スタッフ佐藤です。
今日探求の出発点として取り上げたいのが、英国きっての個性派プログレ・グループJETHRO TULL。
トラッド・フォーク、ブルース、ジャズ、ハード・ロックを混ぜ合わせたサウンドを、イアン・アンダーソンを中心とするシアトリカルなパフォーマンスで聴かせるスタイルは、イエスやクリムゾンとはまた異なるアプローチでプログレッシヴ・ロックを練り上げたと言っていいですよね。
今回は、そんなJETHRO TULLがお好きな方にオススメしたいユーロ・ロック作品をマイナーどころからチョイスしてみましたよ。
どうぞお楽しみください!
ジェスロ・タルからは、彼らが本格的にプログレに目覚めたこの傑作をセレクト。
キャメルやキャラヴァンの優雅で可愛らしいフルートとは一線を画す、埃被ったようなフルートの音色。
ハード・ロックとトラディショナル・フォークの融合、そしてシニカルな世界観。
唯一無二の個性を存分に発揮する、次作『ジェラルド』と共に最高傑作にも挙げられる一作!
まずは比較的知られるこのグループをどうぞ。
フルートが妖しく彩る鬱蒼とした森の中をイメージさせるフォーキー&ブルージーなハード・ロックは、初期ジェスロ・タルから少しアクを抜いた感じ?
ノルウェー・ロック黎明期の名盤ですね!
ノルウェーなら、22年に初CD化を果たしたこのグループがまた凄いんです。
トラッドの賑々しさと荘厳さ、ブルースの土臭さ、それらを渾然一体にして聴かせるプログレッシヴ感覚を備えた個性派バンドの1st。
ヘロヘロなようで時に妙に雄々しく、神秘的にして怪しさ満点。
初期のトラッド色を持ったJETHRO TULLと北欧アヴァンの雄SAMLA MAMMAS MANNAが共演したかのような凄い世界観!
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サムラのように凝ったアレンジやトリッキーな展開で聴き手を翻弄する屈折しまくりの作品たちを探求!
こちらは2nd。
前作と同じくJETHRO TULLを彷彿させるいなたいフォーキー・ブルース・ロックに、今作ではゴテゴテとシンセの装飾を施したサウンドメイクが何とも衝撃的。
前作にも匹敵する強烈な音世界です。こりゃ異端の北欧プログレ怪作!
お次はスイスから、かなりのマイナー盤をご紹介!
何となく流麗で端正なイメージのあるスイスのロック/プログレですが、ここまで潜るとさすがにアングラ臭がプンプン漂ってきます。
この土の匂いが舞い上がるような「いなたい」フォーキー・ブルース・ロック、JETHRO TULLがお好きなら気に入ってもらえそうです。
少し癖のあるドイツ語ヴォーカルも楽しいスイス・ロックの逸品!
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スペインからはこの秘宝ジャズ・ロック盤をおすすめ☆
クリムゾンの『ポセイドンのめざめ』をジェスロ・タルがカヴァーして、そこにマイルス・バンドの面々が乱入したらこんな感じになるかも!
これはアンダルシア・プログレの秘宝ですね。
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地域ごとに多彩なサウンドを聴かせてくれるスペインのロック・シーン。今回は、バルセロナがあるカタルーニャ州をメインに作品を取り上げてまいります!
ここからは、JETHRO TULLを彷彿させるフルートのプレイが炸裂するユーロ・ロックを探求~!
ニッチなジャーマン・ジャズ・ロックですが、クオリティは申し分なし!
ファンク/フュージョンの流れを汲むビシバシとタイトでキレのあるプレイで快走するテンションみなぎるジャズ・ロックは、同郷のPASSPORTも彷彿させる猛烈なカッコ良さ。
Ian Andersonばりに吹きまくるフルートにも注目!
