2021年6月15日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ジャズ・ロック
イギリスから欧州にわたり、オランダを通って北欧へ!
オランダのジャズ・ロック・バンドが残した唯一の作品で、これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬が最高に心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値ありですよ~。
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欧米各国の「ど」がつくマイナープログレを発掘リリースしている注目の新興レーベルPAISLEY PRESS。リリース作品を一挙ご紹介!
淡く幻想的なジャケットに惹かれますが、サウンドはスリリングかつテンションみなぎる最高のジャズ・ロック!
緊張感は終始持続しつつも、どこか絵本の世界のようなファンタジックさがあるのは北欧ならでは。
Jukka Tolonenによるセンス抜群のギターワークのみならず、そのギターと絶妙な呼吸で絡みあうPekka Poyryのサックスも必聴です。
WIGWAMで活躍したベーシスト。77年作にVIRGINよりリリースされた英国盤。
マイク・オールドフィールドの参加が特筆で、フィンランドとイギリスが誇る知性派であり音の魔術師と言える2人の名手が出会った一級の工芸品のような切れ味を感じることができる名品。
ジャケットからはファンタジックなシンフォ作品をイメージしますが、中身はクリムゾンばりの強度とヘヴィネスでスリリングに突っ走るテクニカル・プログレ!
フリオ・キリコばりの超絶ドラミングも聴きものです。永世中立国スイスにこんな強烈でテンション高いバンドがいたとは…。
旧ソ連はエストニアを代表するグループ。
シンセとギターがアグレッシヴかつ荘厳に畳みかけるパートと、フュージョン・タッチの流麗なギターが軽やかに舞うメロディアスなパートとを鮮やかに対比した展開が見事。
辺境っぽさは全く無く、テクニック、アレンジ、メロディ・センスともにかなりのハイ・クオリティ。
エストニアと言えば、素晴らしい新世代グループがいますね!
まさか00年代のエストニアに、ソフト・マシーンやハットフィールドのDNAを継ぐカンタベリーなグループが生まれるとは・・・。硬質さとリリシズム、それを包むエストニアならではの透明感。絶品です。
東欧からも一枚ピックアップいたしましょう!
スラヴ、ハンガリー、ドイツ、そしてロマの文化が交錯した街、スロバキアはブラチスラヴァならではと言える多彩なサウンドが魅力の東欧プログレ/ジャズ・ロック屈指の名作。
ずばりブランドX、リターン・トゥ・フォーエヴァーへの東欧からの回答。
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旧チェコスロバキア(現スロバキア)を代表するプログレ・バンドFERMATAの75年デビュー作『Fermata』をピックアップ!
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70年代より、ユーロ諸国や南米/アジアなどの辺境には、英米の名バンドたちにも負けないハイレベルなプログレ・バンドが数多く存在しました。
今回は、そんな中から東欧は旧チェコスロヴァキアのプログレ・グループたちを一挙ご紹介いたしましょう。
COSのメンバーだったKey奏者とベース奏者によるグループなんですが、ナショナル・ヘルスやギルガメッシュのファンはずばり必聴!
マグマの元メンバーが結成したグループによる78年作。
マグマの熱気にソフト・マシーンのミニマルなクールネスをブレンドした感じ!?
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Christian Vnderを中心に「コバイア」という架空の文化を生み出し、凶暴にして荘厳、エキセントリックなアクの強い作風で70年代を駆け抜けたグループ=MAGMAのフォロワー、いわゆるZEUHL(ズール)系と呼称されるグループをピックアップ!
元マグマであり初期マグマ作もプロデュースしたローラン・チボーがベースで参加がした、仏女性マルチ・プレイヤー/コンポーザーによる74年作。
この当時からかはわかりませんが、実はチボーの奥方なのだそうです。
まるでロバート・ワイアットのソロばりの幻想絵巻で、青空ではなく、淡い曇り空の透徹とした冬空って感じ。
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淡い叙情性だったり、知的な凶暴性だったり、プログレッシヴな感性を持ったジャズ・ロック/アート・ロック作品を世界中からピックアップして紹介いたしましょう。
マグマ~ザオで活躍したサキソフォン奏者ヨシコ・セファーを中心とするジャズ・ロック・バンド。
ということでマグマ直系なのかと思いきや、セファーのサックスはエルトン・ディーン風の朗々と歌うようなプレイが主だし、ギターの奔放に音数を詰め込むような速弾きはかなりジョン・グッドソールだし、もろパーシー・ジョーンズなベースも随所で炸裂するしで、ソフツやブランドXなどの英ジャズ・ロックを志向した端正なサウンドが新鮮に響きます。まさにシャープでテクニカル!
