2018年10月11日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
「芸術の秋!プログレの秋!」と題して、カケレコ・オススメのユーロ・ロック作品をピックアップいたしました。
70年代の定番作品から90年代以降の新鋭作品まで、イギリスやイタリアから辺境まで、ユーロ各国から新旧の名作をセレクトしております。
秋の夜長にじっくりとお楽しみください!
芸術とプログレ。2つのキーワードで真っ先に思い浮かぶのは、イタリアのP.F.M。
イタリア盤のデビュー作を選ぼうと思いましたが、よりCDで入手しやすいこちらをセレクト。
プログレ・ファンの度肝を抜いたイタリアン・プログレの原点にして頂点。ユーロ・ロックの大海原へ漕ぎだす最初の道標たる至高の一枚ですね。
続いてもイタリアン・ロックをセレクト。
この艶やかなストリングスは、まさに西洋音楽の中心地イタリアならではの音色。
ロックにクラシックを取り入れた英プログレ勢と比べて、クラシックにロックを取り入れた、という方がイタリアの場合は自然。
芸術の秋にふさわしいユーロ・ロック金字塔!
70年代の往年のイタリアン・ロックのDNAを継ぐ90年代以降のグループの代表格と言えるのがHOSTSONATEN。
彼らの作品から、その名もずばりな「秋」にぴったりな名作がこちら。
現代イタリアン・ロック最高の才能が描く秋の音世界。
しっとりと艶やかなアコギ、流麗なピアノやヴァイオリン、キャメルに匹敵する映像喚起的でリリカルなエレキ。
美しい・・・。
イタリアを離れ、アドリア海を渡り、同じく地中海の国、ギリシャへ!
ギリシャが誇る名作と言えば、これですよね。
奇才ヴァンゲリス率いるグループで、ロック、ポップ、クラシック、ジャズ、民族音楽などが渾然一体となっためくるめくサウンド、叙情と狂気を同時に孕んだ圧倒的な表現力は、これぞユーロ・ロック!
さぁ、ギリシャから地中海をさらに南下し、イスラエルへ!
イスラエルと言えば、SHESHETが有名ですが、SHESHETの中心人物でありフルート奏者のShem Tov Levyが在籍のグループKTZAT ACHERET(NO NAMES)もまた傑作。
グレッグ・レイクが発見したのが、P.F.M.じゃなくて、こっちだったら、勢力図は変わっていたかも?
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イスラエルは、地中海ならではのたおやかさとジャジーな洗練とが絶妙にバランスした秘宝ぞろい。
潮流図にまとめた特集で探求是非!
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中世時代に西洋世界=地中海世界の覇権をフランスと争い続けた大国スペイン。
その時に繁栄を築いたのが地中海に面した海洋都市バルセロナ。
コロンブスによる新大陸の発見で、経済の中心が大西洋に移ったことで衰退してしまいましたが、中世時代に育まれたカタルーニャ文化が息づくバルセロナでは、1970年代半ばにイタリアにも負けない地中海プログレの名作が多数生まれました。
そんな歴史に思いを馳せながら音楽を楽しむのもまた秋の一興。
後にスペインを代表する音楽家となるJoan Albert Amargosが若い日に結成したジャズ・ロック/アヴァン・ロック・グループ。
地中海音楽やアンダルシア音楽をはじめ、スペインのオペラであるサルスエラ(Zarzuela)も取り込んだ野心的な音楽は、アレアやSHESHETにも負けない完成度。
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時に繊細にたゆたい、時にキレ味鋭いフレーズでテンションを増幅させるギター。淡く叙情的なハモンド・オルガン。そして、流れるように美しくアイロニーやユーモアもたっぷりな愛すべきメロディとヴォーカル。そんなハットフィールドに通じる作品を世界中からピックアップ!
文化の多様性もまたスペインの魅力。バスク地方のプログレもまた味わい深し。バスク・プログレと言えばこの作品ですね。
バスクは、スペイン北部からフランス南西部にまたがる地域で、バスク人が住み、バスク語が話されている民族的に特別なエリア。
そんなバスク自治州出身のため、スペインと言っても、フラメンコなどの熱い要素はなく、どちらかというと南米はアルゼンチンのロックに通じるような翳りあるリリシズムが印象的。
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イベリア半島を後に、フランスへ!
