yes_90125さんのレビュー
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OPIUM CARTEL / ARDOR
ジャケット・イメージどおり！（2 拍手）
WHITE WILLOW、ANGLAGARD、WOBBLERなど北欧プログレ・バンドのメンバが参加するプロジェクトTHE OPIUM CARTELの2013年作2nd。
メンバが所属するバンドからイメージするサウンドとは異なるかもしれないが、とても穏やかで繊細な1stに比べると、少しロック色が強くなったと思う。
それでも、メロトロンやフルート、サックスなどを使用し、その哀愁と儚さ、そして幻想性は1stに通じるものがある。
リード・ヴォーカルやコーラスで参加している女性Voが美声で、透明感があり優しい男性Voも聴き心地が良い。
ポップ色も持ち合わせているのでプログレ・ファン、シンフォニック・ロック・ファン向けというよりも、一般受けする作品のような気がする。
女性Voファンや、メロディアスなサウンドが好みならば、是非聴いてみて欲しい。 -
マウロ・パガーニ / マウロ・パガーニ〜地中海の伝説
P.F.MやAREAのメンバーが参加しているMAURO PAGANIの1stソロ（3 拍手）
P.F.Mに在籍したヴァイオリニストMAURO PAGANIが78年に発表した1stソロアルバム。
日本盤に「地中海の伝説」というサブタイトルがつけられているとおり、民族楽器なども使用していて一種独特な雰囲気の作品だが、P.F.MやAREAのメンバーがバックに参加しており、今考えてみるとかなり贅沢な構成だ。
女性ヴォーカリストTeresa De Sioが歌う2曲目を除くとほぼインスト作品と言ってもよい。
Demetrio Stratosが参加している5曲目は圧巻で、こちらはヴォーカルというよりも、人の声をひとつの楽器として組み込んでいるような感じがする。
日本盤発売当時は、MAURO PAGANIのソロと聞いて飛びついたが理解できなくてすぐに売ってしまったのだけれど、中古CDを見つけて改めて聴いてみたらこれがなかなか良かった！
年齢を経たからなのか、その間に聴いてきた音楽の影響なのかわからないが、好みは変わっていくのだなと思う。 -
ブルース・スプリングスティーン / ボーン・イン・ザ・U.S.A.
80年代を代表するストレートなロック・アルバム（3 拍手）
BRUCE SPRINGSTEENが84年に発表した7枚目のアルバム。
売れることが良い作品の条件であるならば、全世界で2000万枚もの売り上げをあげたこのアルバムは、必ず名盤に加えられるべき1枚。
初期からの彼のファンにとっては、もしかしたら最高傑作ではないのかもしれないけれど、幅広い層に彼の名前を認知させたのがこのアルバムであることは間違いない。
先行発売シングル「DANCING IN THE DARK」やタイトル曲「BORN IN THE U.S.A」など収録曲のうち7曲がシングル・カットされていて、今聴き直してみても耳馴染みのある曲が並んでいる。
そして、シングル・カットされた曲が全てチャートのトップ10入りしているということからも、当時の凄まじい熱狂ぶりを窺うことが出来る。
BRUCE SPRINGSTEENのCDはこの1枚しか持っていないが−レコードは3枚持っていた−あらためて、こんなにストレートなロック・アルバムがバカ売れした80年代って、いい時代だったなぁと思う。 -
RED SAND / CRUSH THE SEED
カナダのバンドらしい清涼感はないけれど、フロイド・ファンにはおススメ（5 拍手）
コメントを読むと10作も発表しているベテラン・バンドのようだが、「フロイド好きは是非」というひと言に魅かれて初めて聴いてみた。
カナダと聞くと、カラッとした清涼感のあるサウンドや、透明感のあるシンフォ・バンドを想像するが、1曲目から陰りのある曲でその予想は覆される。
確かに「炎」期のフロイドのような2曲目など、かなりピンク・フロイドに接近した音作りになっているが、ヴォーカルのタイプが異なることもあってバンド独自の色合いもある。
どうしてもギルモアのようなギターに耳を奪われてしまうのだけれど、キーボードの活躍も見逃せない。
ピアノの演奏が印象的。
詳細なクレジットはないのでわからないけれど、メロトロンっぽい音も・・・。
タイトル曲「Crush the seed」のPart1〜Part3を軸に構成されているが、フロイド・ファンにはまさにフロイド・サウンドの2曲目、プログレ・ファンには17分を超える大作である7曲目がおススメ。 -
ベック / シー・チェンジ
まわりの人に奨めまくっています（2 拍手）
私は熱狂的なBECKファンとは言えないし、時系列でアルバムを聴いているわけでもないけれど、このアルバムはまわりの人に積極的におススメしている。
初めて買ったBECKのCDが「GUERO」で、その斬新さやウキウキ感に魅了されてこのアルバムを買ったにも関わらず・・・。
私が持っているCDはジャケ違いで、ブルーを基調としたもっとカラフルなイメージなので、さらに弾けたサウンドなのかと思って聴いたら、予想外にアコースティック・ギターをメインにした落ち着きのある曲が続く。
しかし、それがかえって淡々と歌うヴォーカルの魅力を際立たせているのではないだろうか。
ストリングスの導入も有効的で、シンプルなメロディに思えるのに、繰り返し聴いていても飽きが来ない。
普段、マイナーな音楽にどっぷりハマっているので、意外とレビューを参考にすることが多いのだけれど、このアルバムの評価は総じて高く、自分の感性が標準的なところに落ち着いていることに安心したりもする。
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OSANNA / SUDDANCE
ジャズ・ロック色が強まった異色作（3 拍手）
プログレ・バンド（に限らないかもしれないけれど・・・）の離散集合は良くある話だが、それはOSANNAにおいても同様で、最高傑作と言われる「Palepoli」発表後にバンドは分裂してしまう。