他のZEUHL系ジャズ・ロック・バンドに見られる凶暴性はあまり感じさせず、ある種ドリーミーとすら言えそうな儚さのあるアンサンブルが特徴。CARPE DIEMなどのファンには是非聴いていただきたい一作。
こ、これはずばり、MAGMA/KING CRIMSONファンに激オススメの超絶技巧暗黒ジャズ・ロック音源!知的かつ凶暴な演奏でスリリングに畳みかけるアンサンブルがカッコよすぎ~。
1stでは7人でしたが、この2ndでは10人編成となりブラス・セクションを強化。ファンキーなノリの良さと地中海的な芳醇さを併せ持つ絶品サウンドを披露します。猛者ぞろいのフレンチ・ジャズ・ロックにおいて、「心地よさ」では最高峰と言える逸品!
こ、これは「MAGMA+GG」と言っても過言じゃない、暗黒エネルギーと意表を突くアレンジセンスが融合した個性派ジャズ・ロック!仏ジャズ・ロック・シーン、まだまだ奥深し…。
スペインで流麗&テクニカルなグループと言えば、ICEBERGが筆頭格!
レビュワー6人が満点評価!スペインにこれほどのジャズ・ロックを聴かせるグループが居たとは。
特にギタリストのMAX SUNYARの才能、うなるしかありません。
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地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうエレピが絶品~。
バルセロナのジャズ・ロック・シーンを代表するKey奏者Lucky Guri率いるグループによる75年の大傑作。
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スペインはバルセロナ出身のジャズ・ロック・トリオ、BARCELONA TRACTIONが75年にリリースした唯一作『BARCELONA TRACTION』をピックアップ!
トリプル・ギター編成のバルセロナ産ジャズ/フュージョン・ロック・バンド。76年デビュー作。
たおやかなギター・アルペジオと流麗かつテクニカルなギター・ソロが、時に優美に、時にアグレッシヴに交差する演奏が気持ち良すぎっ!
スペインのキャメル系シンフォとしては、GOTICと双璧と言えるかな。技巧的で洗練されたジャズ/フュージョン・タッチとキャメル的叙情美との豊かな邂逅が聴き所の1stと2ndを収録!
ハットフィールド&ザ・ノースやキャメルから影響を受けたイタリアの新鋭。
フィル・ミラーとアンディ・ラティマーを足して二で割ったような流麗かつメロディアスなギター、エレピやムーグ・シンセが彩る淡くメロウなアンサンブル。
これは良いなぁ。
イタリアが誇るカンタベリー系のジャズ・ロック・グループ。
00年代に復活し、00年代が誇るアヴァン・ロック・グループのYUGENとジョイントしたライヴを残しています。
冬の星空を眺め、何万光年先へと思いを馳せながらじっくり聴きたい作品。
90年代はじめから活動するイタリアのチェンバー・ロック・グループ、2015年作2nd。
レーベルからのインフォには、カンタベリー・ミュージック、ザッパ『アンクル・ミート』、ピッキオ・ダル・ポッツォ、オパス・アヴァントラ、新鋭のYUGENあたりが好きなら必聴、と記されていますが、確かにその通り。
緻密さと躍動感がバランスしたサウンドが実に気持ちいいです。
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05年に実験的なロックのためのフェスを開催するために設立され、翌06年に、YUGENの作品をリリースし、レーベルとしてもスタートしたイタリアに本拠を置くAltrock Productionsを特集!
