プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!
13時まで当日発送(土・日・祝は翌日)、6,000円(税抜)以上送料無料
「イヤー・オブ・ザ・キャット」のレビューでも書きましたとおり、わたしとアラン・パースンズの音づくりは、非常に相性が悪いようです。パースンズの音を簡単に言ってしまうと「ピーク・カット」です。事前に歪んだ音をチェックして、危ないところを全部回避するプロダクションと言えるでしょう。言わば無難な音です。ロック的なダイナミズムと言われても、どこが…と。初期のアル・ステュアートのほうが余程冒険しています。
もっとも、通俗的な歌謡曲になるかならないかで音楽を成立させてしまうステュアートの気高さは独自のものです。大して歌上手くないし、歌い方もワンパターン。でも、人間的な深みがあるんでしょうか。最後にはねじ伏せられてしまいます。賤しい出自のわたしが、高貴な人の前に出て、ははあ、と恐れ入ってしまうような。ちょっと形容がひどいですか。「バレンティノ・ウェイ」のギター・ユニゾン、「オールモスト・ルーシー」のスペイン風ギターが好きです。2024.11.20
80歳でしたか。ピート・シンフィールドを思い留めるために書きます。クリムゾン・デビュー時の商品は何だったのか。疎外感、絶望、閉塞感。ここでの曲はあらゆる負のベクトルを負っているかのようです。楽曲はマネジメントされていません。マイケル・ジャイルズは叩きまくるだけですし、グレグ・レイクは雇われた歌手でしかありません。ロバート・フリップもまだロビン・トロワー・ギター塾を卒業したばかりの駆け出しギタリストです。彼ら若者たちの羅針盤になったのはシンフィールドのコンセプトでした。
せいぜいが戦争はいけないとか、愛こそが究極の欲求とかが当時のメッセージ。そこへ、お先真っ暗、21世紀も我々は分裂し続けるだろう、混沌から逃れることはできない、という歌詞を、情緒たっぷりに突きつけられたわけです。これは意識的であろうとしたユーザーを惹きつけたと思います。加えてこの盤、シングルで聴くわけにいきません。ビートルズでさえ、シングル中心だった時代にLP盤でしか買えない高級な売り方をしたわけです。クリムゾンはこの盤以外、大して売れていません。あとの盤は、商品価値がわかりにくいからです。
偶然か計算か、シンフィールドの商業的野心がこの盤のポイントです。彼らが芸術家でなく、商売人であった証拠に、誰もおかしくなった人いないでしょ(ジェイミー・ミューア除く)。けっこう生き延びているでしょ。この盤があるおかげでシンフィールドは、老後安定していたはずです。演奏しないでみんなから覚えられている人、あなただけだったですよ。安らかに。2024.11.19
デビューはラフ・トレードのシングル「ツリーズ・アンド・フラワーズ」。これを聴いたわたしはネオアコだと思いました。晴れてWEAに移籍し、ロングプレイ発表。これが爆発的なブームになったんです。日本にまで来ました。仕掛人は、エコー&ザ・バニーメンのウィル・サージェントです。デイビッド・ギルモアがケイト・ブッシュを紹介したり、ジミー・ペイジがレズ・ツェッペリン連れてきたり、と同じ流れか、と。ガールズ・グループをレーベルに紹介するのが一流の証なのかも、とは思いませんけど…。
演奏力が、とか歌唱力を言っても無意味です。ルックスとコンセプトが勝負の二人組です。スイッチブレードとは飛び出しナイフの意味なんで、攻撃的意図があったことが明らかです。水玉とレース模様が、使いようによってパンクになる、という決定的な仕事をやってのけています。この盤がCDになっているのはわが国だけです。このバージョンには11曲収録。20曲のバージョンもあります。2024.11.18
音楽家の売っている商品は、どう考えても「時間」です。それもテイクアウトの。シングルヒッターが120円の回転寿司を売っているとすれば、プログレ・バンドの売っているのはコース料理。ユーザーは、必然的にお金があって探求心のある、つまり自由に使える時間のある人、ということになります。わたしの経験では、家庭ができて、仕事が忙しくなって、交友関係も増えた30代に、ほとんど自由に使える時間がなくなりました。するとテイクアウトのファーストフードを食べるのがせいぜい、になりました。音楽と外食を並べて書いていて、わかりにくくてすみません。
トランスアトランティックの売っている料理は、イタリア料理、フレンチ、和食の名人料理人が集まって、一軒のレストランで食べてもらおうというコンセプトです。なぜって、コース料理を食べてくれる人が減ったから。まずはコース料理の楽しさを知ってもらおう、と。しかも競走関係にある老舗に「フロイド屋」とか「イエス亭」とかあるわけです。並大抵の商売ではないです。たまにトランスアトランティック軒に行きたくなるのがわたしです。2024.11.16
とっっっっっっっっっても良いことに、音の隙間がたっっっっぷりです。感心するのがフィル・ラッドのドラミング。叩きまくりたいだろうに抑えて、ばすっばすっというビートに徹しています(いや、本当は投げやりなのかも判らんけど)。AC/DCの泣きどころは、ボーカルが同じ歌い方(いや、本当は叫んでいるだけなのも判らんけど)なので、メロディを愉しむ、ことができないところ(これは、ジョーディーの時代からそうなの)です。必然的にメロディを聴こうとする耳は、ギターの旋律を追うようになり、ギターの熟成ぶりに気づくのです。ああ、気持ち良い(と、いいトシでAC/DCに嵌まっている老人は気持ち悪い)。
ベスト曲は、デルタ・ブルーズのようにアクースティックで始まる「ブギー・マン」と思います。かっこいい〜。必要以上にギターが歪んでいないのも好感です。ジョン・リー・フッカーでしたら、おおっ、俺にも演らせてくれ、と叫ぶでしょう(叫ばんか…)。続く「ハニー・ロール」は、ジョー・ペリーの下手さ加減を皮肉っているでしょうか(いない、いない)。レビューが明るく書けるって大事です。2024.11.14
