プログレッシヴ・ロックの中古CD豊富!プログレ、世界のニッチ&ディープな60s/70sロック専門ネットCDショップ!
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カバーアート裏面に小野小町の句が書いてあることに気づきました。
色見えで移ろふものは世の中の人の心の花にぞありける
この句のことのようです。人の心に咲く花は、見ることもできずに変わっていってしまうのだなあ、という意味のようです。外見の衰えは見えるけれど、心の衰えは見えないものだよ。好きな男が心変わりしていることに気づかない、と卑賎に解釈することもできますし、不変なものは心の中にしかない、と高尚に受け取ることもできます。…なんちゃって。間違いあったら指摘してください。
ウェブで新機軸のジャズ・ロック体制を飛ばしていたデイブ・ロースンは、日本趣味に触れて、サムライの路線になったことは疑いないです。テイストはジャズ、でも演奏とビートの激しさはロック。なにせパーカッション担当が二人います。管楽器も二人です。重管重打編成と名付けましょうか。ロースンの興味は鍵盤を演奏することより、歌うこととバンドをハンドルすることにあったと思います。この積極的中庸さが心地よいです。少し背伸びする感覚です。英国アングラを聴いているという気にはなりません。
ロースンの音を聴くたびに、彼なしにグリーンスレイドが成立しなかっただろうことが確信できます。2024.12.04
若干18歳のセミプロ3人が71年に残した盤。1曲めから「すさまじい」としか言いようのない割れたギターの洪水と重いリズムで、あっけにとられます。ブルー・チアーのデビュー盤といい勝負でございます。カバーアートの印象とレーベルのカラーから、叙情的な音を予想していると見事に裏切られます。(ま、カケレコさんのユーザーさんなら、そんな方いらっしゃらないですね。)
曲づくりは、リーダーでギタリストのジョン・シムズが担っています。単なるヘビーサイケと考えるにしては、展開が多くて次々と意表をつく仕掛けにあふれています。自分たちでも、どう曲をまとめたものか、分らなかったんじゃないかと思います。残念ながら、着想の豊かさに演奏力がついていっておりません。ちなみに、ロジャー・ディーンのイラストがこのアルバムのテーマで、機械仕掛けの翼に乗った主人公の冒険譚だと思われます。2024.12.03
ビートルズ、キンクス、フー、ニック・ロウを聴いていて、泣きたくなる時ってありませんか。もうこれで人生の目標が達した。この音があれば、ほかの音楽いらないや、と思う瞬間です。わたしは音楽乞食なので、だらだらと色んなものに手を出しています。けれど、ステイタス・クオーの音を聴く時、もうほかに音いらないや、という満足感を感じます。そりゃクオーのユーザーを続けていますから、CDごとの好き嫌いや、注文はありますよ。でもそれは、彼らの圧倒的なメロディとコーラスの前にはどうでもいい話です。「パワー・オブ・ロック」を聴いてしまえば、多少の注文は些細なことに過ぎません。
このCD、ポスト・パンクを通り抜けてきた音です。彼らの立ち位置は、ハードロックと言っても通じますし、グラムでもかまいません。ニュー・ウェーブの中にいても不自然ではなかったんですね。英国にはビートルズとクオーしか知らないし、聴かない人って多そうです。音楽乞食でない、リスナーの達人たちが。2024.12.02
ふと思ったんですけど、タイトルはストーンズの「レット・イット・ブリード」に呼応している、と考えると辻褄が合いそうです。70年当時ビートルズは散々バカにされていましたから。レノン=マッカートニーが好き過ぎるハルソールでしたら、やりそうです。
トニー・ニューマンのコメントに依れば、ボクサーの4人のメンバーには言葉がいらなかったそうです。お互いが理解し、何をやりたいか共有していた、と。早逝したパトゥ、ハルソールを偲んで、なんで俺は生き残っているんだろう、と嘆いています。そのぐらい仲が良かったらしいんです。カケレコさんのユーザーのかたなら、このひねくれて、かつロックの醍醐味を知り尽くしたような音の冴えを共有してくださるでしょう。これが3年もお蔵入りしていたのは不幸でした。たしかパトゥの逝去と同時ぐらいのリリースでした。…しかもCDリリースにいたっては2012年にやっと、です。「ヘイ・ブルドッグ」だけでなくて、ニール・ヤングの「ザ・ローナー」、レナード・コーエンの「ティーチャーズ」やっています。両方ともとんでもない重さです。2024.12.01
ヘンドリックスの70年のライブ音源に、評価が高いものはありません。「ステージズ」というライブ箱がありました(現在廃盤)。各年のライブ代表を4枚にしたもので、70年はアトランタの音源が選ばれています(現在は「フリーダム」として公式盤化)。バークレーは、ファースト・ショウの激しさ、セカンド・ショウの渋さと言われていまして、これはセカンド・ショウになります。夜10時から12時までの公演です。バンド・オブ・ジプシーズが失敗して、ビリー・コックス、ミッチ・ミッチェル。
「ヘイ・ジョー」の演奏でわかるんですが、ヘンドリクスもミッチェルも4年前の曲の演奏に飽きています。もっとも聴きものになりそうだったのが「ブードゥー・チャイルド」でした。テンポが性急で、これはユーザーが望む音ではありません。「パス・イット・オン」「ヘイ・ベイビー」という新曲に馴染みがなく、オーディエンスは旧曲を求めただろうと思います。「マシン・ガン」も煮え切らない演奏です。ただし録音はよろしいです。臨場感がこの盤の命です。2024.11.30