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これ、クラウト・ロックの最奥に近い所に位置する一枚だと思います。
やたらシンバルを使いまくるリズム、POPOL VUHのConny Veitのようなブルースを核に持つトロンとしたギター、ノッてくるとIan Andersonみたいに激しくなるフルートと各人素晴らしい個性の持ち主!
BLACK SABBATHばりのヘヴィなギターとJETHRO TULLばりの唾吐きフルート…。
70年代結成のノルウェー産ハード・ロック、ヴィンテージな「何でもあり感」に満ちた97年作1st!
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最後はアメリカのグループですがご紹介してしまいましょう!
フルートをリードに据えた米インスト・ジャズ・ロックの激レア盤!
ジャズの軽やかさとブルージーな土臭さを絶妙にブレンドしつつ、ロックの無骨なビート感を前に出したサウンドは、まさに「ジャンルのるつぼ」たる69年の音。
野太く吹き鳴らすフルートの旋律が印象的なブルース・ロック・ナンバーでは、アメリカのジェスロ・タルと言いたい怪しげな雰囲気が堪りません。
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いかがだったでしょうか。
気になる作品を見つけていただけましたら幸いです!
68年に「日曜日の印象」でデビュー、イギリスのプログレッシブ・ロックシーンを代表するバンドであり、デビュー当初から独自のポジションを築き異彩を放っていたグループ。首謀者Ian AndersonのフルートはCAMELのそれとは全く方向性の違うエネルギッシュなものであり、バンドの代名詞となっています。本作は彼らの代表作と名高い71年作。Jeffrey Hammond、John Evanが新加入した本作は、ハード・ロックのドライブ感とアコースティックなトラッド・フォークの質感を混在させた名盤であり、その対比はアルバムを通してロックのダイナミズムとコントラストとなって現れます。コンセプト性を感じるトータル感も素晴らしい傑作。
紙ジャケット仕様、アンコールプレス盤(帯に記載)、97年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック6曲、定価2476+税
盤質:無傷/小傷
状態:不良
帯有
目立つカビあり
40TH ANNIVERSARY EDITION、デジパック仕様、2枚組、Mixed By Steven Wilson
盤質:無傷/小傷
状態:
盤に曇りあり、小さいカビあり、その他は状態良好です
スペイン南部はアンダルシア地方の地中海に面する都市マラガ出身のプログレ・バンド。80年の1stで、RCAからのリリースながらわずか600枚ほどがプレスされたのみの激レア盤。海外のレビュー・サイトでは、ゴング、ソフト・マシーン、チック・コリア、マイルス、ザッパ、そして、フラメンコの融合、と評されていましたが、なるほど言い得て妙。クリムゾンの『ポセイドンのめざめ』をジェスロ・タルがカヴァーして、そこにマイルス・バンドの面々が乱入したらこんな感じになるかも。バタバタと手数多くシャープ&タイトなジャズ・ロック・スタイルのドラム、動きまくるアグレッシヴなベースによるリズム隊を土台に、ギターが、猥雑なファズ・ギターからロバート・フリップ風の緊張感あるアルペジオまでダイナミズムをつけ、フルートが時にミスティックに、時に軽やかなフレーズで駆け抜け、ここぞではサックスがブイブイと炸裂する。熱情のアンダルシア・スタイルのヴォーカルも特筆で、オペラ・スタイルを持つバンコのジャコモへの、フラメンコ・スタイルからの回答といった感じ。雰囲気抜群のジャケのイメージ通りのプログレ/ジャズ・ロックの秘宝です。
