2021年9月13日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
東欧プログレと言えば真っ先に思い浮かぶのがハンガリーやチェコスロヴァキアですが、それらの国に比べて規模こそ小さいものの良質なプログレシーンが築かれていた国が東欧には数多くありました。その代表といえるのが今回ご紹介するエストニア。70~80年代に残された名盤から注目の新鋭までエストニア・プログレの魅力に迫ってまいります!
とその前に、エストニアという国について軽く触れておきましょう。
エストニアは、リトアニア、ラトビアとともにバルト三国として知られるとおりバルト海に面する国の一つ。第一次大戦後の1918年にロシア帝国より独立する形で建国されます。その後40年にソビエト連邦によって占領、独ソ戦が勃発した翌41年には今度はナチスドイツによって占領されます。第二次大戦末期の44年にソ連に占領/併合され、91年のソ連崩壊によって約50年ぶりに独立を回復しました。他の多くの東欧諸国の例に漏れずソ連とナチスドイツという強国の間で翻弄された小国の一つだったと言えます。
そんなエストニアの70年代を代表するバンドが、「エストニアのYES」の異名をとるRUJA。『究極』のようなファンタジックでドライヴ感いっぱいのアンサンブル、引きずるように重いブルース・ロック、軽快でノリの良いロックンロールなアプローチなど、多彩なサウンドを取り入れて自分たち流のプログレを演奏していた、東欧全土でも屈指と言うべき実力派バンドです。
こちらは、フルアルバムとしてリリースが予定されながらも、ソ連当局の検閲によって当時4曲入EPとしてのリリースにとどまった幻のアルバムの完全版を含む18年編集盤。エストニア最高のバンドたる所以をたっぷりと堪能できる一枚ですよ♪
なななんと、21年新作がリリース!!80年制作の幻のロック・オペラをメンバーが再録した注目作ですよ~。
エストニア・ロックのレジェンドによる事実上の復活作!
初期~全盛期RUJAのメンバーを軸とする演奏と、演劇のキャスト達によるヴォーカルによって繰り広げられるクラシカル&シアトリカルなサウンドは、70年代の彼らと少しも変わらず忙しなくも気品たっぷり。
もう一つのエストニアを代表するバンドがIN SPE。他の東欧勢とは一線を画する透明感溢れるサウンドと霧がかったようなミステリアスな雰囲気が魅力的なプログレを演奏。ながらく廃盤状態だった本作ですが、2019年に未発表音源をたっぷり追加した、2枚組でリイシューされました!めでたい!
そして、そのRUJAとIN SPEのメンバーによって結成されたKASEKEは、洗練されたサウンドを持つジャズ・ロック/プログレッシヴ・ロックの傑作。さすがエストニアシーンの猛者が集まっただけあって、エストニア・プログレここに在り!と言わんばかりの高い完成度を持った作品となっています。
こちらも18年にリマスターされリイシューされています。
RUJAのキーボード奏者Igor Garsnekは個人としてもエストニア・プログレの重要作を生み出しています。ギタリストNEVIL BLUMBERGとのユニットSYNOPSISよるこの86年作は、プログレ・ハードとシンフォニック・ロックが見事に溶け合った80年代東欧プログレの魅力が詰まった名作!
こちらはSYNOPSISと同年にリリースされた彼のソロ作。いかにもこの時代の東欧らしいポップなシンセワークとドライヴ感溢れる80年代YESのエッセンスを巧みに取り合わせた力作となっています。
もう一人、エストニアのプログレ・ミュージシャンとして重要な人物がシンセ奏者Sven Grunberg。自身のバンドMESSやソロ作品でも披露される、これぞ東欧!と言いたくなるような荘厳かつ粛々としたメランコリーを湛えたシンセサウンドが印象的な名手です。
名盤の誉れ高き88年作も2021年に待望のリイシューを果たしています!
スペーシーなトーンのシンセサイザーを幾層にも重ねて作り上げられる音空間は、とにかく息をのむほどに壮大。
無限に広がる宇宙空間を想起させる音像にただただ圧倒されます。
エストニアが生んだシンセ・ミュージックの大傑作!
