2018年11月17日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ増田です。
切れ味鋭く超絶技巧で駆け抜けるジャズ・ロックも格好良いですが、メロディアスさを押し出した幻想性溢れるジャズ・ロックもまた違った魅力がありますよね。
というわけで今回はファンタジックで煌びやかで時にスペーシー、なおかつテクニカルさも持ち合わせた、名付けて「シンフォニック・ジャズ・ロック」を探求してまいりましょう。
まずはCAMELの名作から。リチャード・シンクレアとメル・コリンズの参加により、元来のファンタジックさを保ちつつもフュージョン・テイストのジャズ・ロック路線へとシフトした77年作5th。
親しみのあるメロディはもちろん、流麗なギターと透明感あるシンセ、軽やかなリズム隊が合わさって滑らかに流れていくアンサンブルが絶品ですね。
そんなCAMELに参加するkey奏者擁するこのHAPPY THE MANも、叙情性とテクニカルさを併せ持った「シンフォ・ジャズ・ロック」と呼べるグループでは!?
前作にも増して叙情性を強めた柔らかくマイルドなサウンドを聴かせる83年リリースの3rd。
そんなHAPPY THE MANのファンタジックな叙情性×テクニカルな変拍子を受け継ぐ新鋭グループがこちら。
カンタベリー・ロックやトラッド調の暖かみもありつつ、透明感のあるシンセがスペーシーな浮遊感を醸し出していて、ファンタジックさいっぱい。
次はイタリアの「シンフォ・ジャズ・ロック」代表!
あまりに超絶的な演奏テクニックに愕然となりますが、この地中海の潮風が薫るような芳醇なメロディも大きな魅力ですよね。
とめどなく溢れ出る情感豊かさでも、間違いなくジャズロック最高峰。
そんなアルティ・エ・メスティエリI『TILT』のテクニック&スピード感を受け継いだ伊新鋭だって!?
超絶変拍子ジャズロックからヴィンテージ色豊かなシンフォへとダイナミックに展開していく演奏が圧巻。こ、これは完成度高し!
英国ジャズ・ロック&カンタベリー・ロックの叙情性とイタリアン・ジャズ・ロックのダイナミックさをブレンドした新鋭グループ!?
ヴィンテージなオルガン、メロトロンにサックスなど古き良き英国ロックを受け継いだサウンドながら、スペーシーなシンセが壮大に凪いだりもして、幻想性たっぷり。
イタリアの次はフランス!
クラシカルなシンフォ・サウンド×サイケデリックな浮遊感×スリリングなジャズ・ロック!?
スペーシーなシンフォを軸にしつつデヴィッド・クロスやZAOのメンバーを迎え、スリリングなジャズ・ロックも展開する75年作!
次はスペインから!後に超絶技巧フュージョン・ロックで躍進するグループですが、この75年1stはメロトロンやエレピが叙情的に流れ出る英国プログレ&ジャズ・ロック影響下のサウンドが特徴。
とはいえ溢れるメロトロンと高速ジャズ・ロック・ギターが熱くぶつかり合うパートもあり、アグレッシヴさと叙情性の両方で楽しませてくれます。
同じくスペインから。ほぼ無名に近いバンドの82年唯一作なのですが、これは初期P.F.M.ばりの素晴らしさ!
イマジネーション豊かなスパニッシュ・ジャズ・ロックと、叙情派シンフォのエッセンスが入ったジャジーかつメロディアスなプログレを聴かせています。
ポルトガルにも「シンフォ・ジャズ・ロック」がありました!77年作1st。
幻想的なキーボードとメロディアスなギターによるシンフォニックなパートと、テンション溢れるテクニカル・ジャズ・ロックなパートが交錯するポルトガル・プログレ髄一の名作。
最後は現代インドネシアより!
リターン・トゥ・フォーエヴァーから80年代以降のクリムゾンまでを飲み込みつつ、フラワー・キングスのロイネ・ストルトばりのイマジネーションで包み込んじゃうセンス。
高度なテクニックとファンタジー溢れる美旋律を両立させ、さらにアジアらしいエキゾチズムまで散りばめた見事な「シンフォ・ジャズ・ロック」ですね!
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英国出身、Peter bardens、Andy Latimerを擁するファンタジックなプログレッシヴ・ロック・グループによる77年作5th。本作よりベーシストRichard Sinclair、サックス奏者Mel Collinsの二人が参加しています。特にRichard Sinclairはヴォーカリストとしても貢献していて、その甘く繊細な歌声はCAMELの世界観と見事にマッチ。親しみやすいメロディが際立つ一方、インスト面ではよりジャジーな方向へと音楽性をシフトしています。表情豊かで柔らかな音色を奏でるサックス、変幻自在に躍動するベース・ラインが、透明感溢れるキーボード・サウンドに溶け込んだジャジーなアンサンブルを奏でており、甘いヴォーカルと伸びやかなギターは叙情的なメロディを謳い上げます。「Elke」ではBrian Enoがムーグ・シンセで参加、アンビエント要素を加えてより神秘的なCAMELを聴くことが出来るなど、聴き所は多数。次作『BREATHLESS』と本作でしか聴けない貴重な6人編成、『SNOW GOOSE』など代表作を聴いた方におすすめしたい一枚です。
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
プログレッシブ・ロック界を代表する技巧派ドラマーFurio Chiricoといぶし銀のプレイを聴かせるキーボーディストBeppe Crovellaを擁する、イタリアを代表するジャズ・ロックグループの74年デビュー作。その内容は非常にテクニカル且つシンフォニックなジャズ・ロックであり、次作と並んで彼らの代表作となっている名盤。非常に歌心豊かなメロディーを奏でるヴァイオリン、サックスなどを取り入れたそのサウンドはシンフォニックで優美な音像を構築し、Furio Chiricoのパワフルで手数の多いドラムが乱舞。そこに時に激しくソロを弾き、時にメロトロンで雄大な叙情を語るBeppe Crovellaのキーボードが響きます。技巧で迫りつつも、メロディーの良さで聴かせる名盤です。
スペインはカタルーニャ出身のインスト・グループ。82年の唯一作。イマジネーション豊かなスパニッシュ・ジャズ・ロックと、叙情派シンフォのエッセンスが入ったジャジーかつメロディアスなプログレとの二つのスタイルにより、アルバムを彩り豊かに構成。手数多くシャープなドラム、アグレッシヴなベースによるいかにもジャズ・ロックなリズム隊を土台に、ギターが時にジャジーかつスリリング、時にヴァイオリン奏法などを駆使して切々と胸に響くフレーズで引っ張り、柔らかなエレピやリリカルなピアノが全体を包む。かなりマイナーなグループですが、実力は驚愕のレベル。必聴盤です。
ポルトガルのグループ、77年作の1st。幻想的なキーボードとメロディアスなギターによるシンフォニックなパートと、テンション溢れるテクニカル・ジャズ・ロックなパートとによるダイナミックなアンサンブルが持ち味。曲調はバラエティに富んでいますが、叙情性溢れるメロディーが一貫してるため、散漫に聴こえません。緊張感溢れる演奏、ダイナミックな構成力、叙情的なメロディーという、プログレッシヴ・ロックには欠かせない要素を高次元で満たしたポルトガル・プログレを代表する名作。
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