2024年3月1日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
カケハシ・レコードです。
2024年2月のカケレコ・ベストセラーよりTOP10をご紹介いたします!
今回は、BIG PINKレーベルのニューリリースと独PAISLEY PRESSからのニューリリースが大半を占める結果に。
往年のニッチ盤の待望CD化も多く、70年代ロック/プログレ・ファンにとっては注目すべきラインナップだったと言えるでしょう。
その合間には、新鋭の実力派による新譜が堅実にランクインしているのにも注目です。
耳の肥えたカケレコ・ユーザーの方々が今どんな作品に注目しているのか、ぜひチェックしてみてください☆
スウェーデンのkey/sax奏者が唯一残した78年リーダー作。
女性ヴォーカルをフィーチャーしたジャズ・ロックで、1曲目からテクニックと洒脱さと哀愁をギュギュっと詰め込んだ怒涛の名曲で素晴らしい!
このサウンド、ベルギーのCOSをテンション高くした感じ!?
HENRY COWに加入するGeoff Leigh在籍バンドの唯一作。
ジャケは曲者感を漂わせますが、中身はブラスをたっぷり絡ませた骨太なブルース・ロック。
ヘヴィかつスリリングなブルース・ギターと堂々たるサックスが共にリードを取るアンサンブルが実にカッコ良し!
【関連記事】
本場アメリカ南部で生まれたブルースがイギリスに輸入されて誕生したブリティッシュ・ブルース・シーンを特集。アコースティック・ブルースから、エレクトリック化、さらに「ロック」と融合してブルース・ロック・ムーヴメントへと発展した激動の50年代~60年代の流れを見ていくことにいたしましょう。
YESやGENESISからの強い影響をベースに、繊細かつ湿り気を帯びた英国的なサウンドを聴かせる米シンフォ。
前作に比べ、ジャケットからも想像できるポップなテイストも取り入れつつ、相変わらずのテクニカルでファンタジックな演奏が素晴らしい77年2nd!
往年のポンプ・ロックを彷彿させるファンタスティックで鮮やかなシンフォニック・サウンドに、Clive Noran、Tomas Bodin、David Jackson、John Hackettなど豪華ゲスト陣がらしさ満点プレイで彩りを加えていて素晴らし~。
イタリアの注目シンフォ・プロジェクト、24年作!
どデカい吸い殻で巨人(ゴリアテ)を表現したジャケットが素晴らしい、女性voブリティッシュ・ロックの最果て盤。
サウンドは唾吐きフルートと線は細くもアグレッシヴな女性ヴォーカルを特徴とする、いかにも70年ブリティッシュ・ロック然とした気怠さが堪りません。
【関連記事】
ブルース・ロックやハード・ロックは男性ヴォーカリストのイメージも強いですが…。男顔負けのソウルフル&エモーショナルな歌声を聴かせてくれる女性ヴォーカリストたちをピックアップ!
アイオワ出身のハード・ロック・バンドによる77年唯一作。
ノリの良い楽曲の中でギターとオルガンによるワイルドかつテクニカルな応酬が繰り広げられるこの痛快さはちょっと他では聴けません。
超が付くマイナー・バンドですが、これは掘り出し物と言える快作!
【関連記事】
欧米各国の「ど」がつくマイナープログレを発掘リリースしている注目の新興レーベルPAISLEY PRESS。リリース作品を一挙ご紹介!
フラメンコの巨匠ギタリストが、名手Joe Beckとの連名で残した72年作で、ベースはTony Levin。
エキゾチックで鮮やかなフラメンコギターと、熱量いっぱいに畳みかけるファンキーなハード・ロック・アンサンブルが、がっぷり四つに組んだ傑作!
シカゴ出身のシンガー/コンポーザーによる77年作。
ギターやハモンドが躍動するエネルギッシュ過ぎるジャズ・ロック/プログレ・ハードに歌を乗せる、凄い声量のソウルフル・ヴォーカル!
こりゃ間違いなくアメリカ以外からは出てこない音だなぁ。
ルーマニアの最重要プログレ・グループPHOENIXで活躍したギタリストの23年作。
ジャズ/ニューエイジ/シンフォ等を複合した音作りをバックに、サンタナばりのパッションみなぎるプレイから優美に鳴らすアンディ・ラティマー彷彿のプレイまでを弾きこなすギターにグッと来るなぁ。
【関連記事】
世界の国々に散らばる魅力あるプログレ作品を求めてカケレコCD棚を巡っていく「世界のプログレ探求紀行!」。今回は東欧・中欧の諸国を巡りながらプログレ盤をピックアップいたします☆
シンフォ・ファンにはお馴染みの多国籍シンフォ・グループ、殺人事件の謎に迫る探偵の物語を描いた24年作!