フォーカスでもっとも好きな盤です。「ハーレム・スカーレム」というハード曲があるからです。ピアノとベースのユニゾンで進むテーマのところはよいですね。ELPの「タルカス」の中に入っていてもおかしくありません。アケルマンのギターは不思議で、テクニックある割にわざとカナ釘流に弾くんです。そのへんのお茶目さが憎めません。
彼らの良さは、リスナーを教育しようとしないところにあります。見世物、大道芸に徹しているようで、潔いです。名曲「ハムブルガー・コンチェルト」では、メンバーだけでクラシカルな組曲を演奏しきってしまいます。(一部「ヒア・カムズ・サン」から流用しているところも好き。)管楽器かな、と思わせるところは、ハモンドとオーバーハイム。ティンパニ、リュート、フルートを上手に使った20分です。面白いのが、プロデュースをマイク・バーノンに頼んでいることにもあります。英国ブルーズの仕掛人で、バーノンは裏方仕事が上手なんでしょうね。2024.11.29
ブルーズに根差した古典的ハードロックです。それもマウンテン時代からさらに重たくなった印象の、です。わたしはマウンテンというバンドを、フェリックス・パパラルディの手の平で踊るレズリー・ウエスト、という風に見ていました。パパラルディを過大評価していたわけです。実際はマウンテンというバンド、レズリー・ウエストという巨大な個性なしには成り立っていません。ウエストの背中にパパラルディがおんぶしていた、という見方が正しいようです。というのは、ウエストがソロになっても、マウンテン再結成しても、ぶれていないからです。
75年なら、ツェッペリンが「フィジカル・グラフティ」を出していた頃です。エアロスミスなら「トイズ・インジ・アティック」です。ハードロックの地殻変動を、ウエストは感じていないかのようです。でも一本気なハードロックが心地よいことも事実です。相変わらずコーキー・レイングのドラムズは野暮ったいですし。
「ディア・プルーデンス」をやっています。コードをマイナーに変えて悲痛な調子です。2024.11.26
名盤度で「カインド・オブ・ブルー」や「ワルツ・フォア・デビー」にひけを取りません。54年のNYライブ録音で、4曲めまでは当時10インチで発売されています。その後6曲めまでが12インチになり、このCDは2001年のリマスターです。何と申しましてもトランペットのクリフォード・ブラウンです。彼が参加する録音は、どうしてこんなに明るくなるんでしょうか。速くて正確で美しいです。テーマはルー・ドナルドスンのアルトとユニゾンになるんです。このユニゾンが綺麗ですねぇ。
立ち上がりはホレイス・シルバー曲の「スプリット・キック」からです。速めの演奏で、各人のソロ持ち場もたっぷりあり、ブレイキー親父の叩きまくりもきちんとあります。自己紹介としてこの上ありません。5人組演奏なのに音が厚くて、時々ビッグ・バンドに聴こえてきます。そして5曲めに「ナイト・イン・チュニジア」ですよ。テーマはうっすらとしか出てこなくて、メンバーの力技重視の演奏です。かっこよいです。
CDのアートワークは、10インチのものを再現しているそうです。日本盤LPは12インチのもので、デザインが2種類あります。VOL.2もあります。2024.11.27
デイブ・エドムンズが噛んでいることを知りませんでした。プロデューサーとして、です。それだけでなく、彼らの米国デビューを請け負ったのはトッド・ラングレンです。少なくともこの二人は、フォグハットの本質と将来性を見抜いていたわけです。B級とカテゴライズしてしまってごめんなさい。彼らの本質とは、ブルーズの70年代的展開です。再構築と言っていいと思います。
英国で50年代の曲をコピーしていたって、シカゴ・ブルーズには勝てません。せいぜい、島国のブルーズ愛好家から親しまれるだけです。最初に持ってきたのがマディ・ウォーターズの「アイ・ジャスト・ウォント・メイク・ラブ・トゥ・ユー」。倍速で演奏して全然違うアレンジにしています。ぱりぱりのロックロールの中に「サラー・リー」という美しいギター曲を紛れ込ませています。「ディア・プルーデンス」の再演かと思いました。締めくくるのがメロトロンを背景にした7分の「ガッタ・ゲット・ノウ・ユー」です。響きわたるのはバグ・パイプではないんですかね。ほほう、と最後に感嘆が漏れてしまう…優れたデビュー盤です。2024.11.27
ステイタス・クオーと並び、B級というカテゴリーからはみ出すことはないバンドです。これはけなしているのではありません。A級は売れるし、歴史に残るし、尊敬されるでしょうけど、…飽きます。B級カテゴリーには飽きるという文字がありません。いくらでもコシヒカリをお代わりすることができます。極上のたらことか、ぱりぱりの海苔がごはんの御伴として貴重なように、フォグハットの音楽は偉大なのです。
ただこの盤でバンドの片腕、ロッド・プライスが抜けています。ロンサム・デイブの強靭なリズム・ギターとロッドのスライド・ギターが二枚看板でしたので、そこは残念なところです。新加入のギタリストが悪いわけではありません。80年代を迎え、フォグハットはロカビリーの時代がもう一度来る、と見越していたようです。それは一方の事実でした。しかしフォグハットがその恩恵にあずかることはなかった。ぱりぱりのロケンローが聴けて「トゥー・レイト・ヒーロー」という名曲もございます。2024.11.26
電化したフォークは、「フォーク」なのでしょうか。わたしが最初に聴いたディランの固有名詞は、ガロの「学生街の喫茶店」の中、「片隅で聴いていたボブ・ディラン」です。そんな歌手の名前なぞ知るはずもなく、ラジオでもかからない彼の曲は、さぞかし古めかしく素晴らしく王道なのではないかと想像したものです。その後音楽シーンに入ってみると、ディランが生きているばかりか、現役で、次々と新譜を出していることを知ります。音楽家や評論家の誰もが最高の評価を下していました。雑誌でロック名盤100選とかやると、ビートルズが「サージェント・ペパー」だけなのに、ボブ・ディランは3枚ぐらい入っていました。この盤がまさに、です。
