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テキサス出身の6人組。湿り気あるハードロックを演奏する奴らで、ギターが二人、オルガン奏者、独立したボーカルという恵まれた陣容です。彼ら7盤まで出していて(全部は聴けていません)、この盤からの「D.O.A.」はヒットもしたようです。制作者のテリー・ナイトはグランド・ファンクを世に出した人です。ナイトは、グランド・ファンクの創立メンバーで、正直なところ演奏についていけなくて抜けたのが真実のようです。制作者というよりはマネージャーで、グランド・ファンク初期の稚拙なスタジオワークは一部で失笑されています。ブラッドロックをどういう経緯で後押しすることになったのかは判然としません。成り行きなんだろう、と想像します。
ブラッドロックは、バーティゴ・レーベル所属と聞いても納得しそうなほど、英国ハードの血しぶきを受けています。だからブラッドロックなのか…(冗談です)。ブラック・サバスの重くて劇的な音楽に影響受けているようです。オルガンの割合が高いんですけどね。ドラマーとベーシストの力量がいまいちに感じます。男汁満載の哀愁ボーカルや、弾きまくりのリード・ギターには手に汗握る…ほどでもないですか。2025.06.24
バッド・カンパニー初の公式ライブ、2016年。ツェッペリン初のライブ「ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム」が出たのが76年で、それでも「遅すぎる」と言われていたのに…。両バンドのマネージャーであるピーター・グラントは、ライブが嫌いだったのでしょうか。全く意味がわかりません。この盤も「バーニング・スカイ」、「ディソレーション・エンジェル」のツアーからのもので、正直バンドの旬は過ぎているのでした。バッド・カンパニーのライブは、ブートでも優れたものがありません。欠落したロック史です。
このバンドが語られるとき、ほとんどポール・ロジャーズのことばかりで、わたしは不満なのです。某サイトのレビューでミック・ラルフスの素晴らしさを書きましたら、ラルフス・アンチの人から粘着されて困ったことがあります。そこまで悪く言う必要ないでしょう。ボズ・バレルだって元ボーカリストという経歴が邪魔して、ベーシストとして話題になったことさえありません。これはどういうことなのだ、と。欠落したロック史に輪をかける無関心さです。
最高級のブギ・リズム、最高級のファンクネス。遅すぎた彼らの音像に、わたしは歯噛みする思いです。グラントさん、あなたは商売勘のない人だった。どうしてくれるんですか。わたしの青春を返していただきたい。2025.06.23
ボブ・マーリーの伝記映画「ワン・ラブ」で、クリス・ブラックェルがマーリーの家によく居座っています。グラックウェルはアイランド・レーベルをジャマイカ音楽のディストリビュートのため立ち上げ、ウェイラーズを世界に売り込んでいきました。アイランドが獲得した白人バンドは意外なことにスプーキー・トゥースが最初。ブラックウェルがフリーの面々に耳を留めたのは、4人の若者に次世代の可能性を感じたからです。けして彼らをルーツ音楽、ブルーズ・マニアと捉えてはいなかったでしょう。
だってこの段階でほぼ十代です。ついつい独特の疲労感から古参の奴らと思ってしまいがちです。けれども今までにない骨太の輪郭を持った音。実際に米国南部ロックに彼らが及ぼした影響は絶大でした。シンプルに聴こえても、それぞれの楽器は劇的な展開力を持っています。ドラムズのパターンを追いかけても、ベースラインを追いかけても飽きません。ギターは言わずもがな、です。4人いてそれぞれのキャラクターが立っているバンドって少ないんです。そしてキャラが立ちすぎているせいで、彼らの結束は長く続きませんでした。
若さとスタートダッシュが聴けるのがこのレコードです。2025.06.22
グランド・ファンクの面々は75年当時、ハードロックであることに嫌気がさしていたようです。自分たちはポップスをやるバンドであるとインタビューで語り、「ロコモーション」を全米トップに送り込んでいました。わが国でも伝説の来日公演を経験した人は少なくて、「ロコモーション」の印象が強かったと思います。このライブは彼ら後期の集大成と言えるものです。「ブラック・リコリス」や「レイルロード」も演奏していて、言うことありません。初期のインパクトも捨てがたいですが、彼らのベストは「シャニンオン」「アメリカン・バンド」。イモと呼ばれた歴史を塗り替えてしまいました。
それなりにレコードの数が多いのに比して、彼らの活動期間はわずか6、7年です。あっと言う間に成熟して、散ってしまいました(現在も活動中だそうですので誤解なきよう)。このライブ盤を、わたしは2003年に全部がリマスターされたとき、最初に聴きました。以後グランド・ファンク熱がぶり返して現在にいたります。
マーク・ファーナーはチェロキーの血を引いています。ロックで成功したネイティブ・アメリカンでは最も偉大な人かも知れないです。2025.06.21
わたしは子どもの頃から怪談や心霊写真が好きです。いや、本当は怖がりなんですよ。ほかの人やYOUTUBERが語る怪談を、毛布をかぶってぬくぬくして聴くのが好き、という意味です。「ノストラダムスの大予言」や「第三の選択」がヒットし、中岡俊哉が受けていました。そんな中ブラック・サバスに出会ったわけですので、夢中にならないわけがありません。ちょっとコミカルな「サボタージュ」「マスター・オブ・リアリティ」と違い、デビュー盤のオカルト傾倒は本気です。キーフのこのカバーアートとサバスの音楽のケミストリーは、ロック史に残るものです。
しかもわたしが聴き始めた頃、ブラック・サバスと日本フォノグラムとの契約が切れていて、輸入盤に頼らざるをえなかったんです。同級生が予備校や志望校を見に行くと偽って、西新宿までの電車賃を親からせしめ、サバスを買ってきては見せびらかす、という繰り返しでした。プレミア感あるバンドだったんです。英国盤には「ウィックド・ワールド」が入ってなくて、米国盤には「イブル・ウーマン」が入ってないんです。両方を手に入れた男は勇者と呼ばれていました。
