2020年12月26日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
2020年も残すところわずかとなりましたね。
皆様お忙しい中とは思いますが、2020年のカケレコ年間ベストセラーを発表したいと思います!
新型コロナウイルスにより世界が未曽有の事態に陥った一年でしたが、そんな状況にあっても各国から数多くの力作プログレが登場。
ここ数年勢力を伸ばし続けるポーランドの新鋭に人気が集まったほか、イタリア・アメリカ・北欧などの有力バンドによる貫禄の新作も話題になりました。
もちろん、初CD化も含む60-70年代作品のリイシューもランクインしております。
年末年始のロック探求ガイドとしてお楽しみいただければ幸いです!
CAMEL系シンフォの名作と言えた前作2ndから実に10年。
持ち前のCAMEL系シンフォ・スタイルに、ハケット、アニー・ハズラム、ビリー・シャーウッド、ジャスティン・ヘイワードらゲストの持ち味を絶妙に溶け込ませた手腕が光る待望の2020年3rd!
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クリムゾンやフロイドといった四大プログレにも匹敵する影響を後世のグループに与えたCAMEL。そんなCAMELの遺伝子を受け継ぐ、実力派叙情プログレ・グループをピックアップいたしました!
オルガンが叙情的にたなびき、R.ライト彷彿のシンセがダークに広がり、そしてギルモア+S.ロザリーと言える泣きのギターが飛翔するサウンドは、「ドラマチック」という言葉をそのまま音にしたような素晴らしさ。
ポーランド・シンフォの雄、貫禄の20年作!
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ポーランドのみならず、現代のプログレ・シーン屈指と言えるグループMILLENIUM。デビュー20周年を迎え、活動を包括するボックスもリリースした彼らの、これまでの作品をピックアップしながら、その軌跡を追っていきます!
あのORGANIC NOISESのギタリスト&キーボーディストによるバンドなだけあって、息をのむほどに技巧的で鮮やかな隙のないインストゥルメンタル・ジャズ・ロックを聴かせてくれます。
「洗練の極致」と表現したいほどに完成された圧巻の傑作!
7年の沈黙をエネルギーみなぎるヘヴィ・シンフォによって破った、現伊プログレの雄による20年作6th!
冒頭3分間でMUSEOやBANCOなど往年の伊プログレ・ファンなら歓喜に震えること必至ですよ~。
前作まではMARILLION影響下のサウンドが特徴でしたが、本作ではPINK FLOYD色が非常に濃厚に。ふくよかなオルガンの上でブルージーに踊るギター。
フロイド・ファンならニンマリすること間違いなし。
ずばり「優美な気品が加わったPINK FLOYD」。
フロイド直系のメランコリックで夢想的なサウンドの中、端正かつ妖艶に響き渡るピアノが極上だなあ。
メロトロンが雄大に流れゆく叙情派インスト・ナンバー「Boswellia Sacra」は、これまで未発表だったのが信じられない名曲。
76年の名作に9曲の貴重音源を追加した素晴らしき編集アルバム♪
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熱量高く濃密なサウンドのイメージが強いイタリアですが、今回はリリカルでたおやかなサウンドを奏でるグループ達をご紹介します☆
2010年にようやく日の目を浴びた幻のサンフランシスコ産ジャズ・ロック・グループ、なんと70年代活動時の音源を収録した20年2ndが登場!
「COS×マハヴィシュヌ」というべきキレ味鋭いアンサンブルを繰り広げていて、これはジャズ・ロック・ファン注目ですよ。
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世界中より、シャープに引き締まったテクニカルかつ流麗なジャズ・ロック作品をセレクトしてまいりましょう。
淡い色彩を広げるシンセやハモンド、神秘的に囁き合うフルート&リコーダー、シャープなトーンでメロディアスに旋律を紡ぐギター…。
異世界の情景を描写するかのような静謐で美しく仄かにスペイシーなサウンドの何と素晴らしい事。ずばりエストニア・プログレの至宝!
メロトロン溢れる76年の名作で知られ、19年にはまさかの2ndアルバムを発表したイタリアの名グループの、未発表音源を含む20曲アーカイヴ集。
サンレモ音楽祭参加曲として制作されたバラード・ナンバーがとにかく名曲!
