2016年12月29日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,新譜CDナビ
2016年の年間ベストセラー・ランキングを発表します!
待望の初CD化となったリイシュー盤から渾身の新譜まで、この一年間、僕らプログレ&ロック・ファンをワクワクさせてくれた作品がずらり勢揃い。
聴き逃しのチェックに、年末年始のロック探求のお供に、どうぞお楽しみください!
栄えある第一位はリイシュー盤!
韓国MEDIA ARTEレーベルがプレスしたもののリリースされずお蔵入りとなったCDがカケレコ限定入荷っ!
洒脱さと英国らしい叙情美。しっとりと流麗な大人のブリティッシュ・ポップ逸品だなぁ。
タイ・フォンの2014年の初来日公演を収めたライヴ盤が登場!2枚組でライヴを完全収録!
詳細は、ライヴ・レポートをチェック是非!
https://kakereco.com/magazine/?p=14375
3位はカケレコで人気のポーランドの新鋭バンド!
クラシカルなエッセンスを軸にニューエイジ色を織り交ぜたサウンドは「美麗」という言葉がぴったり。
女性ヴォーカルも美しいし、ジャケも綺麗だし、これは傑作!
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2000年代以降のポーランド屈指のプログレ新鋭LOONYPARKを特集!リーダーのソロワークも含めた軌跡を辿ります。
1位のMARK-ALMONDと同じく、韓国MEDIA ARTEレーベルの蔵出し発掘盤!
アメリカン・ロックへの憧憬の中ににじむ英国的な陰影。
慈愛に満ちたブリティッシュ女性SSWの名作。
現代ロシアを代表するのみならず、ヴァイオリンをフィーチャーした新鋭プログレ・バンドとして屈指と言えるクオリティを持つトリオ!
ロシアが生んだクラシック音楽の巨匠ストラヴィンスキーが蘇り、交響楽団とテクニカルなプログレ・バンドを従えた、といった感じ!?
何という完成度・・・。
タイ・フォンの2014年の初来日公演を収めたライヴのDVD!
デビュー作もハイクオリティでしたが、この2016年作2ndもずばり傑作。
カンタベリー・ミュージック、アレア、イル・ヴォーロあたりのファンにはたまらないはず。
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世界中より、シャープに引き締まったテクニカルかつ流麗なジャズ・ロック作品をセレクトしてまいりましょう。
タイ・フォンの弟分!?
タイ・フォンのキーボード奏者が結成したバンドで、フランスらしい独特の色彩感覚を持ったアーティスティックなシンフォ傑作。
相変わらずPAISLEY PRESSレーベルは、注目のユーロ・ロック作品を続々とリリースしてくれていますね!
PAISLEY PRESSレーベルの作品リストはこちら!
http://kakereco.com/list.php?label=PAISLEY%20PRESS
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第二弾もまた、第一弾のタイトルと同じくプログレ・マニアが「きた、きたー!」と雄叫びを上げること必至の良作ぞろい。試聴用動画とともにどうぞ探求をお楽しみください!
2016年の新譜ではありませんが、ロングセラーで9位にランクイン!
まさか00年代にエストニアに、ソフト・マシーンやハットフィールドのDNAを継ぐカンタベリーなグループが生まれるとは・・・。
硬質さとリリシズム、それを包むエストニアならではの透明感。絶品です。
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ソフト・マシーンやハットフィールドなどカンタベリー・ミュージックのDNAを継ぐ新鋭ジャズ・ロック・バンドを世界中からピックアップいたしましょう。
キング・クリムゾン、マグマ、ゴング、果ては『ウォール』期のピンク・フロイドまでをぶちこんだサウンド、ただただ強靭。
このノルウェーの新鋭、ずばり大注目!
最近、続々と新鋭グループが登場している注目のアルゼンチンのプログレ・シーン。
ギルガメッシュやナショナル・ヘルスが好きなら、このブエノス・アイレスの新鋭グループ、実にオススメですよ~。
アルバムの1秒目からレッドゾーン吹っ切れまくり!
怒涛のビブラフォンとサックスのユニゾン。マシンガンのようなギター。高速変拍子。
クリムゾンやユニヴェル・ゼロに一歩も引けをとってません!
90年代後半から活動し、シンフォ・ファン必聴の名作を数多く残しているキーボード奏者Corrado Sardella率いるグループ。
まるで往年のスティーヴ・ハケットをキーボードで再現するようなリードがいいなぁ。
「プログレ・ハード」なダイナミズムとフックあるメロディも魅力的だし、これは2016年屈指の大充実作!