わたしは彼の音楽に不耐性です。歌を上手いとか、心に染み入るとか思ったことがありません。しかし、この盤の破天荒さ、疾走感を買います。そしてフォークなどではないと感じます。どっちかと言えばブルーズです。「ハイウェイ61」は特に、です。ガロやわが国フォークの人が好きなのは「風に吹かれて」のほうなのでしょう。ディランを片隅で聴く必要なんてありません。堂々と排気量の大きな車に乗って、大音量で鳴らせばよいのです。2024.11.25
フェイセズのオリジナルLPは4盤しかありません。ユーザーは擦り切れるほど4盤を聴く羽目になります。…それだけでなく、コアなユーザーは必ずこのベスト盤を持っています。というのは「プール・ホール・リチャード」と「オープン・トゥ・アイデアズ」が、この盤でしか聴けないからです。特に「オープン」のほうは、彼らが録音していながら未発表に終わっている最終盤から収録されています。メンバーだった誰かがこの録音を解禁してくれないでしょうか。
上手いバンドではありません。フーとストーンズの中間のような音づくりは、ちょっといなたいです。でも英国ロックのユーザーで彼らのことを好きにならない人がいらっしゃるでしょうか。ロッド・ステュアートが素晴らしいシンガーであり、ロン・ウッドやケニー・ジョーンズが現役の演奏家であり、…以外の魅力がロニー・レーンです。レーンは「粋」を英国に持ち込んだ人だと思います。97年に多発性硬化症で亡くなっています。彼の医療費チャリティのため、ジミー・ページやタウンジェンド、ジェフ・ベックはじめ多くの仲間が演奏したことがあります。活動できなくなった晩年のレーンを生活費で支えたのは、ステュアートとロン・ウッドだったようです。2024.11.24
ウィンターの絶え間なく流れていく演奏を聴いていると、何やら笑けてきます。余りにすさまじくて…。しかもこのギターを弾きながら、情感たっぷりに歌うわけだ。そんなに歌上手くないけど、ブルーズ・シンガーとすれば及第です。さすがシカゴでアフリカ系アメリカ人の中で修行していた人です。ファースト盤のいくぶんモノクロームな世界に比べると、打楽器や電気ピアノやサックスが加えられていて極彩色の録音盤です。録音場所に選ばれたのはナッシュビル。カントリーの街での収録ながら、かなりロックンロールになっています。
ジョニー・ウインターが職人にならず、絶えずシーンに存在し続けたのは、弟エドガーの存在が大きかったと思います。でも、この弟…ほんとに兄ちゃんのこと考えていたのかな。兄弟なのに、この二人、得意とするジャンルがものすご〜く異なっているんです。「ジョニーBグッド」や「ハイウェイ61リビジテッド」は、ジョニーが演りたがっているように聴こえないんですよ。2024.11.23
クラプトンばかり聴いて「ブルース、ブルースゥゥ」と叫ぶ人は、このレコードも聴けばよいのです。泣きそうな顔で弾くのがブルーズ・ギターではありません。
ジョニー・ウインターのすごいところは、超絶的な速弾きを聴かせながら、3割程度余力を残しているところです。このライブは、ブルーズというより、ストレートなロック寄りの演奏です。ギター好きのユーザーで満足できない人はいないでしょう。「スイート・パパ・ジョン」12分のスライド・ギターの破壊力は、並みのメタルでは太刀打ちできません。巨大な演奏をシャワーのように浴びることが出来るライブの名盤であります。
「ハイウェイ・61リビジテッド」は、ボブ・ディランの曲の中でも攻撃的な曲。それを拡大再構築した演奏がハイライトです。7分過ぎのフロイド・ラドフォードとのダブル・リードになる部分では総毛立ちになります。ラドフォードは「ティン・ハウス」の唯一作での弾きまくりソロが大変様になっていたギタリスト。ウインターの相手役として、同じスタイルを持つこの人ほど適役はいないでしょう。オーディエンスが本当にバンドを称えていることが判ります。2024.11.22
プリティ・シングズは、一言で言えば、という特徴をなかなか見出しにくいグループです。一つは前盤「SFソロウ」と、この盤の間にある巨大な断層をなかなか説明できないからです。彼らはビート・バンドとして出発し、ロック・オペラの名作を2盤続けてアーティスティックな評価を加えました。その勢いで長期の米国ツアーに出発し、その体験が自分たちの音楽をすっかり変えてしまったとフィル・メイがライナーで語っています。ツェッペリンやジミ・ヘンドリクスを別にすれば、70年に米国の洗礼を浴びたグループの経験は、かなり早いです。
米国に驚いた、というより、英国の狭さに気づいたのがメイの言いたい意味なのでしょう。音楽ファンは白人音楽だけを聴いているわけでないし、欧州の歌謡曲なんか誰も知らないでしょう。カントリーの大らかさやR&Bの豊かさ。米国の体験は、シングズの箱庭的音づくりをぶち壊してしまったのだと思います。
「フリーウェイ・マッドネス」は大陸横断のあいだ、彼らが聴いたUSラジオの音楽と喧騒と発見に満ちています。ボードビルのような騒がしさ、アクースティックの広いレンジなど、今までプリティズになかった要素です。そしてこれが「シルク・トルピード」「サベイジ・アイズ」の基盤になっていきます。2024.11.21
