スタッフ佐藤です。
6月22日に渋谷のTSUTAYA O-EASTで行われた、「SYMPHONIC NIGHT VOL.1」BAROCK PROJECT&MOON SAFARI来日公演を観てきました!
今回は写真撮影がOKだったのでステージ写真を交えてお届けいたします。スマホのズーム撮影だったため鮮明ではありませんが、ステージ上の雰囲気が伝われば幸いです。
今回の出演バンドは、初来日となるイタリアの新鋭BAROCK PROJECTと、3年ぶり3度目の来日となるスウェーデンのMOON SAFARI。
BAROCK PROJECTは、00年代中頃に結成され07年にデビューしたイタリアの新鋭シンフォニック・ロック・グループ。キース・エマーソンを敬愛してやまない超絶技巧キーボーディストLuca Zabbiniを中心に活動、現在までに5作品をリリースしています。因みに84年生まれの33歳Luca Zabbiniを筆頭に、5人中3人が20~30代のメンバーという注目の若手バンドです。来日メンバーはこの5人。
MOON SAFARIについては説明不要かもしれませんが、今や新世代プログレを代表する存在となったスウェーデンの6人組バンド。03年結成、05年にTHE FLOWER KINGSのメンバーThomas Bodinのプロデュースによってデビュー作をリリースします。その後08年の3rdアルバム『LOVER’S END』で大ブレイク、日本でもその名が一躍知られるようになりました。難解で取っ付きにくいというプログレのイメージを覆す、ハートフルなメロディメイクと開放感いっぱいのファンタスティックなサウンドで、プログレ・ファンを魅了し続けています。
イタリアとスウェーデンを代表する実力派2バンドが一度に観られるとあって、会場はもちろん満席状態。19:00、BGMのチェルベッロが止まり、会場が暗転します。
まずはBAROCK PROJECTが登場!
一曲目は、15年作『SKYLINE』収録の「OVERTURE」。テクニカルなインストナンバーで一気にギアを上げていきます。
キース・エマーソン愛が滲み出るようなド派手なハモンド(をシミュレートしたキーボード)速弾きで、のっけから観客を沸かせるLuca Zabbini。細身の体型にレザーを着込んだスタイリッシュな出で立ちが決まっています。
変拍子満載であるにもかかわらず、一糸乱れず突き進む安定感抜群の演奏は凄すぎて呆気にとられるほど。小気味良い疾走感に思わず体を揺らしながら聴いていました。
どこかP.F.M.「CEREBRATION」を彷彿させる祝祭感溢れるリズミカルなアンサンブルに、イタリアの血を感じさせます。
いやはや冒頭からの超絶技巧アンサンブルに圧倒されてしまいました~!これぞBAROCK PROJECT!!
続いては、アルバムでは「OVERTURE」の前に収録されているオープニングナンバー「GOLD」をプレイ。
オルガンとアコースティックギターの軽快なストロークが交わる躍動感いっぱいの演奏をバックに、抜けの良いポップなメロディーをAlex Mariが力強く歌い上げます。17年作『DETACHMENT』から参加しているヴォーカリストですが、張りのある歌声を持つかなりの逸材。
ロック・ヴォーカリストらしく激しく身体の動かしステージ上を駆け回ります。
男性的な声量豊かなヴォーカルを披露するAlexと、少し翳のある艶やかな声質で歌うLuca。
2人のヴォーカルの対比がまた素晴らしく、時おり聴かせるハモりも絶品でしたね。
またインストパートでのギターとシンセの超絶ユニゾンもゾクゾクするようなカッコよさでした~!
そして間違いなくハイライト、彼らを代表する一曲と言える3rd「COFFEE IN NEUKOLLN」収録の「FOOL’S EPILOGUE」もやってくれました!
個人的に彼らの曲で一番好きなナンバーなのでこれは嬉しかった~!
まずは「KYRIE」。バッハかと思うようなチャーチオルガン(をシミュレートしたキーボード)の重厚な独奏が会場に響き渡ると、まさにクラシックを聴くかのように息をのんで聴き入る客席。バロック音楽に由来する厳しくも格調高いサウンドは雰囲気抜群です。
やがてオリジナル通りの優雅なオーケストラ音源が挿入されると、Alexが粛々とあのドラマチックなメロディを歌い始めます。
スタジオ・バージョンではLucaが歌っていますが、ライヴということもありAlexの声量あるヴォーカルの方がより映えている印象でした。
後半はハード・ロック調のノリの良い演奏へとなだれ込んでいき、シンセ&オルガンのスリリングなソロが炸裂!左右に設置したキーボードを同時に弾くLucaの何とカッコいいこと!演奏の質もスタイルも、まさにエマーソンが乗り移ったかのようなパフォーマンスで観客を圧倒します。
BAROQUE + ROCK = BAROCK というバンド名を見事に体現するサウンド、存分に堪能いたしましたっ!
