こんにちは。カケレコ・スタッフ佐藤です。
10月31日に行われた、ゴングの来日公演を観てまいりました!
ライヴの様子をお伝えいたします。
1stリリース以前のソフト・マシーンに在籍したデヴィッド・アレンを中心にフランスで結成。
スペイシーかつ遊び心に溢れた独自の音世界で、数あるプログレ・バンドの中でも一際存在感を放ったのがご存知ゴングです。
バンドの黄金期とされる70年代初頭には、『Flying Teapot』『Angel’s Egg』『You』のいわゆる「Radio Gnome3部作」を発表。プログレッシヴ・ロック史上のマスターピースとなりました。
その後、80~90年代には数々のゴング派生バンドが各々の活動を展開し、ゴングファミリーと言える一大コミューンが形成されてきたのはご存知の方も多いと思います。
現在のゴングには07年以降にデヴィッド・アレンのもとに集った若手メンバー5人が在籍しており、
アレン逝去後の2016年には現ラインナップによるアルバム『Rejoice! I’m Dead!』もリリースしています。
メンバーはコチラ。
さらに、今回はスペシャルゲストとして、全盛期ゴングのキーマンの一人として活躍したギタリスト、スティーヴ・ヒレッジが参加!
往年のファンにとっても見逃せないステージとなりました。
開演時間になると、まずは現メンバーの5人がステージに登場。
近年のナンバーから来るかと思っていたら、「Gong…Gong…」という呟きと共に耳に馴染みがあるギターのリフレインが響き始めます。
これは「You Can’t Kill Me」!3部作前夜のアルバム『カマンベール・エレクトリック』をOPナンバーです。
いきなりの70年代ナンバーに会場も大いに沸きます。
フロントマンを務めるカヴース・トラビはイラン出身のミュージシャンで、自身のバンドKNIFEWORLDでも活躍中。
名器ホワイトファルコンを弾きながら歌います。
ヴォーカルはちょっとヘタウマな感じなのですが(失礼)一筋縄ではいかないゴングのサウンドに妙にハマっていました。
リードギターのファビオ・ゴルフェティはブラジル出身。往年のゴングナンバーも難なくこなすリフワーク&ソロに加え、金属の棒で弦をこする奏法でゴング特有の宇宙遊泳している気分にさせるような気持ちいい音響空間を作り出します。
ベースのデイヴ・スタートは、90年代以降のジェイド・ウォリアーでも活躍した人物。ベースが引っ張る展開も多いゴングの楽曲では、スラッピングも交えた存在感あるプレイで決めるところはビシッと決めていてかっこいい!
ジャズ系サックス・プレイヤーのイアン・イーストは、舞うように軽やかなプレイを得意とする印象で、ディディエ・マレルブを彷彿させる逸材。
普段ニットで顔を覆っている謎のドラマー、チェブ・ネトルは、嵐のような手数の非常にパワフルなドラミングでゴングのナンバーにダイナミックな肉感を加えます。ちなみに演奏中はニット被っていませんでした。
ステージ後方のスクリーンに映し出されるウネウネとトリッピーに変化する凝った映像効果も相まって、ゴングを観ているという実感が早くも湧き上がってきます。映像には時々アレンやジリ・スマイスの姿も。
2曲目が終わると、満を持してスティーヴ・ヒレッジ御大がステージへ!黒のTシャツにサングラスをかけたラフな出で立ちで、愛用の黒いヘッドレスギターを抱え位置に付きます。
ロールしながら細かく刻むドラムに導かれてなだれ込んでくるのは、『Angel’s Egg』収録の「I Never Glid Before」。大好きな曲なので、嬉しい選曲に思わずガッツポーズ。
聴きどころは何と言ってもヒレッジのソロ!往年ほどディレイをガンガンには効かせてませんが、流れるような運指で弾きまくっていてその健在ぶりに嬉しくなります。
『You』収録の「Master Builder」は間違いなくハイライト。サンスクリットがスクリーンに映りお香の匂いが立ち込めてきそうなオリエンタル&スペイシーな音世界が会場に充満します。トリップ感満点の空間演出力はさすがゴングと言ったところ。
やがて「ダイ・ダオ….」の呟きが始まりドラムの激しさが最高潮に達すると一気にアンサンブルが走り出す、この瞬間のスリルと来たら!
オリジナル通りの展開に、アレンがいなくても紛れもなく彼らはゴングなんだと実感します。
マレルブばりの鋭いタッチのサックスソロに、ヒレッジも負けじとスペーシーなトーンのギタープレイで応戦。メンバー間で目配せしながら楽しそうに演奏する姿に感動してしまいました。それにしても平成最後の年にヒレッジ入りの「Master Builder」が聴けるなんて、何という巡り合わせだろう…!