サンタナの「哀愁のヨーロッパ」や、ツェッペリンの「天国への階段」。これら「名曲」と呼ばれている音楽を、今聴きますか。わたしはヘソまがりなので聴く気が起こらないです。脳内で再生できるし、感動は揮発してしまいました。「エブリ・デイ」や「スペクトラル・モーニングズ」も同様です。一方で初期の感動が持続する、と言いますか。聴くたびに自分の理解の浅はかさに気づく音楽というものも確かにあります。残念ながらハケットのそれはセカンドのほうです。
バンドのメンバーを決めてから6か月スタジオでセッションしたのだそうです。ライブをこなすため。外気温氷点下のオランダだったと書かれています。ソロ作というのは方便で、実際はリーダー作。本当にソロでやれる人はジョニ・ミッチェルとかロバート・ジョンスンとか天才と呼ばれる人だけ。ハケットがリアルに「バンド」編成になった楽集という位置づけです。以後彼の快進撃が続くことをかんがみれば重要なステップだったと思います。今回聴き直してみました。前段の印象は変わりませんでした。2024.11.14
どこかジョージ・ハリスンのイメージと重なってしまうアル・ステュアート。わたしCDでは現在蒐集中ですが、かつて(ほぼ)全盤所持していた彼の創作の中で、この盤が最も好きです。「ローズ・トゥ・モスコー」「ターミナル・アイズ」「ノストラダマス」と畳みかける後半の説得力は飽きることがありません。と申しますか、ラジオ番組でこの部分を聴いてしまったがために、あまり著名と言えない彼の諸作に親密さを抱いたのです。
パーソナルなつぶやきをつま弾いていた初期の曲から、レンジがぐっと広がった作風です。プリンスの「1999」と同様、ノストラダムズの特異な経歴に焦点をあて、ステュアート流の時空を構成しようとしています。ナチスから郷土を守ろうとする「モスコー」、ステュアート自分史を展開する「ポスト・ワールド・ウォーII・ブルーズ」にその意欲が現われています。とにかく趣味が良い。こけおどしなく淡々と曲を進めながら、多彩な楽器、弦楽、管楽器が入ってきます。聴いていて「おおっ」と声を上げてしまう、珍しいフォーク盤であります。2024.11.12
好きなキャラバンと言えど、この楽集を取り出すことがあまりありません。彼らは「ニュー・シンフォニア」のあと、初の全米ツアーに出かけています。サポート・アクトとしてです。正直その時まで井の中の蛙状態だったんじゃないでしょうか。「フォー・リチャード」はじめ、自分たちのおすすめ曲を演奏しても…どうも受けない。キャラバンの楽曲は、どの曲も初めて聴いてはっと覚えるようなものではありません。「ゴルフ・ガール」のような短い曲では、まったりしたポップに感じられるし、長大曲はイエス、ELPのような見せ場を持っているわけではない。自信を失ったと思います。
そう考える根拠は、旧A面の「ショウ・オブ・アワ・ライブズ」以降続く5曲にあります。メロディは覚えやすいけれど、キャラバンらしい個性がありません。素晴らしい「聖ダンスタンズの盲犬」へたどりつく道程と考えると納得できます。大曲「ダブソング・コンシャートウ」にしても、デイブ・シンクレア以外メンバーのキャラクターが不足しています。好きなバンドゆえ、辛口に書いてしまいました。2024.11.11
第二期のディープ・パープルは、ジャケ・デザインが良くて、レコード店でどれを購入しようかと迷ったものです。ツェッペリンが4盤め以降、メンバーの顔を出さなくなったのと対照的。ロック・デザインの王道です。米国盤には「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマン」が入っていて、「デモンズ・アイ」が入っていません。英国盤より先行発売するため、この曲だけ間に合わなかったそうです。先行させた理由は、大規模な北米ツアーのため。「イン・ロック」以降の彼らが大人気となった事実がわかります。ツェッペリンのIIがツアーの合間にゲリラのように制作されたことは知られています。「ファイアボール」は、IIのような慌ただしい制作となったのでした。
曲では「ザ・ミュール」と「ノー・ノー・ノー」でしょうか。特に「ミュール」のフロイドのような呪術的展開に恐れ入ります。この時期にはプログレとハードロックはジャンルが分かれていなかったんです。レーベルもハーベストですし、多少は参考にしたかも知れません。「ファイアボール」を聴くときは、低音を強調して聴いてみてください。コージー・パウエル並のダブル・ベースドラムにのけぞります。2024.11.10
斜陽都市デトロイトを、このCDカバーデザインに見てしまうのは、わたしだけですか。8曲目に「カミン・ホーム」というデトロイト演歌曲があります。シティ・ライトを夢見て都会に出て行ったけれど、オールド・タウンに帰ってくる。円満リタイアして帰ってくるのか、夢破れて帰ってくるのかわからない。でも生まれ育った町に戻ってくれば、とりあえず気持ちはリセットされるし、何より癒される。ボブ・シーガーは、この楽集にたどり着くまでとても忙しい日々を過ごしました。デトロイトのローカル歌手から、全米を代表するようなロックンローラーへ。彼を手伝うのはカリフォルニア、マッスル・ショールズの人脈を含んで全米にまたがっています。しかし気持ちは生まれ故郷に向いていたんじゃないかと考えます。
大統領選挙でも明らかになりましたとおり、米国の歪みはミシガンやペンシルバニアに集約して表れています。かつての石油産業、自動車産業、鉄鋼産業が存続の危機にあるから、です。グーグルやマイクロソフトだけが米国ではありません。わたしのまちもかつて全国的な企業が立地し、それがなくなった後遺症に喘いでいます。他人事とは思えないのです。2024.11.09