芸術の秋らしく、フランスらしいアーティスティックで幻想に溢れた作品をセレクトいたしましょう。
秋の夜長は、こんな流麗なフルートにいつまでもひたっていたい。
フルートが彩るロマンチックさと、このバンドならではのしっとりとしたメランコリーが絶品。
秋になると一層魅力的に響くのがメロトロンの音色。
ユーロ随一のメロトロン名盤として知られる作品がこちら。
切なくさえずるメロトロンは涙なしには聴けないでしょう。ジャケの情景がありありと眼前に広がる名演。
フランスから北上し、オランダに到着。
芸術の秋×オランダと言えば、この作品が思い浮かびます。
レビューの皆さまからの評価が物語っています。
「オーケストラの美しい旋律、天空を駆け巡るフルートとギター、SE、小鳥のさえずり等メリハリが利いていて30分の大曲飽きません。」by ばりさん
「シンフォ、叙情美、泣きという点に於いて、これほどマッチする物はないでしょう!一家に一枚の傑作アルバム。」syouimai2002さん
「何より、バンドの芸術性に★5つ。」by appo128さん
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オランダならではの端正でいて素朴な人情味にも溢れたメロディアスなプログレッシヴ・ロック名作をセレクトいたしましょう。フォーカスの他にも愛すべきグループがたくさん居ますね。
ロマン主義が息づくドイツへと到着!
ドイツと言えば「クラウト・ロック」で有名ですが、ロマン主義が息づく芸術的、観点的なシンフォニック・ロックも多数生まれています。
儚げな女性ボーカルをフューチャーした田園調のフォークサウンドからアコースティックな質感で聴かせ、消え入りそうなメロトロンの上で叙情的なフルートが鳴れば、まさにゲルマンの森から聴こえてくる極上のロマン・プログレ。
ジャーマン・シンフォからもう一枚、ジャケが秋らしく素敵なこちらをピックアップ。
バッハの「フーガ」を取り入れて、荘厳なチャーチ・オルガンで盛り上げたと思ったら、ラウドで荒削りなギターでスリリングに畳みかける。
「ごった煮」の魅力に溢れたこれぞ「ゲルマン芸術プログレ」!
さぁ、ここからはゲルマン世界を離れ、スラヴ世界をめぐってまいりましょう。
これはずばりハプスブルク帝国ロック!?
共産圏のロック、というより、ハプスブルク帝国の文化遺産が息づくブラチスラバという土壌で育まれたロック・ミュージックという方がしっくりくる豊穣な名作!
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スラヴの国を後に、次はマジャール人の国ハンガリー!
ヨーロッパにおけるアジア系言語を持つ3つの国の一つですね。ちなみに、あと2つはフィンランドとエストニア。
英国プログレやドイツ・エレクトロ音楽からの影響を下地に、ハンガリー伝統の舞踏音楽が持つ躍動感と構成のダイナミズムを盛り込み、歴史が生んだメランコリーとともに醸成された、スペーシー&ドラマティックなシンフォニック・ロック傑作。
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音で情景を描く芸術家と言えば、KAIPA~FLOWER KINGSを率いる奇才ロイネ・ストルト。
ジェネシスやキャメルなどブリティッシュ・プログレからの影響を土台にしつつ、素朴な温かみ、幻想性、そして柔らかな色彩に彩られた、北欧ならではと言えるファンタジー純度120%のシンフォニック・ロックに仕立て、世界に高らかに提示した傑作。
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ラストはやはりプログレ発祥の国で締めくくりましょう。
70年代の名グループのDNAを継ぐ2作品をセレクトいたします。
「ジェネシスやイエスが好きなんだけど、イギリスの現役バンドで良いのないかな。
しかも、フォロワーに終わってなくて、新しさもあるバンドがいいんだよね。」という質問に対しては、本作は文句なしのベストチョイス!
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90年代~00年代のイギリス屈指のプログレ新鋭バンドと言えるBIG BIG TRAINを特集。バンドのオフィシャル・サイトのヒストリーを元に、バンドのラインナップの変遷を見ていくとともに、作品を聴いてまいりましょう。
バンド名がずばり「秋の合唱団」。
信じられないほどに繊細に紡がれる、牧歌的でいて崇高な圧巻の名作!