このようにエストニアには、旧ソ連プログレという一言ではなかなか片付けられない知られざる豊かなプログレ土壌が築かれていたんですね。
あと、エストニア・プログレという観点で言えば傍流ながら、エストニアのハード・ロック・シーンを切り拓いた名ドラマーGunnar Grapsも上記の2人に匹敵する重要人物。彼が率いた3バンドの作品もご紹介しておきます☆
65~85年まで活動、エストニア・ロック黎明期よりシーンを支えたグループがこのMIKRONID。
Gunnar Grapsは67年に加入し70年代半ばまで中心メンバーとしてバンドを牽引しました。70年代初頭には上記のSven Grunbergも在籍。
初期ゾンビーズ彷彿のR&Bグルーヴに溢れたサイケ・ポップ期、パブロック的軽快さと哀愁のエストニア語ヴォーカルの組み合わせが良いポップ・ロック期、どちらも辺境的バタバタ感とは無縁の完成度の高さ!
そのGunnar GrapsがMIKRONID脱退直後に結成した伝説的ハード・ロック・グループ!
ツェッペリンも思わせるブルージーな演奏を土台に、イタリアン・ロック彷彿のダイナミックさと東欧プログレ的な哀愁がたっぷりのハード・ロックを鳴らします。
不思議な説得力を持つエストニア語のヴォーカルにも惹き込まれるなぁ。
そして2021年に届いたこの音源集も実にカッコ良いのでオススメ!!
エストニアのレジェンド・ドラマー/シンガーによるバンドの77-80年録音曲を収めた編集作品+77年ライヴ音源を収録。
母国語によるヴォーカルを除くと辺境色はさほど強くなく、70年代初頭のブリティッシュ・ハードに通じるシャープでソリッドなサウンドが魅力です。
ジャズ・ロック的なタイトでテクニカルなパートも随所で聴かせていて、プログレ・ファンにも響くはず。
また、RUJA、KASEKE、IN SPEという同国を代表するバンドのメンバーが関わった”PROG-PUNK”バンド、PROPELLERも重要なグループと言えるでしょう。
KASEKEの前身にあたる「PROG-PUNK」バンド。疾走感あるサウンドの中に、当局監視下で活動したリアルな緊張感が伝わってくるような楽曲の数々が素晴らしい!
そして、00年代にはワールドワイドな実力を持つ新鋭ジャズ・ロック・グループPHLOXやBFらが登場しています。
変拍子を織り交ぜつつもしなやかなリズムセクション、テクニカルな中にもどこか哀愁を孕んだキーボードやサックスなど、カンタベリーロックからの影響を強く感じさせるジャズ・ロックを展開。その隙のない高度なアンサンブルは、エストニアのハットフィールドと言っても過言ではない完成度!
PHLOXが気に入ったなら、同等の実力を持つこちらのバンドも是非。手数多くもしなやかなリズム隊と、鋭角なトーンでヘヴィに切り込むギターを軸とする硬質なジャズ・ロック・アンサンブルに、芳醇な管楽器群を絡ませたサウンドは、息を呑むほどのカッコよさっ!
他の東欧諸国とは異なる魅力を持つエストニア・プログレ、ご堪能いただけたでしょうか。ポーランド、ロシア、ハンガリーなどを中心に現在も良質なバンドが続々と登場している中欧/東欧シーン。エストニアもその中の一つとして、今後どんどんとPHLOXレベルの実力派が登場することを期待したいですね!
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70年代より、ユーロ諸国や南米/アジアなどの辺境には、英米の名バンドたちにも負けないハイレベルなプログレ・バンドが数多く存在しました。
今回は、そんな中から東欧は旧チェコスロヴァキアのプログレ・グループたちを一挙ご紹介いたしましょう。
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エストニアのジャズ・ロック・グループ、2010年の4thアルバム。手数多くシャープでアグレッシヴなリズム隊、流麗なフェンダー・ローズ、たおやかに飛翔するサックス!リズム隊の硬質さとエレピや管楽器のしなやかさとのバランスが絶妙。カンタベリー・ミュージックの遺伝子を受け継ぐ正統派グループ!これは素晴らしい作品です。ジャズ・ロックのファンにはかなりオススメ!痺れますよ。
RUJAと並んでエストニア・プログレの代表格と言えるバンド、83年の1stアルバム。息をのむほどにデリケートで透明感に満たされたサウンドによって紡がれる、民族色も織り込んだシンフォニック・ロックはもう絶品の一言。独特の間を感じさせる不思議な聴き心地のリズムに、淡い色彩を広げるシンセやハモンド、神秘的に囁き合うフルート&リコーダー、そしてシャープなトーンでメロディアスに旋律を描くギター。異世界の情景を描写するかのような静謐で美しく仄かにスペイシーな音像は、北欧プログレと東欧プログレ両方の味わいを備えていると言えます。そんなうっとりするようなパートから一転、フュージョン・タッチのシャープで音数の多い技巧派アンサンブルになだれ込む展開も見事すぎます。東欧シーンに留まらず、ユーロ・プログレという枠の中でも上位に位置するであろう大傑作です。
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、2枚組、Disc2には79〜83年に録音された未発表音源7曲(3曲はライヴ音源)を収録、デジタル・リマスター、定価3190+税
デジパック仕様(ブックレット付仕様)、19年リイシュー、デジタル・リマスター、79年〜83年の未発表音源およそ40分を収録した2枚組!
