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NO NAMESの75年唯一作『NO NAMES』特集! – イスラエル・ロックの礎を築いた大傑作

ユーロ・ロックの中では恐らく「辺境」と位置づけられるイスラエルという地で、70年代に数多くのプログレッシヴ・ロック秘宝が生まれました。そのクオリティは、P.F.M.やIL VOLOをはじめとするイタリアン・ロックの名作達に勝るとも劣らないと言っても過言ではなく、その中でも特にユーロ・ロックのファン必聴と言えるのが、Shem-Tov Leviというフルート奏者&コンポーザーが在籍した3つのバンド、NO NAMES、SHESHET、TUNED TONE。

Leviは、テルアビブ大学で音楽を学んだ後、アメリカに留学し、ボストンのバークレイ音楽院で学んだ後、イスラエルの音楽シーンで数多くの功績を残したイスラエルを代表するミュージシャンで、彼が最初に結成した本格的なバンドがNO NAMESです。

バンドのはじまりは74年。イスラエルを代表する女性シンガーNurit Galronのサポート・バンドがきっかけで、そこからバンドだけで活動するようになりました。メンバーは下記の3人。

Shem-Tov Levi: Flute, Piano, Vo
Shlomo Gronich: Key, Vo
Shlomo Ydov: G, B, Vo

後にニューヨークで音楽を学び、ソロとしても活躍するShlomo Gronich。00年代に入っても活躍を続ける名SSWのShlomo Ydov。このバンド以降も長くイスラエルの音楽シーンの第一線で活躍し続ける名ミュージシャンの3人によるスーパー・トリオで、イギリスで言えばソフト・マシーンに当たるような、シーンの礎を築いたバンドと言えます。

3人ともにコンポーザーとして一級で、まずはメロディとハーモニーの美しさに心を奪われます。軽やかに舞うようにポップでいて、物悲しさも内包した「奥深いリリシズム」と、安易に着地せずに奔放に展開していく「イマジネーション」を両輪に、自在に紡がれていくメロディはまさに「マジカル」。アカデミックな香りに包まれた三声ハーモニーも見事で、日本人の琴線にびんびんと触れる歌心にあふれています。

演奏・アレンジも特筆で、ロック、クラシック、ジャズを軸に、ユダヤ音楽や地中海音楽のエキゾチズムが加わったサウンドは、「まばゆい」という形容がぴったり。ジャズ/フュージョンとポップ&ロックの融合という点では、同時代の74年と75年に作品を残したハットフィールド&ザ・ノースにも比肩していますし、ロックと地中海民族音楽との融合という点では、マウロ・パガーニの79年のデビューソロより4年も先駆けていると言えます。

アルバムの幕を開けるのはGronichとYdovの共作による「Travelling」。フランス語にちょっぴり近いニュアンスのヘブライ語のヴォーカル、たゆたうように流麗なメロディ、そして、豊かな3声ハーモニー。シャープに引き締まったジャジーなドラムをバックに、ギターとエレピがユダヤ音楽由来の細かい拍子と半音階でまさに「きらめく」ように次々とオブリガードを奏でるアンサンブルも最高だし、Levyによる軽やかなフルートもまた絶品。これほどにポップでいて、ジャジーでいて、プログレッシヴでもあるサウンドは世界中を見渡しても思いつきません。

「Travelling」

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キース・ティペットを彷彿させるよどみなく流麗に奏でられるピアノをフィーチャーし、クリムゾンの「Cat Food」をジャジー&ポップに洗練したようなGronich作曲による「Guru」、フルートが幾重にも重なるリードから叙情がこぼれ落ちるLevyによる歌もの「Little Piece」ときて、Levyによる4曲目「Shemi’s Piece」がマウロ・パガーニもびっくりなナンバーで特筆。アコギとフルートがユニゾンしたテーマのリフ、そこからピアノやヴァイオリンによる奔放な旋律が次々と奏でられていき、ロック的ダイナミズムを増すとともに、バルセロナのバンドにも通じる躍動感溢れる民族ジャズ・ロックへとダイナミックに展開していきます。

「Shemi’s Piece」「Quinta」

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P.F.M.のリリカルな名曲「Just Look Away」を彷彿させる歌もの「Pink Skies」(Ydov作曲)、フルートやオーボエやコロコロとかわいらしいピアノや小鳥のさえずりのようなヴォーカルに心和む「Spring」(Gronich作曲)、イスラエルの子供達にはお馴染みらしいトラッドを諧謔味たっぷりにアレンジした「Two Chinose」を経て、Gronich作曲の「Quinta」がアラビックな地中海ロックの佳曲。

こぶしを効かせたヴォーカルは、アレアみたいだし、クラシック・ギターとフルートのユニゾンによる地中海フレイヴァーたっぷりなミスティックな旋律はエキゾチズムとともに気品がみなぎっていますし、後半には、ヴァイオリンとギターが奔放なインプロヴィゼーションを応酬させてマウロ・パガーニもびっくり。地中海をはさんだスペインはバルセロナにも同時期に同じようなエスニックなジャズ・ロック/プログレが生まれていますが、地中海周辺のロック・ミュージックは本当に素晴らしいです。


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フランコ独裁政権からの抑圧から解放されたカタルーニャ人の喜びとともに、あらためてルーツを振り返り、高らかにカタルーニャ文化に根ざしたサウンドを鳴らしたのが本作。族舞踏サルダーナとジャズ、ロックが完璧に融合したサウンドは、名づけてカタルーニャ舞踏ロック!