70年代末に残されたフレンチ・シンフォの秘宝。
ジャケには秘宝感ないですが、奥ゆかしく叙情的なシンフォニック・サウンドはいかにもフランスならではで秘宝感ぷんぷん。
ジェネシスとイタリアのレ・オルメの中間に位置するようなトーンとフレーズが魅力のハモンドが絶品。
70年代シンフォ屈指の傑作を残したアルゼンチンのバンドによる幻の04年録音3rd!
ジェネシス系イタリアン・シンフォの名バンドとして知られるMOONGARDENのギタリストとキーボーディストが結成したバンド。
ジェネシス憧憬をベースに、イタリアらしいクラシカルさや、突き抜けるようにかっ飛ばすプログレ・ハード・テイストを織り込んで、いや〜、心奪われまくり!
クリムゾンの『ポセイドンのめざめ』をジェスロ・タルがカヴァーして、そこにマイルス・バンドの面々が乱入したらこんな感じになるかも!
これはアンダルシア・プログレの秘宝。
95年に結成され、QUIDAMと同時期に活動したポーランドのグループ。
97年に録音されながら、当時のレーベルがプログレから離れたことでお蔵入りとなった幻のアルバムが、20年の時を経て2016年に発掘リリース!
テクニカルかつ耽美。
幻想にしっとりと包まれた一つ一つの音により描かれた美しきシンフォニック・ロック逸品です。
女性ヴォーカルKathy Millot擁するフランスのシンフォニック・ロック新鋭バンド。
ずばりアネクドテンを耽美的にした感じ!?
しっとりとエモーショナルに歌い上げる女性ヴォーカルも良いなぁ。
不動の2人であるGreg Spawton(G)とAndy Poole(B)により90年に結成され、90年代~00年代のイギリス屈指のプログレ新鋭バンドへと上り詰めたグループ。
イギリスという場所、2016年という時だからこそ鳴らすことができた渾身のプログレッシヴ・ロック大作。
英国ならではの「伝統」が息づく重厚かつ流麗なサウンドは、まるで映画を見ているようにただただ壮大。
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
2017年もまた、みなさまにとってのロック探求における最良のパートナーとなるべく、ニッチ&ディープな情報発信につとめてまいります。
2017年も引き続きカケレコをよろしくお願いいたします!
エストニアのジャズ・ロック・グループ、2010年の4thアルバム。手数多くシャープでアグレッシヴなリズム隊、流麗なフェンダー・ローズ、たおやかに飛翔するサックス!リズム隊の硬質さとエレピや管楽器のしなやかさとのバランスが絶妙。カンタベリー・ミュージックの遺伝子を受け継ぐ正統派グループ!これは素晴らしい作品です。ジャズ・ロックのファンにはかなりオススメ!痺れますよ。
00年代以降のチェンバー・ロック〜アヴァン・ロックの筆頭格と言えるイタリアのバンド、2016年作のスタジオ盤としては4枚目となるアルバム。アルバムの1秒目からレッドゾーン吹っ切れまくり!いきなりビブラフォンとサックスがユニゾンで切れ込み、ギターがまるでマシンガンのようにザクザクとしたフレーズを叩きつけ、リズム隊が高速変拍子で荒れ狂う。脈絡なくフレーズをぶつけあっているようでいて一糸乱れぬようでもあり、アブストラクトのようでいて緻密に計算されているようで、何という凄まじさ。クリムゾン『太陽と戦慄』やヘンリー・カウやユニヴェル・ゼロなどに一歩も引けを取らない、というか、硬質さとテンションでは凌駕しているといっても過言ではないでしょう。一転して、静謐なパートでの透明感もまた見事だし、カンタベリーに通じる叙情的な「歌」も心に響くし、何という表現力。チェンバー・ロックの大本命バンドによる、リスナーの期待をはるかに凌駕した大傑作!