最新作からの「BROKEN」、15年作の表題曲「SKYLINE」をプレイして、アンコールは15年作『SKYLINE』より「THE LONGEST SIGH」。初期ジェネシスへの憧憬に溢れた可憐で優美なシンフォニック・ロック・アンサンブルに、伸びやかなヴォーカルが映える美しいナンバーです。シンセとギターが紡ぐ天上を描くかのようなユニゾンパートが極上でした~!アンコールというとノリの良いロックチューンを演ることが多いですが、しっとりとメロディアスな曲で締めてくれてこれもまた良いものでしたね。
20分ほどのインターバルを置いて、続いてはMOON SAFARIです。
彼らのライヴを観たのは2013年1月の「ヨーロピアン・ロック・フェス」以来なので4年半ぶりでした。
演奏が始まると、ゆっくりと幕が開きメンバー6人が登場。会場中が待っていたとばかりに割れんばかりの拍手で迎えます。
清涼感いっぱいの多声コーラスが彩る「welcome back~」というサビのフレーズが印象的なナンバーでスタート。
聴き覚えのない曲だなと思ったら「1987」という新曲だったようです。いい曲でした~。
続いては、ライヴでは定番となっている「LOVER’S END」収録の名曲「A KID CALLED PANIC」!
個人的にも大好きな曲ですが、やはり人気は高いようでイントロのギターが鳴った瞬間に「おお~」というどよめきとともに大きな拍手が沸き起こります。
ドライヴ感いっぱいだけどよく聴くと非常に複雑なパターンの技巧的なリズム・セクションに乗ってAkesson兄弟のキーボードとギターが歌心溢れるソロを披露するインストパート、そこからSimonが自身のキーボードを伴奏に切々とした美声で歌い上げるヴォーカルパート、そして最後のサビへと力強く移行していく後半のドラマチックな展開には、わかっていても感動を禁じえません。なんといい曲なのだろう、とこの曲に出会えた幸せを生で聴いていて実感します。
間奏ではアコギを抱えてステージ上を所狭しと跳ね回ったりステージ縁に座ったり寝転がってみたりと、Petterのパフォーマーぶりが楽しかったです。
2nd収録の「Southern Belle」も美しかったなぁ~。まずはドラマーのMikaelを除く5人がセンターのマイクに集まり、透き通るようなコーラスワークを披露。水を打ったように会場が静まり返り、美しい重唱に聴き入ります。
Simonだけがマイク前に残りMikaelがピアノで伴奏を弾き始めると、優しく繊細に歌い始めます。CDで何十回と酔いしれた歌声を今目の前で聴いていることに喜びがこみ上げてきます。メインヴォーカルをそっと支えるソフトな三声コーラスも至福の響きでした…。
続いての「HEARTLAND」も大好きなナンバー!太く柔らかなトーンのシンセを主体とする愛らしいナンバーで、突き抜けるようなポップなメロディをPetterとSimonが代わる代わる歌います。スタジオ・バージョンの印象通り、思わず一緒に歌いだしたくなるような魅力溢れるマジカルな一曲でした。
14年作『HIMLABAKEN VOL.1』からは「TOO YOUNG TO SAY GOOD-BY」と「DIAMONDS」を披露してくれました。
コロコロしたピアノとシンセの愛らしい音色と雄大にメロディを紡ぐギター、コーラスを多用しながらスケールいっぱいに展開していく、
清涼感100%の突き抜けるような「TOO YOUNG TO SAY GOOD-BY」はオリジナル通り!心地よい多幸感を与えてくれる名曲、堪能しました~。
「DIAMONDS」は、可憐なピアノのフレーズに導かれて幕を開ける胸躍るようなファンタジック・チューン。優しすぎるハモりヴォーカルが沁みます。
途中のシンセとギターが疾走するスピーディーなインストパートがアクセントになっていて、優美なだけではない起伏ある構成に生で聴いて改めて唸らされます。
ただ、とても残念なことにここで最終電車で帰れるギリギリの時間が来てしまい、泣く泣く途中退席…。
この後も、新曲「BEYOND THE BLUE」、14年作4thより「MEGA MOON」、2nd収録「CONSTANT BLOOM」などを演奏したそうで、アンコールもかなり盛り上がったようです…。どれも聴きたかったなぁ(泣)
エマーソン愛溢れるカリスマ・キーボーディストを中心に、バロック音楽のダイナミズムとモダンなメロディアスさが融合したパフォーマンスで観客を魅了したBAROCK PROJECT。
貫禄すら漂う安定感抜群のパフォーマンスながら奏でる音はどこまでも瑞々しくフレッシュな魅力に満ちていたMOON SAFARI。
それぞれのバンドの良さがしっかりと引き出された素晴らしいステージだったと思います。
是非また日本のプログレ・ファンに素敵な一夜を届けに来てください!