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いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
オランダを代表するシンフォニック・ロックの大傑作。86年作。ファンタスティックなハモンド、煌びやかなトーンのシンセ、流麗かつクラシカルなピアノなどで構築された重厚なキーボード・アンサンブルを軸に、叙情性溢れる泣きのギターとエモーショナルなヴォーカルがこれでもかとメロディを奏でます。ジャケットのイメージどおりのファンタスティックなシンフォニック・ロック。
廃盤、紙ジャケット仕様、未発表トラック収録のDISC2を加えた2枚組、デジタル・リマスター、定価3800+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
廃盤、紙ジャケット仕様、未発表トラック収録のDISC2を加えた2枚組、デジタル・リマスター、定価3800+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの73年3rd。本作はまさにそのMANTICOREからの世界リリース作となった、ヨーロピアン・ロック屈指の1枚であり、Pete Sinfieldが英語詞を担当した傑作です。先にイタリアでリリースされていた2nd「Per Un Amico」の再録音と、デビュー作「Storia Di Un Minuto」より1曲、そして前2作には未収録の新曲1曲で構成されており、イタリアらしいバロック色とダイナミックなロックを融合した奇跡的なサウンドを提示。テクニカルな変拍子と呼応する凄まじい叙情の嵐は唯一無二のものです。
イスラエルではかなり名の知れたミュージシャンでありコンポーザーの3人、Shlomo Gronich(イスラエルのアラン・ソレンティとして有名!)、Shem Tov Levy(SHESHETのフルート奏者!)、Shlomo Ydov(2010年現在でも活躍を続ける名SSW)によるスーパー・トリオ。イスラエル・プログレのNo.1グループとして知られていて、75年リリースの唯一作である本作は、SHESHETの唯一作と並んで人気の傑作。軽やかな変拍子によりめくるめく展開するアンサンブルと巧みなコーラス・ワークはGENTLE GIANTばり!地中海の空気が感じられる詩情豊かなパートも魅力的で、フルート、弦楽器、エレピ、アコギ爪弾きがタペストリーのように丁寧に重なり、美しいメロディを包み込むアンサンブルは、P.F.M.に比肩しています。GENTLE GIANTやCAMELなどブリティッシュ・プログレのファンからP.F.M.などイタリアン・ロックのファンの皆さま!ずばりこの作品は聴かなきゃ損です!素晴らしすぎる逸品!
72年作の3rdである本作は、黙示録をテーマとした一大コンセプト作品。ロック、ポップ、クラシック、ジャズ、民族音楽などが渾然一体となっためくるめくサウンド、叙情と狂気を同時に孕んだ圧倒的な表現力は、これぞプログレッシヴ・ロック!VANGELIS率いるAPHRODITE’S CHILDが70年代に世に送り出した一大傑作。
初回5000枚生産限定紙ジャケット仕様、2枚組、スパイラル・ヴァーティゴ・ロゴ内袋、03年リマスター、定価3107+税
盤質:全面に多数傷
状態:良好
帯有
北欧ロックを語る上では欠かせないアーティストROINE STOLTが在籍したていたことで知られるスウェーデンのグループ。75年作の1st。CAMELを彷彿させる優美で温かみあるアンサンブルに、北欧らしい透明度の高い音色が加わった、ユーロ・シンフォニック・ロックの名作です。
【アンコールプレス】紙ジャケット仕様、2枚組、SHM-CD、09年デジタル・リマスター、内袋付仕様、定価4000+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
軽微な圧痕あり
映画音楽界を代表する作曲家ルイス・エンリケ・バカロフとの共作である71年作「N.1」と76年作「N.2」とをカップリングした2in1。どちらの作品もクラシックとロックがこれ以上無いほど自然な形で融合した傑作。映像音楽家という、映像が放つメッセージを音により増幅させることに長けたバカロフだからこそ、クラシックの優雅さを保ちつつ、ロックのダイナミズムをさらに高めることに成功したのでしょう。必聴作。
イギリス南東部のブライトン出身で、ヴォーカル、ギター、トランペット、オルガンを操るマルチ奏者ロビー・ウィルソンを中心に07年に結成された4人組。現代イタリア・プログレ・シーンの注目のレーベルAltrockと契約し、その傘下のFADING RECORDSより2012年にリリースされたデビュー作。アルバムの幕を静かに開けるのが鉄琴の一種であるグロッケンシュピール。まるでオルゴールのように静謐でいてファンタスティックなイントロではじまり、ドラムが入ると、オルガンが幻想的にたなびき、トランペットやストリングスなど管弦楽器が艶やかな音色を奏でるなど、クラシック・ミュージック由来の格調高さと温かみとともに、ポスト・ロック的な浮遊感が絶妙にブレンドされたイマジネーション溢れる音世界が次々と描かれていきます。ささやくように歌うハイ・トーンの繊細でメランコリックな美声男性ヴォーカル、聖歌隊のように厳粛なコーラス・ワークも絶品。レーベルからのインフォには、参考バンドとして英国70sプログレの名グループFANTASYとアイスランドのポスト・ロック・バンドSIGUR ROSが挙げられていますが、なるほどその通り!ジャケットのイメージ通りのいかにも英国的な牧歌性や幻想性と、宗教的とも言える崇高さとが完璧に融合したサウンドにただただ言葉を失います。全ての楽器と声とが信じられないほどに繊細に紡がれた、凛とした音の透明感。デビュー作とは思えない孤高の逸品です。これは名作でしょう!