そんなこんなで未だに愛聴盤です。本当はサバスにまつわる怪談話をしたかったんです。調べましたけど、そんなものはなかったです。2025.06.21
レコードは発売されて数十年たたないと分からないこともあります。今ではトム・ショルツがSDGsな人であることが明らか。でもデビュー時にそんなことまで看破した人はいません。だいたい、宇宙船ボストン号がギターの形状をしているのがわかったのが「ドント・ルック・バック」のレコード内袋。さらに宇宙船が移民を数万人乗せていることがわかったのが「ウォーク・オン」です。ファースト盤のカバーアートをご覧ください。地球が破滅しているでしょ。資源枯渇や生物多様性破壊や全ての開発に反対するのがトム・ショルツ(あとでシンパが加わります)の考えです。米国リベラルの王道を行く人のわけです。トランプさんには敵意を抱いているはずです。
もうひとつ、彼がヘンドリックス信奉者であるのがわかったのが「グレイテスト・ヒッツ」。だからライブの幕開けが「スター・スパングルド・バナー」。そして理系の電子専攻であるのにコンピュータを使わなかった理由です。ヘンドリックスが試行錯誤の末、「ファースト・レイズ・オブ・ニュー・ライジング・サン」を完成できなかった姿と重なりませんか。追い打ちにショルツはデビュー盤の制作を当初エディ・クレーマーに依頼しています。引き受けてもらえませんでした。
なぜこの事実を音楽ライターの人は書かないのでしょうか。知らないのでしょうか。2025.06.19
フィンランドらしさとは、どういうことなんだろうと考えます。丁度かの国は今月夏至を迎え、夏至祭はクリスマス並のイベントになるのだそうです。ヘルシンキにも白夜は訪れ、夜通し飲み食いし、踊るお祭りなのだと聞きました。ウィグワムはブルーズ、R&Bを演奏するセミ・プロの集団が母体となって結成されました。ギタリストが間もなく脱退して、ギターレスでの活動を強いられることになります。バンドは鍵盤のユッカ・グスタフスンと英国人ボーカルのジム・ペムブロークが中心となりました。人懐こいメロディを書くのがペムブロークで、インスト志向の強いのがグスタフスン。英国ロックの影響を強く受けながら、クールで熱い演奏が特長です。不思議なことに、クール、知的という印象がアナログ2枚組大作の最後まで続きます。
1曲めのベースがまず聴きどころです。リチャード・シンクレアかと思いますよ。ユッカ・グスタフスンは、バロックとジャズが好きな人とわかります。絶え間なく続くアンサンブルは、ハットフィールドに似ています。時折激しくなるところも、です。聴きごたえのある長短の曲がバランスよく詰まっています。最後が17分のライブ。こちらには名人ギタリストのユッカ・トローネンが参加し(ペムブロークが退き)、ヘビーロック大会になります。
わたしはアホなので、タラとジャガイモが主食なのかとイメージしておりました。当たらずとも遠からずで、魚と乳製品、ライ麦がよく食べられているそうです。名物料理がカレリア風シチュー。こんなところでアネクドテンとつながりました。2025.06.18
83年の大晦日年末棚卸FM特集をいまだに覚えています。アズテック・カメラやペイル・ファウンテンズが台頭したこの年、番組はほぼXTC、U2、ビッグ・カントリー中心でした。この3つを聴いていなければロック・ファンではない、とばかりに。共通するのは制作者スティーブ・リリホワイトです。ドラムズが利いてなければ80年代の音ではない。リリホワイトはこの信念のもと、スネアの音を派手派手に仕上げて「爆裂スネア」と呼ばれていました。まあ、やり過ぎた感はありますね。以後急速にリリホワイトの名を聞かなくなってしまいましたので。
ビッグ・カントリーは、スコットランドの哀愁と激しさを強調したバンドです。ナザレスやアレックス・ハーベイ・バンドなどありましたけれど、ロック・ファンにスコティッシュの音を意識させたのは、彼らが初めてだったと思います。イングランドと何が違うかと申しますと、寒さと海賊文化です。ケルトというのは海賊民族のことなんだとわたしは考えています。そして必ずウイスキーをつくる。聴いていて快感しかない音です。2025.06.18
池上晴之さんの「ザ・バンド 来たるべきロック」を読んでいるところです。さすが文芸評論を専門とするかたの論評で、並の音楽ライターをはるかに上回る情報量と洞察です。「ザ・ラスト・ワルツ」に対する聴き方が全く変わってしまいました。まずこの音楽イベントの位置づけ、必然性についてです。ロビー・ロバートスンが、ドラッグと酒でめろめろになってしまったザ・バンドを終わらせた方がいい、という考えにいたり、それをさらに米国音楽全体の道標にした。未来に残せるレガシーとしてコンサートを開催した、という洞察です。これには参りました。
わたし、ザ・バンドの演奏力に懐疑的だったんです。しかし考えてください。クラプトンの曲でロバートスンがひけをとらないギターを弾き、ジョニ・ミッチェルのジャコ・パストリアス・パートのベースラインを弾き、ドクター・ジョンの後ノリにも合わせる。…たしかにそうです。こんなことができたバンドは彼らしかいません。
さらにこのコンサートをテーマにした「ザ・ラスト・ワルツ」という映画製作について。並の音楽映画と違うのは、マーティン・スコセッシを起用しているところです。スコセッシはラスト・ワルツというコンセプトを、ビスコンティ映画「山猫」へのオマージュにしています。ひとつの独立した映画としても鑑賞できます。いろいろと発見があり、このライブを聴き直しているんです。2025.06.16
白状しますとソフト・マシーンに入れ込んだ経験があまりないのです。中でも「ワン」と「トゥー」は、サイケデリック音楽の発展と捉えるか、プログレッシブ・ロックの道標と捉えるか自分でも座標をどこに置いたらよいのか判別できません。後年のジャズの要素は、まだあまりないと思うんです。彼らはデビュー時期にピンク・フロイドと同じステージに上がっていて、メンバー間の親交もあったようです。「ダーク・サイド」の日本語解説にそう書いてあったような記憶があります。ただカンタベリーの音の規範、作法をつくったのは彼らです。機材のセッティングやオルガンのチューニングが、あらゆるカンタベリー系のお手本になっています。