「イヤー・オブ・ザ・キャット」のレビューでも書きましたとおり、わたしとアラン・パースンズの音づくりは、非常に相性が悪いようです。パースンズの音を簡単に言ってしまうと「ピーク・カット」です。事前に歪んだ音をチェックして、危ないところを全部回避するプロダクションと言えるでしょう。言わば無難な音です。ロック的なダイナミズムと言われても、どこが…と。初期のアル・ステュアートのほうが余程冒険しています。
もっとも、通俗的な歌謡曲になるかならないかで音楽を成立させてしまうステュアートの気高さは独自のものです。大して歌上手くないし、歌い方もワンパターン。でも、人間的な深みがあるんでしょうか。最後にはねじ伏せられてしまいます。賤しい出自のわたしが、高貴な人の前に出て、ははあ、と恐れ入ってしまうような。ちょっと形容がひどいですか。「バレンティノ・ウェイ」のギター・ユニゾン、「オールモスト・ルーシー」のスペイン風ギターが好きです。2024.11.20
80歳でしたか。ピート・シンフィールドを思い留めるために書きます。クリムゾン・デビュー時の商品は何だったのか。疎外感、絶望、閉塞感。ここでの曲はあらゆる負のベクトルを負っているかのようです。楽曲はマネジメントされていません。マイケル・ジャイルズは叩きまくるだけですし、グレグ・レイクは雇われた歌手でしかありません。ロバート・フリップもまだロビン・トロワー・ギター塾を卒業したばかりの駆け出しギタリストです。彼ら若者たちの羅針盤になったのはシンフィールドのコンセプトでした。
せいぜいが戦争はいけないとか、愛こそが究極の欲求とかが当時のメッセージ。そこへ、お先真っ暗、21世紀も我々は分裂し続けるだろう、混沌から逃れることはできない、という歌詞を、情緒たっぷりに突きつけられたわけです。これは意識的であろうとしたユーザーを惹きつけたと思います。加えてこの盤、シングルで聴くわけにいきません。ビートルズでさえ、シングル中心だった時代にLP盤でしか買えない高級な売り方をしたわけです。クリムゾンはこの盤以外、大して売れていません。あとの盤は、商品価値がわかりにくいからです。
偶然か計算か、シンフィールドの商業的野心がこの盤のポイントです。彼らが芸術家でなく、商売人であった証拠に、誰もおかしくなった人いないでしょ(ジェイミー・ミューア除く)。けっこう生き延びているでしょ。この盤があるおかげでシンフィールドは、老後安定していたはずです。演奏しないでみんなから覚えられている人、あなただけだったですよ。安らかに。2024.11.19
デビューはラフ・トレードのシングル「ツリーズ・アンド・フラワーズ」。これを聴いたわたしはネオアコだと思いました。晴れてWEAに移籍し、ロングプレイ発表。これが爆発的なブームになったんです。日本にまで来ました。仕掛人は、エコー&ザ・バニーメンのウィル・サージェントです。デイビッド・ギルモアがケイト・ブッシュを紹介したり、ジミー・ペイジがレズ・ツェッペリン連れてきたり、と同じ流れか、と。ガールズ・グループをレーベルに紹介するのが一流の証なのかも、とは思いませんけど…。
演奏力が、とか歌唱力を言っても無意味です。ルックスとコンセプトが勝負の二人組です。スイッチブレードとは飛び出しナイフの意味なんで、攻撃的意図があったことが明らかです。水玉とレース模様が、使いようによってパンクになる、という決定的な仕事をやってのけています。この盤がCDになっているのはわが国だけです。このバージョンには11曲収録。20曲のバージョンもあります。2024.11.18
音楽家の売っている商品は、どう考えても「時間」です。それもテイクアウトの。シングルヒッターが120円の回転寿司を売っているとすれば、プログレ・バンドの売っているのはコース料理。ユーザーは、必然的にお金があって探求心のある、つまり自由に使える時間のある人、ということになります。わたしの経験では、家庭ができて、仕事が忙しくなって、交友関係も増えた30代に、ほとんど自由に使える時間がなくなりました。するとテイクアウトのファーストフードを食べるのがせいぜい、になりました。音楽と外食を並べて書いていて、わかりにくくてすみません。
トランスアトランティックの売っている料理は、イタリア料理、フレンチ、和食の名人料理人が集まって、一軒のレストランで食べてもらおうというコンセプトです。なぜって、コース料理を食べてくれる人が減ったから。まずはコース料理の楽しさを知ってもらおう、と。しかも競走関係にある老舗に「フロイド屋」とか「イエス亭」とかあるわけです。並大抵の商売ではないです。たまにトランスアトランティック軒に行きたくなるのがわたしです。2024.11.16
とっっっっっっっっっても良いことに、音の隙間がたっっっっぷりです。感心するのがフィル・ラッドのドラミング。叩きまくりたいだろうに抑えて、ばすっばすっというビートに徹しています(いや、本当は投げやりなのかも判らんけど)。AC/DCの泣きどころは、ボーカルが同じ歌い方(いや、本当は叫んでいるだけなのも判らんけど)なので、メロディを愉しむ、ことができないところ(これは、ジョーディーの時代からそうなの)です。必然的にメロディを聴こうとする耳は、ギターの旋律を追うようになり、ギターの熟成ぶりに気づくのです。ああ、気持ち良い(と、いいトシでAC/DCに嵌まっている老人は気持ち悪い)。
ベスト曲は、デルタ・ブルーズのようにアクースティックで始まる「ブギー・マン」と思います。かっこいい〜。必要以上にギターが歪んでいないのも好感です。ジョン・リー・フッカーでしたら、おおっ、俺にも演らせてくれ、と叫ぶでしょう(叫ばんか…)。続く「ハニー・ロール」は、ジョー・ペリーの下手さ加減を皮肉っているでしょうか(いない、いない)。レビューが明るく書けるって大事です。2024.11.14