N°2を聴くため、久々に購入しました。最初の印象はともかく、N°2の明るさがとてもよいと思います。それにしてもN°1の頃の演奏の危なさには驚きます。ひとつは、ニコ・ディパーロのチターラ小僧ぶりでありますし、もうひとつはバッソ、バッテリアの演奏力の未熟さです。危なくて20分の長大曲なんて聴き通せません。アナログを買ったときもB面なんで聴かなかったでした。再結成後は、メンバーの演奏やボーカル力量が安定し、不安なく聴くことができます。
ルイス・エンリケス・バカロフは、言わずと知れたマカロニ・ウエスタンの巨匠です。そりゃクラシックの素養あるでしょうが、ポピュラー・ミュージックの人です。ゴジラ音楽の伊福部昭を、クラシックとは言わないでしょう。だから言うとすれば映画音楽とロックとの融合が正しい。で、バカロフは映像をロマン主義にしてしまう人だと思うんです。エンニオ・モリコーネがハードボイルドなのと比べると面白いと思います。2024.11.08
トランプさん当選のニュースにぼおっとしてしまい(嬉しくて)、1日経ってしまいました。図式から申し上げると、トランプ対メディアとの戦いだったと思います。米日メディアの腐り方は今、申し上げません。イーロン・マスク、ロバート・ケネディJr、トゥルシー・ギャバード、ジョー・ローガン…。かつて反トランプだった人たちを次々と仲間にしていくトランプさんの戦い方は、とても美しかったです。映画かRPG並みのリアルな世界で、わたしは感動しまくりでした。
というわけで取り出したレコードが「ワンス・アゲイン」。ビート・バンドとしてデビューしたBJHが、ドラマチックでパワフルな音に生まれ変わる過程に驚きます。なんせドラムズがどこどこどこと始まりますから。後年でも演奏され続ける「モッキングバード」は、英国ロック史上に残る切なさです。交響楽とメロトロンを併用する音の壁はやり過ぎの感さえあります。トランプさん、ワンス・アゲイン。わたしは4年間待っていました。2024.11.07
カケレコさんのユーザーさんでAOR好きな人っていらっしゃるのでしょうか。「Let It Roll」に続く、リトル・フィート再結成2盤めです。90年。前盤に続き、スティーリー・ダンのような洗練された都会的な音であり、ラテンの匂いも感じさせます。まず、「テキサス・ツイスター」では、フレッド・タケットの硬質で達者なギターでのけぞらせます。「デイリー・グラインド」は、クレイグ・フラーが歌うAORで、抑制のきいたリズムはさすがです。「リプレゼンティング・ザ・マムボ」は、ビル・ペインのセンスでまとめられた佳曲。この3曲でわかるのは、ボーカルの比重が増していること。次に何が出てくるか判らない、というローウェル・ジョージ期のスリルはありません。しかし、メンバーのまとまりや実力がケタ違いなので心地よさは増しています。
わたしが気になるのは、この音が「普通」に聴こえてやしないかという危惧。リッチー・ヘイワードやケニー・グラッドニーの変態さ加減がわかっている人なら、そこを味わっていただけると思いますけど。後半になると泥臭い度合いが増していきます。2024.11.06
ジョン・ドゥカン、あるいはジョン・カンというギタリストを、あなたはどんなバンドで知っていらっしゃいますか。ハードスタッフというパワー・トリオですか。その前のアトミック・ルースターの時代ですか。オーバーグラウンドに浮かぶことのなかった彼が60年代にやっていたのがジ・アタックです。シングルで5枚ほど出せたかと思います。この盤は短い活動期間だった彼らの音を収集したもの。ジ・アタックのコンピ盤も種類が多くて、わたしはほかに三種類ほど知っています。何よりジョン・カンは、英国ハード史上に名高いアンドロメダ(これも一枚きり)のメンバーで、その曲が2曲入っているだけで買いの編集ものです。
カンの面白さは、ギターを楽器としてではなく、武器として使用していたところです。パンクの最も早期なさきがけ、とも言えます。ところがアンドロメダでやる音楽は、ホルストだったりウエスタン映画のサントラだったり。乱暴な上に、多彩で翳りがあるのです。そんな壊れた彼の魅力は、ビート時代の音からにじみ出ています。ハードスタッフが好きな人は聴いてみてください。2024.11.04
アフィニティやニルバーナと並んでバーティゴ・レーベルの顔です。オルガン・オンリーでギターレスと思っていましたら、ギター・パートありますね。ところどころオルガンと電気ピアノがダブルになるパートがあり、リード・ボーカルが鍵盤、ギターと兼務していると推測します。残りは鍵盤専任奏者とベースとドラムズ。フルートも聞こえます。長くプログレッシブのジャンルと思っておりました。実際はゴスペルに強い影響を受けた音楽で、コール・アンド・レスポンスもあります。彼らの強みは、陰影のあるリード・ボーカルと、渋いコーラス・ワークにもあります。
曲は長めです。展開が多くて、複数曲をつなげたような形式ではなく、同じコーラス部分が手を変え品を変え出てきて、間を激情的なハモンドがつなぐ、という形式です。メンバーがエキサイトするインストの部分がなかなか聴かせます。おそらくは、バンドを結成する目的よりプロジェクトだったんじゃないかと思います。高校生ではじめて買ったときには地味すぎると思っていました。さまざまなジャンルを体験してから聴いてみましたら、けっこう滋味ある存在でした。2024.11.03
マッシュ・ポテト5回めの制作で、とうとう納得いくものができました。なんかこれだけはクック・パッドでカンニングしてはいけない気がして、見様見真似で練習していたんです。かみさんに食べてもらって合格点です。気分いいです。音楽も、叩き上げるって大事だなと思わせるレコードです。録音にする前に、ステージで何回もやってみるでしょ。間違いなく聴衆に最も受ける演奏ってあって、それを決定バージョンにする。そんな制作過程が想像できます。
ハードロックやプログレなんかを聴いていると、耳に傾斜がつくでしょ。そうした耳に逆に響くのはこうしたシンプルなロケンローです。シンプルだからって、手がかかっていないわけではない。わたしのマッシュポテトは1時間かかります。何よりギターのトーンが素晴らしいです。こんなにギターが綺麗なレコードってあまりないですよ。スティーブ・ニックス参加。当時二人は付き合っていたんじゃないかと思うほど、息ぴったりです。おすすめ。2024.11.02
