2013年8月21日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
70年代より、ユーロ諸国や南米/アジアなどの辺境には、英米の名バンドたちにも負けないハイレベルなプログレ・バンドが数多く存在しました。
今回は、そんな中から東欧は旧チェコスロヴァキアのプログレ・グループたちを一挙ご紹介いたしましょう。
その前に、まずそもそも旧チェコスロヴァキアとはどういう国なのか。
ドイツ、ポーランド、ハンガリー、オーストリアに接するように位置する、東ヨーロッパに属する国で、かつてはハンガリー=オーストリア帝国の一部でした。1918年にハンガリー=オーストリア帝国より独立しチェコスロヴァキア共和国として建国。しかし、第二次大戦中にチェコがドイツに併合されスロヴァキアが独立、ロンドンに亡命政府が置かれるなど、第一次?第二次大戦の時期にかけてまさに時代の波に翻弄された国と言えます。
その後69年には共和国から連邦制へと移行し、93年にはチェコ共和国とスロバキア共和国に分離して現在に至ります。
さてでは、まず個別の特集としてお送りしてきたこの3バンドを改めてご紹介しておきましょう。
BLUE EFFECT/MODRY EFEKT
ブルーズフィーリング溢れる泣きのギタリストREDIM HLADIKを中心に、ハードロック、ジャズ、ブルースを巻き込んだテクニカルかつ叙情的なアンサンブルで迫る名シンフォバンドなんです。ぜひ特集ページでお楽しみください♪
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PROGRES 2
本格的な活動は70年代後半ながら、68年には結成されていたというチェコを代表するシンフォバンドの一つ。1st用のライヴ録音が当局により発禁処分を受けるなど紆余曲折を経ながらも、東欧らしい陰影のある叙情性と確かなテクニックで名作を生み出したバンドです。こちらも是非とも特集ページでそのサウンドに触れてみてください!
DEZO URSINY
60年代初頭より活動し、数々のバンドを結成し率いてきたミュージシャン。英ロックシーンと呼応するようにブルース・ロック?アート・ロック?プログレ/ジャズ・ロックとスタイルを変えつつ多くの名盤を残してきた、まさに旧チェコスロヴァキアを代表する名ミュージシャンです。特集記事へは下記からどうぞ♪
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では、ここからはその他の旧チェコスロヴァキア出身バンドにもフォーカスしてまいりましょう!
東欧のキース・エマーソンと言えるKey奏者、Marian Varga率いる旧チェコスロバキアを代表するグループ。73年作のライヴ盤。これは、ずばり東欧版『展覧会の絵』!爆発的なテンションで前のめりに畳みかけるリズム隊をバックに、歪んだオルガンが、これでもかとテクニカルかつ流麗なフレーズを炸裂!EL&Pと比べて、よりバロック音楽的なのが特徴で、イタリアン・プログレにも通じるような陽光溢れるリリカルなフレーズも効果的に挿入され、麗しきエネルギッシュさで駆け抜けます。キース・エマーソンにリック・ウェイクマンのセンスも加えて、リズム隊は、ビル・ブラッフォードとクリス・スクワイア!と言えば、分かりやすいでしょうか。これはキーボード・プログレのファンは必聴です!
スロバキアを代表するプログレ/ジャズ・ロック・グループ。77年作の3rdと80年作4thをカップリングした2枚組。テクニカルなクロスオーヴァー/ジャズ・ロックを土台にクラシックの要素を加えた、知性的でアーティスティックなサウンドが聴き所。粘りのあるリズムの上を浮遊感のあるシンセが柔らかく舞うパート、格調高いピアノと荘厳なストリングスが美しいクラシックなパート、広がり豊かなシンセをバックにギターがこれでもかとメロディを歌い上げるシンフォニック・ロックなパート、BRAND Xばりにスピーディーに疾走するパート。これらがめくるめく展開する3rdアルバムの1曲目は、東欧プログレ屈指の名曲。
64年チェコのプラハでキーボーディストのMartin Kratochvilを中心にJAZZ Q PRAHAとして活動を開始し、70年にBLUE EFFECTとの連名(BLUE EFFECT & JAZZ Q PRAHA)でアルバム『Coniunctio』を発表。その後、70〜80年代にかけて名義を変えつつ7作品を世に送り出した同国の最重要ジャズ・ロック・グループによるボックス・セット。73年から84年までの全作品7枚にボーナス・ディスクを加えた8枚組(BLUE EFFECT & JAZZ Q PRAHAの『Coniunctio』は未収録)。ざっくりとボックスの内容をご紹介していくと、73年1st『Pozorovatelna』は、東欧らしい重厚なサウンドが個性的なヘヴィー・ジャズ・ロック。74年2nd『Symbiosis』は、イギリスのブルース・シンガーJoan Dugganが加入した名盤。75年作『1974-75 Live』は、74年(3曲)と75年(6曲)のライブを収録。76年3rd『Elegie』は、Joan Dugganが脱退しRETURN TO FOREVERやMAHAVISHNU ORCHESTRA系のインスト・バンドとなった作品。78年4th『Zvesti』は、シンセサイザーの使用によって音色の幅がカラフルに広がった意欲作。79年5th『Hodokvas』は、大幅なメンバー・チェンジを経たジャズ・フュージョン作。そして84年6th『Hvezdon』は、5th『Hodokvas』の延長上にあるサウンドながら、よりバラエティー豊かな楽曲を収めた最終作。さらにボーナス・ディスクには、70年代から90年代にかけての未発表音源15曲が収録されています。JAZZ Qのディスコグラフィーを一気に揃えることができる、プログレ・ファン必聴のボックス・セットとなっています!なお、BLUE EFFECT & JAZZ Q PRAHAの『Coniunctio』は、BLUE EFFECTの9枚組ボックス・セット『1969-1989』に収録されていますので、そちらのチェックもお忘れなく!