サンタナの「哀愁のヨーロッパ」や、ツェッペリンの「天国への階段」。これら「名曲」と呼ばれている音楽を、今聴きますか。わたしはヘソまがりなので聴く気が起こらないです。脳内で再生できるし、感動は揮発してしまいました。「エブリ・デイ」や「スペクトラル・モーニングズ」も同様です。一方で初期の感動が持続する、と言いますか。聴くたびに自分の理解の浅はかさに気づく音楽というものも確かにあります。残念ながらハケットのそれはセカンドのほうです。
バンドのメンバーを決めてから6か月スタジオでセッションしたのだそうです。ライブをこなすため。外気温氷点下のオランダだったと書かれています。ソロ作というのは方便で、実際はリーダー作。本当にソロでやれる人はジョニ・ミッチェルとかロバート・ジョンスンとか天才と呼ばれる人だけ。ハケットがリアルに「バンド」編成になった楽集という位置づけです。以後彼の快進撃が続くことをかんがみれば重要なステップだったと思います。今回聴き直してみました。前段の印象は変わりませんでした。2024.11.14
どこかジョージ・ハリスンのイメージと重なってしまうアル・ステュアート。わたしCDでは現在蒐集中ですが、かつて(ほぼ)全盤所持していた彼の創作の中で、この盤が最も好きです。「ローズ・トゥ・モスコー」「ターミナル・アイズ」「ノストラダマス」と畳みかける後半の説得力は飽きることがありません。と申しますか、ラジオ番組でこの部分を聴いてしまったがために、あまり著名と言えない彼の諸作に親密さを抱いたのです。
パーソナルなつぶやきをつま弾いていた初期の曲から、レンジがぐっと広がった作風です。プリンスの「1999」と同様、ノストラダムズの特異な経歴に焦点をあて、ステュアート流の時空を構成しようとしています。ナチスから郷土を守ろうとする「モスコー」、ステュアート自分史を展開する「ポスト・ワールド・ウォーII・ブルーズ」にその意欲が現われています。とにかく趣味が良い。こけおどしなく淡々と曲を進めながら、多彩な楽器、弦楽、管楽器が入ってきます。聴いていて「おおっ」と声を上げてしまう、珍しいフォーク盤であります。2024.11.12
好きなキャラバンと言えど、この楽集を取り出すことがあまりありません。彼らは「ニュー・シンフォニア」のあと、初の全米ツアーに出かけています。サポート・アクトとしてです。正直その時まで井の中の蛙状態だったんじゃないでしょうか。「フォー・リチャード」はじめ、自分たちのおすすめ曲を演奏しても…どうも受けない。キャラバンの楽曲は、どの曲も初めて聴いてはっと覚えるようなものではありません。「ゴルフ・ガール」のような短い曲では、まったりしたポップに感じられるし、長大曲はイエス、ELPのような見せ場を持っているわけではない。自信を失ったと思います。
そう考える根拠は、旧A面の「ショウ・オブ・アワ・ライブズ」以降続く5曲にあります。メロディは覚えやすいけれど、キャラバンらしい個性がありません。素晴らしい「聖ダンスタンズの盲犬」へたどりつく道程と考えると納得できます。大曲「ダブソング・コンシャートウ」にしても、デイブ・シンクレア以外メンバーのキャラクターが不足しています。好きなバンドゆえ、辛口に書いてしまいました。2024.11.11
第二期のディープ・パープルは、ジャケ・デザインが良くて、レコード店でどれを購入しようかと迷ったものです。ツェッペリンが4盤め以降、メンバーの顔を出さなくなったのと対照的。ロック・デザインの王道です。米国盤には「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマン」が入っていて、「デモンズ・アイ」が入っていません。英国盤より先行発売するため、この曲だけ間に合わなかったそうです。先行させた理由は、大規模な北米ツアーのため。「イン・ロック」以降の彼らが大人気となった事実がわかります。ツェッペリンのIIがツアーの合間にゲリラのように制作されたことは知られています。「ファイアボール」は、IIのような慌ただしい制作となったのでした。
曲では「ザ・ミュール」と「ノー・ノー・ノー」でしょうか。特に「ミュール」のフロイドのような呪術的展開に恐れ入ります。この時期にはプログレとハードロックはジャンルが分かれていなかったんです。レーベルもハーベストですし、多少は参考にしたかも知れません。「ファイアボール」を聴くときは、低音を強調して聴いてみてください。コージー・パウエル並のダブル・ベースドラムにのけぞります。2024.11.10
斜陽都市デトロイトを、このCDカバーデザインに見てしまうのは、わたしだけですか。8曲目に「カミン・ホーム」というデトロイト演歌曲があります。シティ・ライトを夢見て都会に出て行ったけれど、オールド・タウンに帰ってくる。円満リタイアして帰ってくるのか、夢破れて帰ってくるのかわからない。でも生まれ育った町に戻ってくれば、とりあえず気持ちはリセットされるし、何より癒される。ボブ・シーガーは、この楽集にたどり着くまでとても忙しい日々を過ごしました。デトロイトのローカル歌手から、全米を代表するようなロックンローラーへ。彼を手伝うのはカリフォルニア、マッスル・ショールズの人脈を含んで全米にまたがっています。しかし気持ちは生まれ故郷に向いていたんじゃないかと考えます。
大統領選挙でも明らかになりましたとおり、米国の歪みはミシガンやペンシルバニアに集約して表れています。かつての石油産業、自動車産業、鉄鋼産業が存続の危機にあるから、です。グーグルやマイクロソフトだけが米国ではありません。わたしのまちもかつて全国的な企業が立地し、それがなくなった後遺症に喘いでいます。他人事とは思えないのです。2024.11.09