−僕は、全世界制覇を成し遂げる可能性のあるブリティッシュ・ロック・バンドが彼らだけだと思っている。−わたしは英国で彼らのステージを見て、一流だと確信したの。−僕は歩兵でいい。ジューダスといっしょに歩んでいこう。…いかに時代とは言え、これ文筆家の文章だと思いますか。もっとバンドの性格や音楽を分析しろよ、と僕は思ってしまう。自らの不勉強を棚に上げ、ハードロック弱者を扇動しようと企む文筆貧者の駄文に付き合っている暇はない。音楽ライターは気楽でよい商売だ。
ジューダスで脚光を浴びるポジションはボーカルと両ギター。でも、もっとも負荷のかかっているパートはドラムズです。オン・ビートとバック・ビートを1曲の中で使い分け、速いリズムに付き合って…いやリードしなくてはなりません。このレコード、負荷がかかり過ぎて、ドラムズが手打ちになっている気さえします。重さが足りません。ジューダスのドラマーがたびたび交代しているのが納得できます。
スプーキーの「ベター・バイ・ユー・ベター・ザン・ミー」を演奏しています。ほぼ原曲に忠実なアレンジです。この曲と「エキサイター」ぐらいしか聴かないでしょうか。「ヘル・ベント・フォア・レザー」や「ブリティッシュ・スティール」前の練習、という趣さえします。
ところで政則氏は、堂々と「固定された階級」だと誤訳しているのです。それもグレン・ティプトンが教えてくれたとウソまでついて。これはひどいです。2024.11.01
ツイン・リードは、グドンを捕食するブス顔の怪獣です。間違えました。70年代に流行したJKのヘアスタイルです。…どうも、ウィッシュボーン・アッシュの真面目過ぎる音楽に接すると茶化したくなるわたしです。いや、彼らの世界観はもろく、はかなく、美しいことは承知しています。でもなあ。イーグルズの「デスペラード」を、カラオケで絶唱するじじいにも似ていて、そこまで思い入れんでも、と思ってしまうんです。「エピタフ」を聴いて、涙まで流していた、厨房の自分を、こん日では恥じていますんで。
誰が何と言おうと「最高傑作」なんでしょう。でも、日常的に聴ける音かと言われると、つらい。だって「ウォリアー」聴きながら、えんやこ〜ら、と合いの手入れたくなりませんか、あなた。この曲調、ため過ぎだと思われませんか。ためている分だけ気持ちを高ぶらせておいて、カタルシスが♬ガット・ビーア・ウォリアー、程度って詐欺じゃないんでしょうか。ギターだけでなく、ベースもランニングしまくる音盤です。そこの部分の説得力は認めるので、重苦しいボーカル・パートを外してくれんでしょうか。2024.10.31
悪質クレーマーの電話に小1時間付き合いました。上司から指示が出ていて記録をとりながら、です。記録とは将来の刑事告発を想定してのことであります。仕方ありません。仕事なんだから。やるべきことをやれ、です。「テイキン・ケア・オブ・ビジネス」は、「仕事に御用心」と誤訳されて現在にいたっていますけど、本来はそういう意味です。この曲のヒット、ビルボード12位によりBTOは北米全土に浮上しました。自分の薄給と、やらされている仕事の悲惨さを天秤にかけると涙が出そうですが…聴くしかありません。ぐすんぐすん。
泣いていても突破口がないか…。来年も同じ職場でしたら退職することに決めました。希望は正式に出しているんだし。わたしがやらされている仕事なんか、誰もやりたがらないだろうから、その時あわてればいいんですよ。ハードロックは、心がこのように荒んでいる時、実にすっきりします。間違ってもホイットニー・ヒューストンなんか聴きたくないですもん。「トランプ」にいたっては、職業が乞食ですよ、みなさん。街角で10セントねだるのが彼の仕事ですよ。彼らは低所得者、貧乏人、長時間労働者の痛みをわかってくれる存在です。「ブロウン」「レット・イット・ライド」「ギビット・タイム」も入っています。2024.10.30
軽快なブギ曲、「ギミ・ユア・マネー・プリーズ」から幕を開けるBTOの73年ファースト盤。最初から正直でよろしい、です。大ヒットとなる「II」、「ノット・フラジャイル」の片鱗を見せつつも、ブリティッシュ・ビートの影響が強くうかがえる出だしであります。ゲス・フー時代にヒット曲を持っていたとはいえ、発表当時のバックマン兄弟の名前は無名に近く、徹底的にライブをこなすことで彼らは人気グループにのし上がっていった、と聞いてい
ます。ライブ映えするように、どの曲も印象的なコーラス部分と単純なリフ、リズムから成り立っています。また、彼らの強みはハードブギを基調としながら、ジャズ、ボサノバ調の曲を持っているところ。よく言われるように、単純な曲しか書けなかったわけではありません。
レコードは、ひとつのライブ・アクトとして楽しめる曲構成で、最終曲「サンキュー・フォー・ザ・フィーリン」は、ライブでも最後に演奏されていたようです。日本公演では「サンキュー・ドーモ」という曲名で演奏されました。「シンパシー・フォー・ザ・デビル」に似た愛すべき曲です。2024.10.29
ゴッズはレコード・デビューする前に形態を3度変えています。ヘンズレーのほかのメンバーは、
1 ミック・テイラー、ジョン・グラスコック、ブライアン・クラスコック
2 ジョン・コナス、ポール・ニュートン、リー・カースレイク
3 ジョン・コナス、グレグ・レイク、リー・カースレイク
この段階を経て、ポール・ニュートンが戻って録音されたのが、ファーストとこの盤です。ヒープのリスナーは、バンドの中心がヘンズレーであることを知っています。ヒープのデビュー時のメンバーはすでに揃っていたわけです。