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お蔵入りという悲運を辿りながらも、数十年の歳月を経てリリースされリスナーのもとに届けられた名作たちを探求しましょう!
MAGMAの暗黒感とロバート・ワイアットの幽玄さに、洒脱でどこか退廃的なビッグバンド・ジャズの要素を加えたようなアンサンブルが格好良すぎ…。
2人の女性Vo.によるスキャットが妖艶に絡み合う、一筋縄ではいかない仏ジャズ・ロック新鋭!
洪水のように溢れ出るメロトロンにエッジの効いたギターが絡み、さらにヴィンテージなオルガンまで登場して…。
このポーランド新鋭は素晴らしいです!メロトロン好きは是非!
まだまだこんな素晴らしい音源が眠っていたのか…。
BULLDOG BREED~T2で知られるPeter Dunton率いるグループの新規発掘音源集なのですが、これは哀愁のブリティッシュ・ロック・ファン注目の逸品。
なんと素晴らしいのでしょうか…。溢れ出る瑞々しいメロディ、芳醇なコーラス、ELOばりに気品たっぷりの管弦楽アレンジ。まさに至福のプログレ・ポップ空間!MOON SAFARIファンにもオススメです。
これは今年のブリティッシュ・フォーク・リイシューの中でもとっておきの一枚。
澄んだ女性ボーカルと、フィドルやブズーキーの細やかなアンサンブルがたまりません。
陰影あるサウンドが魅力の英国フォーク・グループ、79年作。
気鋭女性ピアニスト率いるプログレッシヴ・ジャズ・トリオ、圧巻の技巧と表現力を備えたピアノが描く、情熱的かつ幻想的な音世界が魅力の20年作4th。27分の組曲にも注目です!
「CHICAGOなどの華やかなブラス・ロック×ザッパばりの雑多さ×北欧らしい職人魂」って感じ!?
おもちゃ箱をひっくり返したように多彩かつハイクオリティな演奏を聴かせる北欧ジャズ・ロックの隠れ名作!
ミラノ出身バンドによる4thなのですが、これはお見事。
P.F.M、LE ORME、BANCOなど自国のレジェンドからの影響と、00sバンドらしいスタイリッシュなサウンドメイクが絶妙に調和、これでもかとドラマチックなシンフォを聴かせてくれる快作!
CAMELファン必聴と言える作品は数多くご紹介してきましたが、その最高峰と断言したいのがコチラ。
なんせAndy Latimer御大が参加して名演を披露しているし、メロトロンも駆使した美麗なサウンドメイクもセンス抜群。…CAMELファン必聴です。
来日も果たしたポーランドの注目アーティストによる、壮大なる三部作の第2弾!
清涼感あるギターが主役のメロディアスなナンバーから24分にわたる大作までエモーショナルかつ劇的に聴かせていて、相変わらず才気ほとばしってるなぁ…。
マルタ出身でチェコを拠点とするグループなのですが、MOON SAFARIばりのポップで親しみやすいメロディがとめどなく溢れてきます。
四半世紀の活動歴を誇るバンドとは思えないサウンドの鮮度に驚かされる愛すべき一枚!
MIZUKI DA FANTASIAで活躍した女性key奏者による待望のソロ・デビュー作!
圧倒的表現力のピアノと大河の流れのごとき雄大なメロトロンが織りなす、「クラシック+ロック」の理想形と言えるキーボード・プログレがお見事!
アルメニアの伝統音楽とジャズ、ロック、メタルを融合させた「コーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック」!?
力強くも粛々とした神秘性漂うサウンドが素晴らしすぎる、堂々の19年デビュー作!
まるでYESと北欧トラッドが出会ったかのようなサウンドだって!?
YES憧憬の飛翔感あるファンタジックな演奏と北欧由来の神秘的なメロディの組み合わせが素晴らしすぎ…。
1stでは7人でしたが、この2ndでは10人編成となりブラス・セクションを強化。
ファンキーなノリの良さと地中海的な芳醇さを併せ持つ絶品サウンドを披露します。猛者ぞろいのフレンチ・ジャズ・ロックにおいて、「心地よさ」では最高峰と言える逸品!