レーベル管理上、デジパック側面部に若干折れ線がある場合がございます。ご了承ください。
旧ソ連はエストニアを代表するグループ、RUJAとIN SPEのメンバーを中心に結成されたグループ。83年作に81年作のEPをカップリングした2in1CD。シンセとギターがアグレッシヴかつ荘厳に畳みかけるパートと、フュージョン・タッチの流麗なギターが軽やかに舞うメロディアスなパートとを鮮やかに対比した展開が見事。辺境っぽさは全く無く、テクニック、アレンジ、メロディ・センスともにかなりのハイ・クオリティ。YES+HATFIELD & THE NORTHと言うと乱暴ですが、疾走感と繊細さが絶妙に調和された奇跡の傑作。
1. Introduktsioon = Introduction 2:06
2. Sõnum = A Message 4:36
3. Kala Jälg Vees = Fish’s Trace In The Water 3:32
4. Laupäeval Koos Isaga = Together With Dad On Saturday 4:18
5. Elevant = Elephant 4:12
6. Valhalla 4:12
7. Elevantsi Hirmulaul = Heffalump’s Song Of Fear 3:34
8. Salajane Rõõm = Secret Joy 3:44
9. Põletaja = Con Fuoco 3:36
10. Tantsija = Dancer 5:50
11. Näotused = Unsightlinesses 4:48
12. Pikk Päevatee = Long Way To Go 4:44
13. Põlenud Maa = Burnt Land 3:42
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、デジタル・リマスター、定価2990+税
エストニアのYESとも称される、名実ともに同国を代表するプログレ/ロック・バンド。70年代後半にフルアルバムとしてリリースが予定されながらも、ソ連の検閲により4曲のみのEPとしてリリースされた作品『Pohi Louna Ida Laas…』の12曲完全版をCD1に収録。YESやNEKTARあたりを彷彿させるファンタジックな飛翔感、目まぐるしく場面転換するような複雑な曲構成とシアトリカルさコミカルさも織り込んだ表情豊かな音楽性で一気に聴かせる名作です。CD2には同時期のライヴやレア音源13曲を収録。エストニア最高のバンドの所以をたっぷりと堪能できる素晴らしい作品です!
【Disc 1】 Põhi, Lõuna, Ida, Lääs…
1-1. Põhi, Lõuna, Ida, Lääs… 6:06
1-2. Laul Teost 2:24
1-3. Omaette 2:40
1-4. Ajaloo Õppetund 2:33
1-5. Couplet In Estonian (Ha, Ha, Ha, Ha) 4:16
1-6. Läänemere Lained 3:15
1-7. Mis Saab Sellest Loomusevalust? 7:36
1-8. Üle Müüri 3:39
1-9. Keldrikakand 0:57
1-10. Elupõline Kaja 4:49
1-11. Ei Mullast… 2:43
1-12. Klaperjaht 1:15
【Disc 2】 Ruja Laval / Parallelmaailmad
2-1. Ahtumine 7:49
2-2. Keldrikakand 0:53
2-3. Ei Mullast… 2:48
2-4. Isamaa 1:07
2-5. Klaperjaht 0:48
2-6. Kimalane Ungaris (Andrus Vahti Soolo) 1:04
2-7. Oh Öelge, Doktor 2:37
2-8. Omaette 2:03
2-9. Avanemine 4:19
2-10. Meediaaskeldus 1:48
2-11. Stereo I 4:32
2-12. Ma Mustas Öös Näen… 2:48
2-13. Ootamisest Ja Olemisest 7:44
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、2枚組、Disc2には76/78年のライヴ音源8曲と同時期のスタジオ・レコーディング5曲を収録、デジタル・リマスター、定価3190+税
エストニアのジャズ・ロック・バンド、12年スタジオ・ライヴを収録した13年作。シャープな高速変拍子リズム・セクション、野太いトーンでフリーキーに疾走するサックス、ゴリゴリと弾き倒すようなアグレッシヴなギター、そしてカンタベリー系のクールでしなやかなエレピ。デビューからのヘンリー・カウやハットフィールドのDNAを継いだテクニカルかつ流麗なジャズ・ロックをライヴ録音とは思えない精緻さとダイナミズムで一気に聴かせています。カンタベリー・ロックの音を鋭く尖らせて倍速にしたような、痛快極まるアンサンブルが全編で炸裂する傑作!