彼らがビートルズに影響受けたサイケ・バンドであることが明らかになります。わたしはビートルズのあと、ピンク・フロイドとヒープのユーザーになるんです。自分の耳の確かさと言いますか、頑固さに気づきます。ほんとゴッズの音はビートルズにそっくりです。ディープ・パープルもビートルズのカバーから出発していることを考えると、案外ビートルズはハードロックのインキュベーターかも知れません。2024.10.26
愛すべき名盤をレビューいたしましょう。レビュー二度めです。二種類所持しているのでご勘弁を。イントロのパイとジョン・ペリーの野太いベース音から興奮させます。わたしはカンタベリーで、ジョン・ペリーほどの使い手ベーシストを知りません。彼のインパクトあるベースは、多数のバンドに重宝され、その割には2枚制作するとバンドを離れてしまう、渡り鳥ベーシストです。ルパート・ハインやマイケル・ジャイルズとお友達であることでも知られています。
次に特筆するのは、リチャード・コフランという特異な叩き手です。若干モタりながら入って来て、フレーズの最後に叩きまくって帳尻を合わせてしまうドラマーです。手の遅いフリオ・キリコと申しましょうか。曲の間中ソロ・ドラムズを叩いているようなもんで、これを好きになるとキャラバンは一生もののバンドになります。
そして鍵盤の水彩画家、デイブ・シンクレアです。わたしは「ザ・ドッグ・ザ・ドッグ」のアープを聴くと毎度昇天してしまうのです。この曲、眠気をもよおすような田舎フレーズから入ってくるので、後半の丁々発止のソロ合戦を聴き逃している人が多そうです。最後にビオラという特殊楽器を操るジョフリー・リチャードスンです。頼りなげなパイも好きで、わたしは好きなもの満漢全席と呼んでいます。さあ、食べなはれ。2024.10.25
ハードロックのユーザーといえども、マウンテンまで聴いている人は珍しいと思います。ブルーズを大いに引きずった音で、英国の構造的なハードさとかなり違います。MC5やアイアン・バタフライと同じような感覚で、これが74年まで続いたのは、シーラカンスが現在に生きている様子に似ています。この盤は、彼らが一度解散したあとの制作で、クジラに引きずられる漁師物語をえんえんと演奏していた頃とは様相が異なっています。ストーンズの「サティスファクション」を演奏しています。原曲をまるで感じさせないアレンジで、コアを叩き続けるような曲調です。
フェリックス・パパラルディの抒情性はだいぶ引っ込んでいます。ハードロックのユーザーには入りやすい音であるんですが、かつての売りの物語性は皆無なので、リスナーを選ぶでしょう。さて、マウンテンはこれで解散したことになっています。しかし85年と02年に単発的に新譜を出すんです。わたしはそれを嫌いではありません。レズリー・ウエストという不器用なギタリストに、味があるせいだと思っています。2024.10.24
普通のハードロック・ギターをうどんに喩えれば、この盤のギターは、桐生の「ひもかわ」です。アツアツをそのまま食べたら間違いなくやけどします。ZZトップの優れた盤と、それほどでもない盤を分類するのは簡単で、タイトルがスペイン語でついているかどうか。しかし「メスカレロ」は、ニュー・メキシコ州に居留するネイティブのメスカレロ・アパッチに由来しています。人口1万2千で、大統領を選出しているそうです。アパッチは戦士としても優れている部族で、ヘリコプターにその名がとられているぐらい。ZZトップは彼らを尊敬しているのでしょう。
さて、毎度おばかなカバーアートに触れないわけにはいきません。今回ZZトップの三人は、強すぎるテキーラを飲んで骸骨に変身しています。相変わらず肉感的な女性と車とテキーラです。砂漠でタクシーを運転する魅惑的な女性に会ったと思ったら、彼女も骸骨だったというオチです。音は手間暇かけて歪んだ音をつくっていまして、カンカンなスネアと好対照です。さしずめハイ・ファイな爆音と言ったところでしょうか。2024.10.23
ブルーズ・ギターと言いましても系譜があります。アルペジオとサステインに特徴があるシカゴ・ブルーズの系譜。フリートウッド・マック時代のピーター・グリーンは、エリック・クラプトンと共にこちらの系譜に属していました。もうひとつの大きな系譜が、豪快なスライドを特徴とする米国南部です。わたしはこちらのほうが琴線に触れるらしく、「バッド・バッド・フィーリング」の壊れたスライドには頬が緩みっぱなしになります。グリーンはマック脱退後、米国で多様なルーツ音楽を探求し、このレコードは、さしずめ彼の研究発表のようです。
ただ83年の時代感覚はありません。わたしは、「ギターは泣いている」風の感情移入に不耐性であるらしく、ギターはうるさければうるさいほどいいと考えるユーザーです。なので全部が好み、というわけではありません。ピーター・グリーンのカタログがラインアップに入ってきましたので書いてみました。ギター好きの人を失望させることはありません。2024.10.22
濃厚な英国らしさに唸ってしまうフリーダムのラスト、72年。ドラムズのボビー・ハリスン、ギターのロジャー・サウンダーズの二人のコア・メンバーは変わらずです。「トゥゲザー」のカッティングの冒頭からバイオリンが入るところでまず驚きます。彼らが得意にしていたブルーズ・ハードの上に、ピアノや弦楽まで加わって、ルネサンスやカーヴド・エアのような風格を漂させているんです。
5曲目からが本領発揮で、バッド・カンパニー、ウイッシュボーン・アッシュがやりそうなダルなスロー・ブルーズをピアノが導きます。途中からルネサンスを思い出す性急なアンサンブルに。「ドリーム」の出だしは「レット・イット・ビー」かと思います。こちらのほうがいい曲ではないですか。さらに弦楽まで加わって彼らのビートルズ・シンパぶりがわかります。アルバム後半の完成度には言葉を失い聞き惚れるだけです。サウンダーズは、このあと病気で他界し、ハリスンはミッキー・ムーディとSNAFUを結成します。2024.10.21