エストニアのジャズ・ロック・グループ、2010年の4thアルバム。手数多くシャープでアグレッシヴなリズム隊、流麗なフェンダー・ローズ、たおやかに飛翔するサックス!リズム隊の硬質さとエレピや管楽器のしなやかさとのバランスが絶妙。カンタベリー・ミュージックの遺伝子を受け継ぐ正統派グループ!これは素晴らしい作品です。ジャズ・ロックのファンにはかなりオススメ!痺れますよ。
スペインはバルセロナ出身のジャズ・ロック・グループ。76年作の2nd。1stよりヴォーカリストが脱退。本作以降はすべてインストゥルメンタル作品になります。Voが居なくなったせいか、サウンドは1stのテクニカルな部分を更に押し進めた硬派なテクニカル・ジャズ・ロック。スペインを代表する天才ギタリストMax Sunyerのギターは相変わらず冴え渡っていて、フラメンコや北アフリカ音楽のエッセンスを感じさせるアラビックでエキゾチックな旋律をゴリゴリとアグレッシヴに、なおかつ地中海フレイヴァーいっぱいに爽やかで流れるように弾き倒すフレージングはテクニック、センスともに抜群。そんなMaxのギターにユニゾンであわせるKey奏者、Josep Mas “Kitflus”も特筆で、彼らの高速ユニゾンと白熱したソロの応酬がバンドの最大の持ち味です。そんなマハビシュヌばりのキレ味抜群のテクニックに加え、シンフォニック&スペーシーなシンセによるプログレ・フレイヴァーや、たおやかさや清涼感やエキゾチズムなどの地中海フレイヴァーもあって、色彩豊かなサウンドは世界的にみても屈指のクオリティ。70年代半ばにバルセロナで興ったジャズ・ロック/アヴァン・ロックのムーヴメント『ライエターナ・ミュージック』を代表する作品で、スペインが世界に誇るジャズ/フュージョン・ロック傑作です。
スペインはバルセロナ出身のジャズ・ロック・トリオ、75年作。バンドのリーダーは、Key奏者のLucky Guriで、バルセロナ・ジャズ・ロック・シーンの名手達が集まったビートルズのカヴァー作品(傑作!)に参加したり、後には地中海ジャズ・ロックの名バンドMUSICA URBANAに参加するなど、バルセロナ・シーンを代表するKey奏者。シャープに引き締まったドラム、流麗に動くメロディアスかつグルーヴィーなベースによる安定感抜群のリズム隊を土台に、エレピが地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうメロディを奏でます。色彩感豊かなパーカッションやホイッスルなどによる味付けも地中海フレイヴァーたっぷり。バンドは、スペインはカタルーニャ地方のウッドストック・フェスと言える75年に行われた伝説の「Festival Canet Rock」に参加し、高い評価を得ます。バルセロナ産ジャズ・ロック「MUSICA LAIETANA」シーンを代表する一枚として名高い傑作です。
旧ソ連はエストニアを代表するグループ、RUJAとIN SPEのメンバーを中心に結成されたグループ。83年作に81年作のEPをカップリングした2in1CD。シンセとギターがアグレッシヴかつ荘厳に畳みかけるパートと、フュージョン・タッチの流麗なギターが軽やかに舞うメロディアスなパートとを鮮やかに対比した展開が見事。辺境っぽさは全く無く、テクニック、アレンジ、メロディ・センスともにかなりのハイ・クオリティ。YES+HATFIELD & THE NORTHと言うと乱暴ですが、疾走感と繊細さが絶妙に調和された奇跡の傑作。
1. Introduktsioon = Introduction 2:06
2. Sõnum = A Message 4:36
3. Kala Jälg Vees = Fish’s Trace In The Water 3:32
4. Laupäeval Koos Isaga = Together With Dad On Saturday 4:18
5. Elevant = Elephant 4:12
6. Valhalla 4:12
7. Elevantsi Hirmulaul = Heffalump’s Song Of Fear 3:34
8. Salajane Rõõm = Secret Joy 3:44
9. Põletaja = Con Fuoco 3:36
10. Tantsija = Dancer 5:50
11. Näotused = Unsightlinesses 4:48
12. Pikk Päevatee = Long Way To Go 4:44
13. Põlenud Maa = Burnt Land 3:42
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、デジタル・リマスター、定価2990+税