そして、分裂していたメンバーが再会して78年に発表されたのが本作。
NOVAから戻ったDANILO RUSTICIが持ち込んだと思われるジャズ・ロック色が強まり、「Palepoli」のヘヴィネスなサウンドや土着性みたいなものは薄れている。
発表当時は異色作として賛否両論あったと思うが、私は賛同派だった。
ヴァイオリンやサックスも加わりテンションが高い演奏に加え、2曲目「'A zingara」ではPFMのような詩情に溢れたメロディも聴くことが出来る。
それでもOSANNAらしさはしっかり残っている。
それ以前の作品を前提に聴くと面喰うかもしれないけれど、作品としての完成度は高いと思う。
「Palepoli」は重すぎるという人にはこの作品がおススメ♪ -
ROBERTO CACCIAPAGLIA / ARCANA
エレクトリック・サウンドを取り入れながらも「らしさ」は健在♪（2 拍手）
Roberto Cacciapagliaは、イタリアン・ロックとして語るには少し異色なのかもしれない。
彼の名作「GENERAZIONI DEL CIELO」や00年代のオーケストラとの共演作などはクラシカルな側面や現代音楽家の色合いも強く、「そもそもロックなの？」という意見もあると思う。
しかし、あまりシリアスになり過ぎないその音楽性は、幅広いファンに受け入れられるのではないだろうか。
このアルバムはエレクトリック・サウンドも取り入れた作品で、2曲目の「Follow The Music」などは、後期のY.M.Oのアルバムに入っていても違和感がないような曲だ。
これはこれでなかなか面白いと思うが、彼に関してはクラシック寄りな作品の方が好みなので若干評価は低い。
それでも、ピアノや弦楽器の音はクラシカルな要素もあり、5曲目「No More Violence」や7曲目「Joy」のピアノは彼らしい繊細な音色。
とても穏やかで優しく、癒しさえも感じさせる。
全てのアルバムを聴いているわけではないけれど、他の作品に比べてヴォーカル曲が多いような気がする。 -
EDISON'S CHILDREN / DISTURBANCE FIELDS
過去作品はあまり印象に残っていなかったのだが・・・（2 拍手）
PETE TREWAVAS(MARILLION)とERIC BLACKWOODによるプロジェクトEDISON'S CHILDRENの2019年作品。
ゲストを迎えた曲はあるが、ほとんどの楽器をふたりが演奏しており、それにも関わらず厚みのあるバンド・サウンドになっている。
ジャケット・イメージから想像できるかもしれないが、自然破壊や自然災害をテーマにしたコンセプト・アルバムらしく、収録されているのは組曲「WASHED AWAY」１曲のみ。
しかし、その1曲が14のパート（曲）で構成されており、間断なく続く曲の所々で流れるギターのメロディが印象的で、飛び抜けた特徴はないものの情感豊かに歌い上げるヴォーカルも良い。
70分近い作品だが、一気に聴かせる魅力を持っている。
デビュー・アルバムからコンセプト・アルバムや組曲形式を取っていたので過去作を継承していると言えると思うが、残念ながらこれまでのアルバムはそれほど印象に残っていない。
本作を聴いて、過去作品も聴き直してみようと思った。 -
DOGMA / TWIN SUNRISE
ヴォーカル曲を加えて新たな一面を見せた2ndアルバム（4 拍手）
90年代のブラジルを代表するDOGMAの2ndアルバム。
華麗なキーボードとギターを中心としたシンフォ・サウンドは同様だが、全編インスト曲であった1stに対して、この2ndではゲストを迎えたヴォーカル曲が入っており、新たな一面を見せている。
終盤に10分越えの大作2曲を配しているが、シンフォ・ファンにおススメなのは、3曲目の「Burn The Witch」。
繊細なアコースティック・ギターがメロディを奏で、ピアノとヴァイオリンをはじめとする弦楽器、フルートが加わり、女性Voによるコーラスで終焉を迎える泣きの1曲。
6分程度の曲とは思えない壮大さ。
もちろん、ラスト2曲の大作も聴きどころ満載！
DOGMAに関しては1stの人気が高いような気がするが、こちらも勝るとも劣らない良作だと思う。 -
SPEKTRUM / SPEKTRUM
このメンバーならば、当然想定されるサウンド（3 拍手）
GRAND STAND、GALLEON、CROSSというシンフォ系バンドのメンバーによって結成された5人編成のバンド。
GALLEONはあまり聴いていないのでわからないけれど、メンバーが所属するバンドの音楽性を思い描いておけば、大きく外すことはないと思う。
適度なポップさも持ち合わせた叙情派シンフォ・サウンド。
GENESIS風味の美しいキーボードと、伸びやかなギターを中心にしたインスト・パートも魅力のひとつで、4曲目のインスト曲「Perpetuum Mobile」はとてもドラマティック♪
女性ヴォーカリストの声質もあり、MAGENTAファンにもおススメ！ -
BILLY JOEL / NYLON CURTAIN
BILLY JOELのアルバムの中でも欠かすことが出来ない1枚（2 拍手）
次作「An Innocent Man」と並び、80'SのBILLY JOELを代表する8thアルバム。
この2作は当時繰り返して聴いていたので、個人的には思い入れのある作品なのですが、逆にそれ以降のアルバムはあまり聴いていないとも言えます。
82年発表ということは、すでに40年近く前の作品・・・今聞き返してみると、さすがに声が若々しい。
「ALLENTOWN」、「PRESSURE」、「GOODNIGHT SAIGON」がシングル・カットされているのですが、ラストの「WHERE'S THE ORCHESTRA?」までとても良い曲が揃っています。
私の手元にあるCDのライナー・ノーツには、BILLY JOEL本人によるコメントが載っていて、その中でも「GOODNIGHT SAIGON」に関するコメントが長文で、曲にこめた思いの強さを感じます。
