2019年2月2日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,今週のカケレコFacebook
こんにちは。
先週の「メロトロン溢れるプログレ(英国編)」はお楽しみいただけましたでしょうか。
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寒い季節でも体が温まってしまいそうな、分厚いメロトロンの音色をフィーチャーした作品をご紹介してまいります!
60年代末期よりクリムゾン、イエス、ジェネシスといった大御所バンドを筆頭とする英国のグループがこぞって使用したメロトロンですが、70年代に入ると欧米各国でもメロトロンをフィーチャーしたプログレ作品が数多くリリースされるようになります。
というわけで、「英国編」に続いて今週は「メロトロン溢れるプログレ ユーロ編」をお送りしてまいりたいと思います。
まず取り上げるのは、イタリアより、ユーロ・ロック屈指のメロトロン名盤として知られるCELESTEの76年唯一作です。
本作はイタリアン・プログレに分類される作品としてはやや異色と言える、穏やかなフォーク・タッチが音楽性の核となっているのですが、そこに覆いかぶさってくるのが、シンセサイザー、フルート、メロトロンらが作り出すあまりに壮大で幻想的なサウンド。そのスケールたるやとにかく圧倒的です。
特にメロトロンは作品の世界観を決定づけるほどの働きを見せていて、悠久の時の流れを思わせる雄大にして奥ゆかしさも感じさせるその音色は、中世あるいは神話の世界まで豊かに聴き手のイマジネーションを広げてくれます。
メロトロンの表現力だけに注目すれば、「宮殿」にも匹敵しかねない名演を堪能させてくれる一枚だと思っています。(佐藤)
本日ご紹介するのは北欧プログレ・シーン、ひいては90年代以降のプログレ・シーン屈指の傑作。
スウェーデンのシンフォ・バンド、ANGLAGARDの93年デビュー作『HYBRIS』です。
プログレ・シーンが衰退の一途を辿りつつあった90年代、同郷ANEKDOTENと共に登場し、現代にプログレ復興の狼煙を上げたANGLAGARD。
両グループとも70年代プログレ、特にKING CRIMSONが持つ幻想性&ヘヴィネスを受け継ぎつつ、そこに北欧の土着性と現代的な重厚さを加えて生まれ変わらせたような作風が特徴です。
ただこちらのANGRAGARDは攻撃的でテクニカルなパートもありつつ、しっとりとしたアコギや優美なフルートを押し出した叙情パートの割合も大きく、凶暴というよりは荘厳で幽玄な雰囲気に包まれた美しいサウンドに仕上がっています。
そしてそんな荘厳なスケール感を演出するのが、要所で登場するメロトロン。
英国のそれとはまた異なる、氷のように冷たく張り詰めたメロトロンの音色がアンサンブルの緊張感をさらに増幅させていてもう鳥肌モノ…。
これを契機に現代に「プログレ」が蘇ったというのも納得の作品。何度聴いても凄いです。(増田)
今日の一枚は、スペインのグループLOS CANARIOSが74年に放った4thアルバム『Ciclos(四季)』です!