CAMEL/GENESIS影響下のファンタスティックなサウンドにvlnやfluがクラシカルな格調高さを加える、キャリア初期に回帰したような絶品シンフォニック・ロック!
いかがだったでしょうか。
気になる作品が見つかりましたら幸いです!
70年リリースの唯一作。唾吐きフルートを中心に終始畳み掛けるアンサンブルと、紅一点LINDA ROTHWELLによる線は細くもアグレッシヴなヴォーカルが印象的なブリティッシュ・ロック。スピーディーな楽曲でも、どこか気だるさが感じられるところはいかにも70年英国ロック。
後にHENRY COWに加入する管楽器奏者Goeff Leighが在籍したブリティッシュ・ロック・グループ、70年の唯一作。なかなかクセのあるジャケットですが、サウンドに奇を衒ったところはなく、ブラスをたっぷり絡ませた骨太なブルース・ロックを楽しませてくれます。隙あらばダイナミックに畳みかける強靭なドラミングに牽引され、ヘヴィさとスリリングさを備えた見事なブルース・ギターと、Goeff Leighの堂々たるサックス&フルートが共にリードを取って進行するアンサンブルがとにかくカッコいい。これぞブリティッシュな風情を漂わせるヴォーカルも堪りません。元々はオランダのレーベルからリリースされたというマイナー作品ですが、意外とアンダーグラウンドな雰囲気はなく、同時期のVertigo作品あたりと比べても垢ぬけている印象。管楽器をフィーチャーしたブルース・ロックという点ではKEEF HARTLEY BANDも引き合いに出せそうな、聴き応え抜群の好作品です!
スウェーデンはウプサラ出身のキーボーディスト/サックス・プレイヤーが78年に残した唯一のリーダー作。女性ヴォーカルをフィーチャーしたジャズ・ロックで、1曲目からテクニックと洒脱さと哀愁をギュギュっと詰め込んだ怒涛の名曲を聴かせます。ダイナミックで肉感的に刻むドラムス、歌心ある芳醇な音運びのベース、スタイリッシュなピアノ、叙情面を担う哀愁のギター、そしてスキャットも交えコケティッシュに歌う女性ヴォーカルらが疾走するアンサンブルは興奮必至で、ベルギーのCOSをテンション高くした感じと言えるでしょうか。以降はよりジャジーで叙情的な表情が現れ、アコギ/エレキ、ピアノ/エレピ、ベースらが美しく陰影豊かに紡ぐイマジナティヴな演奏に心奪われます。女性voは1曲目のようにコケットな歌唱も素晴らしいですが、母国語の響きが生きるアンニュイな歌唱もまた絶品で、かなりの逸材。緻密なテクニックと息の飲むような叙情的表現力の高さが見事に結びついた傑作です。
KANSASに代表される抜けの良いキャッチーなアメリカン・プログレ・ハードとは全く違い、YESやGENESISなどからの影響をベースにし、英国然とした湿り気と気品を持ったファンタジックなサウンドを聴かせるアメリカを代表するシンフォニック・ロックグループの77年2nd。キーボーディストの1人が脱退してしまうものの、基本的な路線は前作からの流れを持った英国然としたシンフォニック・ロックであり、前作より多少ポップ・テイストと、楽曲によってはフュージョン的なアプローチも見せています。やはりテクニカルで構築的なサウンドとファンタジックな質感が素晴らしい1枚。
50年代より音楽活動をスタートさせた米シカゴ出身のシンガー/コンポーザーによる77年作。とことんエネルギッシュに快走するジャズ・ロック/プログレ・ハードにソウルフルなヴォーカルを乗せた、実にアメリカ産らしいスタイルの熱いサウンドが素晴らしい逸品。とにかくテンション高いリズム・セクション、ソリッドでハードエッジなプレイからワウワウも使用したファンキーなプレイまで自在なギター、そしてワイルド且つテクニカルに弾きまくるハモンドと、ファンク/ソウルを下地に持ちつつプログレらしい重厚な聴き応えも備えたアンサンブル。そしてかなりの声量を誇る本格派のソウル・ヴォーカル。熱量溢れる両者が合わさって凄まじく熱いサウンドが生まれています。プログレ・ファンにもソウル・ファンにもオススメできる、これはなかなか凄い作品ですよ〜!