初期ソフト・マシーンの特徴は、短い曲が連続していて、切れ目も判りづらいところです。特にロバート・ワイアットは、自由に演奏しています。一歩間違えると行き当たりばったり、です。曲のまとめはラトリッジとケビン・エアーズに任せた、とばかりの自由さです。人懐こさは感じます。…けど、音の内部になかなか踏み込めない。あくまでわたしの感想なんですけど。2025.06.15
わたしとグレイトフル・デッドの溝は相当に深い…ようです。彼らにはカントリー・ブルーズ調の曲とカントリー・フォーク調の曲があります。そのフォーク調の曲の魅力がとうとうわかりません。CSNYでしたら、スティブン・スティルズとニール・ヤング二人がギターの弾き手でもあり、彼らのギターが聴きどころです。何しろメロディが悲痛でわかりやすい。ところがジェリー・ガルシアの書くメロディってわかりにくいんです。これはもう相性の問題としか申せません。
「アンクル・ジョンズ・ブルーズ」は、まあわかりやすい曲です。でも途中7拍のつなぎが必要なのかな、と思います。これがあるんでライブで伸びるんですけど。何が苦手といって、尺をとってジャムやっているのに誰もソロに行こうとしないところ。ジャムで全員リズム刻んでいたって仕方ないでしょうに。
「ケイシー・ジョーンズ」の主人公は機関車の運転手です。彼は天候の悪い中を定時運行していたのに、なんと前方に遅れている先行の列車が。追突事故から乗客を守るため、衝突事故覚悟でブレーキと警笛を握りしめて亡くなった英雄だそうです。乗員乗客は彼のおかげで全員命拾いできたそうです。2025.06.14
流通の問題が解決しないかぎり、この盤は名盤と呼ばれないし、モビー・グレープが殿堂入りすることもないと思います。各人の圧倒的な才能あふれる楽曲が13曲。サイケという世界からほど遠く、酩酊感も根拠なき楽観もありません。密度の濃い楽曲たちは、ほとんど2分半に収められています。いきなりピークがやってきて、余韻を味わう間もなく次の曲のピークがやって来ます。この構成を変だと思いましたら、どの曲もイントロらしいイントロがないんです。いきなりコーラス、いきなりサビ、いきなりギターリフです。「リボルバー」やピンク・フロイド「皿一杯の秘密」に近い印象です。もっと凝縮されていますけど。
いや、イッツ・ア・ビューティフル・デイやジェファースン・エアプレーンの音が、寝ぼけているんでねぇの、という印象に変わるんです。この盤を聴きますと。なぜ言いたいことをすぐに曲にしないんだね、と。勿体ぶるんじゃねぇよ、と。モビー・グレープは、こんなに急ぐ必要があったのでしょうか。曲が出来て出てしょうがないんだよ。とボブ・モズレーが言いたそうです。2025.06.13
よい曲だらけでございます。テッド・ニュージェントになってから6盤めの79年。ロンドンでパンクが流行ろうが、レゲエが世間を席捲しようが、お構いなしの無慈悲なロケンローです。次々によいハードロックを提供するニュージェントを世間は評価せず、北米低級リスナーの偶像と決めつけております。その評論家筋が彼のバンドの音をまともに聴いているとは思えません。これほど心躍るロケンローはありません。ジャンルは異なりますけど、バッド・カンパニーの最初3盤を聴いているときの躍動感なのです。
理由がわかりかけてきました。ニュージェントはそんなにテクニカルなギターを弾く人ではありません。(テクニカルじゃないと申しても、速弾きあります。)ドラムズのクリフ・デイビーズがうねりあるビートを叩く人で、この人のファンクネスにわたしは乗せられているのです。そこを途切れない弾きまくりですんで、疾走感を感じないわけがありません。デイビーズは制作者でもあります。そして珍しいパワー・バラード「アローン」収録です。よいじゃないですか。曲では「パラライズド」「サティスファイド」が素晴らしいです。2025.06.12
よくできたボックスセットと思います。このセットでないとスライ・ストーンを理解することができません。ガイド本でスライ&ザ・ファミリー・ストーンを紹介するとき、なぜか「ライオット」か「フレッシュ」です。この2盤がコンテムポラリーなファンクを前進させたことは知っているつもりです。しかしチャカポカしたリズムボックスの音を聴いて、いきなりスライを好きになる人がいますでしょうか。ビートルズを「サージェント・ペパー」だけ聴いて理解できないのと同様だと考えているのです。理由は簡単。この2盤のカバーアートが抜けているからです。「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」や「スタンド」の垢抜けないカバーアートでは、革新的なスライには映えないのだ、と。これは編集者のエゴでしょうよ。
ひきかえ「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」や「スタンド」でスライを嫌いになる人っていないと思います。彼らがファミリー・バンドである本質を誤ることもありません。初期のわかりやすい音と革新的な2盤をあわせてスライの魅力なのです。偉大なスライ・ストーン亡くなってしまいました。ご冥福を。日本人のくせして「RIP」と書いてしまうのも洋楽かぶれユーザーっぽくて好きでありません。2025.06.11
わたしは、売れた「から」、知られている「から」いい盤と言いたくないんです。売れたのは結果であって、原因ではないですから。さらに売れたのはほかの人にとって、であって、自分ではありません。ただし売れるほどラジオのオンエアや、メディアでの露出が高まって、聴こうとする人が増えた要素であると思います。ボブ・シーガーは、デトロイト・ローカルの歌手で、全米での知名度を、本当に長いことかけて築き上げていった人です。この盤が出た時にはベストセラーを続けていました。シーガーの苦闘を知るにはこの前の10枚以上の盤に付き合う必要があります。