あと『カマンベール・エレクトリック』のラスト「Tropical Fish Selene」もやってくれて、これも歓喜でした~。
現メンバーでのオリジナル曲で印象的だったのが、16年作『Rejoice! I’m Dead!』からの「Rejoice!」。
ジャム・バンドっぽいラフで爽やかなロック・サウンドに、ゴングらしいトリッピーな宇宙遊泳パートを挟み込んだようなナンバーで、これもまたなかなかカッコいいんです。ゴングとしての新境地も堪能させてもらいました。
いや~とにかく濃い80分だった!
もちろんヒレッジがゴングとしてプレイする、というのが目玉ではあるのですが、多国籍なメンバーが繰り広げる演奏からもしっかりとゴングらしさを感じさせてくれました。
特にゴングの特徴でもある「音の宇宙」を作り出す手腕は見事で、その点では70年代からクオリティは全く変わっていないと言っていいのではないでしょうか。
ヒレッジもすっかりおじいちゃんですが、若手メンバーとセッションを楽しむように終始ゴキゲンな様子で微笑ましかったです。
往年のナンバーではさすがの冴えたプレイで会場を盛り上げてくれました!
う~ん、これはまた是非この6人で来てほしいなぁ。『You』全曲再現とかやってくれないだろうか…。
今後も現ゴングの動向に注目したいと思います!
ビルボードライブ東京HP
元SOFT MACHINEのデヴィッド・アレンが生んだ新しいトリップ・サイケ・バンド。69年のデビュー・アルバム。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、定価2700+税
盤質:無傷/小傷
状態:並
帯有
汚れあり、紙ジャケにバーコード記載シール貼り付けあり
ご存知サイケデリック・ジャズ・ロックの最高峰バンド。71年の3rdで、バイク・レースに関するドキュメンタリー映画用のサントラ。リリースは3rdですが、2nd『Camembert Electrique』のセッション最初期に録音されたもの。キーボードやシンセは使われておらず、アグレッシヴに暴走するリズムの中を、ファズ・ギターとサックスが渦を巻き、デヴィッド・アレンのフリーキーなヴォーカル、ジリ・スマイスのウィスパー・ヴォーカルが炸裂!クリムゾンやカンにも対抗できる、理性的かつ粗野なグルーヴに溢れたサウンドは圧巻のスケールです。スペース・ジャズ・ロック3部作も素晴らしいが、この初期の剥き出しのエネルギーも凄い。ヘヴィ・サイケデリック・ロックの傑作です!
David Allenを中心に結成され、個性的な浮遊感を持ったサイケデリックなスペース・ロックを確立。メンバーの出入りの多さからその人脈図は幾重にも枝分かれし、ファミリーバンドも多く存在し、プログレッシブ・ロックシーンに留まらず、エレクトロシーンなどにまでその影響を与えるグループの74年作。「Radio Gnome Invisible」と題されたシリーズの第3弾であり、3部作の完結編に位置づけられる本作は、サイケデリック・スペース・ロックバンドとしてのGONGの集大成的な一枚であり、バンドの代表作との評価も高い名盤。特に、執拗な反復の上でDidier Malherbeのサックスが響き、Steve Hillageのサイケデリックなギターが空間を支配する様は圧巻です。
David Allenを中心に結成され、個性的な浮遊感を持ったサイケデリックなスペース・ロックを確立したプログレッシブ・ロックシーンを代表するバンドGONG。その全盛期を支え続けた名ギタリストによる75年デビュー作。Pierre Moerlin、Tim Blake、Didier Malherbe、Gili Smythといった当時のGONGメンバーが集結し、加えて名キーボーディストDave StewartやHENRY COWのLindsay Cooperといった豪華なサポートを受けて製作された本作は、GONGはもちろん、後の彼の音楽性に通じる浮遊感を持ったサイケデリック・ロック色を強く見せており、STEVE HILLAGE主導のGONGという見方も出来る快作です。
David Allenを中心に結成され、個性的な浮遊感を持ったサイケデリックなスペース・ロックを確立したプログレッシブ・ロックシーンを代表するバンドGONG。その全盛期を支え続けた名ギタリストによる76年2nd。Todd Rundgrenのプロデュースで製作されバックにはDon CherryやUtopiaメンバーが参加した本作は、Donovanの名曲「The Hurdy Gurdy Man」で幕を開けGeorge Harrisonの「It’s All Too Much」で幕を閉じる非常にポップな印象のアルバムとなっています。しかしながら音楽的には独特のサイケデリックな音像を持ちオリエンタル・エスノ・フレーバーも感じさせながら彼らしいサウンドを提示。
78年作の4thソロ。80年代以降への活動へとつながる、テクノ、アンビエント的な要素が強まった作品。ただ、プロデューサーがニック・メイスンというのが関係しているかは分かりませんが、フロイドと同じく、無機質的なフレーズを奏でてもどこか牧歌的な英国臭さが漂うサウンドには非常に好感が持てます。「FISH RISING」などに比べて評価のあまり思わしくない作品ですが、クオリティは文句無しの名作。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!