ジェネシス系イタリアン・シンフォの名バンドとして知られるMOONGARDENのギタリストとキーボーディストが結成したバンド。2016年作3rd。繊細なタッチの伸びやかなロングローンが魅力のギターときらびやかなトーンのムーグ・シンセが紡いでいく時にリリカルで時に緊張感を持ったメロディ。その上でたなびく幻想的なメロトロン。シアトリカルなヴォーカルとフックに富んだメロディ・ライン。そして、目の覚めるようなめくるめくファンタスティックかつダイナミックな展開。ドラマティックなシンフォニック・ロックのファンにはたまらないサウンドがこれでもかと続きます。さらに、しとやかなエレピ、クラシカルで格調高いピアノやクラシック・ギター、エモーショナルに歌い上げるヴォーカルなど、イタリアならではのサウンドのまばゆさ・艶やかさも特筆。ジェネシスへの憧憬がベースにありますが、イタリアらしさや、突き抜けるようにかっ飛ばすプログレ・ハード・テイストなどを織り込んだ多彩なサウンドにはオリジナリティがあります。1st、2ndもプログレ・ファンに大好評でしたが、本作にも間違いなく心奪われることでしょう。傑作です。
ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ。2016年作の4thアルバム。温かで荘厳なハモンド・オルガン、しっとりと艶やかなピアノ、壮麗なオーケストラなどによるクラシカルなエッセンスを軸に、ウクライナの新鋭バンドKARFAGENにも通じるニューエイジ色を織り交ぜたサウンドは「美麗」という言葉がぴったり。伸びやかな歌声とエモーショナルな歌唱が素晴らしい女性ヴォーカルが見事に映えています。ゲスト参加したヴァイオリン奏者による艶やかなリードも聴きどころ。ここぞでは、中域寄りのハード&マイルドなトーンのエレキ・ギターがアグレッシヴにリズムを刻んでダイナミズムを注入。メリハリの効いたドラマティックな展開も見事です。00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンドによる、ジャケットのイメージどおりの美しい傑作です。
ジェネシスやキャメル影響下のメロディアスなサウンドが人気のフランスのシンフォニック・ロック・バンド。76年のデビュー作と甲乙つけがたく人気の79年作2ndで、フランスの作家ボリス・ヴィアンによるSF青春小説『日々の泡』をモチーフにしたコンセプト・アルバム。前作から、ドラムが代わり、キーボーディストが加わってツイン・キーボード編成となって録音されています。ラインナップの変化はプラスとなった印象で、シャープに引き締まったドラム、左右チャンネルから鳴らされてシンフォニックに広がりドラマ性を高めるキーボード・アンサンブルは特筆。スティーヴ・ハケットやアンディ・ラティマーを彷彿させる繊細なタッチのリリシズム溢れるギターは相変わらず絶品だし、奥ゆかしさがフランスらしいヴォーカルもまた魅力的だし、ジェネシスやキャメルのファンにはたまらない「詩情」と「ドラマ」に満ちています。マイナーながら叙情的なシンフォニック・ロックの名作です。
現代ロシアを代表するのみならず、ヴァイオリンをフィーチャーした新鋭プログレ・バンドとして屈指と言えるクオリティを持つトリオ、2016年作5thアルバム。オープニングから、舞踏音楽も取り込んだ躍動感いっぱいのリズム・セクションをバックに、ヴァイオリンが鮮やかなトーンでまるで天空を駆け抜けるかのように鳴り、エレキ・ギターが追随しながら疾走感を加える。イマジネーションいっぱいにめくるめく鳴り響く管楽器も凄いし、アコギとフルートによる静謐なパートの奥ゆかしさも特筆。ロシアが生んだクラシック音楽の巨匠ストラヴィンスキーが蘇り、交響楽団とテクニカルなプログレ・バンドを従えた、といった感じのまばゆすぎるアンサンブルにただただ心躍ります。何という完成度。2016年のプログレ作品の中で間違いなくトップ3に君臨することでしょう。ずばり傑作です。
タイ・フォンのキーボード奏者が結成したフレンチ・シンフォニック・ロック・バンド、77年の唯一作。ジャケットのイメージ通りのほの暗いスペーシーなトーンで鳴るシンセ。繊細なタッチとサステインの効いた幻想的なトーンが魅力のメロディアスなリード・ギター。そんなシンセとギターを中心とするスペーシーかつ幻想的なパートを軸に、アコギの軽やかなバッキングとパーカッションをフィーチャーしたP.F.M.「セレブレーション」ばりに躍動するパート、クラシカルなアコギの爪弾きと格調高いピアノによる「春」を想わせるパート、マリンバをフィーチャーしたドリーミーなパートをはさむなど、イマジネーションがめくるめくアンサンブルが持ち味です。独特な音の色彩感覚はいかにもフランス。ゲスト・ヴォーカルとして、タイ・フォンのKhanh Mai、Tai Sinh、Jean-Jacques Goldmanが参加しているのも特筆で、壮麗な多声コーラスも聴きどころ。フランスらしい魅力に溢れたシンフォニック・ロック傑作です。