イーグルズのグレン・フライほか2人、リトル・フィートのビル・ペインほかが協力しています。録音はマッスル・ショールズとフロリダです。わたしが彼のデビューから聴いているリスナーであれば、一緒に勝利を喜ぶことができたのに。残念ながら後追いユーザーでしかありません。全盤を今では所持していますけど。ぽっと出のスプリングスティーンのリスナーとは違うんだ。と負け惜しみしつつ、こぶしを突き上げたくなる音楽です。2025.06.11
きょうはロックの日、なのであまり皮肉を書かないでおこうと思います。夜も更けてまいりましたが、みなさん戸締りは大丈夫ですか(だから、違うって)(世界中でこんな恥ずかしい記念日を持っているのはわが国ぐらいでしょう)(平賀源内が土用丑の日を発明してから、わが国はマーケティングの国なのかもしれません)。ロックを聴かない人が一般的に想像する「ロック」の姿がここにありそうな気がします。どの曲もポップでメロディアスで、それなりに噛み応えがある。ベスト盤の代わりに持っていても十分。イーグルズはやっぱライブだよねぇ、と半可通に言わせて、あら〇〇さん、ロックも聴くのぉ、とキャバクラ姐さんに言わしめる。そんなライブ盤でございます。
わたし、メンバーではグレン・フライに共感します。彼がロックンローラーだからだと思います。演奏ではジョー・ウォルシュの2曲と「ライフ・イン・ザ・ファスト・ライン」が抜けています。「ホテル・カリフォルニア」を最後に持ってくるかと思いきや、こんなのは大した曲ではないんだよ、とばかりにオープニングです。そして出世曲「テイク・イット・イージー」が最後です。ライブで存在していないはずの交響楽までプラスされています。どうです。最高でしょう。昭和感漂いますけど…。2025.06.09
あえて通俗的なレコードと言わせてもらいます。輪ゴムのようにしなやかな女になりたい、とか、フルーツのように音楽を味わえ、とか。そこに深読みするような内容がなく、かつての創作のように、詞を分析して本意について悩む、などという努力が必要ないからです。クラプトン、ジェフ・ベック、プリンスの起用にしても、このギターを弾いてもらいたいからという必然はないようです。ケイト・ブッシュの新盤を楽しみにしていて、毎回一皮向けたような新鮮味を感じていたのです。この盤までは…。ここに来て彼女はユーザーを驚かせる変革を行わなくなったのでした。
わたしがケイト・ブッシュに入れ込んでいたのはルックスが原因ではなかったのか、と思いました。勝手にミューズみたいな人だと思い込んでいました。実際の彼女は禁欲的ではなく、享楽的な人生と創作を続ける人だと思います。シンクラビアを駆使した時代的なデジタル・ビートは彼女らしい。でも一方でそれまでの神秘性は破壊されてしまったと感じました。
「赤い靴」は、初のカラー英国映画だったと思います。赤い靴を履いた主人公はバレリーナとして成功を手にするのですが、その靴が脱げなくて悲劇的最後を遂げます。クロスロード伝説のバレリーナ版のような映画でした。CDとトーシューズがセットになったものが当時輸入されていたはずです。買いませんでしたけど。2025.06.08
「カインド・オブ・ブルー」前哨戦の趣があります。それどころか演奏単位では「オータムン・リーブズ」がジャズ・ユーザー以外にも知られています。キャノンボール・アダレイは、自身の才能とジャズ市場に懐疑的で、本格的にプロとしてやっていく決意を固めた時期とマイルズ・デイビズ仲間に参加した時期が重なるようです。この盤で方向を決めているのはマイルズで、だいたいトランペットがソロを最初にとります。次に出てくるアダレイの流麗、奇抜な演奏でとろけそうになります。ピアノのハンク・ジョーンズも追ってきてとても豪華な印象です。どうです。体が揺れてくるでしょ。
わたしは一般にアドリブに対してあまり期待していません。結局レコードで録音したものをありがたがっているぐらいですから。作曲された音楽を聴いているのと同じです。そもそも鈍い耳のタチですからライブでもあまり反応できないんじゃないかと思っています。
最後にブルーノート・レベールのカバー・デザイン。モノクロ写真着色とタイポグラフィーがデザインの基本です。これが統一感あってとてもよろしいです。ECMレーベルも見ただけでその感覚ありますけど。何枚か揃っていくと眺めているだけで充実感あります。2025.06.07
シンシナチのルドロー・ガレージは、60年代後期の米国バンドにとってフィルモアと並ぶような母なる場所であったようです。ホールではなく文字通りの自動車整備工場で、倉庫、修理、塗装、レッカーなど宣伝文字が壁に残っています。シンシナチに拠点があったのが「キング・レコード」というレーベル。アルバート・キングの弟子、ロニー・マックというローカルなギター・ヒーローに影響受けたとディッキー・ベッツが語っています。オールマンにとっても第二の故郷だったようです。「マウンテン・ジャム」の果てしない、文字通りのジャムがこのライブの聴きものです。
録音は2トラックで行われ、オーバーダブも施されていません。90年に世に出てきたライブです。デュエインのギターにも増してベッツの活躍が目立っている印象があります。それとベリー・オークリーの超長いアドリブもあります。オールマンの面々はリラックスしていて、それぞれぶっつけの演奏を交互に繰り出しています。グレイトフル・デッドのジャムは、アドリブの間にメンバーが休んでしまいます。オールマンはほぼ休みなしで40分以上を聴かせきってしまいます。録音はそれなりなので、彼らの主要ライブを覚えてしまった人に。2025.06.07
「ビー・マイ・ベイビー」という甘いメロディの曲があります。シティ・ソウルと呼べそうな曲なのに、尻っぺたを蹴り上げられるようなキックとベースがずっと続くのです。この盤を大きな音で鳴らすとサッシや家電がびびり始めるので、集合住宅では注意が必要です。ミーターズはインストルメンタルのファンク(まさにニューオリンズの音)でデビューし、徐々にボーカルを取り入れていきます。最初はおずおずと…。この最終盤にいたっては、もう図々しいばかりのボーカル・トリックで恐れ入るしかありません。ファンク初心者のかたにはジェイムズ・ブラウンよりおすすめしたいです。