当局の検閲によって4曲のみがEPリリースされるに留まった幻のアルバムが完全版として復活。
エストニア最高のバンドたる実力を発揮した、YESにも通じるファンタジックで構築性に富んだサウンドが素晴らしい!
EL&Pとリック・ウェイクマンとKANSASを掛け合わせたようなワクワク感!?
クラシカルかつファンタスティックに紡がれるシンフォ・サウンドに胸がいっぱいになるなあ。『地球』というタイトル通り、国境を超えて集ったミュージシャンによる傑作!
フォーキーでハード・ポップな爽やかウェストコースト・ロック・サウンドに胸キュン!米Steve Millerを思わせる繊細な歌声もいいなあ。ニコレット・ラーソンがカヴァーした名曲「Rio De Janeiro blue」の作者としても知られるSSW、75年作!
マイルス作品を手掛けたレジェンドTeo Maceroプロデュース!金管の高らかな響きとクールなエレピの対比が何とも絶妙なジャズ・ロック/フュージョン、78年作!
ドラマチックで哀感ある女性Voバージョンと素朴で温かみ溢れる男性Voバージョン。ヴォーカルが違うだけでここまで音の印象が変わるとは…。『雪の女王』をテーマに主人公ゲルダとカイの視点を2枚組で描くシンフォ傑作!
いかがでしたか?
気になる作品が見つかりましたら幸いです。
今年のこの充実ぶりを見ていると、早くも来年一体どんな素晴らしい新作&リイシューが登場してくるかワクワクしちゃいますね!
RUJAと並んでエストニア・プログレの代表格と言えるバンド、83年の1stアルバム。息をのむほどにデリケートで透明感に満たされたサウンドによって紡がれる、民族色も織り込んだシンフォニック・ロックはもう絶品の一言。独特の間を感じさせる不思議な聴き心地のリズムに、淡い色彩を広げるシンセやハモンド、神秘的に囁き合うフルート&リコーダー、そしてシャープなトーンでメロディアスに旋律を描くギター。異世界の情景を描写するかのような静謐で美しく仄かにスペイシーな音像は、北欧プログレと東欧プログレ両方の味わいを備えていると言えます。そんなうっとりするようなパートから一転、フュージョン・タッチのシャープで音数の多い技巧派アンサンブルになだれ込む展開も見事すぎます。東欧シーンに留まらず、ユーロ・プログレという枠の中でも上位に位置するであろう大傑作です。
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、2枚組、Disc2には79〜83年に録音された未発表音源7曲(3曲はライヴ音源)を収録、デジタル・リマスター、定価3190+税
デジパック仕様(ブックレット付仕様)、19年リイシュー、デジタル・リマスター、79年〜83年の未発表音源およそ40分を収録した2枚組!
レーベル管理上、デジパック側面部に若干折れ線がある場合がございます。ご了承ください。
エストニアのYESとも称される、名実ともに同国を代表するプログレ/ロック・バンド。70年代後半にフルアルバムとしてリリースが予定されながらも、ソ連の検閲により4曲のみのEPとしてリリースされた作品『Pohi Louna Ida Laas…』の12曲完全版をCD1に収録。YESやNEKTARあたりを彷彿させるファンタジックな飛翔感、目まぐるしく場面転換するような複雑な曲構成とシアトリカルさコミカルさも織り込んだ表情豊かな音楽性で一気に聴かせる名作です。CD2には同時期のライヴやレア音源13曲を収録。エストニア最高のバンドの所以をたっぷりと堪能できる素晴らしい作品です!