「レット・イット・ライド」のビートは、ネイティブなアメリカ人のものを取り入れています。忘れがちなのが、アメリカン・ネイティブがカナダにも居住していること。以前カナダ州軍と武装したネイティブが対立した、なんて事件もありました。CD1のベストの選曲では、彼らの代表曲とともに「ウーリー・ブリー」が入っています。サントラ用の曲で、このCDにしか入っていません。
CD2には「ライブ・イン・ジャパン」の内容が全部入っています。この現役時代唯一公式ライブは、カナダと日本でしか発売されなかったものです。こちらには「サンキュー・ドーモ」が入っています。「サンキュー・フォー・ザ・フィーリン」の日本語版です。両CDとも、うれしいのが音圧です。現在のBTOのCD全集がどうなのか判りませんが、彼らのCDに不足していたのが音圧でした。2024.10.21
クラシックとロックの融合、なんてものを目指していたわけではなく、ブロードウェイみたいな音楽をやりたかったんだろうと、わたしは見立てています。バッファロー・スプリングフィールドの「エブリデイズ」を、ジャム形式で長い曲に仕立てています。演奏力を聴かせたい、というより、やっぱりミュージカルみたいなドラマチックな演奏にしたかったんじゃないでしょうか。わたしはこの路線のイエスが好きで、今ではファーストとこれしか普段聴きにしていません。このぐらいの短さがいいんですよ。携帯に着信があったり、荷物の受け取りに出なくてはいけない現代人には、長い曲が向かないです。
このCDには当時のメンバーの写真が載っています。いちおう、アイドル的な売りにしたかったらしいので、何枚も。クリス・スクワイアの不愛想加減が笑えます。ブルフォードさえ、可愛い表情「つくって」いるのに。背がばか高いゆえ、何考えているかわからない怖さです。おそらく、クラシック寄りにかじ取りをしたのはスクワイアなんだろうな…。ショービジネスを莫迦にしていそうな表情です。2024.10.19
古くからのUSロック・ユーザーのかたからしたら、風上にも置けない話ですみません。モビー・グレープのファン歴4年のたすけ、と申します。ボブ・モズレーは、多彩な素養と才能をもつメンバーの中でもリーダー格の人物だったと思います。彼らは全盛期の60年代に商業的にこけ、一端70年に活動を終了。71年に一時的再結成された「20グラニット・クリーク」でもやっぱり鳴かず飛ばずで、再び地下潜航してしまいます。このボブ・モズレーのソロは、「20グラニット・クリーク」の「ジプシー・ウェディング」を再演しています。もとの野蛮な感じを抑えた洗練されたアレンジで。
おそらく忌まわしいモビー・グレープという名を離れて、浮上する意図だったと思います。ヘビーロックから軽いポップスまで多彩な曲が並び、全てにセンスを感じさせるものです。ただ西海岸らしいからっとしたところがありません。カントリーでも苦味を感じさせます。そこがよいのです。2024.10.18
ジャケ裏に「芸術は気晴らしでなくて聖なるもの」という意味のコクトーの一節が書かれているデビュー盤。74年に出たと思えないほど新しい感覚のポップ・ミュージックで、今聴き直すと軽くめまいがするほどです。ビル・ネルソンが作曲、演奏で天才的なものを持っていたのは明らか。80年代に何食わぬ顔でニュー・ウェーブに溶け込んでいたのは、70年代アーティストでこの人くらいでした。セカンド以降よりネルソンのソロ活動に近く、ネルソン研究家にとっては格好の材料となりそうな楽集です。
ブルーズの影響をみじんも感じさせないのが彼のギターです。リフの類をほとんど弾きません。ワン・フレーズ歌うやいなや、流れるようなソロという展開です。このスタイルはブリティッシュ・ロックでは珍しいものだと思うんです。ブルーズ・フレーズこそ無縁なものの、BBキングのスタイルあたりから来ているのかもしれません。メロディもルーツを感じさせない不思議な明るさを持っています。近いのはブロードウェイ・ミュージカルでしょうか。
グラム・ロックとしても聴けるし、ハードロックとして聴いても違和感ないし、ビートルズ直系のビート音楽と言われても通用します。不思議な立ち位置にいる人です。2024.10.17
ジェントル・ジャイアントは、2009年に彼ら自身のレーベルALUCARDが設立され、全部のレコードが新装になった…はずです。わたしは何枚か買い直しましたから。ところが2012年にクリサリスは、このCD4枚組を出します。2013年にはCD5枚組のデモとライブの編集盤を出します。いったいGGの版権はどうなっているんだろう、と思います。わたしは何かALUCARD盤と違うのかと、全部所持しているのに関わらずこの4枚組を購入しました。結局、「ジャイアント・フォー・ア・デイ」と「シビリアン」が一枚で聴けることだけがメリットになっています。
過小評価されているGGの中でも過小評価されているのがこのラスト2盤です。いわくカバーアートがいい加減。いわくアメリカナイズされすぎ。仕方ないでしょう。彼らは本国でブレイクしたことがなく、認めてくれたのが欧州と北米だけなのですから。「フォー・ア・デイ」がオランダ録音、「シビリアン」が米国録音。「サンキュー」にしろ、「アンダーグラウンド」にしろイイ曲ですし、ほかの曲も手を抜いてなぞいません。聴き飽きてしまった「フリー・ハンド」「グラスハウス」より、こちらが面白い現在です。2024.10.16
ダムドのメンバーはヘンです。顔を白塗りにしたデイブ・バニアンがまずヘン。彼は歌ったことさえない、墓掘りの人夫だったといいます。そしてキャプテン・センシブルがヘンです。のちにソロで「ハッピー・トーク」をヒットさせてしまう、パンクと言う範疇に収まらないベーシストが彼です。そしてこれらメンバーを集めてバンドをやれると思ったブライアン・ジェームズ。曲をほとんど書いているギタリストです。彼のギターがなかったら音楽的に成り立っていないバンドです。彼はせっかく結成していた自分のバンドを、自ら脱退してダムドを組織する、ということをやっています。