2014年にデビューしたアルゼンチンはブエノス・アイレス出身のジャズ/フュージョン・ロック・グループで、ギター、ベース、キーボード、ドラムの4人組。2015年作の2nd。しっとりと艷やかでほのかな気品があって優美なエレピ、フィル・ミラーとキャメルのアンディ・ラティマーを足してニで割ったような、抑制されたトーンの精緻かつマイルドなギター、陰影を感じさせる流麗なベース、ふくよかなドラム。ギルガメッシュやナショナル・ヘルスあたりが好きなら間違いなく気にいるでしょう。これはカンタベリーのファンは必聴の名作です。
イタリア北部ブレシア出身の4人組ジャズ・ロック・グループ。『ハットフィールド meets キャメル』といった感じの叙情性溢れるジャズ・ロック・サウンドでプログレ・ファンから高く評価された2011年デビュー作に続く2016年作2nd。サウンドの強度がグッと増した印象で、ソフト・マシーンやハットフィールド、アレアやエトナなど、往年の英&イタリアの名バンドにも比肩するジャズ・ロック・サウンドが印象的。シャープなリズム隊を土台に、クラヴィネットが弾み、ヘヴィに歪んだギターとムーグ・シンセが早弾きリードを炸裂させるテンションいっぱいのパートあり、ギターとキーボードのアルペジオが精緻にからみあうハットフィールド的パートあり、キーボードの変拍子のミニマルなフレーズを軸にしたハード&静謐なソフト・マシーン的パートあり、地中海が香る軽やかなパートあり、荘厳にそそり立つようなイタリア的なパートあり、流麗なピアノとフレットレス・ベースが奏でるメロディをフィーチャーしたジャズ/フュージョンなパートあり、表情豊かで安定感抜群のアンサンブルは絶品の一言。インストが中心ですが、ヴォーカル・パートもあり、アレアを彷彿させる土着的な歌声も魅力的です。ラスト曲では清涼感あるトーンのシンセをバックにロマンティックなギター・ソロが入って、イル・ヴォーロが頭に浮かびました。これはカンタベリー・ミュージックやユーロ・ジャズ・ロックが好きな方にはたまらないはず。70年代のDNAを継ぐ傑作です。
90年代後半から活動し、シンフォ・ファン必聴の名作を数多く残しているキーボード奏者Corrado Sardella率いるグループ。2016年作9thアルバムで2枚組の一大コンセプト・アルバム。イ・プーのレッド(Bass)をはじめ、ヴォーカルとしてLA MASCHERA DI CERAのAlessandro CorvagliaやMANGALA VALLISのRoberto Tirantiが参加するなど、多数のゲストが参加して制作されており、これまで以上にダイナミズムに溢れたシンフォニック・ロック大作に仕上がっています。透明感あるトーン、温かくファンタスティックなトーン、激しくアグレッシヴなトーンを駆使し、ヴィンテージ・キーボードとピアノを操って幻想と現実を行き交うようなスケールの大きな音世界を描きだすセンスとテクニックは相変わらずの素晴らしさ。まるで往年のスティーヴ・ハケットをキーボードで再現するような、そんな伸び伸びと奏でられるドラマティックなキーボードのリードにも心躍ります。時にカンサスも彷彿させる「プログレ・ハード」なダイナミズムとフックあるメロディも魅力的。リリカルなギターや視界がパッと開けるような展開などはムーン・サファリも頭に浮かぶし、いや〜、これは良いアルバム。文句なしに最高傑作と言える大充実作です。
スペイン南部はアンダルシア地方の地中海に面する都市マラガ出身のプログレ・バンド。80年の1stで、RCAからのリリースながらわずか600枚ほどがプレスされたのみの激レア盤。海外のレビュー・サイトでは、ゴング、ソフト・マシーン、チック・コリア、マイルス、ザッパ、そして、フラメンコの融合、と評されていましたが、なるほど言い得て妙。クリムゾンの『ポセイドンのめざめ』をジェスロ・タルがカヴァーして、そこにマイルス・バンドの面々が乱入したらこんな感じになるかも。バタバタと手数多くシャープ&タイトなジャズ・ロック・スタイルのドラム、動きまくるアグレッシヴなベースによるリズム隊を土台に、ギターが、猥雑なファズ・ギターからロバート・フリップ風の緊張感あるアルペジオまでダイナミズムをつけ、フルートが時にミスティックに、時に軽やかなフレーズで駆け抜け、ここぞではサックスがブイブイと炸裂する。熱情のアンダルシア・スタイルのヴォーカルも特筆で、オペラ・スタイルを持つバンコのジャコモへの、フラメンコ・スタイルからの回答といった感じ。雰囲気抜群のジャケのイメージ通りのプログレ/ジャズ・ロックの秘宝です。
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