スイス出身のブルース・ロック/フォーク・ロック・グループによる74年デビュー作。アコースティック・ギターが瑞々しく奏でるトラッド・フォーキーなプレイとエレキギターによるブルージーなプレイが交差するアンサンブルと、少し癖のあるアクセントが楽しいドイツ語ヴォ―カルが織りなす「いなたさ」全開のサウンドがとても味わい深いです。陰影をたっぷり帯びたオルガンの響きもそんないなたさをググっと引き立てています。フルートはありませんが、この土の匂いが舞い上がるようなフォーキー・ブルース・ロックはJETHRO TULL好きの方にストライクではないでしょうか。愛すべきスイス・ロックの逸品です。
ノルウェーのハード・ロック・グループ、70年作1st。叙情性溢れるオルガン&フルートをフィーチャーした、同時期の英国ロックに通じる陰影に富んだサウンドが特徴です。フルートが妖しく彩る鬱蒼とした森の中をイメージさせるフォーキー&ブルージーなハード・ロックは、初期ジェスロ・タルから少しアクを抜いた感じ。メロディー、アレンジ、演奏ともにハイレベルな好グループ。派手さはないものの、聴くほどに味わいが増す逸品です。
フルート奏者(兼ギター)/ギタリスト/ベース/ドラムスの4人組ジャーマン・プログレ・バンド、75年に録音されながらも2017年までお蔵入りとなっていたアルバム。多彩なシンバルワークが印象的なジャズ色の濃いリズム・セクションに乗って、ギター&フルートによるインプロヴィゼーションがたっぷりと繰り広げられる、アングラ感覚満点なクラウト・ロック。POPOL VUH時代のConny Veitのようなブルースを核に持つトロンとしたギター、演奏がノッてくるとIan Andersonみたいに激しくなるフルートと各人なかなかの個性の持ち主です。フルート入りプログレなのに、まったく幻想的にはならず終始フリーキーでダークな色調なのがいかにもアングラ・ジャーマン・ロック。これはクラウト・ロックの最奥に近い所に位置する一枚ではないでしょうか。
68年に結成されたジャーマン・プログレ/ジャズ・ロック・グループによる78年3rdアルバム。ファンク/フュージョンの流れを汲むビシバシとタイトでキレのあるアンサンブルで快走するテンションみなぎるジャズ・ロックは、同郷ドイツのPASSPORTも彷彿させる猛烈なカッコ良さ。さらに特徴的なのがそこに豪快に乗っかってくるフルートの存在で、Ian Andersonばりに吹きまくるプレイが痛快です。マイナーながら、数あるジャーマン・ジャズ・ロックの中でも屈指のテクニックを聴かせてくれる好盤です。
70年に結成されたノルウェーのグループが、77年にリリースした1stアルバム。トラッドの賑々しさと荘厳さ、ブルースの土臭さ、それらを渾然一体にして聴かせるプログレッシヴ感覚を備えた、なかなか一筋縄ではいかないサウンドです。ドコドコと土着的な響きのドラム、ブルースとサイケが溶けあったような酔いどれギター、奔放に弾きまくるギターに代わり旋律を奏でるベース、ノルウェー語で何かを喚く絞り出すようなヴォーカル。ヘロヘロなようで時に妙に雄々しく、神秘的にして怪しさ満点なこのサウンドは、『AQUALUNG』あたりまでのトラッド色を持ったJETHRO TULLとSAMLA MAMMAS MANNAが共演したような凄い世界観。頭のネジが一本吹っ飛んでいったような、少しもまともじゃないサウンドを繰り広げています。必聴。
70年に結成されたノルウェーのグループが、80年にリリースした2ndアルバムで最終作。前作はJETHRO TULLとSAMLA MAMMAS MANNAが共演したような強烈さでしたが、冒頭2曲はSAMLAがどこかへ行って初期JETHRO TULL感が強まったトラッド・ロックで、2曲目ではフルートもフィーチャーされよりその印象を強めます。それ以降のナンバーではシンセサイザーが全面的に導入されて、いなたいフォーキー・ブルース・ロックにゴテゴテとシンセの装飾を施したサウンドメイクが衝撃的。とにかく他では聴けないサウンドを繰り広げていて、これは1stに劣らず凄まじいです。3、4曲目ではその音使いのドギツさに面食らいますが、終盤に向けてそれらが絶妙に調和していきカッコ良さすら滲みだしてくる様はなかなかに聴きモノ。異端の北欧プログレ怪作!
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