社会問題をテーマとしたシリアスな内容みたいですが、小難しいことは考えず、純粋にロック・アルバムとして聴けば良いと思います。 -
TANTRA / MISTERIOS E MARAVILHAS
ポルトガルのプログレ・バンドって、あまり思い出せないけれど・・・（5 拍手）
これまでプログレやユーロ・ロックを追い求めて、どこにあるのかわからないような国の作品にまで手を伸ばしてきたけれど、ポルトガルと聞いて思い出せるバンドやアルバムがあまりない。
それでもTANTRAの名前は知っていて、この1stのジャケットも印象に残っているが、何故か今まで聴いたことがなかった。
検索してみたら、ポルトガルのジェネシスと呼ばれていたようで、そう言われてみればヴォーカルはガブリエル・スタイルなのかもしれないし、2曲目のギター・ソロは初期ジェネシスのアルバムに入っていそうな曲だ。
それ程ジェネシスを聴き込んでいないので、「ジェネシスかなぁ・・・」という気はするものの、そのあたりの評価は生粋のジェネシス・ファンに任せることにしたい。
リズム隊がテクニカルで−アルバムでドラム・ソロやるの？って思ったけれど−それに合わせてジャズ・ロック色のある演奏を聴かせるキーボードもなかなか良い。
70年代後半の作品と言うことで若干古さは感じるものの、正統派のプログレ作品であることは間違いない。 -
IMAGIN'ARIA / ESPERIA
70年代への憧憬も感じるイタリアン・シンフォ（3 拍手）
70年代への憧憬も感じさせる、ちょっと一筋縄ではいかないイタリアン・シンフォ作品。
ヴォーカルのスタイルもありへヴィ・シンフォの色合いが強いが、曲によってはゲストがメイン・ヴォーカルを取りイタリアのバンドらしい歌心のある曲も聴かせる。
ほぼ曲間なく続いて行き、曲と曲を繋ぐ短いインスト曲やナレーションのような曲を交えるなど構成も凝っている。
メンバーは5人だが10人以上のゲストを迎えて作成されており、キーボードを始め、フルート、バイオリン、アコーディオンなどを加えたクラシカルな一面も持ち合わせている。
如何にもイタリア然とした雰囲気がアルバム全体に漂っていて、イタリアン・ロック・ファンには素直におススメ出来る。 -
BROTHER APE / FORCE MAJEURE
ジャケット・イメージに騙されてはいけない！（3 拍手）
元々ジャケット・アートに魅力を感じるバンドではなかったけれど、このジャケットを見た時にはさすがに「メタル系に舵を切ったのか」と思った（時折、メンバー変更などをきっかけに突然変異してしまうバンドもいるので・・・）。
しかし、1曲目でその不安は払拭され、デジタル・サウンドとピアノの音色が融合する2曲目を聴いて「やっぱり良いよね」とすっかり安心している自分を自覚する。
スピード感がありテクニカルな曲があるかと思えば、メロディアスでコーラスが美しい曲もあり、メリハリが効いたスタイリッシュな作品に仕上がっている。
そして、さり気なく流れるメロトロンやストリングスがとても魅力的。
歌詞は英語で、透明感がある声質のヴォーカルは聴く人を選ばない親しみやすさを備えている。
繰り返しになるけれど、ジャケットから連想するメタル色はなく、北欧のバンドと聞いて連想するサウンドそのまま。
ジャケット・イメージでスルーしないで、騙されたと思って聞いてみて欲しい！ -
DAVID BOWIE / BLACKSTAR
常に最先端であり続けたD.Bowieのラスト・アルバム（3 拍手）
残念ながらD.Bowieの遺作になってしまったアルバム。
私は熱狂的なファンではないけれど、発売当時はしばらく抜け出せずに繰り返し聴いていた思い入れのある作品。
10分近いタイトル曲「Blackstar」で、「やっぱり、D.Bowieはスゴイなぁ」と思う。
同じことを繰り返してやらないし、時代に迎合することなく常に新しい・・・それなのに、どこか懐かしい。
そして、何をやっても、それは正しくD.Bowieであるという存在感！
彼らしいカッコいいロック曲も含まれているけれど、アルバム全体に漂う浮遊感みたいなものも魅力で、もちろん色気あるヴォーカルは健在。
もし初めてD.Bowieを聴くならば、売れに売れた「Let’s Dance」なのだろうと思いつつも、最後まで最先端であり続けたこの作品から遡っていくのもひとつの聴き方ではないだろうかと思ったりもしている。 -
NOIBLA / HESITATION
とても繊細で叙情的、そして涙を誘う哀愁のメロディ（7 拍手）
個人的にはポーランドの女性Voバンドならば、まず間違いはないだろうと思っているのだが、ALBION系統であるならばなおさらのこと。
ALBIONはポーランドを代表する女性Voシンフォ・バンドで、NOIBLAもその流れを汲んでいるので、ALBIONファンならばきっと気に入ると思う。
本家に比べると、より繊細で、さらに叙情性が高い。
派手さはないけれどプログレ・ファンのツボを押さえたキーボード、ここぞというところで流れるギター、そしてオーボエやサックスが奏でる哀愁のメロディが涙を誘う。
全ての女性Voファン、叙情派シンフォ・ファンにおススメ♪ -
PREACHER / AFTERMATH
フロイド継承バンドの2ndアルバム（3 拍手）
所々で聴かれるギルモア風ギターに女性バックコーラスが加わり、「狂気」や後期の作品を思わせるフロイド継承バンドの2ndアルバム。
1曲目からフロイド節全開で、曲のアレンジやメロディなどにもフロイドの影響を感じる。
ヴォーカルはR.ウォーターズというよりはD.ギルモア寄りだが、若干歌い方がD.ボウイ風でそこは好みが分かれるかもしれない。
「Welcome To The Fray」のオルガンや、ピアノで始まる「Hold On」などキーボードの貢献度が高いが、4〜6分くらいの曲はそこまで凝った作りではなく、プログレ度は高くない。
それでも、フロイドのアルバムに入っていても違和感を感じないであろう曲が並んでいて、フロイド・ファンにはそれなりに受け入れられるのではないかと思う。 -
YOU & I / GO !