フィンランド/イタリア/アメリカ出身のミュージシャン3人を中心に結成された多国籍シンフォ・グループ、24年作!22年作『AUTUMN TO THE PHOENIX STAR』にて全曲の作詞作曲を手掛けた伊マルチ・プレイヤー/コンポーザーMarco Grieco(MACROMARCO)が再び全ての作詞/作曲を担当し、いつも通り各国のプログレ・バンドから多数のゲスト・ミュージシャンが参加。殺人事件の謎に迫る探偵の物語を描いたコンセプト・アルバムで、犯行シーン、各容疑者の描写、そして解決パートへと至る、推理小説を音像化したようなオリジナル・ストーリーが展開されます。CAMEL/GENESISを土台にしたファンタジックで輝かしいアンサンブルにヴァイオリンやフルートがクラシカルな格調高さを添える、2010年代の作風に回帰したようなスケール大きくも温かみあるシンフォニック・ロックが絶品。登場人物によるセリフの掛け合いで進行するロック・オペラ的要素も素晴らしく、演奏陣も終幕に向けて物語を劇的に盛り上げていきます。CAMELファン、GENESISファン、そしてシアトリカル・ロックやロック・オペラがお好きであればきっと気に入る一枚です!
ルーマニアの最重要プログレ・グループPHOENIXや英独混成プログレ・ハード・バンドLAKEに在籍した、ルーマニア生まれ/ドイツ在住のギタリスト、2023年作。84年のソロデビュー以降数年おきに作品をリリースしており、通算10作目となります。ジャズやエレクトロニクス、ニューエイジ、シンフォなどの要素を複合した音作りを土台として、説得力に溢れたメロディアスで劇的なギターが駆ける素晴らしいインストゥルメンタル・ミュージックを創出。サンタナばりのパッションで疾走するプレイから、マイルドなトーンで優美に鳴らすアンディ・ラティマー彷彿のプレイまで自在な表現力に驚かされますが、ギターサウンドに一貫して宿る哀愁にヨーロッパのギタリストらしい持ち味も感じさせます。間違いなく名手と呼んで問題ないギタリストです。80年代後半以降のCAMELが好きな方、泣きのギターに目がないという方は是非。
スペインが誇る技巧派フラメンコ・ギタリストSabicasが、ジャズ・ギタリストJoe Beckとの連名で残した72年作。ベースはTony Levin。格調高い佇まいの中に地中海エキゾチズムが芳醇に香る鮮やかなフラメンコ・ギターと、Joe Beckのアグレッシヴなギターを軸に熱量いっぱいに畳みかけるファンキーなハード・ロック・アンサンブル。両者ががっぷり四つに組んだ、ダイナミックでパッションみなぎるサウンドが絶えず胸を熱くさせます。勿論、両ギタリストに負けず技巧全開の若きTony Levinによる血気盛んなプレイにも注目です。随所に挿入されるハンドクラップとSabicasのギターが織りなすフラメンコ・パートもさすがの風格で、ゴリゴリと激しい演奏との間に見事な対比を成します。ファンキー・フラメンコ・ハード・ロックと言えるオリジナリティ溢れる傑作!
イタリア新鋭TAPROBANで知られるマルチ・プレイヤーRoberto Vitelliによるプロジェクト、4作目のスタジオ・アルバムとなる24年作。元ANGLAGARDのMattias Olsson(ds)を含む4人組を基本編成に、Clive Noran(PENDRAGON)、Tomas Bodin(ex.THE FLOWER KINGS)、David Jackson(ex.VDGG)、John Hackettなど今回も実力派ゲストを迎えての制作です。インスト・パートの比重が大きかった前作と比べ、ヴォーカルを中心に据えてキャッチーさを増したサウンドとなっているのが本作の特徴。クラシカルなシンセサイザーが次々と折り重なるように溢れ出すスケール大きな導入から、早くも傑作の予感が漂います。全編で華麗に躍動するキーボード群、歌心いっぱいのメロディアスなギター、ダイナミックなプレイで演奏を牽引するドラムらが密度の高いアンサンブルで駆け抜けるスタイルは、往年のポンプ・ロックを彷彿させる鮮やかなファンタスティックさに満ちており圧巻。上記の素晴らしいOPパートを担当したClive Noranをはじめ、らしさ満点のサックスを提供するDavid Jackson、エレガントかつ陰影に富むフルートで英国的叙情を添えるJohn Hackett、そしてピアノの神秘的なプレイで終幕を告げるTomas Bodinと、各ゲストの持ち味もしっかりと作品づくりに生かされているのが何より素晴らしい。初期MARILLIONやPENDRAGON、そしてGENESISファンの方には是非オススメしたい作品!
米アイオワ出身のハード・ロック・バンドによる77年の唯一作。互いに譲らず弾きまくる共に技巧派のギターとオルガン、グラムっぽさやパンキッシュさも垣間見せながら歌うヴォーカルらが、アメリカ産らしいロケンローなノリを持つ楽曲を痛快にプレイします。ギターとオルガンによるワイルドかつテクニカルな応酬が聴き所ですが、一方でギターソロ/オルガンソロではDEEP PURPLE〜様式美HRの流れを汲むドラマティックで哀愁漂うプレイも聴かせていて、ノリが良くゴキゲンであると同時に重厚な聴き応えも感じさせるのが魅力です。超が付くマイナー・バンドですが、これは掘り出し物と言える快作!
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!