続くLevyによる「Echo」が、後のSHESHETにも通じる物悲しいメロディ・ラインを持つ名曲。アレンジもイマジネーションたっぷりで、多彩なパーカッションとヴァイオリンとピアノによるフリーフォームで幻想的なインプロヴィゼーションはキング・クリムゾンに比肩してるし、さりげない変拍子できらびやかに哀愁のメロディを彩っていくオブリガードは、Levyならではのマジックにあふれているし、プログレ・ファンに勧めるとすれば、「ロバート・フリップとジェイミー・ミューアとキース・ティペットとマウロ・パガーニとデメトリオ・ストラトスがセッションした感じ」と言えるでしょう。

カール・ジェンキンスがオザンナをプロデュースしたようなGronich作曲の「204」で暗闇をさまよった後に、ひだまりのようにあらわれる次曲「Sweet Song」(Ydov作曲)がまた天上の美しさ。この曲のみ英語詞で、DonovanやCat StevensやMARK-ALMONDあたりのファンはたまらないドリーミー&ジェントルな佳曲です。イントロなんか、マイク・オールドフィールドとケヴィン・エアーズあたりがやりそうな感じ。

ラスト曲は「Bissalad」で、ピアノとフルートのクラシカルな旋律から、諧謔味たっぷりなヴォーカル・パフォーマンス、そして、突然のスペーシーなムーグが溢れるシンフォニック・ロックがあらわれたかと思うと、ビートルズの「You Never Give Me Your Money」の断片がはさまれたり、やりたい邦題ぶちまけてフィナーレ。アカデミズムから諧謔までなんでもござれのこのバンドらしい痛快な幕引きと言えるでしょう。

「Bissalad」

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ユダヤ音楽に傾倒したロシアの作曲家ショスタコーヴィチは、ユダヤ音楽に対して以下のように語っています。

「ユダヤの民族音楽を聞くたびに、いつでも感動を覚えるが、それはひじょうに多様性をおび、見た目には陽気でも、実際は悲劇的なのである。それはほとんどつねに泣き笑いにほかならない。ユダヤの民族音楽のこの特性は、音楽がいかにあるべきかというわたしの観念に近い。音楽にはつねに二つの層がなければならない。ユダヤ人はひじょうに長いあいだ苦しんできたので、自分の絶望を隠すすべを身につけていた。ユダヤ人は自分の絶望を舞踊音楽のなかに表現している。」

数多くの悲劇の中で民族に刻まれたメランコリー、それと裏腹に現実に屈しないために得たオプティミズムやユーモア精神やアカデミズム。そして、離散(ディアスポラ)の結果、全世界に広がった民族のネットワークから生まれた文化の重層性。

そんなユダヤ民族、イスラエルという地だからこそ生まれた「まばゆい」ロック・ミュージックの傑作と位置づけることができるでしょう。数あるユーロ・ロックの傑作の中でも屈指と言える一枚です。


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  • NO NAMES / NO NAMES

    SHESHETと並ぶイスラエルを代表するプログレ・グループ、ワールドワイドで見ても傑作と言える75年の逸品

    イスラエルではかなり名の知れたミュージシャンでありコンポーザーの3人、Shlomo Gronich(イスラエルのアラン・ソレンティとして有名!)、Shem Tov Levy(SHESHETのフルート奏者!)、Shlomo Ydov(2010年現在でも活躍を続ける名SSW)によるスーパー・トリオ。イスラエル・プログレのNo.1グループとして知られていて、75年リリースの唯一作である本作は、SHESHETの唯一作と並んで人気の傑作。軽やかな変拍子によりめくるめく展開するアンサンブルと巧みなコーラス・ワークはGENTLE GIANTばり!地中海の空気が感じられる詩情豊かなパートも魅力的で、フルート、弦楽器、エレピ、アコギ爪弾きがタペストリーのように丁寧に重なり、美しいメロディを包み込むアンサンブルは、P.F.M.に比肩しています。GENTLE GIANTやCAMELなどブリティッシュ・プログレのファンからP.F.M.などイタリアン・ロックのファンの皆さま!ずばりこの作品は聴かなきゃ損です!素晴らしすぎる逸品!

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