2018年7月6日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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スタッフ佐藤です。
古くはイエスやジェントル・ジャイアントといったプログレ・バンドが、彼らのサウンドに欠かせない要素として取り入れてきたコーラスワーク。
華やかなコーラスワークを駆使してヴォーカル・パートを盛り上げるバンドから、難度の高い複雑に構築されたコーラスワークを売りにするバンドまで、
プログレのコーラスはバンドごとに様々な味わいがあって面白いですよね。
今回は、そんなコーラスワークが作品の魅力に一役買っているプログレ・アルバムを取り上げてまいりたいと思います。
まずは冒頭でも挙げた2バンドにご登場願いましょう!
ジョン・アンダーソンのエンジェル・ヴォイスを支えるのが、ハウとスクワイアの二声コーラス。メイン・ヴォーカルを張るにはやや頼りなげな2人のヴォーカルですが、イエスのコーラスにとってはこの声以外ではありえないというハマりようを見せます。特に本作を象徴する大曲「CLOSE TO THE EDGE」では、テンションみなぎる演奏もさることながら、2人の「硬質」なコーラスワークも緊迫感を醸し出す大きな要因となっていますよね。
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印象的なロジャー・ディーン・ジャケとともに、初期GGの完成形として人気の高い名盤ですね。コーラスという点で、聴きものはやはり「KNOT」。得意とする目眩がするほど複雑に編み上げられたコーラスワークが堪能できる名曲です。
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初期クリムゾンの重要人物イアン・マクドナルドがプロデュースを手掛けている米シンフォの隠れた名盤。ジャケからして秘宝臭ぷんぷんですが、音はイエス&ジェネシス直系と言えるファンタスティック・プログレ。でもコーラスワークにはキャッチーさが光っていて、アメリカらしい突き抜け感があります。
さらにアメリカから。アメリカン・ロック然としたキャッチーなメロディ&コーラスワークを伴って突き進む痛快なプログレ・ハード曲と、メロトロンをこれでもかと鳴らすドラマチックなナンバーをバランス良く配した米シンフォ好盤。動画の曲「HANSA」は、メロトロンとコーラス、バンドの持ち味2つが見事に調和した幻想的な名曲です。ちょっと英国のFANTASYを彷彿させますよね。
オランダでコーラスが魅力のプログレと言えば彼ら。ずばり「イエスやジェントル・ジャイアントなど英プログレ」 meets 「ELOやパイロットなど英ポップ」と言えちゃうメロディアスでファンタジックな胸躍るサウンドが持ち味。高揚感たっぷりに舞い上がるコーラスワークもお見事です。
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続々登場する新鋭バンドに負けじとハイクオリティな作品を発表している、70年代に活躍したベテラン・バンド/アーティストたちの作品に注目してまいります☆
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世間ではあまり知られていないが、聴いたら思わず涙がホロリ、もしくは嗚咽をあげて泣きむせぶ、そんなロックの隠れた「泣ける名曲」を紹介。お相手は、叙情メロディとネコをこよなく愛する音楽ライターの舩曳将仁。
フランスからはこのバンドを。構築的な楽曲を、華のある流麗なアンサンブルと存在感みなぎるヴォーカル、そして美しいコーラス・ワークで聴かせる、センス溢れる音像は実にフランス的。2nd、3rdの人気が高いですが、コーラスに注目するならこのアルバムを一押し!
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4月26日、東京国際フォーラムにて開催された「ヨーロピアン・ロック・フェスティヴァル VOL.2」を観てまいりました!参加4バンドによる5時間超に及んだ熱気みなぎるステージの模様をお伝えしてまいります!
まるでイエス meets アルティ・エ・メスティエリと言えそうなイスラエル・プログレの古典にして至宝的一枚。音数多く技巧的に畳み掛ける演奏に耳を奪われますが、対象的にヴォーカルは落ち着いた穏やかなパートが多く、そこに優しく寄り添うようなコーラスが感動的に響きます。
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一日一枚ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。
本日は、イスラエル・プログレの古典的名作ZINGALEの77年作『PEACE』をピックアップいたしましょう。
フォルクローレやサイケ色を取り入れたリリカルなサウンドを聴かせるアルゼンチンの名グループ、70年の名作1st全曲と当時のシングル曲で構成された17年編集盤がこちら。メロウで陰影ある演奏に乗る、触れると壊れそうなほどセンチメンタルなスペイン語ヴォーカルとコーラスワーク。この泣きたくなるほどの繊細さこそアルゼンチン・ロックの醍醐味。
ここからは、コーラスが魅力的な新鋭プログレを探索!