セックス・ピストルズ、クラッシュと並べてパンクの頂点と言っていいです。最初曲の区別がつかなくて苦労しました。彼らがずっと演奏し続ける「ニュー・ローズ」にしてもどこがいいのかさっぱり、でした。ダムドの全体像はこの段階ではまだ見えません。…けど、ヘンなことだけはわかります。最初から社会を敵に回していたクラッシュと違って、彼らはステージで変わり種を演じる目的だった気さえします。ぬめっとしたパンク。わたしは好きです。2024.10.15
ちょっとずるいな、と思います。この盤の成功は、カール・レイドル(b)とジェイミー・オルデイカー(ds)によるものだからと感じられるので。アフロだろうが、ジャマイカだろうが、この二人にモノにできないリズムなどないのではないか。そう思うほど見事です。前半がカバー曲で、レゲエやエルモア・ジェイムズ曲がこちらです。後半はジャマイカで創作した曲たちなのでしょう。「ウィ・ビーン・トールド」のアフリカン・ビートとアクースティックの組み合わせが素晴らしくて、この曲だけを繰り返してもいいぐらいです。コーラスはイボンヌ・エリマンです。
エリック・クラプトンのレコード中では統一感があるものです。カバーの色が粘土の色をしているとおり、土着の中に入っていこうとする音楽。クラプトンが関わるとひなびた田舎音楽が、途端に色気を帯びてくるんですけどね。「461」や「スローハンド」より、こちらなんではないでしょうか。2024.10.11
音を拾い上げ、磨くセンスで双璧なのがピンク・フロイドとジョニ・ミッチェル。フロイドがエンジニアを含めたチームワークであることを鑑みると、ジョニの耳の良さは孤高の域にあると断言して差し支えありません。よく、秋の虫の鳴き声を音として聴き分けられるのは日本人だけと言われます。「ナイト・ライド・ホーム」の背後に流れているのは秋の虫の鳴き声で、その噂はブラフであることが判ります。欧米人だって耳さえ良ければ、なのです。全体に「ヒジュラ」の再演を感じさせるスケール大きな音像です。よくフォークに戻ったとレビューされています。「ヒジュラ」が、そうした人には「フォーク」に感じられるのでしょうか。随分とフォークを買いかぶっておられます。
ただ、ジョニ・ミッチェルがジャンルをひと周りして還ってきた、という見方には賛成です。アクースティック・ギターとビニ・カリウタのエスニック・ビート、ラリー・クレインのベースに特徴ある音です。わたしはそれぞれの曲の歌詞内容まで分析できていません。申し訳ないです。最後に、ここらへんあたりからジョニの高音が出なくなってきます。仕方ないです。2024.10.10
フィートのライブに外れなどあるわけがなく、HOT TOMATOレーベルから出されたライブは全て優れたものであります。中でもこの作品は、小さな会場、アコースティック・セットという意味でさらに趣があります。アコースティック・ピアノ、マンドリンなどが中心になった演奏で際立つのは、ポール・バレール、ショーン・マーフィー、サム・クレイトンの「声」です。フィートは、絶大な演奏力を誇るゆえ、ボーカルに重きが置かれたことがあまりありません。ローエル・ジョージは、ボーカリストとしても才能豊かであったため、彼がいなくなって不満があるとすれば、その点でした。バレールの声域の狭さをカバーするためのショーンの加入があったと思っています。
うれしいのは「セイリン・シューズ」冒頭の「イージー・トゥ・スリップ」の快演。この曲はフィートにしては珍しく、西海岸の雰囲気を一杯に持っている曲で、ライブお披露目はもちろん初めて。アコースティック・セットだから可能になった演奏です。ドラムズの音は若干引っ込み気味であり、それがむしろニュー・オーリンズのドタバタとしたリズムに感じられます。いいですねえ。このCDがお店なんかで鳴っていたら、バンドがどこにいるのかと探してしまうでしょう。それぐらい臨場感があります。最後に「ウィリン」の美しさは、比類ありません。2024.10.09
子どもが小学校に通っていた頃の話です。運動会は例にもれず、赤組と白組に分かれて戦う形式で、競技の優勝と応援の優勝(父兄が投票する)がありました。競技と応援双方で優勝することを「完全優勝」といい、小学校の歴史上それを成し遂げた組はなかったのです。ところが何の間違いか、ある年に赤組が完全優勝してしまいました。その瞬間泣き崩れた白組主将の景色を忘れることができません。あれは可哀そうでした。思い出したのが戸川純が「極東慰安唱歌」でやっていた「赤組のうた」です。彼女の実際の小学校校歌と運動会応援歌のメドレーには、涙が頬を伝いました。
「玉姫様」は、戸川の文学、演劇、音楽の素養が全て詰め込まれた傑作です。パッヘルベルのカノンが戸川純のカラオケにしか聴こえなくなる、おそろしいインパクト、特に歌詞のそれです。それと表現のしようもない同時代感覚です。彼女が校歌を歌った意味が、心底から「わかる」んです。ジョルジュ・バタイユや夢野久作は、わたしら世代のヒーローでした。わたし戸川純を半分すけべ心で聴いていました。でもアーティストとして位置づけざるをなかったです、仕舞には。このレコードの曲で地上波に彼女が現われたときの勝利感を想像してみてください。2024.10.08
トッド・ラングレンはワーカホリックです。スティービー・ワンダーやデイビッド・ボウイが来日した時、コンサートが終わって、飲みにも遊びにも行かず、そのままスタジオに入って朝まで出てこなかったという話を聞いたことがあります。トッドもその種類の人です。バンドとしてのユートピアをやり、ソロ活動をやり、大勢の音楽家のプロデューサーを引き受ける。しかも様々なジャンルの。このライブは「ハーミット・オブ・ミンク・ホロウ」のあと、ソロとして短い期間ツアーを行ったときの記録だそうです。そもそもソロ活動は、トッドの宅録仕事だったはず。それを新旧ユートピア・メンバーを連れて巡業したわけです。そしてタイトルが、止まり木に帰った、と。伝書鳩トッドは、このライブまで長い長い時間飛び続けていたんです。