ファンクとは何か。単純に言えばリード楽器のないジャンルです。全部の楽器がリズムを刻むことに費やされます。ザ・バンドやリトル・フィートのユーザーにはお馴染みの形態。でも欧州に耳が偏ったかたには、かなりアバンギャルドに感じられるのではないでしょうか。南部のジェントル・ジャイアント、と考えていただくといかがでしょうか。ボブ・マーリーの「ストップ・ザット・トレイン」入っています。2025.06.06
「ゼロ・シー・フライズ」を聴くとアル・ステュアートがボブ・ディランに触発されて活動を始めたことがよくわかります。シンプルな(シンプルに聴かせているだけで、相当にテクニカル)ギター弾き語りに、トラッドの風味、ブルーズの奏法が組み合わされた音の印象はふくよかです。部屋の背景に流していても気にならない音です。ステュアートの音楽は、初期でも米国進出後でも彼の演奏だとすぐわかってしまいます。けして上手い歌い手であるとは思えないのに、個性が抜群なのですね。
アル・ステュアートが長年連れ添った恋人との破局がよく、この時代のエピソードとして書かれています。それが内省的な作風の転機になった、とも。「マニュスクリプト」は、第一次大戦の頃の歴史に題材がとられていて、エレクトリック講談と言える彼の作風の出発になっています。「ゼロ・シー・フライズ」とは、視界が利かない荒天の中を複葉機で飛ぶ恐怖のことらしいです。「エレクトリック・ロスアンジェルズ」で電化ギターが出てきます。どうも盟友ジミー・ペイジ氏のギターらしいです。2025.06.06
わたしはかねがね、このグループが知られていないことを残念に思っています。70年代に自分も気に留めなかったものですから、贖罪の感覚かも知れないです。パンクが出現したロンドンで、彼らは高性能のポップを提供しながら消えていきました。7盤重ねたのですからそれなりに立派な戦績です。この盤は、メンバー6人のうち2人が欠け、英国で発売されなかったいわくがあります。ポストパンクに敗北してしまったわけです。けれどもこの盤の素敵さが損なわれるわけではありません。シティ・ボーイ史上でも最高に近いと書かせてもらいます。
リリースは81年です。レゲエをやっている曲があります。これがブリティッシュ・レゲエのバンドでもお手上げするほど上手い。しかも哀愁があってとてもよろしいです。耳のいい人たちだったんでしょうね。マイク・スレーマー以外は名の通っていない人たちです。箱庭的ポップさでもなく、堂々とワールドワイドな普遍性あるポップです。かなり探して入手しました。良いです。2025.06.05
メンバーのマイケル・ブラウンが、レフトバンクのメンバーだったことがあって、英国地続きの音楽を得意とするストーリーズ。ブラウンが抜けて、もうひとりのキーパースン、イアン・ロイドがリーダーに君臨した第3盤です。ハードな要素はありますが、彼らはブリティッシュ・ポップとイエス、ユーライア・ヒープの間に位置すると思います。73年にこの傾向の音を米国で出せた例はありません。曲のメロディの分りやすさ、劇的なアレンジ、ロイドの中性的な立ち位置が個性になっています。加えて現在はCDの稀少性でしょうか。オークションに出ると争奪になる現象が続いています。
プログレのリスナーのかたは、このバンドの存在を認知されていますでしょうか。PFMやアトールに比肩できる音だと思います。難を言うなら、もこもことした低音部です。あまりにも録音レンジが広いと針飛びをおそれて音域をカットしてしまうことがあるそうです。ロイドの高音に特長があることは間違いないですから、そのせいかも知れません。2025.06.04
ひいき目に見ても完成形でなく、デモ音源でしかありません。ところがお互いの間合いを測る意図の演奏が、ときどき鮮烈な印象を残します。アフィニティの魅力がリンダ・ホイルの声と、リントン・ナイフのオルガンであることは、わたしが声高に申し上げなくても、みなさんご承知です。飛車角を失った彼らが、新オルガニストを加えて、ほぼ「アフィニティ」に匹敵する演奏を行っているのです。ビビアンヌ・マコウリフという女性ボーカルも、リンダにない跳ねっかえり声で健闘しています。
懐疑的にこのCDを手に取ったかたは、「グレイ・スカイズ」をぜひ聴いてみてください。ボーカル・パートが終わったあとのインタープレイに汗が出てきますから。この重々しさと翳りは、まさしくアフィニティのものです。何しろモ・フォスターにグラント・サーペルですからね。英国好きな人でしたら名前をどこかで見かけたことありますでしょ。わたしは想定以上に楽しめました。
にしても、このカバーアートですよ。色合いを変えても魅力と構図の確かさはびくともしません。いかに「アフィニティ」がとんでもないお宝であったか実感します。2025.06.03
派手なデビュー盤とサードにはさまれて、いつも「アーマー・キャバレロ」の存在を忘れています。もうハードロックなんて辞めています。と申しますか、彼らは自分たちをハードロック、もしくはアートロックと思ったことがないでしょう。ひたすらリスナーが驚き、喜んでくれればいい、サーカスのように綱渡りするのが芸なのですから。1曲めは、ブロードウェイのサントラのようですし、2曲めは新日本紀行のジャニタ・ハーン・ボーカル版です。ハーンは、高音出すか、金切り声出すとえらくカッコいい歌い手です。その代わり、歌い込むのが苦手なんですけど。
この盤の統一テーマは何なのだ、と考え始めたら、寝落ちしてしまいました。統一テーマなんてないことは判っています。でも、そこをレビュワーらしく突きたいじゃないですか。アラン・シャックロックが、こんなのはどうだ、こんな曲は今までやったことがないだろう、と大風呂敷広げた結果…なのじゃないですか。シャンソンからファンクまであります。そして、ジャニタ・ハーンの声域を無視して書いた「ベイビー・プライド」は失敗であると申し上げます。2025.06.02