透明感のある女性Voを中心としたとても美しい作品（3 拍手）
ハンガリーのバンドYOU AND Iの2ndアルバム。
プログレ・ファンには、3rdアルバム「EXIT」の方を推薦したいが、女性Voファンとしてはこの2ndアルバムも捨てがたい。
バンド名からYES直系のバンドかと思われるかもしれないが、YESに接近するのは次作で、その予兆を感じさせながらもアニー・ハズラムのような透明感のある女性Voを中心としたとても美しいアルバムが本作。
ハンガリーのバンドと聞いて思い浮かべるシリアスさや、東欧のバンドが持っている翳りのようなものはあまり感じないけれど、その叙情性はやはり英米のバンドとは異なる。
12分超えの7曲目はとてもシンフォニックな曲で、ずばりMAGENTAファンにおススメ♪
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WOBBLER / RITES AT DAWN
YESに近づいた3rdアルバム♪（4 拍手）
ノルウェーのプログレ・バンドWOBBLERの2011年3rdアルバム。
S.ハウのようなギター、（C.スクワイアーとまでは言わないけれど・・・）良く響くベース、そこにJ.アンダーソンを思わせる声質のヴォーカルが加わり、かなりYESに近づいた感じがする。
このアルバムからヴォーカルが代わっていることも、印象の変化に影響しているのかもしれない。
YESと異なるのは、R.ウェイクマンのようなきらきらサウンドではなくヴィンテージ色が強いキーボードだが、まあ初期のYESを思い浮かべると当たらずとも遠からずという感じなのかもしれない。
リズム隊もテクニカルでしっかりと曲を支えており、ゲストで加わるフルートやバスーンが如何にもプログレ・ファン好みの作品だが、何と言ってもキーボードの人のプログレ志向が強い。
アコースティック・ギターの繊細なメロディーで始まり、メロトロンがドラマティックに鳴り響く4曲目に代表されるように、意外と静と動の切り替えや曲調の変化が激しく、曲構成としては良くできているのだけれど、もうひと展開欲しいところで終わってしまう曲があるのが少し残念かも・・・。 -
ダリル・ホール＆ジョン・オーツ / プライベート・アイズ
H&Oの人気を不動のものにした大ヒット・アルバム（2 拍手）
それまでも、数々のヒット曲を発表していたD.HALL&J.OATESだが、彼らの人気を不動のものにしたのは、間違いなくこの作品♪
数知れない名盤が生まれた80’Sにおいても、欠かすことが出来ないアルバムの1枚だと思う。
アルバム・タイトル曲「PRIVATE EYES」と「I CAN'T GO THAT(NO CAN DO)」が全米NO.1の大ヒットを記録しているが、初期のデュオ色は薄れてD.HALLとJ.OATESがそれぞれの曲でリード・ヴォーカルを取るというスタイルに変わってきている（これは、前作からの傾向かもしれない）。
どちらかというと、D.HALLがリーダーシップを取っているように感じるけれど、その後に発表したソロ・アルバムが目覚ましい売り上げを記録できなかったことを考えると、やはり二人揃ってこそ魅力的な音楽を産み出すことが出来たのだろうなと思う。
80’S初頭の陽気で元気がいいサウンドは、今聴いても（今だからこそ）心地いい。
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CELL15 / RIVER UTOPIA
万人受けしそうだが、プログレのツボは押さえている（5 拍手）
やけに軽快に始まるのだけれど、ギターが入ると典型的な近年のバンドの音。
屈折したところがなく、とても明快でわかりやすいのがアメリカのバンドらしいなぁ・・・などと思いながら聴いていると、2曲目でヴィンテージ感のあるキーボードが流れ、3曲目冒頭のピアノを聴くとキーボード・ファンは「おぉ〜、これいいぞ！」となる。
8分〜10分程度の曲が並んでいて、それ程大作志向ではないけれど、1曲の中で曲調が変化していくところがプログレ・バンドらしい。
ツェッペリンの「移民の歌」みたいなギターのリフにキーボードが絡むカッコいい5曲目、メロトロンが鳴りヴィンテージ感が押し出される6曲目がお気に入り♪
メンバー構成は5人で（曲によってメイン・ヴォーカルが変わっているのかどうかは聞き分けられないが）全員がヴォーカルにも参加している。
バンドの特徴をひと言で言い表す言葉は見つからないけれど、逆説的な言い方をすれば、それは万人受けするということではないかなと思う。 -
WORM OUROBOROS / ENDLESS WAY FROM YOU
キャメル＋クリムゾンにクラシカルな要素を加えた好作品（5 拍手）
ベラルーシのバンドと聞いて「ベラルーシってどこ？」と思ってしまうけれど、フルートがメロディをリードする1曲目から14分越えの大曲で聴き応え十分。
聴き終わると、フルートが奏でるメロディやヴィンテージ感のあるオルガンの印象が強いので「キャメル・ファン必聴」と言われるのは納得出来るが、2曲目の終盤は「Starless」っぽいし、5曲目からはディシプリン期のクリムゾンが感じられる。
所々で聴かれるピアノや、ゲストとして加わるティンパニー、ビブラフォン、バスーン、オーボエなどクラシカルな一面もあるが、大半の楽器をドラムを除く2人のメンバーが演奏しており、その多才ぶりを発揮している。
全体的には、ジャケット・イメージそのままのファンタジックな感じだが、繰り返し聴いていると多様な側面が見えてくる好作品だと思う。
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キング・クリムゾン / レッド