N°2を聴くため、久々に購入しました。最初の印象はともかく、N°2の明るさがとてもよいと思います。それにしてもN°1の頃の演奏の危なさには驚きます。ひとつは、ニコ・ディパーロのチターラ小僧ぶりでありますし、もうひとつはバッソ、バッテリアの演奏力の未熟さです。危なくて20分の長大曲なんて聴き通せません。アナログを買ったときもB面なんで聴かなかったでした。再結成後は、メンバーの演奏やボーカル力量が安定し、不安なく聴くことができます。
ルイス・エンリケス・バカロフは、言わずと知れたマカロニ・ウエスタンの巨匠です。そりゃクラシックの素養あるでしょうが、ポピュラー・ミュージックの人です。ゴジラ音楽の伊福部昭を、クラシックとは言わないでしょう。だから言うとすれば映画音楽とロックとの融合が正しい。で、バカロフは映像をロマン主義にしてしまう人だと思うんです。エンニオ・モリコーネがハードボイルドなのと比べると面白いと思います。2024.11.08
トランプさん当選のニュースにぼおっとしてしまい(嬉しくて)、1日経ってしまいました。図式から申し上げると、トランプ対メディアとの戦いだったと思います。米日メディアの腐り方は今、申し上げません。イーロン・マスク、ロバート・ケネディJr、トゥルシー・ギャバード、ジョー・ローガン…。かつて反トランプだった人たちを次々と仲間にしていくトランプさんの戦い方は、とても美しかったです。映画かRPG並みのリアルな世界で、わたしは感動しまくりでした。
というわけで取り出したレコードが「ワンス・アゲイン」。ビート・バンドとしてデビューしたBJHが、ドラマチックでパワフルな音に生まれ変わる過程に驚きます。なんせドラムズがどこどこどこと始まりますから。後年でも演奏され続ける「モッキングバード」は、英国ロック史上に残る切なさです。交響楽とメロトロンを併用する音の壁はやり過ぎの感さえあります。トランプさん、ワンス・アゲイン。わたしは4年間待っていました。2024.11.07
カケレコさんのユーザーさんでAOR好きな人っていらっしゃるのでしょうか。「Let It Roll」に続く、リトル・フィート再結成2盤めです。90年。前盤に続き、スティーリー・ダンのような洗練された都会的な音であり、ラテンの匂いも感じさせます。まず、「テキサス・ツイスター」では、フレッド・タケットの硬質で達者なギターでのけぞらせます。「デイリー・グラインド」は、クレイグ・フラーが歌うAORで、抑制のきいたリズムはさすがです。「リプレゼンティング・ザ・マムボ」は、ビル・ペインのセンスでまとめられた佳曲。この3曲でわかるのは、ボーカルの比重が増していること。次に何が出てくるか判らない、というローウェル・ジョージ期のスリルはありません。しかし、メンバーのまとまりや実力がケタ違いなので心地よさは増しています。
わたしが気になるのは、この音が「普通」に聴こえてやしないかという危惧。リッチー・ヘイワードやケニー・グラッドニーの変態さ加減がわかっている人なら、そこを味わっていただけると思いますけど。後半になると泥臭い度合いが増していきます。2024.11.06
ジョン・ドゥカン、あるいはジョン・カンというギタリストを、あなたはどんなバンドで知っていらっしゃいますか。ハードスタッフというパワー・トリオですか。その前のアトミック・ルースターの時代ですか。オーバーグラウンドに浮かぶことのなかった彼が60年代にやっていたのがジ・アタックです。シングルで5枚ほど出せたかと思います。この盤は短い活動期間だった彼らの音を収集したもの。ジ・アタックのコンピ盤も種類が多くて、わたしはほかに三種類ほど知っています。何よりジョン・カンは、英国ハード史上に名高いアンドロメダ(これも一枚きり)のメンバーで、その曲が2曲入っているだけで買いの編集ものです。
カンの面白さは、ギターを楽器としてではなく、武器として使用していたところです。パンクの最も早期なさきがけ、とも言えます。ところがアンドロメダでやる音楽は、ホルストだったりウエスタン映画のサントラだったり。乱暴な上に、多彩で翳りがあるのです。そんな壊れた彼の魅力は、ビート時代の音からにじみ出ています。ハードスタッフが好きな人は聴いてみてください。2024.11.04
アフィニティやニルバーナと並んでバーティゴ・レーベルの顔です。オルガン・オンリーでギターレスと思っていましたら、ギター・パートありますね。ところどころオルガンと電気ピアノがダブルになるパートがあり、リード・ボーカルが鍵盤、ギターと兼務していると推測します。残りは鍵盤専任奏者とベースとドラムズ。フルートも聞こえます。長くプログレッシブのジャンルと思っておりました。実際はゴスペルに強い影響を受けた音楽で、コール・アンド・レスポンスもあります。彼らの強みは、陰影のあるリード・ボーカルと、渋いコーラス・ワークにもあります。
曲は長めです。展開が多くて、複数曲をつなげたような形式ではなく、同じコーラス部分が手を変え品を変え出てきて、間を激情的なハモンドがつなぐ、という形式です。メンバーがエキサイトするインストの部分がなかなか聴かせます。おそらくは、バンドを結成する目的よりプロジェクトだったんじゃないかと思います。高校生ではじめて買ったときには地味すぎると思っていました。さまざまなジャンルを体験してから聴いてみましたら、けっこう滋味ある存在でした。2024.11.03
マッシュ・ポテト5回めの制作で、とうとう納得いくものができました。なんかこれだけはクック・パッドでカンニングしてはいけない気がして、見様見真似で練習していたんです。かみさんに食べてもらって合格点です。気分いいです。音楽も、叩き上げるって大事だなと思わせるレコードです。録音にする前に、ステージで何回もやってみるでしょ。間違いなく聴衆に最も受ける演奏ってあって、それを決定バージョンにする。そんな制作過程が想像できます。