旧チェコ・スロヴァキアのジャズ・ロック・バンド、75年作1stと78年作2nd。1stは、冒頭17分に及ぶジャズ・ロック大作が出色。ジャジーでテクニカルなリズム隊に絡むコンガが独特の緊張感を生み出す中で繰り広げられる、クラヴィネット、エレピ、ギターによる一触即発の掛け合い。そしてそこにフリーキーに滑りこんでくるサックスのカッコよさと来たら!MAHAVISHNU ORCHESTRAやBRAND X、スペインのICEBERGらに匹敵する実力がこの一曲でわかります。2ndは、1stでの緊張感みなぎるジャズ・ロックから、シンセやブラス隊が活躍する派手なジャズ・ロックへと変化。RTURN TO FOREVERを彷彿させるなめらかなフュージョンタッチが取り入れられた演奏も印象的です。とは言え、バンドの特徴であるコンガがフィーチャーされた楽曲では、パワフルなサックスが顔を出し、1stでのテンションが復活。メロディアスさが加わって完成度はさらに上がっている印象を受けます。両作とも、英米のジャズ・ロック勢に負けないテクニックと熱量の高さで畳み掛けていくアンサンブルが痛快なジャズ・ロック傑作です。
旧チェコスロヴァキアのジャズ・ロック・バンド、81年1st/85年2nd。1stはインスト作で、シャープな変拍子で疾走するテクニカルなジャズ・ロック的リズム隊をバックに、サックス、バスーン、シロフォンなど様々な管/打楽器がアヴァン/レコメン風に起伏を付けるアンサンブルが特徴。艶やかなトーンのまばゆく叙情的なピアノやエレピもまた魅力的です。アヴァンギャルドかつ流麗なところは、ザッパの『ホット・ラッツ』やカナダはケベックのマネイジュを彷彿とさせ、とてつもなくテクニカルなのにどこか間の抜けたコミカルさを持つところはサムラもイメージさせます。東欧には数多くのジャズ・ロック名作が生まれていますが、この作品も屈指と言える名作でしょう。2ndは、JAPANやTALKING HEADSを彷彿させる打ち込みリズムとエレクトロなシンセ、エキゾチックなチェコ語ヴォーカルによるエレポップ。とは言え、シンセが折り重なりシンフォニックに盛り上がるパートなど、プログレ風のドラマティックな演奏も聴かせる一枚。さすが名プログレ・バンドを多数輩出した旧チェコ、と言える好グループ!