クリムゾンを聴こうと思ったならば、必ず聴いて欲しい（5 拍手）
もし、クリムゾンを初めて聴こうとしている人がいて、どれから聴いたらいいかと問われたら、1stアルバムを薦めるのが順当だと思うのですが、私は「太陽と戦慄」か「レッド」を選びます。
メンバー交代が激しいプログレ・バンドの中でも、クリムゾンがアルバムごとにメンバー構成が変わっていることはよく知られていて、結局Robert Frippがその時にやりたい音楽を実現するために必要なメンバーを集めるというプロジェクトなのではないかとさえ思ってしまいますが、その中でも最強なのがこの時期のメンバーです。
このアルバムに正式メンバーとしてクレジットされているのは、Robert Fripp、John Wetton、Bill Brufordの3人ですが、かつて在籍したDavid Cross、Mel Collins、Ian McDonaldがゲスト参加していて、 David Crossは曲作りにも名を連ねています。
後のメタル・クリムゾンにも通じるようなハードでキレの良い「Red」で始まり、名曲「Starless」で幕を閉じるのですが、緊迫感のある演奏とJohn Wettonのヴォーカルが抜群です。
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アトール / 組曲「夢魔」
ユーロ・ロックを代表するATOLLの最高傑作（4 拍手）
ATOLLの最高傑作との呼び声が高い2ndアルバム。
「これを聴かずしてユーロピアン・ロックは語れない」とまで言われ、フレンチ・ロックのみならずユーロ・ロックを代表する作品。
ギターのChristian BeyaとヴァイオリンのRichard Aubertが加入したことによって音の密度と構成力が高まり、デビュー作から格段にスケールアップしている。
「フランスのYES」と言われているが、それを信じて聴くと「全然、違うじゃん！」となる・・・ような気がする。
要は楽曲の印象というよりも、緻密な曲構成や演奏力など、テクニカルな部分でYESと比較されているのだと思う。
ヴォーカルのAndre BalzerはJon Andersonと比較しても引けを取らない存在感はあるものの声質もスタイルも異なる。
演奏はYESに比べてインプロビゼーションの色合いが強く攻撃的で、緊迫感ある各楽器の掛け合いは凄まじく、何度聴いても圧倒される。
ATOLLを−あるいは、フレンチ・ロックを−初めて聴いてみようと思う人にはメロディ重視の3rdがおススメだが、聴いた時の衝撃度はこちらの方が大きい。 -
FISH ON FRIDAY / GODSPEED
プログレ・ファンだけではなく、もっと幅広い音楽ファンに聴いて欲しい♪（3 拍手）
ベルギーのバンドFISH ON FRIDAYの2014年作3rd。
最新作「BLACK RAIN」は、早くも2020年のベスト1は決まったと思っているくらいお気に入りで、後追いで聴いた前作「QUIET LIFE」も良質なプログレ・ポップ作品だった。
ということで、さらに遡って3rdアルバムも聴いてみた♪
アコースティック・ギターに導かれて哀愁のメロディが流れ始めると、これは完全にヨーロッパのバンドの音なのだが、途中からCOLDPLAYのような疾走感のあるピアノ・サウンドも聴かせ、美しいコーラスも健在だ。
そんな変幻自在でたくさんの魅力が詰まった1曲目を聴いただけで、愛聴盤入りを決定！
先に聴いたアルバムよりもさらにポップ色が強くなっている（遡って聴いているので表現としては、ポップ色が強かったというのが正しいのかもしれない）が、やはり爽やかでメロディアスな曲が並んでおり、その根幹的な部分は変わらないので、最新作が気に入った人はきっと外さないと思う。
ゲストで加わるフルートやサックスも印象的だし、あの美しいコーラスを構成するバック・ヴォーカル陣も素晴らしい。
5曲目や7曲目などにはフロイド色も感じられるが、しっかり消化して自分達の曲の中に取り込んでいるし、シングル・カットして普通に市場に出しても受け入れられるはずのポップ色。
プログレ・ファンだけではなく、もっと幅広い音楽ファンに聴いてもらうべき作品だと思う。 -
PILGRYM / PILGRIMAGE
ヴォーカルがジョン・ウェットンっぽいので、エイジア好きな人は聴いてみて欲しい（1 拍手）
英国産プログレ・バンドの2004年デビュー作。
少しジョン・ウェットンを思わせるようなヴォーカルと、そのサウンド・スタイルから、初期エイジアやジョン・ウェットンのソロ・アルバムあたりが思い浮かぶ。
エイジアの後に出てきたネオ・プログレ・バンドとは少し異なり、ヴィンテージ色のあるキーボードと、泣きのギターがドラマティックなサウンドを展開する。
ヴォーカルの声質によるのかもしれないが、これほどまでにエイジアに近づいたバンドは珍しいのではないかと思う。
というか、エイジア・タイプのバンドって、意外とありそうでないのではないかと感じる。
4曲目と5曲目がそれぞれ複数のパートで構成された曲になっている。
PT1・PT2と命名されていることからセットで考えていいと思うのだが、ここでは泣きのギターに導かれながらもキーボード・ロック色も顔を覗かせ、７曲目でメロトロンが入るとクリムゾン色も見え隠れする。
ボーナス曲が2曲収録されており、1曲がアルバム未収録曲のライブ、もう1曲がアルバム1曲目の別バージョン。
ライブ曲の観客の歓声にバンドの人気の高さが感じられるが、その後のアルバム発表情報が聞こえてこない。
もし、これが唯一作になってしまったとしたらとても残念な気がする。 -
ニュー・トロルス / コンチェルト・グロッソN.2