ハードロックやプログレなんかを聴いていると、耳に傾斜がつくでしょ。そうした耳に逆に響くのはこうしたシンプルなロケンローです。シンプルだからって、手がかかっていないわけではない。わたしのマッシュポテトは1時間かかります。何よりギターのトーンが素晴らしいです。こんなにギターが綺麗なレコードってあまりないですよ。スティーブ・ニックス参加。当時二人は付き合っていたんじゃないかと思うほど、息ぴったりです。おすすめ。2024.11.02
−僕は、全世界制覇を成し遂げる可能性のあるブリティッシュ・ロック・バンドが彼らだけだと思っている。−わたしは英国で彼らのステージを見て、一流だと確信したの。−僕は歩兵でいい。ジューダスといっしょに歩んでいこう。…いかに時代とは言え、これ文筆家の文章だと思いますか。もっとバンドの性格や音楽を分析しろよ、と僕は思ってしまう。自らの不勉強を棚に上げ、ハードロック弱者を扇動しようと企む文筆貧者の駄文に付き合っている暇はない。音楽ライターは気楽でよい商売だ。
ジューダスで脚光を浴びるポジションはボーカルと両ギター。でも、もっとも負荷のかかっているパートはドラムズです。オン・ビートとバック・ビートを1曲の中で使い分け、速いリズムに付き合って…いやリードしなくてはなりません。このレコード、負荷がかかり過ぎて、ドラムズが手打ちになっている気さえします。重さが足りません。ジューダスのドラマーがたびたび交代しているのが納得できます。
スプーキーの「ベター・バイ・ユー・ベター・ザン・ミー」を演奏しています。ほぼ原曲に忠実なアレンジです。この曲と「エキサイター」ぐらいしか聴かないでしょうか。「ヘル・ベント・フォア・レザー」や「ブリティッシュ・スティール」前の練習、という趣さえします。
ところで政則氏は、堂々と「固定された階級」だと誤訳しているのです。それもグレン・ティプトンが教えてくれたとウソまでついて。これはひどいです。2024.11.01
ツイン・リードは、グドンを捕食するブス顔の怪獣です。間違えました。70年代に流行したJKのヘアスタイルです。…どうも、ウィッシュボーン・アッシュの真面目過ぎる音楽に接すると茶化したくなるわたしです。いや、彼らの世界観はもろく、はかなく、美しいことは承知しています。でもなあ。イーグルズの「デスペラード」を、カラオケで絶唱するじじいにも似ていて、そこまで思い入れんでも、と思ってしまうんです。「エピタフ」を聴いて、涙まで流していた、厨房の自分を、こん日では恥じていますんで。
誰が何と言おうと「最高傑作」なんでしょう。でも、日常的に聴ける音かと言われると、つらい。だって「ウォリアー」聴きながら、えんやこ〜ら、と合いの手入れたくなりませんか、あなた。この曲調、ため過ぎだと思われませんか。ためている分だけ気持ちを高ぶらせておいて、カタルシスが♬ガット・ビーア・ウォリアー、程度って詐欺じゃないんでしょうか。ギターだけでなく、ベースもランニングしまくる音盤です。そこの部分の説得力は認めるので、重苦しいボーカル・パートを外してくれんでしょうか。2024.10.31
悪質クレーマーの電話に小1時間付き合いました。上司から指示が出ていて記録をとりながら、です。記録とは将来の刑事告発を想定してのことであります。仕方ありません。仕事なんだから。やるべきことをやれ、です。「テイキン・ケア・オブ・ビジネス」は、「仕事に御用心」と誤訳されて現在にいたっていますけど、本来はそういう意味です。この曲のヒット、ビルボード12位によりBTOは北米全土に浮上しました。自分の薄給と、やらされている仕事の悲惨さを天秤にかけると涙が出そうですが…聴くしかありません。ぐすんぐすん。
泣いていても突破口がないか…。来年も同じ職場でしたら退職することに決めました。希望は正式に出しているんだし。わたしがやらされている仕事なんか、誰もやりたがらないだろうから、その時あわてればいいんですよ。ハードロックは、心がこのように荒んでいる時、実にすっきりします。間違ってもホイットニー・ヒューストンなんか聴きたくないですもん。「トランプ」にいたっては、職業が乞食ですよ、みなさん。街角で10セントねだるのが彼の仕事ですよ。彼らは低所得者、貧乏人、長時間労働者の痛みをわかってくれる存在です。「ブロウン」「レット・イット・ライド」「ギビット・タイム」も入っています。2024.10.30
軽快なブギ曲、「ギミ・ユア・マネー・プリーズ」から幕を開けるBTOの73年ファースト盤。最初から正直でよろしい、です。大ヒットとなる「II」、「ノット・フラジャイル」の片鱗を見せつつも、ブリティッシュ・ビートの影響が強くうかがえる出だしであります。ゲス・フー時代にヒット曲を持っていたとはいえ、発表当時のバックマン兄弟の名前は無名に近く、徹底的にライブをこなすことで彼らは人気グループにのし上がっていった、と聞いてい
ます。ライブ映えするように、どの曲も印象的なコーラス部分と単純なリフ、リズムから成り立っています。また、彼らの強みはハードブギを基調としながら、ジャズ、ボサノバ調の曲を持っているところ。よく言われるように、単純な曲しか書けなかったわけではありません。
レコードは、ひとつのライブ・アクトとして楽しめる曲構成で、最終曲「サンキュー・フォー・ザ・フィーリン」は、ライブでも最後に演奏されていたようです。日本公演では「サンキュー・ドーモ」という曲名で演奏されました。「シンパシー・フォー・ザ・デビル」に似た愛すべき曲です。2024.10.29