【Disc 1】 Põhi, Lõuna, Ida, Lääs…
1-1. Põhi, Lõuna, Ida, Lääs… 6:06
1-2. Laul Teost 2:24
1-3. Omaette 2:40
1-4. Ajaloo Õppetund 2:33
1-5. Couplet In Estonian (Ha, Ha, Ha, Ha) 4:16
1-6. Läänemere Lained 3:15
1-7. Mis Saab Sellest Loomusevalust? 7:36
1-8. Üle Müüri 3:39
1-9. Keldrikakand 0:57
1-10. Elupõline Kaja 4:49
1-11. Ei Mullast… 2:43
1-12. Klaperjaht 1:15
【Disc 2】 Ruja Laval / Parallelmaailmad
2-1. Ahtumine 7:49
2-2. Keldrikakand 0:53
2-3. Ei Mullast… 2:48
2-4. Isamaa 1:07
2-5. Klaperjaht 0:48
2-6. Kimalane Ungaris (Andrus Vahti Soolo) 1:04
2-7. Oh Öelge, Doktor 2:37
2-8. Omaette 2:03
2-9. Avanemine 4:19
2-10. Meediaaskeldus 1:48
2-11. Stereo I 4:32
2-12. Ma Mustas Öös Näen… 2:48
2-13. Ootamisest Ja Olemisest 7:44
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、2枚組、Disc2には76/78年のライヴ音源8曲と同時期のスタジオ・レコーディング5曲を収録、デジタル・リマスター、定価3190+税
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、2枚組、Disc2には76/78年のライヴ音源8曲と同時期のスタジオ・レコーディング5曲を収録、デジタル・リマスター、定価3190+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
アジアとヨーロッパの境目に位置する国、アルメニアの伝統音楽とジャズ・ロックの融合!?ポーランドの名門クラクフ音楽アカデミーにてクラシックを学ぶと同時に、アルメニアの伝統音楽に魅せられた女性管楽器奏者Zofia Trystulaを中心とするポーランドの5人組。結成以来数々のジャズ・コンペで入賞も果たす彼らの19年デビュー作は、エキゾチック且つどこか粛々とした神秘性を漂わせるアルメニアや東欧の伝統音楽をベースに、ロック、ジャズ、フュージョン、メタル等の要素を自在に組み合わせた圧巻のコーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック!しなやかに躍動するジャジーなピアノに気品溢れるヴァイオリン。ザクザクと重くメタリックなリフを刻むギター、ジャズの素養を感じるタイトでテクニカルなリズム隊、異国情緒漂う旋律を奏でるムーグ…。アコースティカルな要素とヘヴィ/エレクトリックな要素を対比させつつ、そこへZofiaが操るドゥドゥク、ズルナといった民族管楽器や民謡調の抑揚を付けた深遠な女性ヴォーカルが重なり合う、強靭さと神々しさ、優美さとドライヴ感を併せ持ったサウンドは驚くべき完成度!GONGからVESPEROといったスペーシーでエキゾチックなジャズ・ロックのファン、そしてLOST WORLD等ヴァイオリン・プログレのファンには特にレコメンドです!
ポーランドの新鋭プログレ・バンドWALFADの中心メンバーにして、2019年にはソロ来日公演も果たしたギタリスト/ヴォーカリストによる20年作。第一次大戦後に彼の出身地シレジア地方で起きた「シレジア蜂起」を題材にした三部作の第2弾となります。シリアスな題材からは重厚なサウンドを想像しますが、鉄琴の涼やかな音色と清涼感あるギターサウンドで紡ぐ極上のメロディアス・ロックが飛び出してきて、1曲目から早くも心奪われます。少しハスキーな声で切々と感情を込めて歌うポーランド語ヴォーカルも絶品です。そして24分に及ぶラスト・ナンバーも注目の一曲。マンドリンの哀愁の調べに導かれ慈愛溢れるヴォーカルがエモーショナルに歌う東欧らしい憂いに満ち満ちた前半、ハードエッジなギターを主役にドライヴ感抜群のアンサンブルへ突入する痛快な後半と、見事な構成で一気に聴かせます。随所で高らかに鳴らされるトランペットも効果的です。これは傑作と言えた前作に負けず劣らず素晴らしい快作!
【カケレコ国内盤(直輸入盤 / 帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
レーベル管理上、デジパックにスレや若干圧痕・角潰れがございます。予めご了承ください。
【カケレコ国内盤(直輸入盤 / 帯・解説付仕様)】デジパック仕様、定価2990+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
軽微な圧痕あり
2017年にデビューし3枚のアルバムを残したMIZUKI DA FANTASIAのピアニスト/キーボーディストによる20年ソロ・デビュー作。クラシックとロックの真なる融合を目指し制作されたという本作、一曲目の組曲からその圧倒的な美意識に貫かれた壮麗な音世界に息をのみます。繊細に奏でる序盤から徐々に力強いタッチで躍動しはじめるダイナミックなピアノと大河の流れのごとく雄大なメロトロンが重なり、ソプラノ・ヴォーカルも交えて展開するサウンドは、キーボード・プログレ・ファンなら歓喜すること間違いなしです。古典クラシックに迫る風格を備えた自作のパイプ・オルガン独奏曲も素晴らしいし、叙情美溢れる旋律を紡ぐピアノと荘厳なヴァイオリンやチェロが繰り広げる『Conserto Grosso』ばりのクラシカル・ロックもこれでもかと熱くドラマチック。モーツァルトやシベリウスの曲も収録しており、クラシック奏者としての矜持を感じさせるピアノの表現力にも注目です。まさに「クラシック+ロック」の理想形を封じ込めたと言える傑作デビュー作!