抜群に垢抜けたポップ・センスとプログレ然とした大作主義を見事に両立させた、新世代アメリカン・プログレの金字塔ですね。要所に配されたセンス溢れるコーラスワークも大いに聴きどころです。プログレはちょっと苦手…という方にもこのアルバムはぜひ一度聴いてみてほしい!
現在のプログレ・シーンでジェントル・ジャイアントのDNAを引き継ぐグループはそれなりにいますが、代表格と言えばやはり彼ら。めくるめく変拍子、予測不能の複雑な楽曲展開、そして鉄壁のコーラス!そこにアメリカのバンドらしい突き抜けるタフネスも加わってもはや無敵に近い位置にいるバンドです。
3rd『LOVER’S END』で大ブレイクした北欧叙情派プログレ・グループですが、デビュー作の時点で既に凄かったんです・・・。とめどなく湧き上がるメロディ。手工芸品のようなアンサンブル。温もり溢れるドリーミーな世界観。そして透き通るような美しいコーラス・ワーク。嗚呼、何もかもが素晴らしい。
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6月22日に行われた「SYMPHONIC NIGHT VOL.1」BAROCK PROJECT&MOON SAFARI来日公演を観てきました。イタリアとスウェーデンの新世代を代表する実力派プログレ・バンド2組のステージの模様をお伝えいたします!
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「あの『LOVER’S END』を超えるとは・・・」と現在話題騒然のスウェーデン新鋭ムーン・サファリの13年作『HIMLABACKEN VOL.1』ですが、知名度でこそ劣るもののクオリティはムーン・サファリにも引けをとらないファンタスティックな北欧新鋭が他にもたくさんいるんですよね。
そんなわけで、今回はムーン・サファリ・ファンに是非聴いていただきたいファンタスティック&ドラマティックな北欧の新鋭たちをピックアップしてまいりましょう!
やっぱりこのバンドも取り上げちゃいます。クイーン+ドリーム・シアターに、多彩なジャンルを混ぜ込んで、スペインらしい情熱でまとめ上げた強力無比な新鋭グループ!コーラスはもちろんクイーン影響下で、ヴォーカルをエネルギッシュに盛り上げる多彩な厚みあるコーラスワークを聴かせてくれます。素晴らしい!
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イギリスより登場したこの新鋭もコーラスワークがとても良いんです♪ フラワー・キングス、ビッグ・ビッグ・トレイン、スポックス・ビアード等からの影響を、英国らしい端正さ瑞々しさで料理したようなサウンドを持ち味のバンドで、少し粘り気のあるハイトーン・ヴォーカルと爽やかなコーラスとの対比がまたいい味を出しています。これはずばりMOON SAFARIにも匹敵だろうファンタスティックな傑作。
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90年代以降のプログレシーンを盛り上げる北欧スウェーデンやイタリアに負けじと、本場イギリスからも、イエスやジェネシスやクリムゾンなど往年のグループのDNAを継いだ好グループが出てきております。注目の作品をセレクトいたしましょう。
最後はアルゼンチンより愛すべき新鋭をピックアップ。優美なストリングスをバックに言葉を選ぶように大切に歌うヴォーカル、そして天上から降り注ぎフワッと柔らかく歌声に寄り添うコーラス。SUI GENERIS、SERU GIRAN、PABLO EL ENTERRADOR、PASTORALなど往年の繊細なアルゼンチン・ロックがお好きならこの新鋭、悶絶間違い無しです。
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叙情派アルゼンチン・ロック作品の中で、特にメロディの良さが堪能できる泣ける作品を見ていきたいと思います。南米ロック史に名を刻む名作から、そのDNAを受け継いだ新鋭まで、世代を超えてご紹介!
いかがだったでしょうか?
お気に入りの一枚が見つかれば幸いです!