チェコのジャズ・ロック・グループ、77年作/80年作。このバンドの特徴は何と言っても、チェコ語の女性ヴォーカル。テクニカルに躍動するリズム隊にファンキーなクラヴィネット&ワウギター、ブラスが吹き荒れる中を、ハスキーかつパワフルな歌唱が貫きます。この女性ヴォーカルは、ジャニス・ジョプリンばりのブルージーな歌唱から、美声のスキャットまでを聴かせるかなりの実力派。男性ヴォーカルの熱唱にも注目です。ファンキーに跳ねる演奏の中で男女ヴォーカルが絡み合うナンバーが痛快!ファンク+ジャズ・ロックというサウンドは、イタリアのLIBRAを彷彿させます。辺境的なマイナー色を感じさせないキャッチーなサウンドに、他の東欧作品にはない魅力を感じさせる名品です。
60年代から活躍する旧チェコを代表するミュージシャンの一人、Pavol Hammelと、COLLEGIUM MUSICUMのリーダーである天才Key奏者、Marian Vargaとの連盟による72年作。鍵盤の上を舞い踊るような華麗なタッチのピアノ、明るいトーンの鮮やかなキーボード、北欧ロックにも通ずる幻想性とフォーキーな味わいが胸に迫るヴォーカル&メロディが印象的なプログレッシヴ&フォーキーなサウンドが印象的。Pavol Hammelの60年代的テイストとMarian Vargaのクラシカルなセンスが見事に融合したサウンドはかなりレベル高いです。全体的に東欧的な荘厳さはなく、陽光が目に浮かぶようなサウンドは北欧プログレのファンにもオススメです。
86年結成のチェコのプログレ・グループ、89年作。力強くも無機的に響くエコーがかかったドラム、いかにも東欧的な深遠なトーンのシンセ、エッジの立った硬質なトーンで前のめりに叩きつけるようなアヴァンギャルドなギター、そして何と言っても特徴的なのがヒステリックな女性ヴォーカル。オープニング・ナンバーから強烈で、インストパートの脅迫的な畳みかけ、声はコケティッシュなのにヒステリックにシャウトしまくるヴォーカルを中心に終始テンションみなぎっています。ピアノは時にクラシック的に流麗だったり、アヴァンギャルドさの背後に各メンバーとも確かな音楽的素養を感じさせます。スラップ・ハッピー、ファウスト、80年代クリムゾン、NYパンクをゴッタ煮にしたようなサウンドは唯一無比。これは名作です。
ポーランドともハンガリーとも一味違う、独特の陰影、叙情を持ったチェコ・プログレの数々、お楽しみいただけましたでしょうか?ロシアやハンガリーを始め、現在も多くの実力派バンドが登場している東欧プログレシーンに、今後もどうぞご注目ください☆
東欧のキース・エマーソンと言えるKey奏者、Marian Varga率いる旧チェコスロバキアを代表するグループ。最高傑作と言われる81年作のラスト・アルバム。通算7枚目。2枚組の大作で、クラシカルなキーボードが暴れ回るアグレッシヴなプログレからリリカルなピアノが舞うクラシカル・ロックや女性ヴォーカルの伊カンタウトーレ的作風まで、Marian Vargaの集大成的な佳曲がずらりと並んでいます。東欧を代表する作品というだけではなく、ユーロ・ロック史に残る傑作!
64年チェコのプラハでキーボーディストのMartin Kratochvilを中心にJAZZ Q PRAHAとして活動を開始し、70年にBLUE EFFECTとの連名(BLUE EFFECT & JAZZ Q PRAHA)でアルバム『Coniunctio』を発表。その後、70〜80年代にかけて名義を変えつつ7作品を世に送り出した同国の最重要ジャズ・ロック・グループによるボックス・セット。73年から84年までの全作品7枚にボーナス・ディスクを加えた8枚組(BLUE EFFECT & JAZZ Q PRAHAの『Coniunctio』は未収録)。ざっくりとボックスの内容をご紹介していくと、73年1st『Pozorovatelna』は、東欧らしい重厚なサウンドが個性的なヘヴィー・ジャズ・ロック。74年2nd『Symbiosis』は、イギリスのブルース・シンガーJoan Dugganが加入した名盤。75年作『1974-75 Live』は、74年(3曲)と75年(6曲)のライブを収録。76年3rd『Elegie』は、Joan Dugganが脱退しRETURN TO FOREVERやMAHAVISHNU ORCHESTRA系のインスト・バンドとなった作品。78年4th『Zvesti』は、シンセサイザーの使用によって音色の幅がカラフルに広がった意欲作。79年5th『Hodokvas』は、大幅なメンバー・チェンジを経たジャズ・フュージョン作。そして84年6th『Hvezdon』は、5th『Hodokvas』の延長上にあるサウンドながら、よりバラエティー豊かな楽曲を収めた最終作。さらにボーナス・ディスクには、70年代から90年代にかけての未発表音源15曲が収録されています。JAZZ Qのディスコグラフィーを一気に揃えることができる、プログレ・ファン必聴のボックス・セットとなっています!なお、BLUE EFFECT & JAZZ Q PRAHAの『Coniunctio』は、BLUE EFFECTの9枚組ボックス・セット『1969-1989』に収録されていますので、そちらのチェックもお忘れなく!
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