新譜だと思っていたのに、それから10年も経過しているのに気付かないとは焦ります。このあいだ子どもが生まれたと思っていた知人に久々に電話して、来年中学生になると聞いて驚愕する、とか。無駄に長く生きている気もしますし、自分の進歩のなさに絶望もします。しかしものは考えよう。人間が熟成したと考えればよいのです(完全な負け惜しみです)。ザック・ブラウンは、新人の頃にかなり入れ込みました。南部バンドなのに、かなり凝った音作りをする人たちで、それなのにリスナーは爽快感を味わえるんです。レーナードたちが持っていた冗長さを切り詰め、必要十分な長さにパッケージした、適量カット野菜商品です。
このCDが発売された翌年、日本リメイクの映画「許されざる者」が公開されています。原作は言わずと知れたクリント・イーストウッド監督・主演の名作で、最後の西部劇と銘打たれています。イーストウッドが黒澤明映画のリメイクで高名になったことを考えると感慨深い日米の関係です。ザック・ブラウンは、西部の荒くれ者や侍を思い起こさせる硬派の歌い手です。中で「スイート・アニー」が名曲。ジャズ風味もありますけど、それはどうでもよろしいです。2025.05.31
売れに売れたブラック・クロウズです。ホワイト・ストライプスやクロウズが活躍してくれたおかげで、60年代、70年代の音に光が当たる、という。リスナーには、クラシック・ロックから聴き始めろ、という義務がありません。ツェッペリンだろうと、フェイセズだろうと、若いリスナーが聴きたいと思わないことには、旧譜売り上げにつながりません。クロウズの活躍は、そうしたロックの財産掘り起こしに貢献したと思うんです。
90年代に入ってブルーズ・ロックの典型をつくる、と言う作業は並大抵ではないでしょう。あらかたの典型が揃っているんですから。そこを「サムタイムス・サルベイジョン」「レメディ」でやってしまったのがこの盤です。「レメディ」は、ホワイト・ストライプスがお手本にした気がします。しかも高卒2年めぐらいのトシです。恐れ入ります。
クロウズの売れ方を横目で見て、往年の音楽家たちが発奮しただろうことも想像できます。ダルなブルーズは、ロックの基本線。と言わせてください。2025.05.29
77年ではアナクロな内容であると言え、これは高性能なハードロックです。ニック・シンパーが抜けてしまったことは、それほど影響及ぼしてはいません。誠実な音であるのが逆に痛々しく感じるほどです。キャプテン・ビヨンドのアイアン・バタフライ組は、ボーカリストを新たにスカウトしてバンドを再スタートさせました。ボビー・コールドウェルの凄腕凄脚つきで。
一般的にはファースト盤に数段劣る、という評判なのです。曲調が明るいのがマイナス要素なのでしょう。しかしビヨンド船長の後日譚で、全曲のストーリーがつながっている挑戦的な作風はかなりのものです。スティクスやボストンと比べてもタメを張れるグレードです。ライナーには「プログレッシブ・ロック」と、しっかり書いてありますよ。
で、コールドウェルの演奏はとてもよいです。彼のドラミング聴きたさに所持しているようなもの。10曲めはキング・クリムゾンみたいです。2025.05.28
4曲めに「ホーダウン」という見事なカントリー曲があります。フィドル、バンジョー、ギター、ハープという順番でソロがリレーするインスト曲で、一家で夜逃げしたくなるような。洋楽ユーザー、ことにハードロックの聴き手は、どうしても英国を中心に世界を見がちになります。フィドルやバンジョーは、すると異端の楽器と聴こえてしまうところがあるんです。これは世界を逆に見た方がいいんじゃないか、と気づきました。つまりカントリーに電化したギター、オルガンを加えようとしたのが彼らの音楽ではなかったのか、と。
モビー・グレープとイッツ・ア・ビューティフル・デイ、ジェファースン・エアプレーンは同じレーベルでした。総じてサンフランシスコ・サウンドと呼ばれます。この3バンドとも共通するのが、電化したギター、オルガンを導入する実験です。言い換えると白人音楽の典型だったフォーク、カントリーに、ブルーズのギター、ゴスペルのオルガンを溶け込ませる試みです。そう考えるとわかりやすく説明できませんか。
ビューティフル・デイはフォークの典型と見なされています。彼らのロック魂を愛する自分です。2025.05.27
スーツをぴしっと着こなした、専門学校生みたいな印象です。アレサ・フランクリンのような声量と、ダイアナ・ロス(スープリームズ時代)のような舌足らずな幼さを併せ持つバレリー・カーターです。彼女のリーダー盤が2枚で終わっている(96年にサード盤を出しているようです。)ところを見ると、実力があっても、カリスマ人気がなかった人なんでしょう。わたしはリトル・フィートの録音に参加した人の音源を押さえておきたいタチの人間なので、所持しています。あまりに上手で驚きました。彼女の書いた曲も大したもんです。
チャック・レイニー、ジェフ・ポーカロのリズムが安定していて、身じろぎもしません。のちの西海岸AORのようなジャズ・テイストもなくて安心できます。ロック的なダイナミズムもあって、ボーカルを日頃聴かない人でも楽しめると思います。ルカサーのギターもここでは効いています。TOTOのデビュー前夜のレコードなので、その筋の人にもぜひ。
リンダ・ロンシュタットやオリビア・ニュートン・ジョンより、上手だと思うんです。ときにマーケットは無慈悲です。2025.05.26
デイブ・グリーンスレイドとトニー・リーブズは、クレム・クレムスンとバンドをつくる準備をしていたのだそうです。クレムスンがハンブル・パイから声をかけられたことで、ギターレスで運営することになったようです。わたしは彼らを、カンタベリー系と同じように見ています。リスナーを攻撃しないプログレ。と申しますか人肌のジャズ・テイスト。コロシアムが演奏格闘技だったことに比べると、ずいぶん、のほほんとした音楽で、そこを愛しています。
「スパイグラス・ゲスト」が英国でけっこう売り上げていたことも発見でした。この国内盤CDが出たのが92年です。彼らがメジャー・レーベルと契約していたことがアダとなり、国内発売がありませんでした。(ワーナー・パイオニアと東芝EMIは、発売基準が厳しかったんです。)バージンやバーティゴとの契約でしたら、とっくに国内で聴けたはずです。バンドの地力があるんで、現在では知らない人がいないぐらいです。
