2014年6月11日 | カテゴリー:プログレ温故知新,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ温故知新
シンセサイザーやオルガン、メロトロンといったキーボード、あるいは管弦楽器が鳴り響き楽曲をスケール感いっぱいに彩るのがシンフォニック・ロックの特徴で、中には生のストリングスやフルオーケストラをバックで鳴らしてしまう強者グループも存在するなど、70年代当時よりクラシックに接近していく傾向がプログレ界では多く見られました。
そこで今回は英シンフォニック・ロックの決定盤、RENAISSANCEの『ASHES ARE BURNING』と、そのDNAを受け継ぐイタリアの新鋭シンフォ・グループMATERYAの12年作『CASE』を取り上げたいと思います。
70年代英国のクラシカルなシンフォニック・ロック・グループと言えば、多くの人がENIDか、このRENAISSANCEの名を挙げるのではないかと思います。それほどにクラシカル・シンフォニック・ロックというジャンルにおいてこの両グループは大きな影響力を持っています。
ENIDがクラシックそのものと呼べるサウンドをキーボードオーケストレーションを中心としたロック編成のアンサンブルで再構成するというアプローチを取ったのに対し、RENAISSANCEはクラシカルではありながらもあくまで根本はロックであるということを貫いたグループでした。
元YARDBIRDSのKeith Relfを中心として69年に結成されたRENAISSANCEですが、その後計10回ものメンバー交代を繰り返し、本作でプレイする黄金期とも言うべきメンバーが出揃いました。60年代のR&B系/ブルース・ロック系グループから発展したという経緯が、彼らの音楽が形成される上で重要なポイントを担っています。
73年発表の『ASHES ARE BURNING』は、フォーク由来の牧歌性とブリティッシュ・ロックらしい陰影を伴った楽曲にクラシカルなアレンジを施した作品で、後のオーケストラを大々的にフィーチャーした作品群と比べても聴きやすさ、そしてロックらしい躍動感という点で突出した作品です。それではアルバムオープニング曲であるこの曲をお聴き下さい。
クラシカルなピアノに導かれてエネルギッシュなバンド・アンサンブルが飛び込んでくる白熱のオープニングは、何度聴いても鳥肌が立つほどの素晴らしさ。天使の歌声とも称されるAnnie Haslamのヴォーカルも美しく響きます。ロックの持つドライヴ感とクラシカルな壮麗さが融合した、まさにクラシカル・シンフォニック・ロックと言う以外にない音楽です。
先程も触れたとおりこれ以降のRENAISSANCEは、より大々的にオーケストラを導入しスケール感を増したクラシカル・シンフォ路線を歩むようになりますが、こちらも雄大かつ優美な音の流れを存分に堪能できる傑作揃いですので、是非お試しいただきたいと思います。
さて、70年代英国から発したこのスタイルは世界中に広がり、今やプログレッシヴ・ロックを代表する様式の一つとなっていますが、そんな中でイタリアより登場したクラシカルなシンフォ新鋭に注目してみたいと思います。
MATERYAは、イタリアのメロディアス・プログレ・グループALTAVIAのメンバーであるマルチ奏者Andrea Stagniと女性シンガーBetty Copetaの二人からなるユニット。ALTAVIAは英国ポンプ勢からの影響を感じさせる美旋律を特徴とするグループなのですが、MATERYAは数あるクラシカルなシンフォニック・グループの中でも、最もRENAISSANCE直系と言うに相応しい美麗なサウンドを聴かせるグループなんです。
それでは本作からのおすすめナンバーをお聴きください♪
ピアノやアコギ、ヴァイオリンなどのアコースティカルなサウンドを基調とする凛とした気品を纏った演奏に、透明感溢れるイタリア語の女性ヴォーカルが乗るスタイルは、あたかも往年のRENAISSANCEからロック的なダイナミズムを取り去ってより繊細に情感豊かに蘇らせたかのような印象。一切の雑味を感じさせずただただメロディアスで美しい音世界に浸れる作品となっていますよね。
新旧のクラシカル・シンフォをテーマにお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか。この他にもフランス、ドイツ、東欧などのヨーロッパを中心に定盤・新鋭ともに個性的なクラシカル・シンフォグループがひしめいていますので、今回ご紹介した作品を足掛かりに是非探求を進めていただければと思います。聴いているうちに不意に涙してしまうような珠玉の美しさを持った作品にきっと巡り合えることでしょう。
2001年3月16日、東京厚生年金会館でのライヴ。残念ながらフル収録ではないようですが、往年の名曲、アニーのソロ名曲、トスカーナ収録の名曲と、さすがの名曲づくし。心配されていたアニーの声も全く衰えが感じられず、一曲目の「Carpet Of The Sun」から、あの伸びやかで透き通ったハイトーンに感動しきりです。サウンドの方も文句無しで、特にキーボードワークが素晴らしく、往年のオーケストラとの共演ライヴにも劣らない重厚なサウンドを聴かせています。ライヴ盤の「傑作」と言って差し支えないでしょう。
元YARDBIRDSのKeith RelfとJim McCartyを中心に結成されたオリジナル・ルネッサンス。71年2nd。前作の延長線上にある、リリカルなピアノが彩るクラシカルなフォーク・ロックが基本ですが、14分を越える最終曲など、ジャジーなエッセンスも取り入れた、よりスリリングでプログレッシヴなアンサンブルも特筆もの。ジャケットからも伝わる通り、クラシカルでファンタスティックなサウンドをベースに、より宇宙的な壮大さをも目指していたのが伝わってきます。レイト60sからプログレへと移行する過渡期のエネルギーに溢れた秀作。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は72年にリリースされたデビューアルバム。「革命のエチュード」からの引用によるオープニングからクラシカルな味わいと英国ロックの気品、アコースティックな感性を全面に、Annie Haslamの伸びやかなスキャットが映えます。楽曲のふくよかさ、トータルプロダクションの上手さは後の作品に譲るも、彼らにしか作りえない素朴な叙情の片鱗を既に窺うことが出来る好盤です。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は73年にリリースされた2nd。クラシカルな中に多少のサイケデリック感覚を残したデビュー作から方向性が定まり、牧歌的なのどかさと英国叙情、オーケストラを従えたシンフォニック・ロックの世界を作り上げています。以降ライブでも取り上げられる機会の多い名曲となった「カーペット・オブ・ザ・サン」「燃ゆる灰」などを収録。
YARDBIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は74年にリリースされた3rd。前作「燃ゆる灰」で作り上げた優美なシンフォニック・サウンドにさらに磨きをかけ、また、バンドのプロダクションに大いに貢献してきたMichael Dunfordがついに正式加入。「アルビノーニのアダージョ」を取り上げた「冷たい世界」や前作には無かったスケール感を持つ「母なるロシア」などを収録し、バンドは一気にその人気を不動のものとします。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は75年にリリースされた4thであり、彼らの代表作の呼び声も多い名盤。特にリムスキー・コルサコフの同名交響曲に端を発した「シェエラザード夜話」は、「アラビアン・ナイト」の世界をコンセプトに据えた20分を超える超大作であり、オーケストラ・サウンドとロックの融合を目指した英国ロックの1つの結論と呼ぶべき傑作。米国での成功で勢いに乗った彼らの生み出したシンフォニック・ロックの世界は他の追随を許しません。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は76年にリリースされたライブ作であり、アメリカのカーネギー・ホールにてオーケストラを率いて録音(75年6月)された名盤です。デビューアルバムから、アメリカへの足がかりとなった名盤「Scheherazade And Other Stories」までの代表作が余すことなく並んでおり、Annie HaslamのソプラノボーカルとNYフィルのオーケストラが絶妙に溶け合い、孤高のシンフォニック・ロックを作り上げています。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は77年にリリースされた6thであり、彼らの代表作の呼び声も多い名盤。「Scheherazade And Other Stories」の評価とアメリカでのコンサートの成功によってWEAとワールドワイド・リリースを契約、まさに絶頂を迎えた彼らの自信に溢れた作品となっています。ロック・フォーク・クラシックという彼らの3大要素が惜しみなく発揮されており、女性ボーカル系シンフォニック・ロックの金字塔的な作品といえるでしょう。
19年リイシュー、77年10月ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴを加えた3枚組ボックス、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、ブックレット・ミニポスター付き仕様
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は78年にリリースされた7thであり、前作同様にオーケストラを取り入れたシンフォニック・ロックを披露。アコースティックな味わいとAnnie Haslamのソプラノボーカルが彩るトラッディーな味わいは相変わらず心地良く響いており、明るくきらびやかな作風となっています。音楽的にはやや意図的なポップ・センスが感じられており、バンドで重要な位置を占めるキーボードはシンセサイザーなどエレクトリックな方向性が見え始めるなど、時代の流れと共に変化する彼らの姿が見受けられます。
79年作。クラシカルなテイストはそのままに、ポップ色が増し、クラシカル・ポップというべき洗練された心踊るサウンドが素晴らしい逸品。
PECLEC32820(ESOTERIC RECORDINGS)
2CD+ブルーレイディスクの3枚組ボックス、ボーナス・トラック10曲、ブルーレイには本編の5.1chサラウンド/ステレオ・ミックス音源 & 79年ライヴ映像を収録
盤質:未開封
状態:良好
イタリアの新鋭シンフォ・バンドによる12年作。美声女性ヴォーカルをフィーチャーしたフォーク・タッチのシンフォニック・ロックを展開。特徴的なのが何と言ってもその物悲しくもひたすら美しいメロディで、女性ヴォーカルの高い表現力によって神秘的な作品世界が眼前に広がります。さらに演奏面でも繊細に爪弾かれるアコギ、クラシカルな素養が滲むピアノ、演奏をゆったりと支える気品高いストリングスなど、クラシカルなシンフォニック・ロックとしては近年で最高レベルの完成度。RENAISSANCEなどの格調高い英国シンフォから気品漂うメロディアスさを抽出し、より繊細に情感豊かに蘇らせたかのような名作。まさに珠玉の一枚という表現がふさわしい作品です。
フロイドのリリシズムはこの人が居ればこそですね。「虚空のスキャット」「Summer 68」が好きなら、このソロ作もまた涙ものです。
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極上音質のライヴ・アーカイヴ音源集!デモ音源1曲、73年〜74年のBBC音源7曲、73年〜75年のライヴ音源13曲、計21曲を収録!
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ずばり70年代ブリティッシュ・ロック・ファン必聴の激レア発掘音源!とめどなく溢れる叙情美とバーバラ・ガスキンを彷彿させる女性ヴォーカル。グッときちゃいますよ〜。
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