2019年1月5日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ増田です。
YES、GENESIS、KING CRIMSON、そしてEL&P…70年代から現代に至るまで、彼ら「四大バンド」に影響を受けて登場した各国プログレ・グループは数え切れないほど。
しかしそれに次いで後世のプログレに影響を残したグループと言えば…GENTLE GIANT、もしくはCAMELではないでしょうか。
伸びやかにフレーズを奏でるギター、リリカルで幻想的なキーボード。どこまでも優しく美しいメロディを重視したファンタジックなアンサンブルは、決してテクニックを重視するだけではないプログレッシヴ・ロックの「叙情」の側面を象徴していると言えるでしょう。
そこで今回はそんなCAMELの叙情性を受け継いだ新鋭グループ、それも厳選した実力派たちを一挙ご紹介いたします。
特に今年は現代CAMELフォロワーの筆頭&注目株と言えるグループが続々と新譜をリリースいたしましたので、まずはそちらからご紹介!
まずは現キャメルの一員としても活躍する英マルチ奏者/コンポーザーPeter Jonesによる18年作から!
キャメルばりの泣きの哀愁ギター炸裂ナンバーから『Foxtrot』に入っていてもおかしくないジェネシス直系ナンバーまで、今作も一人で作曲/演奏しているとは思えない凄まじいまでの充実ぶり。傑作!
CAMELのDNAを受け継ぐオランダの実力派シンフォ・バンド、FLAMBOROUGH HEAD、TRION、NICE BEAVERの各メンバーが集結した「CAMEL愛」スーパー・グループによる結成10周年を記念した18年作!
未発表音源やライヴ盤も含むアンソロジーですが、オリジナル・アルバムとして聴いても問題ない充実作。
CAMEL愛極まった至上のギター・インスト「Awaking The Muse」が素晴らしすぎます…。
次はブラジルの名シンフォ・バンドBACAMARTEのフルート奏者が参加する新バンドによる18年デビュー作!
初期キャメルと重厚なバロック音楽が融合したようなスケール溢れるシンフォニック・ロックが凄い…。
次はなんとイスラエルからデビューした「CAMEL愛」グループによる18年作!
CAMEL由来の幻想性と叙情性に、イスラエルらしい透明感。ジャケ通りスペーシーかつヴィンテージな暖かみに溢れたサウンドが素晴らしい!
そのTELEGRAPHで活躍するギタリストのソロ作なのですが、こちらも甘く伸びやかなギターやフルートがどこまでも優美なフレーズ紡ぐ絶品叙情プログレ。
時にはANEKDOTENやOPETHを思わせるダークでメタリックなアンサンブルも聴かせつつ、穏やかなパートでは目頭熱くなるほどの繊細さとたおやかさを発揮する、二面性を持った作品です。
イタリアの新鋭シンフォニック・ロック・グループ、18年作2nd。
暗く恐ろしげなジャケットからへヴィなプログレを予想していたら、純度100%のファンタスティック・シンフォが広がって驚き!
GENESISの端正な英国叙情とCAMELの溢れんばかりのリリシズムを正当に受け継いだこれぞ珠玉の一枚です♪
こちらはドイツ出身気鋭マルチ・プレイヤーによる18年デビュー作。
淡く端正な響きのオルガン、エモーションたっぷりのギター、クラリネットやフレンチホルンの柔らかな音色などを配したドリーミーで温かなシンフォ・サウンドが素晴らしいなぁ。本人のハートフルな歌声も絶品です!
こちらも要チェック!CAMELフォロワーとして外せない新鋭グループによる現代プログレ名作をご紹介。
84年にデビューしたスウェーデンを代表するプログレ・グループ、89年5th。
もはや「バンド」というより「交響楽団」と言った方がしっくりくるほどの色彩豊かで緻密なアンサンブルは唯一無比。
キャメル『スノーグース』の世界をさらなるイマジネーションで展開した北欧プログレ屈指の傑作!
05年にデビューした英国のインスト・プログレ・グループ、08年作の2nd。
洪水のように溢れ出すメロトロンをバックに、リリカルなエレキ&アコギやシンセやフルートが優美に舞うファンタスティックな英シンフォ。
アルバムのどこを切り取ってもメロディが止めどなく溢れてきて堪りません!
ラストはアルゼンチンのプログレ・グループによる08年のデビュー作。
柔らかに広がるキーボードに、流麗なフルート。CAMEL、P.F.M.、SERU GIRANなど各国叙情プログレの遺伝子を継いだたおやかなアンサンブルが絶品…。
かと思えばクリムゾンばりの切れ味鋭いギターをフィーチャーしたパートもあったりと、起伏に富んだサウンドを聴かせています。これは見事!