70年代にはシンフォ・グループMESSを率い活動したエストニア出身のシンセサイザー奏者による88年2ndソロ。スペーシーなトーンのシンセサイザーを幾層にも重ねて作り上げられる音空間は、とにかく息をのむほどに壮大。無限に広がる宇宙空間を想起させる音像にただただ圧倒されます。TANGERINE DREAMやKlaus Schulzeらジャーマン・エレクトロに通じるスタイルですが、シンセの音に無機質な感触はなく、美しく繊細な出音が魅力的。どこか和のテイストを感じさせるパーカッションや弦楽器も自身で演奏、スペーシーなシンセサイザーと見事な調和を聴かせており、恐るべきセンスを発揮しています。IN SPEなど他のエストニア・プログレでも感じられた、時に宇宙すら通り越して異世界の景色が見えてきそうな途方もない映像喚起力を有した傑作です。
エストニア・ロック・シーンの名ドラマー/ヴォーカリストGunnar Grapsが70年代に率いたギタートリオ編成のハード・ロック・バンド。70年代前半に録音された音源10曲を一枚のアルバムとして編集した18年リリース作品。変則的な内容ではあるものの、各曲にみなぎるエネルギーは並ではありません。イタリアのBIGLIETTO PER L’INFERNOやRACCOMANDATA RICEVUTA RITORNO等を想起させる、幻想的なアコースティック・パートとゴリッとヘヴィなハード・ロック・パートで構築された1曲目から素晴らしく、イタリアン・ロック・ファンならここで早くもハートを鷲掴みにされそう。エッジの立ったスピーディなギターリフに乗ってヴォーカルがユーモラスに歌う2曲目、饒舌なギターとヴォーカルの絡みが絶品なけだるいブルース・ロックの4曲目も素晴らしく、エストニアということ忘れるほどのメインストリームな本格感が漂います。ブルースを土台に細かなニュアンスにまでこだわった高い表現力を持つギターはもちろん、テクニックに裏打たれた安定感と共にグイグイと演奏を引っ張る性急なビート感も持ち合わせたGunnarのドラミングも見事です。しかし最大の魅力と言うなら、Gunnarの全編にわたりこれでもかと哀愁たっぷりに歌い上げるエストニア語ヴォーカル。ヨレヨレのようでいて不思議な説得力を帯びた歌声には何か天性のものを感じさせます。辺境哀愁ハード・ロックとして、これは多分とんでもない発掘モノ!
名実ともにエストニア・ロックを象徴するプログレ・バンドとして不動の人気を誇るRUJA。そのメンバーを中心に80年に書き上げられたロック・オペラ用音楽『Johnny』を、21年の再上演に合わせ歴代在籍メンバーが集結して再録音したのがこの作品です。Olav Ehala(key)、Jaanus Nogisto(g)、Margus Kappel(key)ら初期〜全盛期のメンバーを軸とする演奏と、演劇のキャスト達によるヴォーカルによって繰り広げられるクラシカル&シアトリカルなサウンドは、70年代の彼らと少しも変わらぬ輝きを放っているように感じられます。CD2には、80年当時録音の『Johnny』の楽曲も収録!