ハード・クラシカルなオルガンを中心にしたスモーキーなジャーマン・ロックを聴かせるドイツのグループの71年作。バッハの「フーガ」を取り入れた楽曲を初めとして、チャーチ・オルガンのごときエコーを効かせたハモンド・オルガンの様式美で聴かせるクラシカルなセクションと、ラウドで荒削りなギターが勢い任せに引っ張るサイケデリック・ハードなセクションに分かれた楽曲は非常にスリリングな表情を見せ、その節操の無いサウンドがとても魅力的です。ジャーマン・ロックらしい実験色も覗かせるなど、個性的でマニアックな好作です。
スペインはバルセロナ出身、チェンバー/ジャズ・ロックの名グループ。76年にZELESTEレーベルよりリリースされた1st。後にクラシックから映画/演劇音楽でも名を残し現代スペインを代表する音楽家となるJoan Albert Amargosを中心に、60年代末から活躍するブラス・ロック・バンドMAQUINA!のメンバー、BARCELONA TRACTIONのKey奏者により結成。英米ロックから解放されたスパニッシュ・ロックの確立を目指していたようで、地中海音楽やアンダルシア音楽をはじめ、スペインのオペラであるサルスエラ(Zarzuela)も取り込んだチェンバー・ロックが特徴です。緻密かつ地中海の香り漂う芳醇なサウンドは、HATFIELD & THE NORTHのファンをはじめ、イスラエルのSHESHETやイタリアのAREAやPICCHIO DAL POZZOのファンにはたまらないはず。若きJoan Albert Amargosの才気ほとばしるイマジネーション豊かな名品です。
ドイツらしい深みを持ったフォーク・ロック調のサウンドを紡ぎ、専任ヴィオラ奏者を擁するという個性的なバンド編成から素晴らしいシンフォニック・ロックを生み出したグループの72年作。儚げな女性ボーカルをフューチャーした田園調のフォークサウンドからアコースティックな質感で聴かせ、消え入りそうなメロトロンの上で叙情的なフルートが鳴れば、まさにゲルマンの森から聴こえてくる極上のシンフォニック・ロックの世界。レーベルメイトのBROSELMASCHINEからPeter BurschとMike Hellbachがシタール、タブラで参加し、オリエンタルな色彩も加味。浮遊感を感じさせる内省的なサウンドを作り上げています。
東欧のキース・エマーソンと言えるKey奏者、Marian Varga率いる旧チェコスロバキア(現スロヴァキアのブラチスラバ出身)を代表するグループ。オリジナルは2枚組で全4曲という大作の71年作2nd。旧A面は、ジャズ・ロック寄りの手数多いスリリングなドラムの上を、端正な音色のオルガンが伸びやかにリフを奏でたり、時に変調したトーンでソロを奏でたり、ギターも負けじと流麗な早弾きで切れ込む、というスタイルのキーボード・プログレ。EL&Pのファンは「おおっ」となること間違いなしな展開。なお、ギタリストは、後にFERMATAを結成するFrantisek Griglakで、ジミヘンやペイジからの影響が色濃いブルージーなフレーズで楽曲にロック的ダイナミズムと陰影をもたらしています。旧B面は、リムスキー=コルサコフの交響曲『シェヘラザード』をモチーフにした楽曲で、トレースばりにクラシカルなキーボードが躍動するナンバー。キレのあるバンド・アンサンブルも圧倒的なテンションです。旧C面は、後に連名作も出す盟友、ヴォーカルのPavol Hammelを迎えた陽光溢れるようなリリカルなヴォーカル・ナンバー。格調高くもファンタスティックなピアノが絶品です。旧D面は、どんどんと無調のアヴァンギャルドな音世界へと展開・・・。80分にわたり、Marian Vargaのキーボード奏者&コンポーザーとしての才が爆発したキーボード・プログレの傑作です。
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