2022年7月28日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,日々是ロック
こんにちは。
この「日々是ロック」コーナーは、直近で入荷した注目のタイトルや売れ筋の人気タイトルの新品CDをメインに、日替わりでスタッフがおすすめの作品をピックアップしてまいります。
今回まず取り上げたいのが、22年7月に新規リマスターでSHM-CD紙ジャケ化されたジェイド・ウォリアーの初期3タイトル。
トム・ニューマンが率いたことで知られるサイケ・バンドJULYで活動したギタリストとフルート奏者が結成したグループで、エネルギッシュなサイケやブルース・ロックに東洋的神秘性を纏わせたサウンドは、ヴァーティゴ勢の中にあっても一際個性的ですよね。
今回は、そんなジェイド・ウォリアーのようにオリエンタル要素を取り入れたエキゾチックなサウンドを楽しませてくれる英&ユーロの作品を取り上げていきたいと思います。
ではまずは、ジェイド・ウォリアーの3作品から見ていきましょう~。
曲者揃いのヴァーティゴ勢の中でも一際個性が光る彼らの1st。
轟音ファズ・ギターと、エキゾチックなフルート&東洋的なパーカッションが織りなすサイケ・ハードは、混沌とした中にも神秘性を感じさせていて、かなりの完成度です。
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神秘的な印象だった1stから、ブルース/ジャズ・ロック色を強調したより「ヴァーティゴらしい」サウンドを楽しませてくれる2nd。
トライバルなパーカッション&フルートと強靭なサックス&ギターが繰り広げる熱気みなぎるアンサンブルがカッコいい!
和洋入り混じる、混沌としながらも美しいジャケットが、「晩秋の夢」というタイトルにピッタリですね。
内容も、粗野でアクの強めなサイケ・ハード・ナンバーと、オリエンタル・テイスト香る淡く幻想的なナンバーが対比する、夢と現を行き来するような音空間が唯一無二!
続けて、英国プログレからは2作品をご紹介。
オリエンタルなプログレと聞いて多くの方が真っ先に思い浮かべるかもしれない、アレン&スマイス脱退後の第一弾。
リーダーを失った直後の過渡期にある作品ながら、和的なテイストも盛り込んだ柔らかく美麗なジャズ・ロックは見事な出来。
その後のGONGを引っ張っていくPierre Moerlenのヴィブラフォンも大活躍しています。
ジェイド・ウォリアー1stと同じ71年Vertigo発の一枚。
荘厳なロジャー・ディーン・ジャケに包まれた本作は、プログレ/サイケ/フォークを融合させたサウンドに東洋的な神秘性まで取り入れた孤高の作風が魅力となっています。
ジェイド・ウォリアーが気に入ったなら、こちらも是非!
イタリアからはとっておきのオリエンタル・サイケ・プログレをピックアップ☆
中近東や北アフリカの民族音楽にフリージャズやサイケのエッセンスも加えた個性豊かなイタリアン・ロック!
『太陽と戦慄』のジェイミー・ミューアの雰囲気やマウロ・パガーニのファンには是非お楽しみいただきたいです。
お次はドイツから、CANのメンバーが深く関わったニッチ作品!
ドイツはケルン出身のトルコ民俗楽器奏者、1stと2ndの2in1CDなのですが取り上げたいのは74年1stのほう。
プロデュースはCANのJaki Liebezeit&Holger Czukayが担当。
米ルーツ色も感じさせる芳醇なフォーク・ロックに、彼自身が弾くトルコの弦楽器バーラマによるエキゾチックな旋律を絡ませた個性的なスタイルが光る一枚です。
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西にトルコ、東にカスピ海、南にイラン。ヨーロッパとアジアの境目に位置するアルメニアならではのサウンドを楽しませてくれる秘宝的一枚が本作。
ペルシア地方伝統の民族楽器であるKEMATCHA(弦楽器)とSANTOUR(打楽器)の他、フォルクローレ調の管楽器をフィーチャーしたエスニック色濃厚な演奏は、これぞ「辺境プログレ」!
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従来の作品で聴かせたGONGに通じるコズミック&テクニカルなジャズ・ロックに、この21年作では女性ヴォーカル&アジアン・フレイヴァーが浮遊する神秘的なサウンドを纏わせています。
バンドはカザフスタン国境に近いロシア南部アストラハン出身だけあって、本格的な中央アジア伝統音楽の香りが立ち込めてきて堪りません。
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いかがでしたか?
気になる作品が見つかれば幸いです!
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ケルン出身のトルコ民俗楽器奏者、ALEXが残した2枚のアルバム(74年1st、76年2nd)を収めた2in1。1stはトルコの弦楽器baglama(バーラマ)の弾き語りを軸にした、叙情豊かなオリエンタル・ソングがメイン。打って変わって2ndは、エレキギター、ベース、ドラムが加わったレイドバック&アーシーな米ルーツ・ロック調のバンドサウンドを軸に、Holger CzukayとJaki Liebezeitによる音響ギミックが見え隠れするクラウト・ロックの秘宝盤。初期CANファンは勿論、Holger Czukay『MOVIES』のテイストや、オリエンタルなサイケが好きな方にも大推薦!
グループ名通り、サムライの姿が描かれた和洋折衷の奇妙なジャケットが印象的な、72年リリースのサードにしてヴァーティゴ・レーベルでの最後の作品。トニーの弟デヴィッド・デューイが新たにギターでゲスト参加し、ファーストの叙情性とセカンドのハードネスを合わせながら更にオリジナリティ漂う作品に昇華。アコースティック・ナンバーでのニューエイジ的なアプローチも特筆に価する。オリジナル内袋封入。
イタリアはローマで結成。中近東や北アフリカやアジアの民族音楽にフリージャズやサイケのエッセンスも加えたオリエンタルなプログレ・グループで、フランコ・バッティアートに見いだされて、BLA BLAレコードと契約、73年のデビュー作に続く74年の2nd。楽器クレジットにはアラビック・オーボエ、ハーモニカ、フルート、リード、サックス、スパニッシュ・ギター、モロッカン・ボンゴ、スネーク・ドラムなどが書かれています。 ゆったりとたおやかだったデビュー作に比べ、連打されるアラビックなパーカッションやかきむしられる弦楽器などリズムがフィーチャーされ、フリー・ジャズのエッセンスも増してより器楽的に洗練され、テンションが高まったサウンドが印象的。クリムゾン『太陽と戦慄』のジェイミー・ミューアの雰囲気やマウロ・パガーニやオザンナが好きなリスナーは一聴是非。
アルメニア出身のプログレ・バンド、79年唯一作。アルメニアというと、西にトルコ、東にカスピ海、南にイランと接する東欧の国。ペルシア地方伝統の民族楽器であるKEMATCHA(弦楽器)とSANTOUR(打楽器)の他、フォルクローレ調の管楽器をフィーチャーしたエスニック色濃厚なサウンドが印象的。ファンキーとはまた違うノリながらよく動きまわるベース、スペーシーというか何ともほの暗いトーンのエレキ・ギターは、フランスのバンドに通じる味わい。辺境プログレの逸品です。
05年デビュー、ロシア出身のサイケ・プログレ/ジャズ・ロック・バンドによる21年作。
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