盤質:傷あり
状態:良好
帯-
情報記載シールなし、スリップケースに軽微なスレ・小さい圧痕あり
盤質:傷あり
状態:並
帯-
スリップケースにスレ・圧痕・若干黄ばみあり
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループ、14作目となる2020年作。タイトルが示すとおり、現代社会における「七つの大罪」を描く7曲によって構成されたコンセプト・アルバムとなっています。重厚なテーマですが、本作でもPINK FLOYDと90s以降のMARILLIONから影響を受けた深淵かつエモーショナルなシンフォニック・ロックは健在。ビシッビシッと重くタイトに刻むリズムに乗って、オルガンが叙情的にたなびき、リック・ライト彷彿のシンセがダークに広がり、そしてギルモアの泣きとS.ロザリーのメロディアスな音運びを兼ね備えたギターが飛翔するサウンドは、「ドラマチック」という言葉をそのまま音にしたような素晴らしさ!英語で歌う、スタイリッシュな歌い回しの中に切ない哀愁を秘めた男性ヴォーカルも、劇的なサウンドを一層盛り立てます。エレクトロニクスやSEを効果的に用いた演出力の高さにも注目。今回も貫禄のMILLENIUMサウンドを繰り広げる力作です。
ポーランド出身、アルメニアの伝統音楽を取り入れた注目グループORGANIC NOISESのギタリストRobert WierciochとキーボーディストKarolina Wieriochを中心とするプログレ・グループの19年デビュー作。切れ味の鋭さと哀感が同居するフレーズを次々と紡ぎ出すテクニカルなギター、ジャズを基軸にクラシカルな美麗さも織り交ぜて鮮やかに舞うピアノが交錯する、洗練の極致と言いたくなるほどに隙のないインストゥルメンタル・ジャズ・ロックを展開します。ORGANIC NOISESから民族エッセンスを抜き、よりタイトで硬質に再構築したようなアンサンブルのカッコよさと言ったらありません。あまりに技巧的で洗練された演奏に耳が行きますが、ポーランド・プログレの特徴とも言えるPINK FLOYD的なメランコリーと空間的な広がりを持つ音響も随所に散りばめてあり、陰影に富んだ幻想美が立ち上がってくるナンバーも魅力的。ORGANIC NOISESを気に入られた方は勿論、テクニカルなジャズ・ロックのファンには是非聴いてほしい傑作です。
現ノルウェーを代表するシンフォニック・ロック・グループ、前作より3年ぶりとなった2020年作5th。行進曲のように勇壮なリズム・セクションに乗って、クラシカルなオルガンとシャープなトーンのギターが疾走し、メロトロンと透明感あるコーラスがあふれ出す。この攻撃性と哀愁が入り混じるオープニングで早くも傑作を確信します。特にオルガンは全編で良い音で鳴りまくっていて堪りません。ジョン・アンダーソンを強く意識した高らかでデリケートなヴォーカルが歌う北欧由来の厳かで神秘的なメロディも素晴らしく、これはまるでYESと北欧トラッドが出会ったかのようなサウンドと言えちゃいそうです。YES影響下の飛翔感あるファンタジックな演奏で突き進む2曲目も、温かなアコギとメロトロンが彩るアコースティカルな3曲目も素敵です。ラストもYES調の始まりますが、後半ではANGLAGARDばりの緊張感あるヘヴィ・シンフォになだれ込んでいき、初期の彼らが持っていた暗鬱さが顔を出すのもうれしいところ。これはYESファンやオルガン・ロック好きの方にも聴いて欲しい快作!問答無用のカケレコメンド!