CANARIOSは、その名が示す通りモロッコ沖に浮かぶスペイン領カナリア諸島を出身地とするグループで、R&B/ビート・ポップ・バンドとして64年にデビューしています。
シングル・リリース止まりだった60年代を経て70年にアルバム・デビューを果たした時点では、ゴージャスな管弦アレンジを施したかなりプログレ寄りのサウンドを聴かせるようになっていました。
そうして機は熟したとばかりに制作されたのが、スパニッシュ・シンフォの一大傑作として愛されるこの『Ciclos』。
お馴染みのヴィヴァルディ『四季』を大胆にロック・アレンジした本作ですが、キーマンとなっているのがアレンジャーとして参加したクラシックの豊かな素養を持つ敏腕アルフレド・カリオンの存在です。
大仰とさえ思える、分厚く渦を巻くように迫りくる各種キーボードやコーラスのアレンジは、これぞシンフォニック・ロックと言える圧倒的な説得力を持っています。
中でもエマーソンばりに冴えたフレーズを連発するアナログ・シンセと、ここぞという場面でゴワーっと湧き上がってくるメロトロンのコンビネーションは、もはや反則級です。
原曲の耳慣れたテーマを楽しみつつ、ロック・アレンジ作品ならではエネルギッシュで躍動感溢れるサウンドを存分に味わえる作品となっています。(佐藤)
今日取り上げるのは、カナダはケベック州のバンド、HARMONIUM(アルモニウム)の「LES CINQ SAISONS」です。
ケベックはカナダ東部の、オンタリオ州に次いで2番目に大きな都市。
フランスの植民地だったこともあり、他の北米地域のキャッチーなサウンドとは異なる、ユーロ・ロックに通ずる気品と陰影を持った作品が数多く生まれています。
そんなケベック出身のバンド、HARMONIUM。
花が咲き乱れる丘のジャケットが何ともメルヘンチックですが、よく見ると人面花になっていて不気味です。
ギターやマンドリン、フルート、ピアノなどを使用したアコースティックなサウンドが基調となっており、その中をフランス語のボーカルが漂い、少しずつ霧が深まるようにメロトロンが幻想的に広がっていきます。
またインターバルではサックスやクラリネット、フルートがジャジーな彩りを添えて、非常に味わい豊か。
タイトル「LES CINQ SAISONS」は「五つ目の季節」を意味します。もしもう一つの季節があったなら、HARMONIUMの音楽のように奇妙で美しい季節かもしれませんね。(みなと)
最終日の今日は海を渡ってアメリカから。
テキサスのグループ、HOMERの70年唯一作『GROWN IN U.S.A.』をピックアップいたします。
ディープなプログレ・ファンにもなかなか知られていないであろう本作ですが、それもそのはず彼らの音楽性はプログレではなく牧歌的なカントリー・テイスト溢れるサイケ・ハード。
おおらかなメロディに叙情的なギター、哀愁のヴォーカル。
ALLMAN BROTHERSあたりが好きな人にはたまらない爽やかなサウンドを展開しているのですが、個性的なのがそこに流れ出る厚いメロトロンの音色!
しかし彼ら、70年の米国のマイナー・バンドでありながらこのメロトロンの使い方が非常に上手く、荘厳なイメージの強いメロトロンを素朴で愛らしいアンサンブルの中にしっくりと馴染ませているんですよね。
クリムゾンのような哀愁のメロトロンに荘厳で冷ややかなメロトロン、そしてこんな優しく穏やかなメロトロンまで。
様々な作品を聴いていただきましたが、皆様はどんなメロトロンがお好みでしょうか?(増田)
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皆様から募集した「お好きなメロトロン・ソング」を大発表!定番からニッチな一曲、そして90年代以降の新世代による曲まで、いろんなメロトロン・ソングをお寄せいただきました!是非どの曲が入っているか想像しながら読み進めていただければ幸いです☆
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70年代の楽器と見なされている節があるメロトロンですが、プログレにおいては現在も現役バリバリの楽器であることはご存知でしょうか。今回は、そのあたりが実感していただけるメロトロンが溢れまくりの新鋭プログレ作品をご紹介してまいりましょう~。
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イタリア屈指のメロトロン名盤として人気の高い76年デビュー作で知られるグループ、奇跡の2019年作。これはずばり76年作を愛するプログレ・ファンなら必聴!76年作で語られた物語とリンクする内容を持つコンセプト・アルバムなのですが、サウンドのほうも驚くほどに当時の質感を再現していて感動を禁じえません。一音一音に温かみを感じるアコースティックギター、密やかなタッチのピアノ、リリシズムが零れ落ちるフルート、滑らかな音運びでジャジーな味わいを添えるサックス、そして天空で鳴り響くようなメロトロンの調べ…。どこまでも神秘的かつ幻想的な演奏に心奪われます。落ち着いた歌声の男性ヴォーカルも当時のまま。ゲスト参加するIl Tempio Delle Clessidreの女性ヴォーカルによる澄んだ美声ヴォーカル、76年作以上に前に出てクラシカルな旋律を響かせるヴァイオリンなど新要素はいくつかありますが、特筆は全編にわたるドラムの導入。以前はパーカッションの使用に留まっていたのに対し、どっしりと安定感あるドラミングがアンサンブルを引き締めており、76年作で魅力的だったアシッド・フォークのような浮遊感を残しつつも、イタリアン・ロックらしいダイナミックで起伏に富んだ演奏を楽しませてくれます。それにしても、この世のものとは思えないほどに神秘性を感じさせるこのメロトロンの音色はやはり唯一無二。決して大袈裟でなく、デビュー作に劣らぬ傑作だと思います。オススメ!
