2021年6月16日 | カテゴリー:MEET THE SONGS,世界のロック探求ナビ
タグ: ブリティッシュ・ロック
定番からニッチ盤まで、僕らのロック・ミュージックを紹介している「MEET THE SONSG」、本日取り上げさせていただくのはこちら、
世界で最も成功したバンドのひとつとも称されるQUEENが74年3月に発表した2作目、「QUEEN II」です。
本作は、A面をブライアン・メイが手掛けた楽曲を中心にまとめた「サイドホワイト」、B面をフレディ・マーキュリーが手掛けた楽曲でまとめた「サイドブラック」としてそれぞれ明確に切り分け、白と黒をコンセプトに作り上げられたQUEEN初のコンセプト・アルバムとなっています。
このコンセプトは、メドレー形式の曲の収録方法やアルバムジャケットの裏表や見開きの写真などでも一貫して表現されており、邦題には『ホワイト・クイーンとブラック・クイーンの啓示』という副題が付けられました。
CD化に際しても、サイドホワイトの最終曲「THE LOSER IN THE END」と、サイドブラックの1曲目、「OGRE BATTLE」の間に長めの空白を設けるなど、初期コンセプトを最大限重要視した対応がとられています。
サイドホワイトは、博学なブライアン・メイのイメージにも似た計算された美しい音の重なりを味わえる楽曲が中心となっており、英国の様式美を思わせる美しいロック・バラードなどを堪能していただけることでしょう。
そんなサイドホワイトからご紹介させていただくのはこちら、「FATHER TO SON」です。
冒頭は前曲から続く壮大で美しいメロディ、さわやかなコーラスワークを抜けると至極ハードに展開する中盤、後半はフレディの透き通った美しい歌声が一段と優しく沁みわたります。ドラマチックな構成は畳みかけるように心を掴んできます。
どこまでも広がる壮大なスケール、優しく暖かみのある美しいメロディー、時折りハードに呻る力強いギター、それらを神々しささえ覚える美しいヴォーカルとコーラスワークが完璧にまとめ上げています。
サイドブラックでは、まるでフレディ・マーキュリーが自身の感性を爆発させたかのうような音や感情の波に圧倒さることでしょう。
特に、喜怒哀楽では収まりきらない感情のバリエーションには息を呑みました。鬼気迫る雄たけびから消え入りそうな繊細な歌声に、時折り覗く遊び心など、まるでミュージカルを観ているような感覚です。
劇的な展開が何度も訪れる緊張感のある楽曲が多いのですが、どの曲にも耳に残るキャッチーなフレーズが組み込まれており、その作曲センスにも驚かされました。
特筆すべきはサイドブラックの象徴とも言える「MARCH OF THE BLACK QUEEN」、必聴の1曲です。
「BOHEMIAN RHAPSODY」にも引けをとならい展開の奥行きと幅広さ、ヴォーカルはもちろんコーラスワークまでも見事に感情を使い分けており、ドラマティックに展開するサイドブラックを象徴しているかのようです。
曲調の変化は場面の変化、もはやミュージカルです。QUEENの楽曲の中でも2番目に長い曲ですが、だれることなく終盤まで全力で走り抜けます。ハードなギターに感情高ぶるヴォーカルと、聴くだけでカロリーを消費するような圧倒的な熱量です。
いかがだったでしょうか?
QUEENの魅力の根源的な部分がつまった良曲だらけの名盤、ご興味もっていただけましたら幸いです。
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