イタリアン・ロック史に燦然と輝く名作（1 拍手）
NEW TROLLSの代表作であるCONCERTO GROSSOシリーズの2作目で、1作目と並びイタリアン・ロック史に燦然と輝く名作。
本家NEW TROLLSとIBISとに分裂していたメンバーが再会し、再びLUIS ENRIQUEZ BACALOVを迎えて作り上げた作品は、まさしく「ヨーロッパからの美しき衝撃」だった。
「N.1とN.2のどちらが素晴らしいか」という論争はあると思うけれど、私はこちらを先に聴いたので、今でもN.2を聴く機会が多い。
しかし、美しく儚いN.1と、華やかで聴きやすいN.2に優劣をつけようとすること自体が無謀だと言わざるを得ない。
その時の気分で変わるかもしれないし・・・。
N.2について言えば、N.1が映画のサントラとしての側面を持っていたことを考えると、こちらが彼らの本来のサウンドなのかもしれないと思う。
しかし、初期の作品を聴くと、分裂期にそれぞれが模索した結果がN.2に繋がったとも考えられる。
BACALOV指揮のオーケストラは壮麗で、美しいコーラスワークと共にドラマティックなシンフォニック・ロック作品となっている。
ヴォーカルはあくが強くないので、これからイタリアン・ロックを聴いてみようと思っている人の入門編としても最適ではないだろうか。
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SEGUE / HOLOGRAMS
カッコいいジャズ・ロック・アルバム（5 拍手）
ジャズ・ロックはあまり聴かないけれど、実は意外と好きです。
ポーランドのバンドですが、この国にはシンフォ系バンドと美声女性Voのイメージが強いので、ジャズ・ロックというのはとても新鮮でした。
バンドは、ギター、キーボード、ドラム、ベースの基本的な4人構成で、6曲目と7曲目にゲスト・プレイヤーが参加しています。
そのゲストが、ベースとドラムであることが、ジャズ・ロック・バンドらしくていいなぁと思ったりします。
単純に色分けすると、キーボード（ピアノ）がジャズテイストで、ギターがロック色を持っているのですが、双方のバランスが絶妙で−もちろん、重要なリズム隊も安定していて−ジャズ・ロックとしての完成度を高めています。
どちらか一方だけでは、これほど魅力的な曲にはならないと思います。
全曲インストゥルメンタルで、適度な緊張感がありながら聴きやすい。
これは、確かにカッコいい！ -
TOWNSCREAM / NAGYVAROSI IKONOK
キーボードの超絶プレイに圧倒される（2 拍手）
AFTER CRYINGの4thアルバムにはクレジットがないので、おそらく3rdアルバム「Fold Es Eg」を最後に脱退したと思われるVEDRES CSABAが始動したバンド。
全編に亘って、超絶なキーボードプレイと強力なリズム隊による緊迫感ある演奏が展開される。
しかし、後半ではバックの音を絞ったアカペラのような9曲目や、鳥の声のような音色が入る10曲目など浮遊感がある癒し系な曲、ピアノとフルートで演奏されるクラシカルな11曲目なども収録されており、「静」の部分も魅力のひとつになっていると思う。
3曲目は実験音楽のような斬新さもあり、彼の感性の鋭さを見せつけられる。
VEDRES CSABAのヴォーカルは線が細い感じは否めないが、チェロやフルート、トランペットなどの管楽器を加えた如何にもハンガリーのバンドらしい作風にはあっているのかもしれない。
AFTER CRYINGのファンはもちろん、キーボード・ロックのファンにもお奨めしたい1枚。 -
ELFONIA / THIS SONIC LANDSCAPE
美声女性Voを擁するメキシコのハード・シンフォ作品（1 拍手）
美声女性Vo Marcela Bovioをフロントに置くメキシコのバンドELFONIAの2ndアルバム。
ハード・エッジなギターとプログレ・タイプのキーボードの演奏にBovioの美声が重なるハード・シンフォ作品。
06年作ということなので当時の評価はどうだったのかわからないが、近年のプログレ・バンドを聴き慣れているためか、個人的にはそれ程ゴシック色・メタル色を感じない。
確かにギターの重量感はそれっぽいけれど、キーボードと透明感のあるBovioの歌声が、それを良い具合に中和しているような気がする。
英語とスペイン語の歌詞は全てBovioが書いていて、ヴァイオリンも演奏している彼女がバンドの中核を担っていることは想像がつく（そもそも、彼女のヴォーカルなくして、このバンドは成り立たない）。
作曲の方はキーボードのMillanとギターのQuintanillaが中心。
それぞれの志向が曲に反映されているのかもしれないが、アルバムとしての統一感はある。
最後の曲「Gigantes」は�機銑靴肇織ぅ肇襪�ついた3曲で構成された組曲形式で、15分を超える大曲。
アルバムの1曲目のタイトルが「�検廚任△襪海箸鮃佑┐襪函△修譴盍泙瓩徳閥覆砲覆辰討い襪里�もしれない。
最後の曲が1曲目に繋がり無限ループ・・・というのは考え過ぎだろうか？ -
OSIRIS / MYTHS AND LEGENDS
謳い文句どおりのシンフォ・ロック作品（2 拍手）
初めてこのバンドを知った時、「中東バーレーンのシンフォ・バンド」、「キャメル直系」、「メロディアスな叙情派」などの魅惑的な謳い文句が並んでいて、「中東の国にシンフォ系のバンド！？ウソでしょ！？」と思いながらも、手に取ったOSIRISの2ndアルバム。
実際に聴いてみて驚いた。
まさに謳い文句どおりのサウンドで、ざっくり言うとギターをメインにした曲とキーボードがメインの曲に分けられるような気がするが、どちらも甲乙つけがたい。