メロトロン溢れる76年の名作で知られるイタリアン・ロック・グループ、76年作の全7曲に加えて、74年録音の女性ヴォーカルによる英語ver6曲、先だってリリースされた2020年の音源集「Flashes From Archives Of Oblivion」にも収録された「Nora」「Favole Antiche(instrumental)」、そして未発表音源であるメロトロン入りの叙情的なインスト・ナンバー「Boswellia Sacra」という全16曲を収録。
メロトロン溢れる76年の名作で知られ、2019年には2ndアルバムを発表したイタリアの名グループがリリースした2021年スタジオ・アルバム。期待に違わず、今作もメロトロン湧き上がる珠玉のシンフォニック・ロックを聴かせてくれます。ゆったり刻まれるリズムに乗ってアコースティック・ギター、フルート、サックス、ヴァイオリンらが優雅に紡ぐアコースティカルなアンサンブル。そこにメロトロン、ソリーナ、ミニムーグ、オルガンなどが丹念に織り重なって、桃源郷にいるような神秘的かつ優しい音世界を作り上げていきます。何と言っても全編で響き渡る、1stアルバムから変わらない独特の儚さを感じさせるメロトロンの調べが格別。オリジナル・キーボーディストCiro Perrinoによる息をのむように繊細で美麗な音作りの健在ぶりに嬉しくなる愛すべき名品です。
メロトロン溢れる76年の名作で知られ、2019年にリリースされた2ndアルバム以降、精力的に活動を続けるイタリアン・ロックの人気グループ、初となるオーケストラとの共演で制作された22年作!オーケストラは本作のため編成された、ヴァイオリン/ヴィオラ/チェロ/オーボエ/クラリネット/ファゴット/トロンボーンなど総勢10名以上からなるCELESTIAL SYMPHONY ORCHESTRAです。デビュー時から変わらぬメロトロンを中心とした神秘的ながら牧歌的温かさも感じさせるシンフォニック・サウンドに、オーケストラが加わって一層色彩豊かに輝きを放つような演奏は、CELESTEファンなら一曲目から感動がこみ上げて来ること間違いなし。オケとの共演作と言えばとかくスケールが大きくなりがちですが、本作ではあくまでバンド・アンサンブルの一員としてCELESTE本来のリリカルなサウンドをメロトロンやピアノと一緒に作り上げていっており、そのバンドとオケの一体感がとにかく素晴らしい。もちろん最大の聴きモノはメロトロンで、1stそのままの繊細で浮遊感溢れるあまりに優美なメロトロンのプレイは、やはり唯一無二の魅力を感じさせてくれます。零れ落ちるような情緒を宿すアコースティック・ギター、気品あるクラシカルな佇まいのピアノ、数曲で歌う男女のイタリア語ヴォーカルもいつもながら絶品です。CELESTEがオーケストラと一緒にやる、という事の魅力が最大限に引き出された傑作と言っていいでしょう!カケレコメンド!
