがプロデュースを申し出たことで知られる、ドイツを拠点に活動したトリオの76年作。荘厳なダブル・メロトロンやムーグ・シンセをフィーチャーしたサウンドはジャーマン・シンフォに通じますが、同時にどこかダークな質感やリズム・セクションがリードするテクニカルなパートはKING CRIMSONを彷彿。唯一無二のキーボード・プログレを展開する傑作です。

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DRAGONFLY/DRAGONFLY

こちらのグループはYESやGENESISからの影響を感じさせるファンタスティックなシンフォ・サウンドが特徴的。哀愁のあるキャッチーなメロディはPILOTやKLAATUも彷彿とさせるし、スイスながらブリティッシュの香り漂う作品です。

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ドイツと隣り合っているだけあって、「クラウトロック」に分類されるようなサイケで実験的な作品も。

KROKODIL/AN INVISIBLE WORLD REVEALED

フォーク、サイケ、ハード・ロック、ブルース・ロック、プログレを同じ鍋でグツグツと煮込んだみたい・・・。混沌としつつもメロディアスでドライヴィングなサウンドが格好いい、スイスが誇るクラウトロック名盤71年作。

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BRAINTICKET/PSYCHONAUT

ドイツ/イタリア/スイス人で構成され、スイス拠点に活動したグループの72年2nd。1st『COTTONWOODHILL』ほどのブッ飛び感はありませんが、シタールやパーカッションなどの民族音楽要素が強まり、神秘的かつドロドロで怪しさいっぱいのサイケ・プログレを展開しています。

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MCCHURCH SOUNDROOM/DELUSION

スイスのグループながら、ウルリッヒ・カイザー主催のクラウトロック名レーベルPilzからリリースされた71年作。ジャケは不気味ですが、中身は奥ゆかしいフルートやスモーキーなハモンドを活かした、ジャーマンらしいオルガン・ロック。

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さて、ここからはよりニッチでディープなスイスの「秘宝」的プログレ作品をご紹介して参りましょう!

PLAMP/UND UBERHAUPT

74年の唯一作。ただひたすらに優美でリリカルで歌心に溢れたアンサンブルは、聴いていて涙が出そうなほど。スイスにこんな感動的なシンフォが眠っていたなんて・・・。

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SICHER/SICHER

こちらも自主制作盤ですが、内容は「トレース meets キャメル」と言えちゃう絶品シンフォ!コロコロと愛らしいツイン・キーボードを主体に、凛とした気品を保ちつつ情熱も兼ね備えたアンサンブルを展開しています。

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WHIPPING POST/SO WE ARE

まるでクリムゾンの『ポセイドンのめざめ』meets ウィッシュボーン・アッシュ!?ブルース・ロックを下地にユーロらしい奥ゆかしさを散りばめたスイス産プログレの隠れた名品。

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MORAZ-BRUFORD/IN TOKYO

そうそう、スイスのプログレ・ミュージシャンで忘れてはならないのが、YES『RELAYER』に参加したキーボーディスト、パトリック・モラーツですよね。彼もやはり精密的な超絶テクニックで知られているあたり、やはり「技巧性」というのはお国柄でしょうか!?

最後は近年のスイスから登場した注目作をピックアップ!

SISYPHOS/MOMENTS

30年以上のキャリアを誇るベテランながら、現在も積極的に活動するテクニカル・シンフォ・グループ。70年代を思わせる淡いオルガンとエッジの立ったギター、手数多くパワフルなドラムがスリリングに絡み合うアンサンブル。かと思えば叙情的なメロディが溢れ出す幻想的なパートもあり、「テクニカル」と称されつつもバランスの取れた構成で魅せてくれる逸品です。

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DAWN/DARKER

溢れんばかりのメロトロンと優美なメロディを奏でるムーグ・シンセ!ここぞでは、ギターが轟いて狂おしいハード・シンフォを聴かせるし、これはジェネシスやクリムゾンのファンは必聴のスイスの新鋭、2014年作っ!

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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第58回 DAWN / Darker (Switzerland / 2014)

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CLEPSYDRA/GAP

90年代以降のスイスを代表するグループとして活躍した実力派シンフォ・グループが、01年以来18年ぶりにリリースした19年作5th!ポンプ・ロックにも通じるGENESIS憧憬スタイルを軸に、キーボードがもたらすファンタジックさとリズム&ギターが担う重厚さを絶妙に対比させた丹念なシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。18年のブランクを感じさせない貫禄の一作!

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  • CLEPSYDRA / GAP

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    90年代以降のスイスを代表するグループとして活躍した実力派シンフォ・グループが、01年以来18年ぶりにリリースした19年作5th!従来通りGENESISへの憧れを抱いたポンプ・ロックに通じるスタイルを軸に、キーボードがもたらすファンタジックさとリズム&ギターが担う重厚さを絶妙に対比させた丹念かつ実直なシンフォニック・ロックを聴かせます。華やかなトーンで疾走するシンセに、エッジの立ったキレのあるギターが絡み、伸びやかで声量豊かなハイトーン・ヴォーカルがキャッチ―なメロディを歌い上げる。場面ごとに表情を変えながらまるで物語を紐解くように進行していくドラマチックな演奏と曲構成は、彼らがGENESISの遺伝子を確かに受け継ぐバンドであることを感じさせます。ピアノやストリング・シンセが静謐に流れゆく、抑えたパートでのリリカルな表現力も圧巻。18年というブランクを経ながらも、変わらず一級のシンフォニック・ロックを堂々と提示する傑作です。

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文・市川哲史

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文・netherland dwarf

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