2013年より活動する女性ピアニスト、北川とわ率いるプログレッシヴ・ジャズ・トリオ。27分に及ぶ組曲を配したよりプログレッシヴなスタイルで聴かせる2020年作4thアルバム。スピーディーな音運びで畳みかける緊張感あるタッチと、息をのむように柔らかくしなやかなタッチが自在に入れ替わり、情熱的かつ幻想的な音世界を描き出すピアノが何より圧巻。変拍子をたっぷり織り込んだ複雑な楽曲においても、一貫して流麗に紡がれていくプレイはあまりに見事です。そんなピアノを絶妙な呼吸で支えるリズム・セクションも特筆。ベースはPRISMの岡田治郎、ドラムは山内陽一朗/岩瀬立飛/橋本学という3人のドラマーが各曲でプレイしており、それぞれの持ち味が出た演奏によってアンサンブル全体が豊かに表情を変えていきます。ハイライトは、暗い森に迷い込んだ主人公を描いた7部構成の組曲『Suite forest in the dark』。ピアノが静謐なタッチで暗い森の情景を映し出す「静」のパートと、猛烈なテクニックで疾走するアヴァンギャルドなジャズ・ロックへとなだれ込む「動」のパートが劇的に対比し一気に聴かせる、聴き応え抜群の大作となっています。今作もプログレ・ファン、ジャズ・ロック・ファンなら是非聴いてほしい傑作!
メロトロン溢れる76年の名作で知られるイタリアン・ロック・グループ、76年作の全7曲に加えて、74年録音の女性ヴォーカルによる英語ver6曲、先だってリリースされた2020年の音源集「Flashes From Archives Of Oblivion」にも収録された「Nora」「Favole Antiche(instrumental)」、そして未発表音源であるメロトロン入りの叙情的なインスト・ナンバー「Boswellia Sacra」という全16曲を収録。
英国フォーク・グループ、MANDY MORTONの自主レーベルBanshee Recordsからリリースされた79年作。まだまだこんな名盤があったとは…一曲目から素晴らしすぎです!ブズーキーやフィドル、アコースティック・ギターが織り成す繊細で物悲しいアンサンブルの中に、澄んだ女性ボーカルが響き、至高の美しさです。途中フィドルが滑らかなソロを奏で、まるで想いが溢れるように他の楽器も盛り上がり、切なさで胸がいっぱいになります。アルバムには他に、フィドルやフルートが跳ねる牧歌的なナンバーや、ゆったりとしたフィドルにこれ以上なく切々とした女性ボーカルが乗るナンバーなどを収録。トラッドをベースとした素朴で切なく、しかしどこか温かみあるサウンドを聴かせてくれます。
米サンフランシスコのジャズ・ロック・グループ。74〜76年にライヴ・シーンなどで活動しつつ、アルバムを残さず解散。2010年にようやく、当時の録音を集めた1st『REVEAL THE FANTASTIC』が発表されました。それから10年後の2020年、なんと彼らの残りの録音を集めた2ndにしてラスト・アルバムが登場!「COSがマハヴィシュヌ・オーケストラをプレイしたよう」とのレーベル・インフォの文言通り、妖艶&アヴァンギャルドな女性スキャットとキレ味鋭いバンド・アンサンブルが交わった、高水準のジャズ・ロックを展開しています。1stが気に入った方はもちろん、COSやカンタベリー・ジャズ・ロックのファンも要チェックの逸品!