その構築的に練り上げられた楽曲と凄まじい演奏技術により、今なお多くのフォロワーを生み出しているイギリスのグループの72年作5th。その内容は前作「こわれもの」と並ぶ、プログレッシブ・ロック史に留まらず70年代ロック史に残る屈指の大名盤であり、20分近い表題曲をメインに据えたコンセプト・アルバムとなっています。Keith Emersonと人気を分かつRick Wakemanによる華麗なキーボード・オーケストレーション、カントリーからフラメンコまでを自在に操る個性派ギタリストSteve Howeの超絶プレイ、難解な哲学詞を伝えるハイトーン・ボーカリストJon Anderson、テクニカルでタイトなBill Brufordのドラム、そしてリッケンバッカーによる硬質なベースさばきを見せるChris Squire、今にも崩れそうな危ういバランスを保ちながら孤高の領域に踏み入れた、まさに「危機」の名に相応しい作品です。
デジパック仕様、スリップケース付仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースに経年変化あり
デジパック・スリップケース付き仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
若干圧痕あり
12年デビュー、メンバーほぼ全員がクイーンとドリーム・シアターをフェイバリットに挙げるスペインの新鋭プログレ・バンド、前作より3年ぶりとなった18年作3rd。前2作も素晴らしいアルバムでしたが、この3rd、もうとことんエネルギッシュで痛快。聴いていてこんなに楽しくってワクワクするプログレって他にないかもしれませんっ!ベースとなるのは最も影響を受けているクイーンとドリーム・シアターの合わせ技。そこにシンフォ、ロックン・ロール、様式美ハード・ロック、ビッグ・バンド・ジャズ、フュージョンなどを自在に結合させて、スペイン産らしい情熱的かつダイナミックなプログレに仕立て上げた、エネルギーがぎっちり詰まったサウンドを構築しています。歌い回しにフレディ・マーキュリー愛を感じさせる声量みなぎるスペイン語ヴォーカルとオペラチックな分厚いコーラスがドラマチックに舞い上がるクイーン風のヴォーカル・パートから、ド派手に鳴らすヴィンテージ・トーンのオルガン&クラシカルで可憐なタッチのピアノを操るキーボードが溢れ出し、ギターがテクニカルかつハードエッジに疾走。ギターはメタリックにゴリゴリしてはいるのですが、同時にコシの強いグルーヴ感があり、ロックンロールのノリの良さが先立っているのが特徴。硬質ながら人間味たっぷりに熱く弾き飛ばすプレイ・スタイルがカッコいい!ギターが牽引する強度あるヘヴィ・プログレに突如ゴージャスなビッグ・バンドが絡んできたり、クラシカルな速弾きが炸裂する様式美系ハード・ロックがごく自然に南国風フュージョンに発展したりと、あまりに先の読めない奇想天外なサウンドには軽く目眩が起きそうなほど。その後には一転して美しいメロディが冴え渡る叙情バラードを持ってくるセンスも憎い限りです。前作が彼らの完成形かと思いきや、まだまだ進化するDRY RIVERサウンドを見せつける大傑作!おすすめです!
オランダの名プログレ・グループ、73年のデビュー作。コロコロとクラシカルでリリカルなピアノ、透明感のあるトーンの伸びやかなキーボードを軸に、性急なギターやゴリゴリとアグレッシヴなベースなどイエス譲りのダイナミズムを盛り込んだサウンドが印象的。ELOやPILOTあたりの英ポップに通ずるキャッチーなメロディも魅力的で、イエス『危機』ばりのハイ・トーンのコーラス・ワークも見事。1曲目からイングランドやドゥルイドあたりの英プログレ・ファンにはたまらないサウンドで、中間部では、ジェネシスばりの幻想的なギター・ソロまで飛び出して、胸が熱くなります。2曲目以降もジェントル・ジャイアントばりに変拍子でキメまくるスリリングなアンサンブルやP.F.M.ばりに格調高いアンサンブルなど、めくるめくドラマティックかつメロディアスな展開で畳みかけます。イエスやジェントル・ジャイアントやグリーンスレイドあたりのファンは必聴!
古くからイスラエル・プログレを代表する傑作としてマニアの間で語られている作品。ヴァイオリンやキーボード奏者を含む8人編成のグループ、77年作。アンサンブルの中心でゴリゴリと疾駆するベース、左右チャンネルに渡ってダイナミックに畳みかけるドラム。タイト&アグレッシヴなリズム隊がたまりません!そして、その上を時に柔らかく、時に疾走するエレピ!ジャジーなエッセンスをさりげなく取り入れるところは、いかにもイスラエル的で洗練されています。そしてそして、極めつけはヴァイオリン!優美なフレーズから、激しくロールするリズム隊の上を力強く駆け上がるフレーズまで、縦横無尽。アンサンブルのダイナミズムとは対照的に、ヴォーカルは、繊細な歌声で、KAIPAなど北欧シンフォに通ずる透明感あるファンタジーを感じさせます。コーラス・ワークも見事。ジャケットは恐いですが、サウンドは、「動」と「静」のコントラスト鮮やかでダイナミック&ファンタスティック!イスラエル・プログレの大傑作。P.F.M.ともタメを張れるグループ!超オススメです!
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