単発ながら素晴らしい作品を残したイタリアのプログレッシブ・ロックグループの76年唯一作。ゲスト・プレイヤーにPICCHIO DAL POZZO のAldo De Scalziを迎えて製作され、メロトロンの名盤としても知られるその内容は、ファンタジックなフォーク・ロック風の牧歌性が素晴らしい優美なサウンド。フルートやヴァイオリン、ギターが彩るフォーキーな音楽性を基本にメロトロンやアナログ・シンセサイザーが神秘的な広がりを加味しています。ほとんどリズム・セクションを廃した作風とシンセサイザー・サウンドの効果もあって、ジャーマン・ロックなどにも通じる浮世離れした浮遊感を持っていることが個性的ですが、やはり優美なメロディーには確かなイタリア叙情を感じます。
メロトロン溢れる76年の名作で知られ、2019年にリリースされた2ndアルバム以降、精力的に活動を続けるイタリアン・ロックの人気グループ、24年作。緻密に刻むリズム隊やピアノ、サックスのプレイに象徴されるこれまでになくジャジーなテイストを押し出したアンサンブルと、そこに覆いかぶさっていくこれぞCELESTEな雄大過ぎるメロトロン。両者が美しく叙情的に調和したサウンドがひたすら感動的に響き渡ります。メロトロンを引き立てるようにメロディアスでハートフルに鳴らされるフルートやギターも絶品。1stの面影を確かに残しながら、より劇的で洗練されたスタイルを確立した充実作です。メロトロン好きの方は問答無用でマストですし、ジャズ・ロック/フュージョンのファンにもオススメできる内容!
スペイン出身、74年に発表した3rdアルバム『CICLOS』がシンフォニック・ロックの名作として知られるグループ。本作はそれぞれ70年、72年に発表された1stと2ndにシングル曲、未発表音源を加えた音源集です。アルバム・デビュー前の音源は、中期BEATLESの影響を感じさせるサイケ・ポップ。威勢のいいブラス隊、ゴージャスな女性コーラス、情熱的なヴォーカルが特徴的です。1stアルバムは1分未満のインストを曲間に挟んだコンセプト・アルバム。2ndはライブ録音のカヴァー・アルバムで、これが聴きモノです!演奏技術が向上、よりタイト且つラウドなアンサンブルでROLLING STONESやTRAFFICなどの曲をサイケデリック、且つヘヴィにカヴァー。ラテンなアレンジにヒステリックなヴァイオリンを加えた「FEELING ALLRIGHT」や凶暴なギター・リフ、ジャジーなインプロを加えたBEATLESの「BABY YOU’RE A RICH MAN」など、混沌としたアレンジと熱気をはらんだパフォーマンスに惹きこまれます。『CICLOS』に繋がるアレンジの妙や意表をついた展開が楽しめるアルバム。
カナダの叙情派を代表するプログレッシブ・フォークロックグループの75年2nd。専任管楽器奏者を擁したその音楽性はフォーク・ロックの肌触りを持ったファンタジックな味わい深いものです。アコースティック・ギターの素朴な音色にフランス語のボーカル、コーラスが優しく重なり、インターバルではサックスやクラリネット、フルートがジャジーな彩りを添えています。さらには淡く響くメロトロンがヴィンテージな広がりを見せるなど、どこまでも繊細なプログレッシブ・フォークを聴かせており、まさにジャケットのような淡い幻想の世界を演出しています。
テキサス出身のサイケ・ハード・グループ。哀愁ほとばしるカントリー・タッチのスティール・ギター、ドラマティックと言えるほどに叙情溢れるメロディ、憂いを帯びたヴォーカル、心揺さぶるハーモニーが印象的。そして、このグループの一番の特徴は、なんとメロトロン!カントリー・タッチのサイケ・ハードのバックに、メロトロンが溢れ出します。カントリー・タッチのギターに絡むメロトロンは、聴いた記憶がありません。しっかし、メロディも歌い回しもアンサンブルも、この泣きっぷりはすごいです。カントリー・タッチの様式美サイケ・ハード?強烈にメロディアスです。1曲目「Circles In The North」なんてドラマティック過ぎて涙出ます。
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