69年〜79年にかけて活動したスウェーデンのジャズ・ロック・バンド、74年作2nd。CHICAGOをはじめとする英米ブラス・ロックからの影響と北欧フォーク/トラッド・ミュージックをミックスさせた作風が特色で、特に本作は彼らの創造性がこれでもかと堪能できる傑作!収録内容は21分・7分・14分の大曲3曲。21分の「Carrot Rock Rock (Elephant Nilson)」はクリムゾンの同年の「RED」を思わせるような強靭なオープニングに始まり、まるでELOみたいに壮大でワクワクするヴォーカル・パート、PINK FLOYDをジャジーにしたような深遠なパートなど様々な展開に目まぐるしく移り変わっていく、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさいっぱいのナンバー。中間の「Ten Kronors Polskan」はチェンバー風味の不穏なバスーン・ソロに始まったかと思えば、中盤からはアイリッシュ・ミュージックを思わせる祝祭的なヴァイオリン合奏とCHICAGO風ブラス・ロックが交差してしまう、彼らにしか作り得ないようなヘンテコな一曲。14分の「Collective」ではなんとアフロやラテンの要素を取り入れ、情熱的なパーカッションを交えながらスピーディーかつスリリングなジャズ・ロック・アンサンブルを繰り広げます。これだけ色々詰め込むと収拾がつかなくなりそうなものですが、キワモノ臭はせず洗練された聴き心地なのは彼らの高い技術力によるものでしょう。これまで再発されず眠っていたのが信じられないくらいの北欧ロック名作です。
SLIP&SLIDELTD159(SLIP & SLIDE)
デジタル・リマスター
レーベル管理上の問題により、CDやジャケットの状態が良くありません。また盤面にキズがある場合がございます。ご了承ください。
94年結成、地中海に浮かぶ島国マルタ共和国出身で、現在はチェコを拠点とする新鋭グループによる2020年作。これは素晴らしいです!全編を彩る流麗なピアノ、叙情たっぷりのフレーズを次々と奏でるドラマチックなギターが印象的なメロディアス・プログレなのですが、特筆はビックリするくらいにポップで親しみやすいメロディ。少年のような実直さと優しさを感じるヴォーカルに瑞々しいコーラスが絡むスタイルは、メロディの良さも相まって、MOON SAFARIも想起させるほど。そんなサウンドを雄大に盛り上げるメロトロンの使い方も見事です。21分の大作は、GENESIS的な英国叙情やSPOCK’S BEARDに通じる洗練されたモダンな構築性を発揮しながら、ひたすらキャッチ―なメロディが紡がれ続ける名曲で興奮必至です。演奏面ではピアノの存在が大きく、Ben Foldsばりのピアノ弾き語りポップスにシンフォニックな味付けをしたようなスタイルとも言えるかも。四半世紀の活動歴を持つバンドとは思えないサウンドの鮮度に驚かされる愛すべき一枚。カケレコメンド!
現ポーランドを代表するシンフォ・バンドMILLENNIUMのkey奏者によるソロ・プロジェクト、20年4th。本作のテーマはアンデルセンによる「雪の女王」。特筆は、同一の演奏に対し女性ヴォーカルが歌うバージョンと、男性ヴォーカルが歌うバージョンを収めた2枚組である事。DISC1は、艶やかかつ哀感を帯びた女性ヴォーカルがシリアスなドラマ性を引き立てていて、雪景色が浮かび上がるような荘厳さが広がります。一方、素朴な声質で丹念に歌う男性ヴォーカルのDISC2は、同じ演奏とは思えないほど暖かくハートフルな聴き心地をもたらします。物語の主人公ゲルダとカイ、それぞれの視点を表現する見事な演出です。演奏もさすがで、美麗なオーケストレーションをバックに、硬質なリズムとひんやりしたシンセ、静謐なタッチのピアノ、フロイド彷彿の浮遊感あるギターのリフレインらが折り重なり、原作のストーリーをイマジネーション豊かに紐解いていきます。物語の展開とシンクロするSEも効果的。荘厳さの中に淡い叙情を秘めたサウンドが、静かな感動を呼び起こす名作です。
レオン・ラッセルのShelterレコードから74年にデビュー、ニコレット・ラーソンやランディ・クロフォードがカヴァーしたAOR名曲「Rio De Janeiro blue」の作者としても知られる米SSW、自身のバンドEUREKAを率い制作された75年作2nd。こ、これはたまらんウェストコースト・ポップ・ロック!西海岸の爽やかさとスワンプ・ロック的粘り強さを兼ね備えた味わい深いバンド・アンサンブルに、エネルギッシュなシャウトも炸裂させつつどこか哀愁とセンシティヴな雰囲気を湛えたヴォーカル。最初に聴いて思い浮かんだのはSTEVE MILLER BANDで、フォーキーさとハード・ポップ・テイストが混ざり合ったサウンドは初期JAMES GANGにも通ずるものがあります。ウェストコースト・ロック好きはもちろん、70’sパワー・ポップ・ファンにもオススメの胸キュンな逸品!
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