1曲目ですでに明らかなように早いドラムとビンビン響いてくるベースのリズム隊が安定していて、バンドとしてのバランスがとても良い。
リズム隊がしっかりしていると曲が締まるよね！
曲長は6分〜9分が主体でそれ程長尺ではないけれど1曲の中での変化もあり、何よりもメロディアス・シンフォと呼ぶにふさわしい曲が並んでいる。
内ジャケの「如何にも中東」な濃いメンバーの写真を見ると、こんなおじさん達（ひとり女性メンバー）が・・・と思うけれど、音楽は年齢に左右されないことについては、多くの先人達が証明済み。
あと、内ジャケを見てリード・ヴォーカルの人だけ写真がないのは何故かとか、7曲目だけメンバーのクレジットが違う（バンドに何が起こった！？）とか気になる・・・作品の評価には関係ないけど・・・。 -
LIAM DAVISON / A TREASURE OF WELL-SET JEWELS
MOSTLY AUTUMNファンも納得の作品（1 拍手）
MOSTLY AUTUMNのギタリストLIAM DAVISONの2011年作1stソロ・アルバム。
フロイド系譜の作品はMOSTLY AUTUMNを継承した音作りだが、それもそのはず、キーボードのIAIN JENNINGS、女性VoのHEARTHER FINDLAYなどバンド・メンバーが全面的にバックアップしている（IAIN JENNINGSのソロ・アルバムにもバンド・メンバーが参加していたし、MOSTLY AUTUMNって本当に仲がいい）。
さらに、KARNATAKAのANNE-MARIE HELDERも名を連ね、複数の曲で美声を聴かせている。
ソロ・アルバムなので、当然LIAM DAVISONのギターが聴きどころで、ギルモアのような泣きのギターは健在。
しかし、そればかりではなく、6曲目でソロ・ヴォーカルを取るHEATHER FINDLAYの美声や、全編に流れるIAIN JENNINGSのキーボードも素晴らしく、MOSTLY AUTUMNファン納得の作品となっている。 -
ジョン・アンダーソン / アニメーション
ジョンのソロで一番好きなアルバムです（2 拍手）
YESのジョン・アンダーソンが発表しているソロ・アルバムは多種多様だ。
クリスマス・アルバムを作成したかと思えば、ラテン・ミュージックに接近し、ケルト・ミュージックやヒーリング・ミュージックにまで及んでいる。
しかも、それぞれの作品にしっかりと「らしさ」が表れているのが素晴らしい。
しかし、そんな多岐に亘っている作品の中で、もし1枚選べと言われたら迷わずに3作目の「アニメーション」を選ぶだろう。
YESのメンバーが「リレイヤー」発表後にソロ活動に入った際に、ジョンが発表したのが1stソロ・アルバム「サンヒローのオリアス」。
このアルバムはジャケットも含めて、YESの世界観を継承しており、YESファンやプログレ・ファンはこのアルバムを推すかもしれない。
そして、ポップ色が強くなった2ndアルバム「七つの詩」も、ジョンのヴォーカルが活かされた好作品で捨て難い。
しかし、この2作品はソロにも関わらずYESの肩書を担った創作になっている印象は拭えない。
その意味では、ジョンがやっとYESという重い鎧を脱ぎ捨てて作成した本当のソロ・アルバムはこの作品だと思う。
過去作品がCD化されていく中、何故かこのアルバムだけはなかなかCD化されず、待ちに待ったCDは日本盤のみ紙ジャケという特別仕様で、「七つの詩」や90125YESのようなポップ性を持っている。
YESやジョンのファンだけではなく、全ての音楽ファンに聴いてほしい。 -
SUBSIGNAL / BEACONS OF SOMEWHERE SOMETIME
変化に富んだシンフォ・アルバム（1 拍手）
ドイツのバンドSUBSIGNALの2015年作4thアルバム。
ピアノとフルートで始まる1曲目からドイツらしい叙情性を感じる。
ハードなギターに若干メタル色を感じるものの、全体的にはキャッチーなメロディを基調としたシンフォ・アルバム。
ヴォーカルの印象はトレヴァー・ラビン＋ジョン・アンダーソンで、そこに美しく透明感のあるコーラスワークが重なると、YES周辺の作品が好きな人におススメかも・・・と思うが、サウンド的には明らかに近年のプログレ・バンドの音。
リリカルなピアノやサックスを取り入れた4曲目、耳に馴染んでメロディが離れない5曲目、アコースティック・ギターの演奏で始まる6曲目など緩急を切り替え、変化に富んでいるので繰り返し聴いていても飽きが来ない。
そして、何と言っても聴きどころはラストのタイトル曲。
組曲形式の20分を超える曲で、アルバムの魅力を凝縮したような1曲となっている。
ハードなギターがとても良いアクセントになっているが、SEVEN STEPS TO THE GREEN DOORや、RPWLのメンバーがゲスト参加しているので、そのあたりの影響（効果）があるのかもしれない。 -
TEMPUS FUGIT / CHESSBOARD
前2作を継承するブラジル産シンフォ作品（1 拍手）
ブラジルのメロディアス・シンフォ・バンドTEMPUS FUGIT・・・良質な2枚のアルバムを残しながら、その後音信不通であったバンドが久しぶりに発表した作品（9年振りなんですね！）で、過去の2作に勝るとも劣らない好作品。
ドラマティックな1曲目から始まり、全編に美しいキーボードとメロディアスなギターを配したシンフォニック・ロック。
南米のバンドというとイタリアのバンドのような暑苦しい程に情熱的なヴォーカルの印象があるが、そんな思い込みに反してとても線が細く優しいヴォーカルがバンドの音に合っている。