ブラジリアン・シンフォの歴史に輝く83年の名盤で知られるBACAMARTEのフルート奏者Marcus Moura、90年代以降のブラジルを代表するシンフォ・バンドQUATERNA REQUIEMのドラマーClaudio Dantasらが結成したバンドによる2017年デビュー作。フルートとギターがリードするCAMEL直系のメロディアスなシンフォニック・ロックに、BACAMARTEやQUATERNA REQUIEに通じるクラシック音楽/バロック音楽の典雅さ格調高さを加えた、構築性に富んだ壮大過ぎるサウンドが圧巻!リリカルで少し陰影がかかった美しい音色のフルート、アンディ・ラティマーを受け継ぐ一音一音から叙情が零れ落ちるようなエモーショナルなギターが紡ぐCAMEL愛たっぷりのアンサンブルと、バックで響く分厚いシンセ、オルガン、ピアノなどのキーボード群が演出するバロック音楽の厳粛な音世界が重なり合う音楽性に、シンフォ・ファンならば興奮しっぱなしでしょう。特筆は何と言っても52分に及ぶ大作組曲。キーボードもアンサンブルに加わり、テクニカルな疾走パート、芳醇に広がるシンフォ・パート、典雅な味わいの中世音楽パートを行き来しながら巧みに描き出されるスケール溢れるシンフォ絵巻があまりに素晴らしい。BACAMARTE、QUATERNA REQUIEM両バンドのファンは勿論、初期CAMELファンにも是非オススメしたい一枚!
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1980年に英国はノッティンガムシャーに生まれ、1歳の頃に病気により視力を失った盲目のマルチ・ミュージシャン&コンポーザーで、現在はキャメルのキーボーディストとしても活躍するPeter Jonesによるプロジェクト。15年リリースの2ndアルバム『STORY TELLERS: PART ONE』の続編となる18年作4thがついにリリース。オルガンとアコースティックギター、彼の伸びやかな美声をメインに紡がれる比較的落ち着いた爽やかな演奏でスタートし、やや作風変わったかな?と思いきや、シームレスに突入していく2曲目から来た来た来ました…!音の粒子を繊細に散りばめたサウンドメイクの中、彼方から幻想的なギターとシンセが立ち上がってくるこの感じ。やはり並ではない才能を感じさせます。トニー・バンクスかと思うファンタジックで華やかなシンセ&オルガンとピーガブ風のユーモラスなシアトリカル・ヴォーカルが素晴らしすぎる『FOXTROT』に入っていてもおかしくない完成度の3曲目で、もうワクワクしっぱなし!そうかと思うと、アンディ・ラティマーばりの堂々たる泣きっぷりの哀愁ギターが大炸裂するナンバーも聴かせ、さすがキャメルの一員たる存在感も発揮しています。これを全て自身で作曲&演奏していることに、改めて驚きを禁じえません。さらに特筆は、TMT以前に彼が在籍した2 TO GOでデュオを組んでいた美声女性ヴォーカリストEmma Paineのゲスト参加。2曲で、2 TO GO時代を彷彿させる美しいデュエットも聴くことができ大変感動的です。ギターがこれでもかと叙情的に歌うシンフォニックで劇的なエンディングも見事だし、今回もTMTでしか味わえないファンタスティック&マジカルな音世界が堪能できる傑作に仕上がっています。初期ジェネシスやキャメルのファンには問答無用でおすすめ!
76年に結成され84年にデビューしたスウェーデンを代表するプログレ・グループ。89年作の5thアルバム。郵便局員の傍ら、33年をかけて夜な夜な石を積み上げて理想の宮殿を作り上げたフランス人フェルディナン・シュヴァルの生涯をテーマにしたコンセプト・アルバム。『Sea Reflections』でのフュージョン・タッチは無くなり、金管楽器のような艶やかで瑞々しいトーンのキーボード、朗らかなフルート、ティンパニを彷彿させるクラシックなタッチのドラム、精緻なタッチのメロディアスなギターが織りなす色彩豊かでイマジネーションに溢れたサウンドが印象的です。デビュー以来、様々な音楽性を取り込みながら、一貫してコンセプトを音像化することにこだわってきたバンドの表現力は、もはやバンドというより交響楽団と言った方がしっくりくるほど。キャメル『スノーグース』の世界を彼らならではの折衷センスでさらなるイマジネーションで展開した北欧プログレ屈指の傑作。これは唯一無比の一枚です。
イギリスのインスト・シンフォ・グループ、08年作の2nd。メロトロンの洪水をバックにリリカルなエレキ&アコギやシンセやフルートが優美に舞うファンタスティックな英シンフォ。アルバムのどこを切り取ってもメロディが止めどなく溢れてきます。圧倒的な叙情性!ヘヴィさは無く、1音1音丁寧に編み上げられた手工芸品のような逸品。CAMELやGENESISタイプのシンフォニック・ロックのファンは必聴です!
ドイツ出身、キーボード/ドラム/ヴォーカルを務めるマルチ・プレイヤーがバンド編成で制作した18年デビュー作。初期キャメルの優美なパートからの影響を中心にジェネシス的雄大さも加えた、ドリーミーで温かみあるシンフォ・サウンドを聴かせてくれます。淡く端正な響きのオルガンと浮遊感あるエレピを中心に幻想を描くキーボード、エモーションたっぷりのドラマチックなギター、クラリネットやフレンチホルンの品のある柔らかな音色を配したアンサンブルは絶品。そんな中でも特筆なのが本人によるハートフルという表現がぴったりの歌声。ちょっぴりアンディ・ラティマーにも似る落ち着いた声質は気品ある演奏と相性抜群です。美しく洗練されたサウンドプロダクションながら、どこか手作り感も感じさせる愛すべきシンフォ名品となっています。オススメ!
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