トッドのプロデュース成果やユートピアの鉄壁な音づくりではありません。小さな会場で、ラフに録音されています。音の感触はかなりざらざらしたものです。ライブ感覚をそのまま残したんですね。そして聴かせたいのは珠玉のメロディ。メリーゴーラウンドに一人で乗っているような浮遊感です。トッドは、これら優れたメロディを書きながら、ほぼ誰からもカバーされていません。トッドが歌わないと、この雰囲気が出ないからだと思うんです。
「ハロー・イッツ・ミー」にデリンジャー兄貴やホール&オーツやスティービー・ニックスが加わって大団円です。でもマイクがオフになっているので、ニックス姐さんぐらいしか聴き分けられません。もっと盛り上げてもよかったような。2024.10.07
昨日「エレクトリック・レディ・ストゥディオ」が家に来て聴いているところです。「ファースト・レイズ」のため用意していた曲の採用にならなかったテイクをCD3枚にまとめた商品です。そもそも「ファースト・レイズ」は、アラン・ダグラスがスタジオに残された音源を、「クライ・オブ・ラブ」「ウォー・ヒーローズ」など切り売りしていた商品群が発端になっています。リリース権が、エクスペリエンス・ヘンドリックスに移って、エディ・クレーマーに再度監修を依頼し、新装になった商品です。
このレコードに収録されている曲の印象は、それ以前のものと根底から変わっています。ギターは楽器というより素材になり、多数のギター音が積み重ねられて曲ができるようになりました。顕著な例が「ナイト・バード・フライング」のクライマックスです。ヘンドリックスが10人もいるかのような豪華なギター・オーケストラがそれです。わたしは「ファースト・レイズ」を聴いて、彼が音楽をどこに持っていこうとしていたのか知ることができましたし、ブライアン・メイやトム・ショルツがヘンドリックスをフォローする意味がわかりました。没後すぐに商品化されていたら、ロックの歴史にこれが書き加わったと思います。ヘンドリックスのマニアだけが聴くだけでは勿体ないです。2024.10.06
事情があって、かみさんが実家に戻り、一週間ほど家事全部をひとりでやってました。家事といいましても自分の食事と弁当をつくり、洗濯し、掃除をするだけですけど。料理は好きなのでよいのですが、シンクを磨いたり、調味料を買い足したり、とけっこうやることが多くて、ですね。ジョン・レノンがオノ・ヨーコなしにつくったレコードを聴いているところです。でも歌詞を読むと、ほとんどオノ・ヨーコを連想するものばかりです。
このレコードを出してから、レノンは家事に専念し、長いブランクに入ってしまいます。オノ・ヨーコのビジネスを助けるためだっただろうと思います。ポール・マッカートニーのレコードを聴き直すとリンダの存在の大きさに気づきます。ジョン・レノンも同様です。わが国では、レノンの隠遁生活のせいか、「ダブル・ファンタジー」と事件の印象で固定された感があります。ほとんどそれ以前の曲はラジオでかからなくなってしまいました。天才実業家オノ・ヨーコのプロモーションの力をもってしても、レノンの印象は覆りません。残念なことです。
わたしが音楽を聴き始めた頃、ジョン・レノンは「アニキ」でした。ジャケ写真を見ると、彼は若いままで固定されて、くやしい限りです。じじいになった今、レノンとオノ・ヨーコの仕事を正確に位置づけなくては、と思いました。2024.10.04
まだレコードの手持ちが少ない頃聴いていただけあって、隅々までよく覚えています。昭和の頃レコード店にいくと、ジャンル別というより演奏楽器別のコーナーがありました。哀愁のテナーサックス、とか、ピアノで聴く歌謡曲とか。歌のない歌謡曲なんてラジオ番組もありました。世の中にはインストを好む人も間違いなくいらっしゃって、サンタナはそういう人の聴くバンドでした。フォーカスやジェフ・ベックがわが国で受けたのは、そうした背景があるとも思います。そのせいもあるんでしょうね。このライブに漂う昭和感覚は。
彼らの演奏する音楽は、不思議と聴き疲れしません。へんにアドリブを強調したりしませんし、教育的な意図で活動していないからです。それとPFMのライブに雰囲気が似ているとは思われませんか。わたしは大道芸感覚だと思っています。マウロ・パガーニやファビオ・プレモリが「ウイリアム・テル」をやりますでしょ。フォーカスの演奏はそれに近いです。クラシックを素養としていても、この割り切り方は潔いです。2024.10.02
小さな荷物をポストにお届けするヤマト運輸によるサービスです。全国翌日配達(一部地域をのぞく)、投函完了をメールにてお客様にお知らせします。
クロネコ宅急便の場合(3枚以上ご注文)、配達日・時間の指定可能
領収書の発行、ヤマト営業所留めも承っております。注文時に備考欄にてお知らせください。
VISA、Master、JCB、American Expressカードでの決済が可能です。
当店では、クレジットカード決済代行会社 株式会社ゼウスのサービスを利用しております。
お品物にお支払い用紙を同封いたします。ご注文日より2週間以内に、最寄りのコンビニにてお支払いください。
商品代金、送料の他に別途手数料210円をいただいております。
お品物に郵便振替用紙を同封いたします。ご注文日より2週間以内に、最寄りの郵便局にてお支払いください。
ゆうちょ銀行口座から電信でお振り込み可能です。
郵便局の口座をお持ちでなくても、お振り込みいただけます。振込み手数料はご負担いただいております。
お品物に振込先を記入した用紙を同封いたします。ご注文日より2週間以内に、お振込ください。
埼玉りそな、PayPay銀行にお振込いただけます。振込み手数料はご負担いただいております。
3枚以上ご注文の場合、ヤマトの代金引換サービス(宅急便コレクト)をご利用いただけます。
現金の他、クレジットカード、デビッドカードでのお支払いが可能です。
商品代金、送料の他に宅急便コレクト手数料330円(税抜300円)をいただいております。
中古CDを安心してお買い求めいただけるように、日々サービス面の向上を目指しております。