クラシック音楽やキース・エマーソンに影響を受けたキーボード奏者&コンポーザーのLuca Zabbini率いるグループ。Luca自身がこれまでの最高傑作と評する2015年作4thアルバム。新たなドラマーとギタリストを迎え4人編成となっており、ゲストとして、なんとあのニュー・トロルスのVittorio De Scalziが3曲目に参加して録音されています。爽快なアカペラの多声コーラス・ワークではじまり、アコギとエレキによる弾むようなバッキング、透明感あるリリカルなピアノ、ファンタスティックなキーボードが豊かに広がるアンサンブルの何と素晴らしいこと!このオープニングを聴いて、ムーン・サファリを思い出すリスナーはきっと多いはず。前のめりに突っかかるようなリズムのキメとともに、ハモンド・オルガンがうねりを上げるところは、往年のプログレのDNAを継ぐ幻想性とともに、現代的なエッジが絶妙にバランスしててカッコ良いし、ガツンと歪んだギターとハモンドが突っ走るところなんかは70年代ハード・ロックも継いでてグッとくるし、管楽器風のトーンのキーボードが高らかに鳴り響いたかと思うとクラシックそのままの流麗なピアノが流れてメロディアスなパートにスイッチしたり、溢れんばかりのアイデアとそれを軽々とこなす演奏も特筆ものだし、すごいワクワク感いっぱい。EL&Pやジェスロ・タルへの愛情たっぷりなパートなんかもニンマリだし、往年のプログレ・ファンにも激レコメンド。前作も素晴らしい出来でしたが、さらに突き抜けた傑作!
紙ジャケット仕様、SHM-CD、ボーナス・ディスク付きの2枚組、定価3200+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
天才キーボーディストと呼んで差し支えないLuca Zabbini率いる、現イタリアン・プログレ屈指の人気グループによる24年作!冒頭トランペットが勇壮に鳴り響いたと思ったら、突如唸りを上げるハモンド・オルガンを合図に、クラシカルな絢爛さとスタイリッシュなポップネスを纏って疾走し始めるアンサンブル。もうこの導入部の時点で傑作の匂いがプンプンしてきます。ヴォーカルが歌い上げるメロディも、いつもながらプログレを聴いている事を忘れそうなくらいにキャッチーで素晴らしいです。ビシビシとタイトに刻まれるリズム、クラシカルなフレーズを華麗に弾きこなすキーボード、強度抜群のヘヴィなギター、ここぞで涼風を運ぶフルート。各楽器が緻密に組み上げられていくような演奏なのですが、全体としては極めてスムーズな流れが感じられ、小難しさを一切感じさせないのが彼らの魅力です。そんな中でも、随所で飛び出してくるLuca Zabbiniの才気みなぎるオルガンの速弾き、そしてクラシックのバックボーンを発揮した劇的なピアノは、一際輝きを放っていてずばり一級品。キャッチーなプログレの最右翼として、MOON SAFARIと並べたい名バンドによる快作!
00年代プログレを代表するバンドの一つと言えるスウェーデンの人気グループによる、待望の「HIMLABACKEN」第2部となる23年作!高らかに響くシンセサイザーにキラキラしたピアノが寄り添うワクワクするような冒頭、そこにリズム隊とギターがバーンッと入ってくると一気に視界が開けます。ギターの流麗なフレーズを合図に、お待ちかねの力強くも優しさに溢れたコーラスが飛び出してきて、10年待ち続けた身としては早くも感動。まばゆいばかりのオープニングに、ファンであれば「MOON SAFARIが帰って来た…!」と呟いてしまう事でしょう。ハードなギターとドラマティックに歌い上げるヴォーカルになんとJOURNEYがよぎるキャッチーな2曲目、かと思うと『LOVER’S END』に入っていそうなめくるめくポップ・チューンの3曲目も実に素晴らしい。必殺のコーラスワークが劇的に盛り上げる胸を打つバラードの4曲目も最高です。そして21分の大作がまた聴きモノ。ストリングスが荘厳に迫りくるQUEENばりの導入部に始まり、ハートフルでメロディアスなMOON SAFARI節のヴォーカル・パートを経ると、シンセとギターがアグレッシヴに疾走しシアトリカルなヴォーカル&コーラスが登場する『II』『オペラ座』QUEEN彷彿の展開が再び幕を開けます。終盤には彼ららしい美麗なコーラスを生かしたファンタスティックな演奏へと回帰し、北欧の雄大な自然を映し出すようなイマジネーション溢れるサウンドでエンディングを迎える、この一大シンフォ絵巻には間違いなく圧倒されてしまうはず。抜けるようにファンタジックで爽快な演奏と、マジカルなコーラスワーク、そして珠玉のメロディ。そんな変わらぬMOON SAFARI印のサウンドを核としつつも、エッジの効いたメロディアス・ハード的表現や初期QUEENばりの荘厳さなど新たな要素も織り込んで、前進する彼らの姿を浮き彫りする傑作に仕上がっています。文句なしのカケレコメンド!
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