ボックスには力の入ったライナーが入っています。各CDは紙ジャケで、LP時代の二つ折りが再現されています。わたしはリマスター期待の購入でした。「ベッドサイド・マナー」のシアン発色が強すぎて唯一の難点です。2025.05.25
What The World Needs Now ジャッキー・デシャノン65年曲。かなりドラマチックなロケンロー・アレンジで素晴らしいです。レオン・ラッセル制作。
You‘ve Lost That Lovin‘ Feelin ライチャス・ブラザーズ。この曲でもデラニー&ボニーの熱量が違う曲に仕立てています。中間部ワルツになります。レオン・ラッセル制作。
Heartbreak Hotel プレスリー曲。ギター頑張ってます。ロケンローをR&B調にアレンジ。
Tomorrow Never Comes 同じくプレスリー。わたしはストーンズ「テル・ミー」の元ネタがこの曲だと言うことを知りませんでした。
I Can‘t Take It Much Longer D&Bのオリジナル曲。モータウン調のコール・アンド・レスポンスです。ぶわぶわサックス、よいですね〜。レオン・ラッセル制作。
I‘ve Got A Woman レイ・チャールズ55年。がちゃがちゃしたギターと性急なぶんちゃかビートが楽しいです。デラニー・ブラムレット、歌上手いなあ。
Lonely Me ちょっと出自がわからない他人曲です。サーフ&ロケンローという趣で、踊れます。
Without Your Love D&Bオリジナル。デラニーのダブル・トラックです。メランコリーがかったラブソング。
Better Man Than Me 同じくデラニーのダブル・トラックでオリジナルです。レノン・マッカートニーを思い出してしまうほど。
Liverpool Lou ドミニク・ビーハンというアイルランド人が書いたリバプール賛歌。
You Never Looked Sweeter ラティ・ムーア68年曲。ドデンと打ち鳴らすハル・ブレインのティンパニが効いています。
You Have No Choice 最後はジャッキー・デシャノン曲です。
発売したレコード会社倒産により、評判なく終わったD&Bのデビューで、ほぼカバーで占められています。これがCDで聴けるのはわが国だけ。もし見かけられたらラッキーです。二人とも若くて、声の張りが素晴らしいです。ホワイト・ソウルということになりましょうが、ビートルズ関連のリスナーにおすすめしたいです。2025.05.24
レコードをいっぱい所持していることが幸せなんだろうか。この盤を久々に出してきて、そんな思いを抱きながら聴いています。終活とかをする気ではありません。自分にとって必要なレコードだけがあればいい、とは良い音を聴いたとき共通に抱く感情です。そのぐらい素晴らしいです。いっぱい所持している理由は、わたしが全盤制覇するタチだからです。だからこの盤の音にたどり着いているんですけどね。
トッドが米国西海岸や英国ビートに影響受けていることは衆目の事実。わたしは加えてゴスペルが大きいのかな、と新たに思いました。彼のメロディ、コーラスワークの美しさを聴いて、そう感じました。バラードをテーマにした制作であると勘違いされています。これはメロディとメランコリーを追究するためのレコードです。ひとりで演奏していても、しっかりバンドサウンドになっているので安心してください。
さて、べたん、ぼこんというトッドのドラム録音は、彼のこだわりです。この録音は自分のレコードでないと出てきません。わざとローファイ録音にしています。この録音が何に由来するのか。次に書くときはそれをテーマにしましょう。2025.05.23
ビートルズの中で人気は中程度。しかしロック史に残るレコードという(欧米の)投票で、平然と上位に上がってきます。このレコードがリリースされた直後、彼らは来日し、狂乱のファンの姿が白黒フィルムに残っています。一方で渋谷陽一氏によれば、ラジオではウォーカー・ブラザーズに負けていたし、クラスで「ビートルズは一過性のムーブメントだ」という討論会が開かれた、とか。都教育委員会からビートルズ来日に関するお達しが出ていたわけです。彼らの人気はすごかったのか、大したことなかったのか、いまだに結論が見られません。
推論するならこうです。この全能感ある音楽を聴いて撃たれたリスナーは少数であった。その少数を短期間でヒステリーに追い込むほどの音楽だった。言い換えると多くのリスナーの耳は出来ていなかったし、耳が出来ていないから醒めていた、と。
わたしは中学一年でこの音に撃たれました。英語の時間に教師に反抗してまで、ビートルズの素晴らしさを教室で発言した、おばかなリスナーです。誰かに語りたくて仕方ありませんでした。そうでないと自分が内部から壊れるのではないかと恐怖するほどの衝動を感じていました。授業時間に内職で歌詞を訳していましたから。そんなレコードは、あとにも先にもないですわね〜。2025.05.22
わたしには、信奉しているバンドが一般的な支持を集めていくほど冷めていく、という悪い病気があります。一例としてU2。デビュー時から見守っていたはずですのに、彼らが世界的存在に成長するほど、どうでも良くなりました。レインボウも「ロング・リブ・ロケンロー」までしか真面目に聴いていません。半分は自分の僻み根性ですし、半分は真実の側面があると思っています。受けるには「通俗的」になる、という方法があります。このレコードの手垢のついたメロディ、隙間ないリズム、妙な明るさを聴いていると、これがレインボウなのかとがっくりしてきます。
もともとハードロックは日陰者のジャンルです。それがメジャー受けしてどうするよ、と思うんです。まあ、ツェッペリンみたいに売り上げるバンドもいるんで一概に言えないところでもあるんです。あなたはこのレコードの通俗的なメロディを許せますか。わたしは…許せないですね。印象に残らないです。ブラックモアが、のちにアクースティック志向になっていくのは、ここらへんに理由があるんじゃないですか。ユーロビートと同一線上にあると断じます。2025.05.21