エストニアで79年に結成、ヴォーカリストPeeter Volkonskiを中心に活動した”PROG-PUNK”バンド。反体制的な歌詞が問題視されたことにより、Volkonskiが当局からパフォーマンス禁止を命じられ、残りのメンバー達が新たに結成したのがKAKESEになります。CD1には、録音から15年後の95年にリリースされた唯一作からの曲を中心に13曲を収録。CD2には、80年のライヴ音源と、復活を果たした05年のライヴ音源の計13曲を収録。パンク・ロック的な疾走感あるサウンドに、エッジの効いたハード・ロック・ギターが絡んでくるスタイルがカッコ良し。後のKASEKEだけに演奏力は抜群です。アジテーティッドな表現を交え挑戦的に歌うVolkonskiのエストニア語ヴォーカルには、ある種のカリスマも感じられます。ソ連当局監視下で活動していたリアルな緊張感が伝わってくるような音源です。
エストニア・ロックの立役者と言うべきドラマー/ヴォーカリストGunnar GrapsによるバンドMAGNETIC BANDの77-80年録音曲10曲を収めた編集作品をCD1に、77年のライヴ音源をCD2に収録した21年リリース作。エストニア語によるヴォーカルを除くと辺境色はさほど強くなく、70年代初頭のブリティッシュ・ハードに通じるシャープでソリッドなサウンドが魅力。洒脱なブラスなども取り入れてジャズ・ロック的な緻密でタイトな演奏も随所で聴かせており、ハード・ロック・ファン/プログレ・ファンどちらにもオススメできる好盤です。
エストニアのジャズ・ロック・バンド、12年スタジオ・ライヴを収録した13年作。シャープな高速変拍子リズム・セクション、野太いトーンでフリーキーに疾走するサックス、ゴリゴリと弾き倒すようなアグレッシヴなギター、そしてカンタベリー系のクールでしなやかなエレピ。デビューからのヘンリー・カウやハットフィールドのDNAを継いだテクニカルかつ流麗なジャズ・ロックをライヴ録音とは思えない精緻さとダイナミズムで一気に聴かせています。カンタベリー・ロックの音を鋭く尖らせて倍速にしたような、痛快極まるアンサンブルが全編で炸裂する傑作!
2000年デビューのエストニア出身ジャズ・ロック・グループ、スタジオ・アルバムとしては2010年作『TALU』から7年ぶりとなった17年作。いやはや本作も凄いっ!圧巻の手数とともに疾走するテクニカルかつ硬質なリズム・セクションに乗り、サックスとヴァイオリンが繰り広げる、クリムゾンばりのダークなテンションとカンタベリー・ジャズ・ロックを受け継ぐ滑らかでメロディアスなフレーズが共存するサウンドの何と強烈なこと。1曲目から「これぞPHLOX!」と拳を握ること間違い無しです。それを支える、ジャズ・ロック然としたクールなエレピをメインとするキーボード、クリーントーン主体で情緒豊かに旋律を紡ぐギターも非常に美しいし、哀愁を誘うアコーディオンの調べも絶品。そして何より素晴らしいのが、カンタベリー・ロックを手本としつつも、メロディやアンサンブルの端々に垣間見れるヨーロピアンな深い陰影と透明感ある音色使い。北欧と東欧に接するバルト三国エストニアならではと言っていいサウンドが芳醇に広がります。アヴァンギャルドなパートも度々登場しますが、聴きづらさはなく持ち前の気品あるメロディアスなジャズ・ロックの中に違和感なく挿入されていて、そのセンスの良さにも唸らされます。今作も期待を裏切らない痺れる傑作!
試聴はこちら!
https://phloxmkdk.bandcamp.com/album/keri
エストニアのジャズ・ロック・グループ、2010年の4thアルバム。手数多くシャープでアグレッシヴなリズム隊、流麗なフェンダー・ローズ、たおやかに飛翔するサックス!リズム隊の硬質さとエレピや管楽器のしなやかさとのバランスが絶妙。カンタベリー・ミュージックの遺伝子を受け継ぐ正統派グループ!これは素晴らしい作品です。ジャズ・ロックのファンにはかなりオススメ!痺れますよ。
世界のニッチなロックにフォーカスした膨大なディスク・レビュー、マニアック過ぎる特集、濃密なコラム。質・量ともに過去最大の読み応えとなった「不思議音楽館 ORANGE POWER」第6弾!!
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2600円 (税込2860円)
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世界のニッチなロックにフォーカスした膨大なディスク・レビュー、マニアック過ぎる特集、濃密なコラム。質・量ともに過去最大の読み応えとなった「不思議音楽館 ORANGE POWER」第6弾!!
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