2020年9月20日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。本日はそんなオルガン・ロックの代表格CRESSIDAを筆頭に、哀愁のハモンドが聴ける世界のロックをピックアップいたしました。
哀愁のハモンドといえば、VERTIGOレーベルの誇るこちらのグループ。
とりわけオルガン・ロック史上に残る名曲「Munich」の切なさと美しさと言ったら……筆舌に尽くしがたいですね。
ジャケは変なデザインですが、色合いは秋らしいです。
イギリスのロック・グループ、エルトン・ジョンで知られるDJMレーベルより発売された71年唯一作。
ダークなジャケ通り全体的にほのかな薄暗さが漂いつつも、英国然としたオルガンの音色が格調高く、さらにビートルズもびっくりの芳醇なメロディや瑞々しいコーラス・ワークも飛び出して驚き。
メロディこそポップですが、緻密なドラミングをはじめとするタイトな演奏と気品あふれる叙情性は他のブリティッシュ・ロックの名盤と並べても全く引けを取らない出来。すばらしいです。
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音楽ライター後藤秀樹氏による連載コラム「COLUMN THE REFLECTION」!第3回は、ことし未発表音源を含むボーナス・トラックと共に再発された、ブリティッシュ・ロックの逸品DEEP FEELINGの唯一作を取り上げます。
BULLDOG BREEDやT2で知られるドラマー兼名ソングライター、Peter Duntonが率いた英国のグループ。
当時アルバムを残さずに解散した彼らですが、今年新たな発掘音源集がリリース!
オルガンとヴォーカルが物悲しくもリリシズムいっぱいの旋律を綴る「One More Chance」を筆頭に、『これぞ英国叙情』というサウンドが次々と溢れ出します。英ロック・ファンは要チェックの一品。
こちらは英国の名ドラマーAynsley Dunbar率いるブルース・ロック・バンド、69年の3rd。
元々ヘヴィでジャジーなブルース・ロックを聴かせるグループでしたが、本作では時代を反映してかファンクやクラシカル・テイストなども取り入れたバラエティ豊かなサウンドを聴かせています。
MARK-ALMONDやRIFF RAFFで知られるkey奏者Tommy Eyreによるくすんだハモンドをフィーチャーした曲なんかは、クレシダなどVertigoファンにはたまらない流麗&哀愁のオルガン・ロック!
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ドイツのオルガン・ハード・バンドの71年作。
ジャジーだったりクラシカルだったり、サイケな即興が入ったりと作風こそジャーマン・ロックらしいとりとめのなさですが、マイルドなハモンドやギター、クールで切ないヴォーカルのスモーキーな質感が非常に魅力的で、じっくりと聴き入ってしまいます。
芸術の秋にふさわしいアルバムですね。
ここからはアメリカの作品をご紹介。まずは何と言っても「アメリカのCRESSIDA」と呼ばれるAFTER ALLですが、CRESSIDAのデビュー・アルバムが70年作なのに対し彼らの唯一作が69年なので、こちらが元祖とも言えるかも……?
それはともかく、叙情たっぷりのハモンドが織り成すオルガン・ロックは、英国産と言われても納得してしまうほどのとてつもない哀愁。
VERTIGOなどの英オルガン・ハード好きなら外すことのできない一枚です。
こちらもアメリカ、デトロイト出身でモータウン傘下のレーベルから発売された71年作。
趣のないジャケですが、プロコル・ハルム「青い影」ばりのオルガン、ニッキー・ホプキンスに通じるリリカルなピアノ溢れる哀愁のナンバー揃いの名盤。
メロディこそサイケ・ポップの延長ですが、英国に通ずる格調高さとたおやかな叙情性は並々でなく、これがアメリカから出てきたことに驚きです。
シカゴで結成されたプログレ/サイケ・バンドの69年唯一作。
ガレージ・サイケTHE SHADOWS OF KNIGHTのキーボーディストやH.P. LOVECRAFTのドラマーが在籍しているからどんなサイケ・サウンドが飛び出すかと思えば、なんとびっくりCRESSIDAなみのメロディアスなハモンドに軽やかなジャズ・タッチのギターが飛び交うテクニカルさ。
ムーディーかつ洗練されたジャジーな哀愁は英国勢でもなかなか出せるものではなく、かなりのクオリティの高さです。
最後はこちら。ジャケットが何とも不思議な感じだけど、これは間違いなくケベック・プログレの秘宝的一枚だと思います。
見事なコーラスも交えた、英国のオルガン・ジャズ・ロックに通ずるドラマチックで洗練されたアンサンブルが聴きもの!
いかがでしたか?
穏やかで少し寂しげなオルガン・ロックは、秋の散歩のBGMにもピッタリですね。
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VERTIGOレーベル発のブリティッシュ・ロックを代表するグループの71年作2nd。KEEFの手によるジャケットアートがよく知られているその内容は、前作のポップ・センスはそのままに、より起伏に富んだアンサンブルで聴かせる作品であり、英国然としたジェントルな気品に満ちた質感と湿り気が特徴的な名作です。コロコロと転がっていくクラシカルなオルガン・ワークを中心にした渋いアンサンブルを放っており、また、ブルージーに泣くギターや所々でドラマチックに楽曲を彩るストリングス・セクション、ブラス・セクションも素晴らしく、英国ロックの奥深さと味わいを伝えています。
ハード・クラシカルなオルガンを中心にしたスモーキーなジャーマン・ロックを聴かせるドイツのグループの71年作。バッハの「フーガ」を取り入れた楽曲を初めとして、チャーチ・オルガンのごときエコーを効かせたハモンド・オルガンの様式美で聴かせるクラシカルなセクションと、ラウドで荒削りなギターが勢い任せに引っ張るサイケデリック・ハードなセクションに分かれた楽曲は非常にスリリングな表情を見せ、その節操の無いサウンドがとても魅力的です。ジャーマン・ロックらしい実験色も覗かせるなど、個性的でマニアックな好作です。
フロリダ出身のサイケ・プログレ・バンドが69年に発表した唯一作。「アメリカのCRESSIDA」とも称されるようにジャズ・ロック調の気品あるオルガン/キーボード・ワークと、プログレ調のめまぐるしい展開とシリアスな雰囲気を湛えたサウンドが特徴。メロディアスなオルガンを軸に展開されるドラマティックな楽曲群はかなりの完成度。若干シアトリカルなヴォーカル、ファズ・ギターの引きずるようなリードも堪りません!米国産ながら、70年代英国のオルガン・ロック好きにも是非聴いていただきたい一枚。この気味の悪いジャケットにピンと反応してしまった方も、その感性を裏切らない雰囲気を内包した一枚です。
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