ロイ・ウッドは、ジェフ・リンと温めてきたアイデアをELOのファーストで実現したあと、あっさりと新しいバンドをつくってしまいます。それが今回紹介のウィザードです。様々な楽器編成によるロケンロー・オーケストラがELOで、グラマラスなポップに特化したのがウィザードです。こうしたアイデアを思いつくばかりか、実現してしまうのが、鬼才と呼ばれる所以です。で、このウィザードの音がとにかく良いのです。とろけそうなぐらいです。よく英国ポップを表現するのに、ビートルズ直系とか、マッカートニー流の、と形容しますよね。ウッドの考えたポップは全然違うんです。
チェロ、サックス、ホルンを演奏する複数のメンバーがいます。無論ウッドだって楽器は何でもできます。ロケンローで使わない楽器を使った、ファットでリッチな音楽。わたしは、モータウンの音にしか思えません。ダイアナ・ロスの代わりをウッドが務めるスープリームズです。8曲めまでが、シングルのAサイド。偉い人を目撃した時、目がつぶれるかも、と申しますでしょ。わたしは耳がつぶれるかと思いました。わたしらが山下達郎氏の音に触れたときの感動に近いです。これだけあれば、ほかに何も要りません。2025.05.20
世界初のハード・レゲエを収録しているのがこの盤です。「イズ・ゼア・エニバディ・ゼア」のことです(ゼアがだぶってないかぁ?)。ボブ・マーリーのレビューでわたしが、レゲエは宗教歌である、と書いても、明るいスコーピオンズの面々は軽く無視してくれるのです。「ラブ・ドライブ」ほか数曲でマイケル・シェンカーがリードギター復帰してくれてもいます。脱退したと申しましても、ルドルフの頼みとあれば断れないのでしょうねぇ。シェンカー・ファミリーの強い結束を見せつける明るいスコーピオンズです。
ヒプノシスの悪趣味カバーは、何をしているのでしょうか。ドライブの最中にラブメイクしているとはとても思えません。それとも引っ張るのが新しい愛のかたちなのでしょうか。わたしでしたら、おねえさんにも男のどこかの部分を引っ張らせるデザインにしたと思うんです。なら新しい愛のかたちと言えます。それじゃ「テクニカル・エクスタシー」のデザインと同じか…。
メランコリーもあります。でも総じて彼らの明るさが前面に出てきている盤です。ウーリッヒ、元気でな〜、と。2025.05.19
ビム・ベンダース監督の美しい映画「パーフェクト・デイ」をきょう観ました。このレコードの3曲めが主題になった映画ですが、劇中で演奏されるのはわずか1回、それも途中までです。東京都内のトイレ清掃を生業とする主人公(役所広司)が、自分の車に60年代のポップスのカセットを積んでいて、その中の曲なのです。歌詞は、変化はなくても充実した日々を送っている男が恋人に感謝する内容。ただ自分で蒔いた種は自分で刈り取らなくてはならないという不吉なエンディングが議論される曲です。ベンダースは清掃員の男の過去を一切描こうとしません。観客に想像させるだけなのです。彼は善き人として描かれていて、リスクもとらない代わりに、接した人たちにとても親切なのです。かつて何らかの罪をおかした人であることを想像させました。
ルー・リードの歌詞の内容がそれで腑に落ちました。言い換えると彼の歌詞は、ひとつの映画を構成するに匹敵する意味を内包しているということです。恥ずかしいことに「ワイルドサイドを歩け」や「ビシャス」の歌詞を分析したことがありません。ルー・リードの書く曲は、ベルベット時代に比べてソロのほうが重みを増している印象です。ロックンロール盤として聴くこともでき、勘の良い人にはきちんとメッセージが届く。きわものと決めつけていたようで、自分の未熟さに気づいた一日でした。2025.05.18
北欧とひとくくりにするのはいささか乱暴でございます。でもお国柄が存在するというのも一方の事実で、ウィグワムの音楽はけしてリスナーを攻撃しません。カンタベリー系と申し上げて間違いないでしょう。バンドの中心メンバーだったペッカ・ポホヨラとユッカ・グスタフスンが脱退しました。彼らはバージン・レーベルとの契約に成功し、新メンバーを加入させ、張り切っていた時期の制作です。中心になっているのは、鍵盤のジム・ペンブロークです。彼の人懐こい声がアンサンブルに活気を吹き込んでいます。
ギターのペッカ・ルシャールトがポイントになる演奏をしています。4曲め、5曲めあたりのアンサンブルは、プログレ・リスナーのうるさ型にもアピールすると思います。演奏力とセンスは保証いたします。
次の「ラッキー・ゴールデン・ストライプス・アンド・スターポーズ」が手に入らないのですよ。購入しておけばよかった…。後悔先に立たず、です。2025.05.17
同じ「ゴング」と名前がついていますけれど、デイビッド・アレン時期のユーザーのかたが、メルレンズ・ゴングも聴くとは思えません。わたしは逆で、初期ゴングの演奏力は認めつつも、悪ふざけやおとぎ話が苦手です。メルレンが打楽器奏者であることで、打楽器主体と誤解されているかた、いらっしゃるかも、です。ベノワ・メルレンのビブラフォン、つまり音階打楽器が主役の音楽で、綺麗なメロディが切なくなる音楽です。打楽器は基本アクースティックです。なので、スティーブ・ライヒの行うミニマル音楽に印象が近くなります。実際影響を受けていると思います。
真面目一筋のマイク・オールドフィールドが参加していることでも、かつてのゴングと違うことがわかるでしょう。ディディエ・ロックウッドや、マレルプも参加しています。悪ふざけしないゴングの音です。タイトル曲のベノワ鉄琴とオールドフィールドの魂のギターが、競いながら駆け上がる様は感動です。
カバーアートはドイツ盤アリスタのものがよろしい。なんでカラーコピーみたいな出来で終わらせたのかと思います。2025.05.16
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中古CDを安心してお買い求めいただけるように、日々サービス面の向上を目指しております。