ゴッズはレコード・デビューする前に形態を3度変えています。ヘンズレーのほかのメンバーは、
1 ミック・テイラー、ジョン・グラスコック、ブライアン・クラスコック
2 ジョン・コナス、ポール・ニュートン、リー・カースレイク
3 ジョン・コナス、グレグ・レイク、リー・カースレイク
この段階を経て、ポール・ニュートンが戻って録音されたのが、ファーストとこの盤です。ヒープのリスナーは、バンドの中心がヘンズレーであることを知っています。ヒープのデビュー時のメンバーはすでに揃っていたわけです。
彼らがビートルズに影響受けたサイケ・バンドであることが明らかになります。わたしはビートルズのあと、ピンク・フロイドとヒープのユーザーになるんです。自分の耳の確かさと言いますか、頑固さに気づきます。ほんとゴッズの音はビートルズにそっくりです。ディープ・パープルもビートルズのカバーから出発していることを考えると、案外ビートルズはハードロックのインキュベーターかも知れません。2024.10.26
愛すべき名盤をレビューいたしましょう。レビュー二度めです。二種類所持しているのでご勘弁を。イントロのパイとジョン・ペリーの野太いベース音から興奮させます。わたしはカンタベリーで、ジョン・ペリーほどの使い手ベーシストを知りません。彼のインパクトあるベースは、多数のバンドに重宝され、その割には2枚制作するとバンドを離れてしまう、渡り鳥ベーシストです。ルパート・ハインやマイケル・ジャイルズとお友達であることでも知られています。
次に特筆するのは、リチャード・コフランという特異な叩き手です。若干モタりながら入って来て、フレーズの最後に叩きまくって帳尻を合わせてしまうドラマーです。手の遅いフリオ・キリコと申しましょうか。曲の間中ソロ・ドラムズを叩いているようなもんで、これを好きになるとキャラバンは一生もののバンドになります。
そして鍵盤の水彩画家、デイブ・シンクレアです。わたしは「ザ・ドッグ・ザ・ドッグ」のアープを聴くと毎度昇天してしまうのです。この曲、眠気をもよおすような田舎フレーズから入ってくるので、後半の丁々発止のソロ合戦を聴き逃している人が多そうです。最後にビオラという特殊楽器を操るジョフリー・リチャードスンです。頼りなげなパイも好きで、わたしは好きなもの満漢全席と呼んでいます。さあ、食べなはれ。2024.10.25
ハードロックのユーザーといえども、マウンテンまで聴いている人は珍しいと思います。ブルーズを大いに引きずった音で、英国の構造的なハードさとかなり違います。MC5やアイアン・バタフライと同じような感覚で、これが74年まで続いたのは、シーラカンスが現在に生きている様子に似ています。この盤は、彼らが一度解散したあとの制作で、クジラに引きずられる漁師物語をえんえんと演奏していた頃とは様相が異なっています。ストーンズの「サティスファクション」を演奏しています。原曲をまるで感じさせないアレンジで、コアを叩き続けるような曲調です。
フェリックス・パパラルディの抒情性はだいぶ引っ込んでいます。ハードロックのユーザーには入りやすい音であるんですが、かつての売りの物語性は皆無なので、リスナーを選ぶでしょう。さて、マウンテンはこれで解散したことになっています。しかし85年と02年に単発的に新譜を出すんです。わたしはそれを嫌いではありません。レズリー・ウエストという不器用なギタリストに、味があるせいだと思っています。2024.10.24
普通のハードロック・ギターをうどんに喩えれば、この盤のギターは、桐生の「ひもかわ」です。アツアツをそのまま食べたら間違いなくやけどします。ZZトップの優れた盤と、それほどでもない盤を分類するのは簡単で、タイトルがスペイン語でついているかどうか。しかし「メスカレロ」は、ニュー・メキシコ州に居留するネイティブのメスカレロ・アパッチに由来しています。人口1万2千で、大統領を選出しているそうです。アパッチは戦士としても優れている部族で、ヘリコプターにその名がとられているぐらい。ZZトップは彼らを尊敬しているのでしょう。
さて、毎度おばかなカバーアートに触れないわけにはいきません。今回ZZトップの三人は、強すぎるテキーラを飲んで骸骨に変身しています。相変わらず肉感的な女性と車とテキーラです。砂漠でタクシーを運転する魅惑的な女性に会ったと思ったら、彼女も骸骨だったというオチです。音は手間暇かけて歪んだ音をつくっていまして、カンカンなスネアと好対照です。さしずめハイ・ファイな爆音と言ったところでしょうか。2024.10.23
ブルーズ・ギターと言いましても系譜があります。アルペジオとサステインに特徴があるシカゴ・ブルーズの系譜。フリートウッド・マック時代のピーター・グリーンは、エリック・クラプトンと共にこちらの系譜に属していました。もうひとつの大きな系譜が、豪快なスライドを特徴とする米国南部です。わたしはこちらのほうが琴線に触れるらしく、「バッド・バッド・フィーリング」の壊れたスライドには頬が緩みっぱなしになります。グリーンはマック脱退後、米国で多様なルーツ音楽を探求し、このレコードは、さしずめ彼の研究発表のようです。
ただ83年の時代感覚はありません。わたしは、「ギターは泣いている」風の感情移入に不耐性であるらしく、ギターはうるさければうるさいほどいいと考えるユーザーです。なので全部が好み、というわけではありません。ピーター・グリーンのカタログがラインアップに入ってきましたので書いてみました。ギター好きの人を失望させることはありません。2024.10.22
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