2017年1月25日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,最新ロック・ニュース
こんにちは、カケレコのユモトです。
週も明けてからSNSで知ったのですが、ドイツの所謂クラウト・ロック・バンド『CAN』のドラマーのヤキ・リーベツァイト(Jaki Liebezeit)が1月22日に肺炎のためこの世を去りました。
1968年に結成されたCAN。もうすぐ結成して半世紀になるというのも驚きですが、ヤキの誕生日が1938年5月26日というのにも驚きました。今年79歳。80歳手前だったのか…。
最年長のイルミン・シュミット(Irmin Schmidt)はひとつ年上だから今年80歳。80歳の現役ロック・ミュージシャンがいるという時代になったのですね。感慨深い。
来たる2017年4月8日に、英ロンドンのバービカン・ホールにてイルミン、ヤキ、マルコム・ムーニーというオリジナル・メンバーが再集結し、元ソニック・ユースのサーストン・ムーアとスティーヴ・シェリーらと「The Can Project」という1日限りのスペシャル・ライヴを行う予定でした。それも叶わず…。
ブライアン・イーノが、彼がドラマーであることとかけて
『Jaki Liebezeit : the man who marched to the beat of his own drum』
「彼は我が道を行く男だった」「彼は彼独自の太鼓(ビート)を叩く男だった」とふたつの意味を持たせた追悼のコメントを出したのが印象的でした。
アカデミックなロック・バンドであり、ドイツという当時ロック不毛な国で、パイオニアとしての役割を担いながら長い間活動するということは並大抵のことではなかったはずです。合掌。
簡単にCANの歴史を振り返りますと、CANは1968年に西ドイツで結成されたプログレッシヴ・ロック/サイケデリック・ロック・バンドで、初期のメンバーはイルミン・シュミット(Key)、ホルガー・シューカイ(Bass)、ミヒャエル・カローリ(Michael Karoli – Guitar)、ヤキ・リーベツァイト(Drums)の4人。そこにブラック・アメリカンのマルコム・ムーニー(Malcolm Mooney)をヴォーカルに迎えて翌年ファースト・アルバム「Monster Movie」を発表。その後、日本人のダモ鈴木にヴォーカルが変わり「Mother Sky」「Spoon」などのヒット曲を出しました。1979年リリースのアルバム「CAN」でいったん解散するも、1989年に再結成。その後2001年のミヒャエル・カローリ死去もありましたが、メンバーの交流は続き、現在も各々音楽活動を行っています。
Can 「Mother Sky」 (1970)
ヤキ・リーベツァイトはドイツ国内にとどまることなく、世界中の様々なアーチストとコラボレーションをし、たくさんの参加作品を残しています。ジョン・ライドンが、もっとも影響を受けたバンドのひとつにCANを昔からあげていますが、彼の自伝に、ピストルズ解散後に一番組みたかったドラマーはヤキ・リーベツァイトだったと綴っています。プログレ、サイケ、クラウト・ロックというくくりに入れられるCANですが、ニューウェイヴ、パンク、アヴァンギャルドのバンドにはとにかく大きな影響を与えました。
追悼の意味と、これからヤキやCANの音楽をカケハす意味で、彼の参加作品を紹介していきます。
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まずは、同じバンドのメンバーとのコラボレーションから。
盟友ホルガー・シューカイとは、お互いの作品でいくつもコラボしていますが、これはその後も関係が続く元P.I.Lのジャー・ウーブルとの3者名義のアルバム「Full Circle」からのナンバーです。日本ではスクーターのCMに使用されたので聞き覚えのある方も多いのでは。
Czukay/Wobble/Liebezeit「How Much Are They ?」
追悼コメントのブライアン・イーノの作品には、77年作「Before and After science」と、イーノと前述のジャー・ウーブルの共作である「Spinner」(1995)に参加しています。名作「Before and After science」の中のこれも名曲。
BRIAN ENO「Backwater」
イギリス出身、世界的人気のエレクトリック・ユニットであるデペッシュ・モードは、1990年代半ば、メンバーの脱退と自殺未遂、ドラッグやアルコール禍などトラブル続きで活動がままならない状態になっていました。
どん底から必死の復帰を試みた1997年作「ULTRA」でヤキのドラムを聴くことができます。
普段ドラム・マシーンを使っている彼らのサウンドに、ヤキの生身のドラム・サウンドを加えることにより、有機的なダイナミズムを生むことに成功。イギリスで1位アメリカで5位の大ヒットを記録しデペッシュ・モードの完全復帰に貢献しました。
Depeche Mode「Barrel Of A Gun」
ところで、CANのバンド・メンバーのダモ鈴木は日本人ですが、日本人とはほかにもコラボしています。
日本のパンク・ニューウェイヴの女性カリスマ・アーチストPHEW(フュー)のデビュー・アルバム「PHEW」と1992年の「OUR LIKENESS」にも参加しています。「OUR LIKENESS」は英ミュート・レコード初の日本人アーチスト作品のリリースとなりました。