北欧を代表するギタリスト、JUKKA TOLONENを中心にフィンランドで結成されたグループ。72年作の3rdアルバム。初期はTRAFFICタイプのサウンドでしたが、徐々にジャズの度合いを増し、本作で聴けるのは、ギター、サックス、フルートが次々にスリリングなフレーズで畳み掛けるテンション溢れるジャズ・ロック。テクニック、アレンジ能力ともかなりハイ・レベル。ジャズ・ロックの知られざる傑作でしょう。
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】19年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、定価2990+税
19年デジタル・リマスター、ボーナストラック2曲
新品CDにケースやトレー不良があった場合、交換のため開封しております。その場合シールはついておりません。ご了承いただければ幸いです。
フランス出身、80年代末〜90年代にチェンバー/シンフォ・バンドTIEMKOで活躍するドラマー/コンポーザーが80年に残したソロ唯一作。マイナーながら、これはジャズ・ロック・ファン要チェック!息つく暇も与えず畳みかける緊張感みなぎるドラミングと手数多く躍動するベースが牽引し、ギターとオルガンが切れ味鋭いフレーズを応酬させ、その周囲をシンセが不気味に浮遊する、タイトな疾走感と不穏さを併せ持つアンサンブルはかなり個性的。1曲目や5曲目の執拗な反復で熱気たっぷりにまくしたてる展開は間違いなくMAGMAを受け継ぐZEUHLの系譜だし、かと思うと不気味なトーンのシンセがクラシックを独奏したりと変幻自在。この摩訶不思議なセンスはさすが孤高のバンドTIEMKOのコンポーザーなだけあります。まるでMAGMAの暗黒エネルギーとGENTLE GIANTの意表を突く楽曲展開を合体させたと言っても過言ではない、アヴァン・ジャズ・ロックの傑作!
COSのメンバーだったKey奏者とベース奏者を中心に、WATERLOOやPAZOPやPLACEBOで活動していたフルート奏者、ギタリスト、ドラムにより結成されたベルギーの5人組ジャズ・ロック・バンド。77年の唯一作。爽やかに柔らかにたゆたうフルートを中心に、優美なエレピ、フィル・ミラー彷彿の繊細なギターが織りなすサウンドは、カンタベリーのナショナル・ヘルスやギルガメッシュに通じている印象。シャープでいてファンキーなグルーヴ感もあるリズム隊も特筆ものです。精緻かつダイナミズムもあるサウンドは、カンタベリー・ミュージックをはじめ、COSやPAZOPなどベルギー・ジャズ・ロックのファンは必聴でしょう。名品です。
オランダ出身のジャズ・ロック・バンドが74年にリリースした唯一のアルバム。寸分も狂いなく刻む鋭い打音のドラムス、メロディアスな音運びのベース、ヤン・ハマーを思わせるピッチベンドを多用した躍動感あるプレイのシンセとエレピ、スリリングで緊張感あるフレーズで切り込むギター。緊密なテンションが支配するテクニカル・ジャズ・ロックを聴かせる、挨拶代わりの一曲目でその実力がわかります。以降はファンキーな跳ねるリズムも入ったフュージョン風ジャズ・ロックとなり、一曲目に比べてリラックスしているようでいて、どこか緊張感を持続させた油断ならない演奏がまた堪りません。基本的にインストですが、ムーディーなフュージョン曲で突如歌い出すリチャード・シンクレアみたいなヴォーカルも印象的。これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬がただただ心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値あり!
MAGMA〜ZAOのサックス奏者ヨシコ・セファーが同じくZAOのベーシストJoel DugrenotやキーボーディストJean-Louis Bucchiらと結成したプロジェクト、74年作1st。本作はMAGMA影響下のサウンドを聴かせる所謂ズール系ジャズ・ロックとはやや毛色が異なり、フリージャズ色はあるものの中期SOFT MACHINEやBRAND Xなど英国ジャズ・ロックに接近したサウンドを聴かせるのが特徴です。セファーのサックスもエルトン・ディーンを思わせる朗々とした歌うようなプレイが印象的だし、ギターの奔放なフレージングセンスや音数を詰め込むような速弾きはかなりジョン・グッドソール的だし、ベースは曲によってはもろパーシー・ジョーンズだったりと、アンサンブルの端々に英国ジャズ・ロック的な流儀が感じ取れるのが本作の面白み。しかしフレンチ・ジャズ・ロック・シーンの猛者たちだけあって隙のないサウンドに仕上がっているのはやはり流石と言うべきでしょう。フレンチ・ジャズ・ロックとしては異色ながら、英国ジャズ・ロックの名盤たちと同列に聴かれるべきクオリティを持った好盤です。
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