「THE PRINCESS」の歌い始めではリード・ヴォーカルも取り、コーラスでも参加しているゲスト女性Voがとても美声で、女性美Voファンにはこの曲をおススメ♪
メロディはギターが取っていて、意外と明確にベースのリズム音も聴こえてくるのけれど、おそらくシンフォ・ファンの琴線に触れるのはキーボードの演奏だと思う。
ブラジルというよりも、ポーランドのシンフォ・バンドに近い感じがする。 -
ピッキオ・ダル・ポッツォ / ピッキオ・ダル・ポッツォ
イタリアン・ロックの奥深さを知ることが出来るアルバム（1 拍手）
イタリアの新興レーベル・グロッグは5枚のアルバムをリリースして消滅してしまったのだけれど、キングレコードのユーロ・ロック・シリーズではそのうちの3枚が国内盤として発売されている。
その3枚というのが、CELESTE、CORTE DEI MIRACORI、そして本作PICCHIO DAL POZZOの1st。
こうして並べてみるとかなりマニアックな感じがする（情報も少なく、再発ブーム前夜の当時は尚更のこと）が、その中でもVittrio De Scalzi（NEW TROLLS）の弟Aldo De Scalziが参加しているバンドという話題性が、この作品にはあった。
当然、NEW TROLLSのようなシンフォニック・ロックを期待するが、初めて聴いた時には何と表現して良いのかわからないくらい飛び抜けていた。
ジャズ・ロックと呼ぶにはSEやコラージュを多用した作りは斬新過ぎたし、管楽器を使用していながらもアバンギャルドな作風はクラシカル・ロックと定義づけるのも難しい。
Vittrio De Scalziや同レーベルのCELESTEのメンバーなど多くのゲストを迎えており、ユーモラスで緻密な独自の世界観を築き上げている。
イタリアン・ロックの入門編としては相応しくないが、少し聴きこなした後に手に取ったならば、イタリアン・ロックの奥深さを知ることが出来るのではないだろうか。 -
KINGFISHER SKY / HALLWAY OF DREAMS
EVANESCENCEファンにおススメの美声女性Voバンド（1 拍手）
オランダのバンドには穏やかな作風のイメージを持っているのだが、思いの外シンフォ・メタル系のバンドも多い。
このKINGFISHER SKYのデビュー・アルバムも、WITHIN TEMPTATIONのメンバーが関わっているということもあり、同系統の作品として紹介されることが多い。
確かに、エッジの効いたギター（これが、かなりカッコいい♪）がメタル色を強めてはいるものの「メタル系はちょっと・・・」と敬遠してしまうのはもったいない。
女性ヴォーカリストJUDITH RIJNVELDをフロントに置き、アコースティック・ギターやピアノをメインにしたバラード曲も収録されており、美声女性Voファンは聴き逃すことが出来ないバンドなのではないだろうか。
へヴィーなサウンド＋美声女性Voの組み合わせを分かり易く例えるとEVANESCENCE。
EVANESCENCEのファンならば絶対に気に入るはず！ -
FISH ON FRIDAY / QUIET LIFE
期待を裏切られることはない良質なプログレ・ポップ作品（2 拍手）
現時点の最新作である「BLACK RAIN」を聴いて、すっかり虜になってしまったFISH ON FRIDAY。
それまで全く知らなかったグループだったが、そのアルバムが5枚目と知って、早速過去作を検索して購入したのが17年発表の「QUIET LIFE」。
もう、聴く前から期待（いや、確信？）しかない。
そして、その期待が裏切られることはなく、また愛聴盤が1枚増えてしまうのであった。
確かに、リズムの取り方とかコーラスなどはアラン・パーソンズ・プロジェクトの「EYE IN THE SKY」を髣髴とさせるところもある。
しかし、1曲目や3曲目にフロイドのような哀愁と翳りをもったメロディが流れると、「あぁ、この人達は本当にプログレ好きなんだなぁ。」と、勝手に思い入れを深くする。
「BLACK RAIN」は4人編成であったが、本作には5人のメンバーがクレジットされており、曲によってフルートやサックス、バック・コーラスなどのゲストが加わる作りは同じ。
女性Vo LULA BEGGSは本作にも参加し、美声を聴かせている。
全体的に最新作よりもポップ寄りではあるが、相変わらず美しいメロディと透明感のあるサウンドで魅了するプログレ・ポップの好作品に仕上がっている。
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ANNA OXA (OXA) / TUTTI I BRIVIDI DEL MONDO
上品さと情熱を合わせ持ったアルバム（1 拍手）
イタリアを代表するカンタゥトリーチェANNA OXAが89年に発表した代表作。
NEW TROLLSのVittrio De ScalziとGianni Bellonoが全面的に作詞、作曲に携わっているため、プログレ・ファン、イタリアン・ロック・ファンの間でも良く知られているアルバム。
囁くような繊細な歌唱から、サビでは一気に情感豊かに歌い上げる表現力が素晴らしく、さすに長年トップを走ってきただけのことはある。
管楽器を加えたシンフォニックなアレンジの曲も良く、ラストの曲はFAUSTO LEALIとのデュエット。
シンフォ・ファンも見逃すことが出来ないであろう、歌物アルバムの枠を超えて愛されるべき作品。
私は、NEW TROLLSとの共演ライブである「Live Con I New Trolls」を先に聴いてここにたどり着いたのだけれど、このライブ・アルバムはNEW TROLLSファンならば必聴の1枚。