Phew 「Our Element」
近年ではドイツのエレクトロニック・ミュージックのミュージシャンとのコラボレーションが多いです。
代表的なものをふたつ。
すでにベテランと言えるダブ/エクスペリメンタル・ミュージックのアーチスト、バーント・フリードマンとのコラボ作。ヴォーカルはデヴィッド・シルヴィアン。
Burnt Friedman & Jaki Liebezeit 「The Librarian feat.David Sylvian」
2001年に「Dream of you」のインターナショナル・ヒットを放ったドイツのテクノ・アーチスト、シラー(Schiller)もヤキとコラボしています。サウンドがどんどん内省的になっていった2010年の作品です。
Schiller「ATEMLOS」
最後に、CANのヒット曲「Spoon」を。それにしてもダモ鈴木すごすぎ。
Can 「Spoon」
今年も大物アーチストや伝説のミュージシャンの追悼をいくつも追うことになりそうですが、彼らの功績をたたえ、コラムにして広めていこうと思っています。
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シュトックハウゼンに師事した現代音楽家や、プロのジャズ・ミュージシャンらによって68年に結成されたドイツのグループ、CAN。彫刻家としてドイツにやってきたアメリカの黒人、マルコム・ムーニーをヴォーカリストに迎えたこの1stは、まさに歴史的な衝撃作です。延々と繰り返されるドラムのビート、ノイズまがいのガレージ・サウンドをかき鳴らすギター、飛び跳ねるように蠢くベース……。そんな音楽家たちによる実験的極まりないアンサンブルに、アマチュア同然のムーニーのヴォーカルが見事に調和しているのだから驚き。ムーニーはこの1stの発売後、神経衰弱によって脱退してしまいますが、時にけだるげに囁き、時にパンクロックのように叫び散らす歌声は、後のヴォーカリスト・ダモ鈴木にも負けず劣らず多彩で個性的。それまでのどんな音楽の型にも収まらない、無機質かつ無国籍なサウンドは、約50年経った今でも未だに最先端と言えるでしょう。
「W. C. フィールズの文句を言い換えるなら、私たちは二度同じ風呂に入ったことがないんだ(ホルガー・シューカイ)」 ダモが抜けてもカンは飽くなき前進を続ける。カローリのヴァイオリンとリズミカルなヴォーカルのフレーズが印象的な冒頭の名曲「Dizzy Dizzy」を筆頭に、新たなスタートを切った1974年の傑作。リード・ヴォーカルはカローリとシュミットが代わる代わるつとめているが、専任のヴォーカリストを失ったことで、インストゥルメンタルの要素は必然的に増しており、後のシューカイのソロにつながるテープコラージュも頻繁に取り入れられている。シューカイとリーヴェツァイトの繰り出す拍動のようなリズムの上でカローリのギターが暴れる「Chain Reaction」から、静謐な中にも緊張感に満ちて謎めいた「Quantum Physics」への流れも素晴らしすぎる。英「The Wire」誌の企画「最も重要なレコード100枚」にも選出。
紙ジャケット仕様、Blu-spec CD、10年デジタル・リマスター、定価2381+税
盤質:傷あり
状態:
帯有
紙ジャケに若干指紋汚れあり
カン史上、最もポップなメロディと痛快なユーモア精神に彩られた、ロックのステロタイプに限りなく接近しておきながら、スレスレのところで笑い飛ばしてしまう1975年の傑作アルバム。バンドが初めてマルチ・トラック録音を導入したという意味でも節目となったこの作品を受けて、英メロディ・メイカー誌はカンを「地球上で最も進んでいるロック・ユニット」と評した。これまでにない入念なミキシングのプロセスから生まれた巧緻なサウンド・プロダクションと突き抜けた軽快さを感じさせる楽曲の組み合わせが見事に作用している。アモン・デュール?のプロデューサーとして有名なサックス奏者、オラフ・キューブラーが、カンのアルバムでは初のゲスト・ミュージシャンとして参加。カンのディスコグラフィの中では過小評価されているが、聴かれずにいるのはあまりに勿体無い重要作である。
最初期から1975年に至るまでの未発表音源をまとめたLP2枚組のコンピレーション。19曲77分という凄まじいヴォリュームで、もうひとつのベスト盤とも呼べる内容。カンにとっては一番60年代当時のビート・バンドに近い作風と言える名曲「Connection」、数十年後の音楽を先取りしていたとしか思えない異様に予見的な「Fall of Another Year」や「The Empress and the Ukraine King」、マルコム・ムーニーのポエトリー・リーディング調のヴォーカルが冴え渡「Mother Upduff」といった、初期のマテリアルだけでも十分に素晴らしいが、ダモ鈴木が日本の「公害の町」に嫌気がさして「ドイツに逃げよう」と英語まじりの日本語で歌う「Doko E(どこへ)」や、『フューチャー・デイズ』期のアンサンブルが秀逸な浮遊感溢れる「Gomorrha」、さらにはカンにおけるユーモアと演奏の自発性を最も良く表している「Ethnological Forgery Series (E.F.S.)」など、何もかもが魅力的である。
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